【読むラジオ】MC:VivaOla 「Frank Ocean」をテーマに選曲「Room H」-2026.5.13-
RADIO
2026.05.17
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!kanekoayano・友田オレ・Emeraldほか全25作品 -2026.5.16-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
みさと:5月11日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全25作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。まずは、tiny yawn。EPリリースです 。
金子:tiny yawnは昨年11月にインディーズレーベル「Oaiko」への所属を発表して、それ以降では初めてのEPリリース。tiny yawnは2017年から活動していて、キャリアもあるので、もともとレーベル所属は全然考えていなかったらしいんですよ。声をかけられたときも、「お話だけ聞きます」という感じだったみたいなんですけど、Oaikoの町田くんと話す中で「面白そうだな」と感じて、所属を決めたという背景があったみたいで。そういう意味でも、今回は"変化を選んだ一作"だと思っていて。これまでtiny yawnにはアルペジオのイメージがあったんですけど、「DAWN」を聴くと、結構歪んだサウンドも鳴っていて、そのあたりは新しいチャレンジなのかなと。ただ、EPのタイトルは『into the blue.』で、"青さを思い出す"ようなテーマもあって、変化のタイミングだからこそ、原体験的な部分や初期衝動にもう一度立ち返っている作品でもあるのかなと。「DAWN」では〈僕は僕のままでいたい〉とも歌っていて、変化していく部分と、変わらずにいる部分と、その両方が詰まった作品だと思います。
みさと:バンド活動に限らず、何か一つのものを続けていく上で、環境が変わったり、メンバーが変わっていくと、「何のためにやっているんだっけ?」「どんな風に進めていきたいんだっけ?」「何を大切にしていたんだっけ?」と立ち返っていくものだと思うんですけど、まさに初期衝動であったり、自分自身を掘り下げる作業がこの曲の中に詰まってるんだなと思いました。"青さ"は成熟した人たちにとっても必要な要素であることを思い返させてもらったような楽曲だったと思います。続いて、Highvvater。
金子:僕は年明けの放送で「2026年に期待するアーティスト」として、Highvvaterを挙げさせてもらっていて、彼らは関西のバンドなんですけど、ちょっと前に東京でのライブを観に行ってきまして、それもよかったし、今回EPが届いて、やっぱり好きだなと改めて思いました。タイトルが『Solitudes』で、「孤独」がテーマの作品なんですけど、彼らの影響源としては初期のRadioheadが大きくて。初期のRadioheadといえば、「Creep」という曲があり、孤独であり、内省的な感情を歌っていた時期なので、そういう部分でも通じるところがあるなと思いました。1曲目に入っている「If I Could Be Your Guitar」も、Radioheadのファーストアルバムに入っている「Anyone Can Play Guitar」から着想を得ている部分もあるのかなと思ったり。最近オルタナなバンドがたくさんいる中でも、こういう潰れた音色のファズギターを意図的に使っているバンドはそんなに多くないと思うし、そういう意味でも、改めて独自性を感じました。
みさと:セルフライナーノーツで、「『Solitudes』では孤独の二面性を扱いました。断絶と自足の中で揺れ動く人間の迷いの美しさを音楽にできたら素敵だと考えました」という一文をいただいています。私的には、「一人」は状態とか事実だけど、「孤独」は感情だと思うんですよ。その感覚が1枚の中に表されているのがすごくいいなと思っていて。tiny yawnはバンドを続けていく中で芽生えた感情を1曲にしていると思うんですけど、Highvvaterの曲の中では、ギターを始めると、そこには必ず孤独が寄り添ってくる、みたいなお話も書かれていて、すごく似ているようで違う。それぞれの内省的な思いが込められているのかなと思いました。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:kanekoayanoの新曲を紹介しようと思います 。
