2022.05.04
SENSAが注目するアーティストを紹介する「RECOMMEND」。オルタナティヴ・ロックバンドSouth Penguinを取り上げる。
アカツカ(V/Gt.)とサポートメンバーの稲葉航大(Ba.)、礒部拓見(Dr.)、石崎元弥(Per)、 宮田泰輔(Gt.)、ニカホヨシオ(Key.)からなるSouth Penguinは、2014年7月に東京で結成し、2016年7月にデビューep『alaska』をリリースした。同月FUJI ROCK FESTIVAL'16「ROOKIE A GO-GO」に出演したものの、翌年6月に、初の海外公演である台湾でのライブをもってアカツカ以外のメンバーが脱退。紆余曲折を経て、現在はサポートメンバーと共に中国ツアーや台湾ツアーを敢行するなど、国内外問わず精力的に活動中である。2022年3月2日には2年半ぶりの2nd album『R』をリリースし、注目を集めている。
2019年1月にデジタルリリースされたこの楽曲は、タイトルの通り"アイドル=偶像視される人"について書かれた曲で、アカツカが尊敬しているというコナン・モカシンに出逢って生まれた楽曲だそうだ。部屋でただただ好きなアイドルやアーティストを眺める"ずっとこの時間が続いたらいいのに"という瞬間、あなたも味わったことはないだろうか。そんな幸せで刹那的な空気が詰まった世界観と、輪郭のぼやけたサウンドスケープが非常に心地よい。また、Pennackyが監督を務めたMusic Videoは、宇宙のアニメーションや動物の映像、キャストに迎えられた雪見みとの可憐な振る舞いに他国の街並みなど、次から次へと繰り広げられる混沌とした展開が不可思議で、思わず見入ってしまう。中毒性満点の名曲だ。
この曲は、最新アルバム『R』の2曲目に収録されており、これもまた中毒性のある非常に面白い1曲である。一聴すると、哀愁漂う歌声と独創的で緻密なアレンジメントが魅力的で、思わず身体を揺らしたくなる。だが、歌詞を見ると思いつきで書いたようなつかみどころのない言葉が連なっているのだ。お笑い芸人・霜降り明星のせいやの芸からインスピレーションを受けて書いたという歌詞が、ダブポップなサウンドと絶妙な開きを作り楽曲に奥行きをもたらしている。Music Videoでも、クールな映像と映し出される歌詞のギャップがありとても面白い。いろんな側面を持ったなんとも形容し難い名曲だ。
この楽曲は、前作「air feat. 荘子it (from Dos Monos)」に引き続き、3人組ヒップホップユニット・Dos Monosがゲストアーティストに招かれた作品だ。音楽の好みやスタイルに共鳴する部分が多いということもあり、South Penguinの持つエクスペリメンタルでファンキーな要素とDos Monosのキレのいいフロウが見事な化学反応を起こしている1曲。「idol」同様にPennacky がディレクションを務めたMusic Videoでは、荘子it、TaiTan、没 a.k.a NGSも出演しており、カッコよさと怪しさの間にあるような映像が独特の魅力を醸し出す作品に仕上がっている。最新アルバム『R』にも収録され、アルバム全体のアクセントにもなっている重要なナンバーだ。
South Penguinの楽曲は、明確なメッセージ性や情景が目に浮かぶような描写、というよりは抽象的なリリックが印象的でサウンドファーストな作品性だと感じる。まずはポップで聴き心地の良いサウンドが体に染み渡っていく。そして溶け込んでいた歌詞が気になり始めて見てみると、絶妙な違和感をもたらす歌詞に興味を惹かれる。深い意味が込められているのか、それとも特に意味はないのか、それを考えたり吟味するのもまた面白く、非常に奥行きのある音楽作品ばかりだ。映像、サウンド、リリック全てにループしたくなる要因が詰め込まれていて、気づいたら生活に馴染んでいる。彼らの音楽は、これからも多くの人の心へと溶け込んでいくだろう。
文:髙橋夏央
2014年7月に東京で結成。
2016年、EP「alaska」でデビュー。
2017年6月、台湾での初の海外ライヴを行った後、アカツカ以外のメンバーが全員脱退。その後は、サポートメンバーを迎え活動。
2017年、2nd EP「house」をリリース。2018年、中国のフェス「Taihu Midi Festival」を含む中国ツアー、
2019年には、台湾のフェス「WAKE UP FESTIVAL 2019」を含む台湾ツアーを行った。
そして、2019年8月、1st Album「Y」、2020年6月には7INCH「bubbles / mad love」、2022年3月には現在の最新作となる「R」をリリース。
2021年8月には二度目の「FUJI ROCK FESTIVAL」出演を果たしている。
@S_Penguin_band
@south_penguin_band
