SENSA

2020.12.01

Saucy Dog、ワンマンツアーZepp Osaka Baysideにて閉幕「ここから僕たちはまだまだ走り続けたい」

Saucy Dog、ワンマンツアーZepp Osaka Baysideにて閉幕「ここから僕たちはまだまだ走り続けたい」

Saucy Dogが11月29日に大阪・Zepp Osaka Baysideで「Saucy Dog one-man tour 2020 "We will take you"」ファイナル公演を開催した。

4thミニアルバム「テイクミー」のリリースに伴い行われた同ワンマンツアーは当初、10月22日に愛知・Zepp Nagoya公演、10月23日に大阪・Zepp Osaka Bayside公演が開催される予定であったが、せとゆいか(Dr, Cho)の新型コロナウイルス感染により開催が見合わせに。後に秋澤和貴(Ba)にも陽性反応があったことを受け、2人の療養期間と濃厚接触者全員の健康観察期間を経てバンドは活動を再開。11月28に愛知、11月29日に大阪で、それぞれ振替公演が開催された。

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ツアーファイナルとなった大阪公演は、Zepp Osaka Baysideの1階フロアにも椅子が設置されるなど、ソーシャルディスタンスが確保されたレイアウトで同時生配信も実施。開演前にはThe Rolling Stones、Jellyfish、セカイイチ、ハナレグミ、フジファブリックetcと古今東西のグッドミュージックがBGMとして流れ、いよいよメンバーがステージへ。「大阪ー! 楽しんでいこうね」と石原慎也(Vo, G)が口火を切った1曲目の「シーグラス」から、軽やかな疾走感と胸を締め付けるような切なさをオーディエンスに届けていく。スリーピースのミニマムな編成で楽曲の世界観をみずみずしく描き出すパフォーマンスは、派手なアレンジやギミックがなくとも、その歌声で、メロディで、人の心は動くと証明するかのようで、ライブというかけがえのない体験を早速身体が思い出していく。

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続く「真昼の月」でも、せとのタイトなリズムと秋澤のグルーヴィーなベースラインに乗る石原のボーカルが心地よく、ツアーファイナルというだけあって照明とのシンクロ具合も秀逸で、Zepp Osaka Baysideの漆黒の空間に乱反射する光が、より高揚感を引き立てる。コロナ禍においてツアーを決行した思いが結実したような絶景を前に、「ナイトクロージング」でも躍動するコーラスワークでも見事に聴かせ、楽曲の解像度を上げていく。

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「本当にお待たせしました! やっと今日ファイナルを迎えることができています。このツアーを回って、ライブができること、みんながこうやって見てくれていること、そのありがたさとか、それが当たり前じゃないということが本当に身に染みて......。だから、今日を絶対にいい日にして、Saucy Dogらしいライブをして帰ろうと思います。最後までどうぞよろしくお願いします!」

そんなせとのMCの後は、「煙」を皮切りに「BLUE」「film」と、情熱を秘め切々と歌い上げるミドルナンバーにグッと引き込まれていく。石原が「自分の大切な人のことを、自分を幸せにしてくれる人のことだけを考えて、次の曲を聴いてください」と告げた「結」といい、「ここのすぐ近くに海遊館あるでしょ? あそこの観覧車に恋人同士で乗ったら別れちゃうんだって。そんなのただの迷信だろうと思っていたんだけど、これがガチ話でさ。僕も結局、別れちゃったんだよね。だから友達同士で乗ってください(笑)」と場内を沸かせた「あとの話」といい、1曲1曲がまるで私小説のようなドラマ性とトリップ感で、秋澤のベースソロで幕を開けた「雷に打たれて」しかり、Saucy Dogの持ち味であるソングライティングの妙が存分に味わえるゾーンとなっていた。

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続くアコースティックのコーナーでは、石原がアコースティックギター、せとがキーボードにパートチェンジ。せとが改めてライブが延期になってしまったことを詫び、「でも、ごめんなさいというよりありがとうと言いたいです」と、目の前に、そして画面越しに集まってくれたオーディエンスに感謝を述べ、石原も「Twitterとかでも励ましの言葉をもらったりして......正直、すごく落ち込んでいたんですけど、今は前を向くことができているので、本当にみんなのおかげです」と言葉を重ねる。そして「寝ぐせ」では、せとがメインボーカルを取りあどけなくも優しい歌声を響かせ、「世界の果て」では秋澤がエレキギターを演奏するなど多才なところも見せ、ライブは後半戦へ。

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ここからは「猫の背」「雀ノ欠伸」とライブの定番曲で畳み掛け、せとの力強いビートを起点にワイルドなリフをかき鳴らし突入した「ゴーストバスター」、「まだまだいけるでしょ? 大阪ファイナルでしょ!? 大阪の本気を見せてくれよ!」と石原が扇動した「バンドワゴンに乗って」で、会場の熱気も一気に沸点に。

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「幸せだー。この先、そんなことを思う日が来るのかなと思ってたんですけど、今がそのときかもしれないです。今日開催することも、延期することも、このツアー自体開催することも、本当にできるのか不安もあったし、めちゃめちゃ怖かったんです。でも、こうやってみんなが見に来てくれて......マジでこの上ない気持ちです。ここから僕たちはまだまだ走り続けたいと思ってます。みんなに幸せな未来が訪れますようにと願いを込めて」

そんな石原のMCを受けたラストナンバー「今更だって僕は言うかな」が、見る者の胸に深く深く突き刺さる。時流に流されないサスティナブルな楽曲群でSaucy Dogの真髄を見せつけ、「またいつか、あなたに会えますように」(石原)と、深々と頭を下げる3人。

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アンコールでは、セットリストにはない「いつか」をワンコーラス披露するスペシャルなシーンも交えながら、「みんなの気持ちをちょっとでも明るく、温かくしてあげられたら。そういう気持ちでいつもライブをやっているし、曲を作っているつもりです。Saucy Dogの音楽を聴いて明日から頑張ろうって、ちょっと気分が晴れたなって思ってもらえたら」と石原が語り、Zepp Osaka Baysideを貫く圧倒的な歌声で放ったのは「グッバイ」。「心の中でいいから歌える?」という石原の呼びかけに呼応するように、ステージに向かって伸びる手が、鳴り響く拍手が、目いっぱい心の声を上げる。最後に石原が「また絶対に大阪に戻ってくるから。そのときはみんなでたくさん歌って、たくさん飛び跳ねよう!」とオーディエンスとの再会を約束し、ツアーファイナルを締めくくった。

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なお、今後のSaucy Dogは、12月19日(土)愛知・ポートメッセなごやで「MERRY ROCK PARADE 2020」、12月26日(土)大阪・インテックス大阪で「FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY」、12月30日(水)千葉・幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホールで「COUNTDOWN JAPAN 20/21」に出演。また、2021年には、2月5日(金)に初の日本武道館ワンマンライブ「Saucy Dog one man live「send for you」」、2月6日(土)に東京・日本武道館、3月31日(水)に大阪・なんばHatchで対バンイベント「リベンジエピソード」を開催する。


文:奥"ボウイ"昌史
撮影:日吉"JP"純平


SET LIST
01. シーグラス
02. 真昼の月
03. ナイトクロージング
04. 煙
05. BLUE
06. film
07. 結
08. あとの話
09. 雷に打たれて
10. 寝ぐせ
11. 世界の果て
12. 猫の背
13. 雀ノ欠伸
14. ゴーストバスター
15. バンドワゴンに乗って
16. 今更だって僕は言うかな

EN. グッバイ


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