みさと:今回はバンドのkanekoayanoです。
金子:ちょっと前に武道館公演のライブ音源が出ていますが、純粋な新曲としては去年のアルバム『石の糸』以来、約1年ぶりのリリース。この間もライブをたくさんやっていて、バンドの状態がとてもいいことが音からも伝わってきました。「まだ問題ない」はよりエクスペリメンタルな、攻めたアレンジになっていましたが、「ブルー」は歌詞がより印象的で、〈ブルーさ 今も〉と歌っているんだけど、その一方で〈大好きだよ〉という言葉もすごく印象的に使われているんですよね。「さびしくない」は〈さびしくない〉と何度も歌うことで、めっちゃ寂しさが募ってくる曲だったと思うんですけど、それに照らして考えると、今回はタイトルこそ「ブルー」で、今もブルーな気持ちはあるんだけど、むしろ〈大好きだよ〉という言葉に表れているポジティブなフィーリングの方が、より強く感じられるというか。ポジティブなフィーリングがあるからこそ、いつかこれが終わってしまうかもしれないという"ブルー"な感情が常に張り付いている部分もあるとは思うけど、それでも「大好きだよ」という言葉を使おうと思った、実際に使えているのは、やっぱり今のバンドに対してポジティブな感情があるからこそなんじゃないかなと感じました。
みさと:同感です。こうした言葉のギミックはやっぱりカネコアヤノ節だなと。カネコさんの声の持つ説得力というか、言葉にした思いを何十倍にも届けられる強さというのは、彼女にしか持ってないものだなと思いました。バンドとソロの対比を味わえる楽しみがあって、リスナーとしてもすごく嬉しいし、楽曲に関しては、イントロのハーモニーやギターのざらつきとか、バンドでやっているからこそのアウトプットを感じられるような1曲だったと思います。
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。まずは、Foiさん。
金子:ちょっと前にゲストで来てくれましたね。今年の2月にアルバム『Rondo』をリリースして、3ヶ月ぐらいで早くも新曲と。ゲストで来てくれたときにもちょっと喋りましたけど、C-R&BとJ-R&Bのいいところを両方取って、ビートというより歌、メロディーが前に出つつ、トラックも現代にちゃんとアップデートされているという、Foiさんの良さが今回の曲にもすごく表れていて、らしい1曲だなと思いました。
みさと:今回は「愛していたあの人が持つ世界観や雰囲気を"君の国"と例えて、違いを感じながらも、その人の世界が温かく穏やかであることを願う1曲になっています」とのことで、理解し合えない相手に、「生まれた星が違うから」とか、「言語が違うから」みたいな表現をすると思うんですけど、違うものを違うものと責めるわけではなく、受け止められる大人の恋が素晴らしいなと思いましたし、まさにC-R&B、J-R&Bと違うものなんだけど、1つのものとして歌っているFoiさんだからこその着眼点なのかなとも感じました。続いて、RiE MORRiS。
金子:RiE MORRiSさんも今年の1月に『HEARTBEAT』というアルバムが出ていて、Victor Newmanと一緒に作り上げた作品だったわけですけど、早くも新曲が届きました。今回の新曲もUSのプロデューサーであるDTBと組んでいて、サウンド的にはダンスミュージックに接近したトラックになっているので、トレンド感がありますね。RiE MORRiSさんはいろんな人と組みながら、トレンドを取り入れて、自分の色に染めていくのが上手い人なので、今回の曲を聴いてもそれをすごく感じました。
みさと:洋楽な質感というか、だからこそドライブだったり、どの空気感にも馴染むような上質なR&Bになっているなと。今回は日本語と英語が同じ配分なので、彼女としては新しいチャレンジになっている1曲かなとも思います。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:友田オレさんの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回はアルバムリリースです。おめでとうございます。