アカツカ(V/Gt.)とサポートメンバーの稲葉航大(Ba.)、礒部拓見(Dr.)、石崎元弥(Per)、 宮田泰輔(Gt.)、ニカホヨシオ(Key.)からなるSouth Penguinは、2014年7月に東京で結成し、2016年7月にデビューep『alaska』をリリースした。同月FUJI ROCK FESTIVAL'16「ROOKIE A GO-GO」に出演したものの、翌年6月に、初の海外公演である台湾でのライブをもってアカツカ以外のメンバーが脱退。紆余曲折を経て、現在はサポートメンバーと共に中国ツアーや台湾ツアーを敢行するなど、国内外問わず精力的に活動中である。2022年3月2日には2年半ぶりの2nd album『R』をリリースし、注目を集めている。
South Penguin「idol」
2019年1月にデジタルリリースされたこの楽曲は、タイトルの通り"アイドル=偶像視される人"について書かれた曲で、アカツカが尊敬しているというコナン・モカシンに出逢って生まれた楽曲だそうだ。部屋でただただ好きなアイドルやアーティストを眺める"ずっとこの時間が続いたらいいのに"という瞬間、あなたも味わったことはないだろうか。そんな幸せで刹那的な空気が詰まった世界観と、輪郭のぼやけたサウンドスケープが非常に心地よい。また、Pennackyが監督を務めたMusic Videoは、宇宙のアニメーションや動物の映像、キャストに迎えられた雪見みとの可憐な振る舞いに他国の街並みなど、次から次へと繰り広げられる混沌とした展開が不可思議で、思わず見入ってしまう。中毒性満点の名曲だ。
South Penguin「thinker」
この曲は、最新アルバム『R』の2曲目に収録されており、これもまた中毒性のある非常に面白い1曲である。一聴すると、哀愁漂う歌声と独創的で緻密なアレンジメントが魅力的で、思わず身体を揺らしたくなる。だが、歌詞を見ると思いつきで書いたようなつかみどころのない言葉が連なっているのだ。お笑い芸人・霜降り明星のせいやの芸からインスピレーションを受けて書いたという歌詞が、ダブポップなサウンドと絶妙な開きを作り楽曲に奥行きをもたらしている。Music Videoでも、クールな映像と映し出される歌詞のギャップがありとても面白い。いろんな側面を持ったなんとも形容し難い名曲だ。
South Penguin「gadja feat. Dos Monos」
この楽曲は、前作「air feat. 荘子it (from Dos Monos)」に引き続き、3人組ヒップホップユニット・Dos Monosがゲストアーティストに招かれた作品だ。音楽の好みやスタイルに共鳴する部分が多いということもあり、South Penguinの持つエクスペリメンタルでファンキーな要素とDos Monosのキレのいいフロウが見事な化学反応を起こしている1曲。「idol」同様にPennacky がディレクションを務めたMusic Videoでは、荘子it、TaiTan、没 a.k.a NGSも出演しており、カッコよさと怪しさの間にあるような映像が独特の魅力を醸し出す作品に仕上がっている。最新アルバム『R』にも収録され、アルバム全体のアクセントにもなっている重要なナンバーだ。
South Penguinの楽曲は、明確なメッセージ性や情景が目に浮かぶような描写、というよりは抽象的なリリックが印象的でサウンドファーストな作品性だと感じる。まずはポップで聴き心地の良いサウンドが体に染み渡っていく。そして溶け込んでいた歌詞が気になり始めて見てみると、絶妙な違和感をもたらす歌詞に興味を惹かれる。深い意味が込められているのか、それとも特に意味はないのか、それを考えたり吟味するのもまた面白く、非常に奥行きのある音楽作品ばかりだ。映像、サウンド、リリック全てにループしたくなる要因が詰め込まれていて、気づいたら生活に馴染んでいる。彼らの音楽は、これからも多くの人の心へと溶け込んでいくだろう。
文:髙橋夏央
PROFILE
2014年7月に東京で結成。
2016年、EP「alaska」でデビュー。
2017年6月、台湾での初の海外ライヴを行った後、アカツカ以外のメンバーが全員脱退。その後は、サポートメンバーを迎え活動。
2017年、2nd EP「house」をリリース。2018年、中国のフェス「Taihu Midi Festival」を含む中国ツアー、
2019年には、台湾のフェス「WAKE UP FESTIVAL 2019」を含む台湾ツアーを行った。
そして、2019年8月、1st Album「Y」、2020年6月には7INCH「bubbles / mad love」、2022年3月には現在の最新作となる「R」をリリース。
2021年8月には二度目の「FUJI ROCK FESTIVAL」出演を果たしている。
LINK
オフィシャルサイト@S_Penguin_band
@south_penguin_band