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2021.04.18
LEGO BIG MORL「15th Anniversary Live at Blue Note Tokyo」──永遠の初期衝動を生きるバンドのいま
4月2日(金)にブルーノート東京で開催された、LEGO BIG MORL「15th Anniversary Live at Blue Note Tokyo」を観ました。
ブルーノート東京と言えば、ジャズを中心にした国内外アーティストのブッキングを大きな特徴とするライブハウスです。ただ、現在は海外からのアーティストの招聘が難しくなったこともあり、ふだんはブルーノートに立つ機会のないような国内のロックバンドのライブが頻繁におこなわれています。今回、LEGO BIG MORLが初めてブルーノートのステージに立つという貴重な瞬間を目撃できたのも、こういうご時世ならでは。コロナ禍という、いままで誰も経験したことのない苦しみと悲しみに満ちた世界では、だからこそ与えられる機会、生まれてくる音楽、表現、受け取れる感情もたくさんあるように感じる今日この頃です。
この日のLEGO BIG MORLのライブもまた、そういうライブでした。1曲目の「気配」であぶり出した人と人とのリアルのつながりと命の連鎖。生きること、死ぬことの孤独、まだ鳴り止もうとしない心臓の鼓動を伝えた「美しい遺書」や「end-end」。やがて「RAINBOW」で辿り着いた雨上がりの虹。そういった曲たちで構成された生命力に満ちたステージは、あらゆる制限に雁字搦めにされた日常で忘れかけていた、人間らしく生きる喜びを再び思い出させてくれるような時間でした。
このライブの5日前。3月28日にLEGO BIG MORLは結成15周年を迎えました。いま、LEGO BIG MORLは最高にかっこいい状態にあると思っています。バンド初期のオルタナティブなロックサウンドだけでなく、現行のポップシーンの影響を受けた打ち込みの要素を絶妙なバランスで取り入れ、本来バンドが持っていた泥臭さ、鋭利さと相まって、自分たちにしか鳴らせない音楽を確立しているからです。そこに至るまでには、メジャー進出の葛藤、タナカヒロキ(Gt)の手の負傷、事務所の独立、メンバーの脱退など、いろいろなことがありました。そんな外的要因をカンフル剤にしながら、LEGO BIG MORLはずっと、「どうすれば、自分たちはもっとかっこいいバンドに変われるか?」という命題と向き合い続け、作品というかたちで答えを出してきたように思います。言い換えれば、常に新たな挑戦を続けることで、結成当時の初期衝動を保ったまま、15年間を駆け抜けているバンドだと思うのです。そのせいか、「15周年」を掲げたライブとはいえ、この日のセットリストも、2017年にリリースされた『Mother ship』以降の楽曲が中心でした。見せるべきは、過去よりもいま、とでも言うように。
最後に披露された「潔癖症」は、いまのLEGOありありと体現する最新ナンバーでした。音源を聴くと、エイティーズのエッセンスや念仏のようなラップパートに、これまでの固定概念を壊していく気概を感じますが、ライブでは、BPM210の高速ビートで爆走する純然たるロックナンバーに大バケしていました。MCで、ヒロキが「ブルーノートでこんな(激しい)ライブをやるバンドはいないって言われた(笑)」と言っていましたが、そこをアクセル全開で踏み切れるのがLEGOの強み。変革と挑戦のバンド史のなかで、どんなに変わる部分があっても、やっぱりLEGO BIG MORLの本質はロックバンドなのだなと再確認する瞬間でもありました。
挑戦という点で言えば、カナタタケヒロ(Vo/Gt)が「Ray」と「end-end」で鍵盤を弾きながら歌ったことにも触れておきます。ギターのアレンジに比べると、どこか素朴で人肌の温もりを感じる曲に生まれ変わった印象に。演奏を終えたあと、横にいるヒロキのほうが「緊張した(笑)」とイジっていましたが、15周年を過ぎてなお、まだまだやっていなかった表現がたくさんあるとすれば、今後もLEGOの挑戦は尽きることはないだろうと思いました。
この日、一番ぐっときたのは「あなたがいればいいのに」でした。LEGOの一筋縄ではいかないロックな曲は大好物ですが、シンプルにメロディの美しさと言葉の儚さが際立つこの名バラードは別格です。カナタが、客席の一人ひとりに視線を投げかけ、たしかに届いていることを確認するように小さく頷きながら歌う姿勢に何度も胸が熱くなりました。
Drums: 吉田昇吾(UNCHAIN)
Guest Violinist: 吉田翔平
撮影:風間大洋 / Taiyo Kazama
LEGO BIG MORL New Single「潔癖症」