金子:R-1グランプリの史上最年少チャンピオンとしても知られる方であり、幼なじみで、高校生のときには一緒にバンドをやっていたというbrooksの清水遊さんをメインコンポーザーに迎えて、ファーストアルバムが完成と。1980〜1990年代の歌謡曲、J-POPを強く感じさせつつ、清水さんのアレンジによって現代的にアップデートされていて、面白い着地をしてますよね。個人的に一番近いと思うのはKIRINJIで、「ごらんね」という曲だと、ちょっと岡村靖幸っぽい歌い方をしている部分もあったり。あとはやっぱり芸人さんで、ネタもやっているだけあって、言葉も面白いんだけど、でもコミックソングみたいな感じではなくて、ちょうどいいバランスなんですよね。「ごらんね」にしても、「ごめんね」というタイトルとか、「ごめんね」という歌詞はいっぱいあるけど、「ごらんね」をタイトルや歌詞に使うのはあんまり聴いたことがないし、〈今朝壁を蹴ったらすぐに隣の家から苦情が来たけど 僕の問題だけじゃない 構造も悪いことにした〉とか、こんな歌詞を歌う人もあんまりいなくて。
みさと:いないね(笑)。
金子:ネタとは違うんだけど、こういうちょっとした情景から立ち上がってくる哀愁みたいな、この感覚がすごくいいなと思いました。
みさと:今回は清水遊さんと連名で紹介したくなるような作品だなと思っていて。ここ数年、フロントに立つミュージシャンだけじゃなくて、コンポーザーやプロデューサーにもスポットライトが当たりやすくなってきなと思っていて、クリエイターや才能が消費されていかない未来を考えるうえで、欠かせない人たちのアルバムでもあるのかなと。お二人にとっても大切なアルバムになったと思いますので、ぜひじっくり聴いていただきたいです。
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。まずは、wala.collective。アルバムです。
金子:1年半ぶりのアルバムということで、セルフライナーノーツを抜粋して読んでみると、「この1年半の期間に様々な活動があって、それぞれの個性がより自然に混ざり、制作とライブの両面での融合が深まった期間でもあります。さらにこの1年半で、メンバー以外にもたくさんのクリエイターや俳優の方々、関わる場所も少しずつ増えてきました。そうした出会いや空気感も、自然と今回の作品に乗っている気がしています」と。もともとwala.collectiveは色んなところに住んでいる人たちがリモートで、それぞれの曲にそれぞれのプロデューサーが関わりながら活動する形態だったわけですけど、メンバー以外の人たちも関わり始めて、wala.collectiveという"場"がどんどん出来上がりつつあるんだなというのを感じさせる作品になっていました。「いつも通り」に関しては、ちょっとチル寄りなRIP SLYMEみたいな感じ。今の時代に「こういうの聴きたいよね」と思わせるような曲で、それも色んな人と関わる中で、今のトレンド感だったり、「今こういう曲が聴きたいよね」という感覚が研ぎ澄まされて、アルバムにも落とし込まれてるのかなと思いました。
みさと:改めてグループの活動理念が本当に素晴らしいなと思っていて。collectiveはグループやチームというよりは、普段は個々に活動しているアーティストたちのシェアハウス的な位置付けで、「リビングにいてもいなくてもいいよ」とか「一緒に出かけても、出かけなくてもいいよ」とか、そういった信念が同じような感覚の人たちを呼んでいくんだなと実感できるようなアルバムになっていました。「いつも通り」に関しても、日常がベースなんだけど、非日常が入ってくるのも、「いつも通り」の一つだよねと感じられるような1曲になっていたかと思います。続いて、はじめましてさんです、micoto。
金子:micotoは2025年11月結成なので、まだ活動歴は半年ですね。2005年から2007年生まれの4人で東京を拠点に活動するバンドということで、20歳前後、大学生なのかな。
みさと:洗練されていますよね。
金子:音楽的にはエモ、ポストロック、シューゲイザーがベースにあって、まさに今のライブハウスシーンの空気を吸い込んで、アウトプットしているバンドだなと感じます。お馴染みのKensei Ogataさんがエンジニアを担当しているみたいで、Ogataさんが関わっている雪国などの影響を受けた下の世代がもう出てきちゃってる、みたいな。
みさと:早いよ〜(笑)。
金子:この作品を機に、どうやってオリジナリティをより強めていくか。その始まりの作品なのかなと思いました。
