INTERVIEW

2026.08.29

国内屈指のインディイベント「HELLO INDIE 2026」スペシャル対談: downy・青木ロビン×mouse on the keys・川﨑昭

国内屈指のインディイベント「HELLO INDIE 2026」スペシャル対談: downy・青木ロビン×mouse on the keys・川﨑昭

「真のインディーシーンの確立とサポート」を掲げ、2014年から仙台で開催されている「HELLO INDIE」。今年も9月5日に仙台PITで「HELLO INDIE 2026」が開催され、LITE、spike shoes、She Her Her Hers、環ROY、TAMIWらとともに、downyとmouse on the keysの出演が決定。この2組は翌日の9月6日に「HELLO INDIE 2026-TOKYO-」としてZepp Shinjukuでツーマンライブを行うことも決定している。
昨年結成25周年を迎えたdownyと、今年結成20周年を迎えたmouse on the keysはどちらも2000年代から日本のオルタナシーンで独自の存在感を発揮してきたバンドであり、構築的な視点と衝動を併せ持っていて、ライブにおける映像表現も共通点。長い活動の中でメンバーの変遷も経験してきたが、それによってまた新たな一面を見せながらも、芯にある部分はブレることなく、未知の領域を切り拓き続けている。遂に実現が叶ったツーマンを前に、downyの青木ロビンとmouse on the keysの川﨑昭にこれまでとこれからを語り合ってもらった。


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「一緒にライブやろうよ」って言い続けて、やっと実現しました(青木)

─対談という形で話をするのは初めてということで、まずはこれまでお互いのバンドのことをどのように見てきたかを話していただけますか?


川﨑:すごく記憶に残ってるのが、多分2000年に出た「remix」っていう雑誌に顔がグワーってなってるdownyの写真が載ってたんですよ。当時の「remix」はトータスも載るし、テクノ系も載るし、先端の音楽雑誌っていうイメージで。BLACK SMOKERやNUMBさんとかのRevirth系の人とかとdownyも一緒に載ってて、かっけえなって。で、当時から映像を使うって、相当尖ってた。

─しかもバンドで使ってる人はなかなかいませんでしたよね。


川﨑:そう、だから先駆者だなっていう印象。自分は当時ビデオアートとかも好きで、初台のICC(インターコミュニケーション・センター)にメディアアートのアーカイブを見に行ったり、ダムタイプが好きで注目してたり。で、downyがそういう時代の中でバンドのスタイルでありながらVJをやってるのはすげえなと思ってましたね。

─それこそマウスでVJを使うようになる上でも意識していた?


川﨑:いやもう当然ありました。今はTouchDesignerとか使ってVJをする人もいっぱいいるけど、当時はまだアートの分野での手法っていうイメージが強かったので、ほんと先駆者だと思います。で、downyは2004年に活動を休止して、自分は2005年にNINE DAYS WONDERをやめて、2006年にmouse on the keysを結成するんだけど、その後にdownyが活動を再開して、今も昔も変わらない一貫したdownyのスタイルを貫いていてすごいなと。うちらは2022年に新メンバーを迎えて、新作ではジャズ要素が濃くなってるけど、根っこにある衝動やビート感はオルタナ/ポストハードコアのそれで。そういった自分たちの変化と向き合っているからこそ、downyがあのドラミングや独自の質感を守り抜いていることに、ドラマーであり曲も作る自分としてはすごくグッとくる。先駆者だから、お家芸だと思うんですけど、あのつんのめってて、回数なんか変っていうのを未だにやってるのはすごい勇気をもらえる。ジャズじゃないけど、エレクトリック・マイルス的というか、世代的にはドラムンベースとかクラブカルチャーも、ポストハードコアも聴いて、雑食性があって、それがミックスされてると思うんですけど、やっぱりドラムのアレンジが......ドラマーだったらやらないことを、凄腕ドラマーにやらせるっていう。

青木:毎回制作は大変ではあるけどね。

川﨑:世界的に見ても、あそこで粘ってる人たちあんまりいないと思うんですよ。で、細かすぎて伝わらないモノマネ選手権じゃないけど、世界的に見るとちょっと追いつけないぐらいのところだと思うんです。行き過ぎてて評価がまだ追いついてない気がするんですよね。自分もそういうのが好きなのでやるんですけど。そういう意味で、やっぱり勇気をいただける存在でもあるし、自分も頑張んなきゃって思いますよね。

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─ロビンさんから見たマウスについてはいかがですか。


青木:僕はもともとNINE DAYS WONDERが好きで、すげえかっこいいバンドだなと思ってて。ただdownyは2004年に休止しちゃうんで、そこから東京の音楽シーンとは疎遠っていうか、連絡もそんなにしなくなっちゃって。でも確か54-71のリーダー(川口賢太郎)から「川﨑くんやめたよ」って聞いて、「マジで?もったいな」みたいな話をした記憶がある。でもその後に、多分櫻木さん(felicityの櫻木景。downyとmouse on the keysは一時期どちらもfelicityから作品をリリースしていた)だったと思うけど、「mouse on the keysってめっちゃかっこいいのがいるんだよ」って聴かされて、かっこいいなと思って。最初はこれが川﨑くんだってわかってなかったの。あまりにも(NINE DAYS WONDERと)違ったし。でもやっぱりハードコアをすごく感じて、それからは単純にファンというか、ずっと音源を聴いてて。で、沖縄・名護のがらまんホールでやったときに見に行ったんだよね。そのとき映像と、あと照明も持ち込んでて、「あれを沖縄までわざわざ持ってきたんだ」と思って。それまで音源だけ聴いてたから、初めてライブを見て、総合芸術なんだなと思いました。舞台を見てるような感じというか......トークも含めてね(笑)。教授みたいな、TEDみたいな感じで、すごい面白かった。あとDJでめちゃくちゃ使いやすいんですよ。ジャズに行きたいなとか、ロックに行きたいなって、切り替えるときにめちゃ使いやすくて、一回のDJで3曲ぐらい使う。暗いトーンにも持っていけるし、清涼感のあるところにも持っていけるし、本当にすごいオリジナリティがあるなって。僕はよく沖縄でDJやるんですけど、マウスをかけると外国人がShazamしに来るんですよ。