2021年3月28日(日)
Format:Digital
試聴はこちら
@legobigmorl
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ブルーノート東京と言えば、ジャズを中心にした国内外アーティストのブッキングを大きな特徴とするライブハウスです。ただ、現在は海外からのアーティストの招聘が難しくなったこともあり、ふだんはブルーノートに立つ機会のないような国内のロックバンドのライブが頻繁におこなわれています。今回、LEGO BIG MORLが初めてブルーノートのステージに立つという貴重な瞬間を目撃できたのも、こういうご時世ならでは。コロナ禍という、いままで誰も経験したことのない苦しみと悲しみに満ちた世界では、だからこそ与えられる機会、生まれてくる音楽、表現、受け取れる感情もたくさんあるように感じる今日この頃です。
この日のLEGO BIG MORLのライブもまた、そういうライブでした。1曲目の「気配」であぶり出した人と人とのリアルのつながりと命の連鎖。生きること、死ぬことの孤独、まだ鳴り止もうとしない心臓の鼓動を伝えた「美しい遺書」や「end-end」。やがて「RAINBOW」で辿り着いた雨上がりの虹。そういった曲たちで構成された生命力に満ちたステージは、あらゆる制限に雁字搦めにされた日常で忘れかけていた、人間らしく生きる喜びを再び思い出させてくれるような時間でした。
このライブの5日前。3月28日にLEGO BIG MORLは結成15周年を迎えました。いま、LEGO BIG MORLは最高にかっこいい状態にあると思っています。バンド初期のオルタナティブなロックサウンドだけでなく、現行のポップシーンの影響を受けた打ち込みの要素を絶妙なバランスで取り入れ、本来バンドが持っていた泥臭さ、鋭利さと相まって、自分たちにしか鳴らせない音楽を確立しているからです。そこに至るまでには、メジャー進出の葛藤、タナカヒロキ(Gt)の手の負傷、事務所の独立、メンバーの脱退など、いろいろなことがありました。そんな外的要因をカンフル剤にしながら、LEGO BIG MORLはずっと、「どうすれば、自分たちはもっとかっこいいバンドに変われるか?」という命題と向き合い続け、作品というかたちで答えを出してきたように思います。言い換えれば、常に新たな挑戦を続けることで、結成当時の初期衝動を保ったまま、15年間を駆け抜けているバンドだと思うのです。そのせいか、「15周年」を掲げたライブとはいえ、この日のセットリストも、2017年にリリースされた『Mother ship』以降の楽曲が中心でした。見せるべきは、過去よりもいま、とでも言うように。
最後に披露された「潔癖症」は、いまのLEGOありありと体現する最新ナンバーでした。音源を聴くと、エイティーズのエッセンスや念仏のようなラップパートに、これまでの固定概念を壊していく気概を感じますが、ライブでは、BPM210の高速ビートで爆走する純然たるロックナンバーに大バケしていました。MCで、ヒロキが「ブルーノートでこんな(激しい)ライブをやるバンドはいないって言われた(笑)」と言っていましたが、そこをアクセル全開で踏み切れるのがLEGOの強み。変革と挑戦のバンド史のなかで、どんなに変わる部分があっても、やっぱりLEGO BIG MORLの本質はロックバンドなのだなと再確認する瞬間でもありました。
挑戦という点で言えば、カナタタケヒロ(Vo/Gt)が「Ray」と「end-end」で鍵盤を弾きながら歌ったことにも触れておきます。ギターのアレンジに比べると、どこか素朴で人肌の温もりを感じる曲に生まれ変わった印象に。演奏を終えたあと、横にいるヒロキのほうが「緊張した(笑)」とイジっていましたが、15周年を過ぎてなお、まだまだやっていなかった表現がたくさんあるとすれば、今後もLEGOの挑戦は尽きることはないだろうと思いました。
この日、一番ぐっときたのは「あなたがいればいいのに」でした。LEGOの一筋縄ではいかないロックな曲は大好物ですが、シンプルにメロディの美しさと言葉の儚さが際立つこの名バラードは別格です。カナタが、客席の一人ひとりに視線を投げかけ、たしかに届いていることを確認するように小さく頷きながら歌う姿勢に何度も胸が熱くなりました。
Drums: 吉田昇吾(UNCHAIN)
Guest Violinist: 吉田翔平
撮影:風間大洋 / Taiyo Kazama
RELEASE INFORMATION
LEGO BIG MORL New Single「潔癖症」
2021年3月28日(日)
Format:Digital
試聴はこちら
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