みさと:尺のある1曲で、アウトロだと思ったら、しっかり聴かせるアルペジオで、物語を続けて、その後に女性ボーカルも入ってくる構成。彼ら、彼女たちの中の思いや構築美を考えて作られた1曲なんだろうなと。この先が楽しみなバンドに出会えたなと思います。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:Emeraldの新曲を紹介しようと思います。
みさと:新曲なんですが、バンドアレンジした作品になっています。
金子:ボーカルの中野くんが弾き語りでずっと歌っていた曲みたいですね。その曲をEmeraldとしてバンドアレンジしてリリースと。なので、トラックというよりも、まずは中野くんの歌が印象的。歌がしっかりと軸にあって、それをEmerald色にアレンジしている感じですね。メロウな雰囲気をたっぷりと味わえて、歌詞のテーマもタイトル通り「ベランダ」。夜のベランダでこっそり燃えるタバコがモチーフで、まさに風景が見えるような、非常にロマンチックなムード。そのあたりも含めて、Emeraldらしい1曲だなと。
みさと:中野さんからコメントをいただいていまして、「身近な人が知ってるけど、知らないふりをしてくれていることを知っているという状況、たまにありませんか?そこになんとも言えない優しさや心地よさを感じて、そのことを歌にしました」とのことです。こういう状況って、大人になって増えたなと感じていたところで、この曲に出会えて、「大切な曲に出会えた」という気持ちになりました。この感覚って、事実よりも関係性を優先する知性だと思うんですよ。その知性がないと、こういう状況にはならないと思うので、相手を信じているからこそ、白黒つけなくてもいいし、相手のタイミングで話してくれることを信じられる関係があるって、幸せなことなんだなと受け止めながら聴かせてもらいました。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:INTER FM 毎週土曜日25:00-25:55/ FM福岡 毎週土曜日26:00-26:55 (radikoで全国で聴取可能)
DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。

金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
New Release Digest Part 1
みさと:5月11日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全25作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。まずは、tiny yawn。EPリリースです 。
金子:tiny yawnは昨年11月にインディーズレーベル「Oaiko」への所属を発表して、それ以降では初めてのEPリリース。tiny yawnは2017年から活動していて、キャリアもあるので、もともとレーベル所属は全然考えていなかったらしいんですよ。声をかけられたときも、「お話だけ聞きます」という感じだったみたいなんですけど、Oaikoの町田くんと話す中で「面白そうだな」と感じて、所属を決めたという背景があったみたいで。そういう意味でも、今回は"変化を選んだ一作"だと思っていて。これまでtiny yawnにはアルペジオのイメージがあったんですけど、「DAWN」を聴くと、結構歪んだサウンドも鳴っていて、そのあたりは新しいチャレンジなのかなと。ただ、EPのタイトルは『into the blue.』で、"青さを思い出す"ようなテーマもあって、変化のタイミングだからこそ、原体験的な部分や初期衝動にもう一度立ち返っている作品でもあるのかなと。「DAWN」では〈僕は僕のままでいたい〉とも歌っていて、変化していく部分と、変わらずにいる部分と、その両方が詰まった作品だと思います。
みさと:バンド活動に限らず、何か一つのものを続けていく上で、環境が変わったり、メンバーが変わっていくと、「何のためにやっているんだっけ?」「どんな風に進めていきたいんだっけ?」「何を大切にしていたんだっけ?」と立ち返っていくものだと思うんですけど、まさに初期衝動であったり、自分自身を掘り下げる作業がこの曲の中に詰まってるんだなと思いました。"青さ"は成熟した人たちにとっても必要な要素であることを思い返させてもらったような楽曲だったと思います。続いて、Highvvater。
