SENSA

2021.12.15

無限大な可能性を秘めた独自のカッコよさを光らせる「インディアカヌー」

無限大な可能性を秘めた独自のカッコよさを光らせる「インディアカヌー」

SENSAが注目するアーティストを紹介する「RECOMMEND」。東京発オルタナティブロックバンドインディアカヌーを取り上げる。

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東京発、主に下北沢を中心に活動中のオルタナティブロックバンド、インディアカヌー。2021年4月に初音源の自主制作E.P.「Funade」をリリースし、8月からは3ヶ月連続で新曲をリリースした。まさにこれから飛躍を遂げるであろう、今注目のバンドだ。

インディアカヌー「酒」





嫌なことがあった時に飲むやけ酒。友人と飲む最高に楽しいお酒。しっぽりとひとりで嗜む晩酌。酒には様々な効果があるが、この「酒」は楽しいけれどどこか切ない、唯一無二の味がする。キャッチーなメロディーと心躍る軽やかなリズムは一見、酔いが回った時の愉快な空気感を醸し出しているが、歌詞からは無理やり流し込んだ鬱憤や焦燥をほんのり感じさせるのだ。そんな繊細な感情さえも吹っ飛ばすように楽器を掻き鳴らすMusic Videoもまた、いい味を足している。楽しいようでうまくいかない、でも投げ出しはしない。そんな曖昧な感情が絶妙に描かれているような歌詞と、ポップなサウンドが見事に楽曲の奥行きを引き出している。最後の〈遠い街へ〉というフレーズが少し寂し気に消えていくのもまた絶妙。1日の終わりに聴きたい1曲である。

インディアカヌー「さわやかなぬけがら」





3ヶ月連続新曲リリースの第1弾となった「さわやかなぬけがら」は、エネルギッシュで中毒性のあるロックナンバーだ。ストレートに想いを叫ぶ歌声が、スピード感あるサウンドに乗り、たまらなく聴き手を熱くさせる。カオティックな世界観が映えるMusic Videoでは、レトロな色合いに魚眼レンズを覗いているような丸い画角が洒落ていて、赤基調の空間と目まぐるしく変わる展開が楽曲の勢いを助長させている。楽曲の歌詞について開(Vo/Gt)は「〈時代の泡にならないで〉これは僕が友達のバンドを辞めて、1人で音楽をやっていくと決めた自分への言葉です。」と述べている。時代の流れは想像以上に早く、記憶は儚い。流行り廃りが絶えず変化する時代に流されず、1つ1つの想いや時間を大切に過ごそう。そんな決意めいたものが感じられる楽曲だ。

インディアカヌー「飄々と飛ぶ」





同じく3ヶ月連続新曲リリースの第2弾となった「飄々と飛ぶ」は、第1弾の「さわやかなぬけがら」とは雰囲気の異なる狂気に満ちたポストパンク調の曲である。イントロから漂う覇者の雰囲気。不穏なベースラインと重低音が響くビート。尖ったサウンドに不気味なほどに美しく伸びる歌声。楽曲に含まれたすべての音に鳥肌が立つような迫力。途中に聴こえる荒い息遣いもまた畏怖を感じさせ、Music Videoでは暗闇と炎を行き来するような荒い映像が更に強いインパクトを与えている。うんざりする毎日や憤りをそのまま音にしたようなこの楽曲は、感情が生み出す最大限のパワーを詰め込んだような圧倒感があり、インディアカヌーの更なる可能性を感じさせる。歌詞の独特な言い回しや耳に残るマイナー調なメロディーラインも非常に中毒性があり、聴いたらすぐさま彼等の世界観に引きずりこまれてしまうだろう。非常に面白いナンバーだ。

彼等の音楽に初めて出会った時は、無性に何度も繰り返し聴きたくなった。聴けば聴くほど深みの増すような中毒性がたまらなく良い。熱を帯びた勢いのあるサウンドに独特な旋律をなぞる歌声が独自のカッコよさを醸し出している。何にも似ていないインディアカヌーならではの世界観が、今後どのような拡がりを魅せるのか非常に楽しみである。可能性が未知数な新世代バンドだ。

文:髙橋夏央


LIVE INFORMATION

12月27日 minilink @下北沢デイジーバー
12月29日 "NYEE" @下北沢era
2022年1月12日 「楽団模様」@下北沢シェルター
1月23日 Eutopia @下北沢シェルター


PROFILE

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インディアカヌー
東京発、オルタナティブロックバンド。
2021年12月、旧メンバー稲葉然の脱退を受け新メンバーやまぐちてっぺーが正式加入し、新体制始動。


LINK
@IndiaCanoe
@indiacanoe
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