金子:僕は年明けの放送で「2026年に期待するアーティスト」として、Highvvaterを挙げさせてもらっていて、彼らは関西のバンドなんですけど、ちょっと前に東京でのライブを観に行ってきまして、それもよかったし、今回EPが届いて、やっぱり好きだなと改めて思いました。タイトルが『Solitudes』で、「孤独」がテーマの作品なんですけど、彼らの影響源としては初期のRadioheadが大きくて。初期のRadioheadといえば、「Creep」という曲があり、孤独であり、内省的な感情を歌っていた時期なので、そういう部分でも通じるところがあるなと思いました。1曲目に入っている「If I Could Be Your Guitar」も、Radioheadのファーストアルバムに入っている「Anyone Can Play Guitar」から着想を得ている部分もあるのかなと思ったり。最近オルタナなバンドがたくさんいる中でも、こういう潰れた音色のファズギターを意図的に使っているバンドはそんなに多くないと思うし、そういう意味でも、改めて独自性を感じました。
みさと:セルフライナーノーツで、「『Solitudes』では孤独の二面性を扱いました。断絶と自足の中で揺れ動く人間の迷いの美しさを音楽にできたら素敵だと考えました」という一文をいただいています。私的には、「一人」は状態とか事実だけど、「孤独」は感情だと思うんですよ。その感覚が1枚の中に表されているのがすごくいいなと思っていて。tiny yawnはバンドを続けていく中で芽生えた感情を1曲にしていると思うんですけど、Highvvaterの曲の中では、ギターを始めると、そこには必ず孤独が寄り添ってくる、みたいなお話も書かれていて、すごく似ているようで違う。それぞれの内省的な思いが込められているのかなと思いました。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:kanekoayanoの新曲を紹介しようと思います 。
みさと:今回はバンドのkanekoayanoです。
金子:ちょっと前に武道館公演のライブ音源が出ていますが、純粋な新曲としては去年のアルバム『石の糸』以来、約1年ぶりのリリース。この間もライブをたくさんやっていて、バンドの状態がとてもいいことが音からも伝わってきました。「まだ問題ない」はよりエクスペリメンタルな、攻めたアレンジになっていましたが、「ブルー」は歌詞がより印象的で、〈ブルーさ 今も〉と歌っているんだけど、その一方で〈大好きだよ〉という言葉もすごく印象的に使われているんですよね。「さびしくない」は〈さびしくない〉と何度も歌うことで、めっちゃ寂しさが募ってくる曲だったと思うんですけど、それに照らして考えると、今回はタイトルこそ「ブルー」で、今もブルーな気持ちはあるんだけど、むしろ〈大好きだよ〉という言葉に表れているポジティブなフィーリングの方が、より強く感じられるというか。ポジティブなフィーリングがあるからこそ、いつかこれが終わってしまうかもしれないという"ブルー"な感情が常に張り付いている部分もあるとは思うけど、それでも「大好きだよ」という言葉を使おうと思った、実際に使えているのは、やっぱり今のバンドに対してポジティブな感情があるからこそなんじゃないかなと感じました。
みさと:同感です。こうした言葉のギミックはやっぱりカネコアヤノ節だなと。カネコさんの声の持つ説得力というか、言葉にした思いを何十倍にも届けられる強さというのは、彼女にしか持ってないものだなと思いました。バンドとソロの対比を味わえる楽しみがあって、リスナーとしてもすごく嬉しいし、楽曲に関しては、イントロのハーモニーやギターのざらつきとか、バンドでやっているからこそのアウトプットを感じられるような1曲だったと思います。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。まずは、Foiさん。
金子:ちょっと前にゲストで来てくれましたね。今年の2月にアルバム『Rondo』をリリースして、3ヶ月ぐらいで早くも新曲と。ゲストで来てくれたときにもちょっと喋りましたけど、C-R&BとJ-R&Bのいいところを両方取って、ビートというより歌、メロディーが前に出つつ、トラックも現代にちゃんとアップデートされているという、Foiさんの良さが今回の曲にもすごく表れていて、らしい1曲だなと思いました。
みさと:今回は「愛していたあの人が持つ世界観や雰囲気を"君の国"と例えて、違いを感じながらも、その人の世界が温かく穏やかであることを願う1曲になっています」とのことで、理解し合えない相手に、「生まれた星が違うから」とか、「言語が違うから」みたいな表現をすると思うんですけど、違うものを違うものと責めるわけではなく、受け止められる大人の恋が素晴らしいなと思いましたし、まさにC-R&B、J-R&Bと違うものなんだけど、1つのものとして歌っているFoiさんだからこその着眼点なのかなとも感じました。続いて、RiE MORRiS。
金子:RiE MORRiSさんも今年の1月に『HEARTBEAT』というアルバムが出ていて、Victor Newmanと一緒に作り上げた作品だったわけですけど、早くも新曲が届きました。今回の新曲もUSのプロデューサーであるDTBと組んでいて、サウンド的にはダンスミュージックに接近したトラックになっているので、トレンド感がありますね。RiE MORRiSさんはいろんな人と組みながら、トレンドを取り入れて、自分の色に染めていくのが上手い人なので、今回の曲を聴いてもそれをすごく感じました。
みさと:洋楽な質感というか、だからこそドライブだったり、どの空気感にも馴染むような上質なR&Bになっているなと。今回は日本語と英語が同じ配分なので、彼女としては新しいチャレンジになっている1曲かなとも思います。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:友田オレさんの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回はアルバムリリースです。おめでとうございます。
金子:R-1グランプリの史上最年少チャンピオンとしても知られる方であり、幼なじみで、高校生のときには一緒にバンドをやっていたというbrooksの清水遊さんをメインコンポーザーに迎えて、ファーストアルバムが完成と。1980〜1990年代の歌謡曲、J-POPを強く感じさせつつ、清水さんのアレンジによって現代的にアップデートされていて、面白い着地をしてますよね。個人的に一番近いと思うのはKIRINJIで、「ごらんね」という曲だと、ちょっと岡村靖幸っぽい歌い方をしている部分もあったり。あとはやっぱり芸人さんで、ネタもやっているだけあって、言葉も面白いんだけど、でもコミックソングみたいな感じではなくて、ちょうどいいバランスなんですよね。「ごらんね」にしても、「ごめんね」というタイトルとか、「ごめんね」という歌詞はいっぱいあるけど、「ごらんね」をタイトルや歌詞に使うのはあんまり聴いたことがないし、〈今朝壁を蹴ったらすぐに隣の家から苦情が来たけど 僕の問題だけじゃない 構造も悪いことにした〉とか、こんな歌詞を歌う人もあんまりいなくて。
みさと:いないね(笑)。
金子:ネタとは違うんだけど、こういうちょっとした情景から立ち上がってくる哀愁みたいな、この感覚がすごくいいなと思いました。
みさと:今回は清水遊さんと連名で紹介したくなるような作品だなと思っていて。ここ数年、フロントに立つミュージシャンだけじゃなくて、コンポーザーやプロデューサーにもスポットライトが当たりやすくなってきなと思っていて、クリエイターや才能が消費されていかない未来を考えるうえで、欠かせない人たちのアルバムでもあるのかなと。お二人にとっても大切なアルバムになったと思いますので、ぜひじっくり聴いていただきたいです。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。まずは、wala.collective。アルバムです。
金子:1年半ぶりのアルバムということで、セルフライナーノーツを抜粋して読んでみると、「この1年半の期間に様々な活動があって、それぞれの個性がより自然に混ざり、制作とライブの両面での融合が深まった期間でもあります。さらにこの1年半で、メンバー以外にもたくさんのクリエイターや俳優の方々、関わる場所も少しずつ増えてきました。そうした出会いや空気感も、自然と今回の作品に乗っている気がしています」と。もともとwala.collectiveは色んなところに住んでいる人たちがリモートで、それぞれの曲にそれぞれのプロデューサーが関わりながら活動する形態だったわけですけど、メンバー以外の人たちも関わり始めて、wala.collectiveという"場"がどんどん出来上がりつつあるんだなというのを感じさせる作品になっていました。「いつも通り」に関しては、ちょっとチル寄りなRIP SLYMEみたいな感じ。今の時代に「こういうの聴きたいよね」と思わせるような曲で、それも色んな人と関わる中で、今のトレンド感だったり、「今こういう曲が聴きたいよね」という感覚が研ぎ澄まされて、アルバムにも落とし込まれてるのかなと思いました。
みさと:改めてグループの活動理念が本当に素晴らしいなと思っていて。collectiveはグループやチームというよりは、普段は個々に活動しているアーティストたちのシェアハウス的な位置付けで、「リビングにいてもいなくてもいいよ」とか「一緒に出かけても、出かけなくてもいいよ」とか、そういった信念が同じような感覚の人たちを呼んでいくんだなと実感できるようなアルバムになっていました。「いつも通り」に関しても、日常がベースなんだけど、非日常が入ってくるのも、「いつも通り」の一つだよねと感じられるような1曲になっていたかと思います。続いて、はじめましてさんです、micoto。
金子:micotoは2025年11月結成なので、まだ活動歴は半年ですね。2005年から2007年生まれの4人で東京を拠点に活動するバンドということで、20歳前後、大学生なのかな。
みさと:洗練されていますよね。
金子:音楽的にはエモ、ポストロック、シューゲイザーがベースにあって、まさに今のライブハウスシーンの空気を吸い込んで、アウトプットしているバンドだなと感じます。お馴染みのKensei Ogataさんがエンジニアを担当しているみたいで、Ogataさんが関わっている雪国などの影響を受けた下の世代がもう出てきちゃってる、みたいな。
みさと:早いよ〜(笑)。
金子:この作品を機に、どうやってオリジナリティをより強めていくか。その始まりの作品なのかなと思いました。
みさと:尺のある1曲で、アウトロだと思ったら、しっかり聴かせるアルペジオで、物語を続けて、その後に女性ボーカルも入ってくる構成。彼ら、彼女たちの中の思いや構築美を考えて作られた1曲なんだろうなと。この先が楽しみなバンドに出会えたなと思います。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:Emeraldの新曲を紹介しようと思います。
みさと:新曲なんですが、バンドアレンジした作品になっています。
金子:ボーカルの中野くんが弾き語りでずっと歌っていた曲みたいですね。その曲をEmeraldとしてバンドアレンジしてリリースと。なので、トラックというよりも、まずは中野くんの歌が印象的。歌がしっかりと軸にあって、それをEmerald色にアレンジしている感じですね。メロウな雰囲気をたっぷりと味わえて、歌詞のテーマもタイトル通り「ベランダ」。夜のベランダでこっそり燃えるタバコがモチーフで、まさに風景が見えるような、非常にロマンチックなムード。そのあたりも含めて、Emeraldらしい1曲だなと。
みさと:中野さんからコメントをいただいていまして、「身近な人が知ってるけど、知らないふりをしてくれていることを知っているという状況、たまにありませんか?そこになんとも言えない優しさや心地よさを感じて、そのことを歌にしました」とのことです。こういう状況って、大人になって増えたなと感じていたところで、この曲に出会えて、「大切な曲に出会えた」という気持ちになりました。この感覚って、事実よりも関係性を優先する知性だと思うんですよ。その知性がないと、こういう状況にはならないと思うので、相手を信じているからこそ、白黒つけなくてもいいし、相手のタイミングで話してくれることを信じられる関係があるって、幸せなことなんだなと受け止めながら聴かせてもらいました。
番組の後半は、んoonがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:INTER FM 毎週土曜日25:00-25:55/ FM福岡 毎週土曜日26:00-26:55 (radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
ラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC

金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10