川﨑:嬉しいですね。

青木:「オルタナティブ」って言葉で片付けちゃうと、それになっちゃうし、自分たちもそうなんだけど、この多岐に渡る音楽の興味を自分たちのオリジナルにしてるのがすごい。あと建築のこともやってるじゃないですか。音楽ってね、構築していくものだから。自分も設計を仕事でやるんですけど、音楽と似てるというか、図面を引いて、間取りを作るみたいな作り方をするので、そういう話をしてるのも読んだし。

川﨑:建築家の安藤忠雄展の音楽を作ったり。

青木:そうそう。別の建築家と対談してるのも見たし、きっと川﨑くんもそういうふうに曲を作ってるのかなと勝手に思ったり。なので、僕は本当にシンプルに好きなので、会うといつも「一緒にライブやろうよ」って言い続けて、今回やっと実現しました。

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─ロビンさんの中では曲作りと設計がどう結びついているのでしょうか?


青木:僕の場合は音楽が先なんですけど、仕事で設計をやろうってなって勉強し始めたら、作り方が似てるなと。自分の中では「こういうのが作りたい」っていう絵があって、そこに向かってどんどん肉付けしてって、いらないものを削いでって、見た目もソリッドにしたいし、みたいな。面積とか、作れる内容は決まってる中で、どれだけ自分の頭の中に近づけていくかっていう作業が割と似てるし、自分はそういうのが好きなんです。図面をミリ単位で何回も直したりするのがめちゃくちゃ好きで、音楽を作るときもドラムのちょっとの差を一日中聴いてたりするから、それが完成したときは「俺の図面を見てみろ!」みたいな気持ちになります(笑)。

川﨑:ギターのバンドだけど、やっぱり構築的なクラブミュージックのリズムにもすごく興味があるバンドっていうのは最初から思ってて。通常のギターバンドは、ああいうドラムは作らないだろうなって。自分は、抽象的な発想からそのディテールを詰めるためにグリッドを整える、みたいな感じで、エラーを起こすためにまずはきっちり決めたいタイプだから、downyにもそれを感じるし、それはロビンくんが空間設計をされるというのも大きいのかなって。さっき「総合芸術」って言ってくれたけど、downyの場合もロビンくんが総合演出家というか、バンド全体のイメージを考えてるだろうし。あのビートと、ギターのジャーンっていう鳴りのマッチングで独特な個性が出ていて、本当にかっこいい。

海外での盛り上がりは、今でもそんなに衰えてない感じがある(川﨑)

─downyは去年初めて「HELLO INDIE」に出演されていますが、どんな印象でしたか?


青木:シンプルにすごく楽しかったです。裏が屋台みたいになってて、「ARABAKI(ROCK FEST.)」を思い出したんですけど、あれがすっげえ居心地よくて。去年はDO MAKE SAY THINKが出てて、日本に来て、あのもてなしを受けて、あの人たち超楽しかっただろうなと思って(笑)。そういう地元感があるのがいいですよね。フェスも形が決まってきちゃって、どこも同じ感じになっちゃうけど、(「HELLO INDIE」は) 「仙台に来た」って感じがして、すごく良かった。メンツも良かったしね。どこかに偏ったオルタナではなくて、いろんな要素があって、僕はやるのも見てるのも楽しかったです。

─僕は去年主催の(佐藤)恭さんに取材をさせてもらったんですけど、恭さんはもともと「ARABAKI」に携わってた方で。カナダに留学経験があって、「ARABAKI」に初めて海外アーティストをブッキングしたのがDO MAKE SAY THINKだったっていう。


青木:それから何年か経って、また来日してくれたと。それもいい話ですね。

─そもそも「HELLO INDIE」は仙台や東北にインディ/オルタナ系のアーティストがなかなか来にくい状況だからこそ、そういったバンドが一堂に会する場を作っているわけですが、downyも仙台でのライブは21年ぶりだったそうですね。


青木:自分たちの感覚だと「埋められないから行かない」ってだけだと思うんですけどね。呼んでもらえたらやっぱり行きやすいし、行きたい街ではありますしね。でもそんなに行ってなかったのか。休止前の2004年に行ってて、そのときは(仙台CLUB)JUNK BOXでやりました。あそこもいい箱でしたよね。

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─マウスは最近だといつ仙台でライブをしましたか?


川﨑:自分がサポートしてる明星/Akeboshiさんで、「ARABAKI」とか「HELLO INDIE」にもお呼びいただいて、ライブはしてるんですけど、マウスではしばらくやってないですね。ある時期から東北に行きづらくなったっていうか、やっぱり集客が厳しいみたいなのはありました。

青木:東北に行くついでに北海道に行ければ考えるかもしれないけど、結局北海道に行くのに飛行機に乗らなきゃいけないから、そう考えるとちょっとね。

川﨑:今だとツアーをするにしても名阪ぐらいまでになっちゃってて。だから福岡とかもあんまり行かなくなっちゃいましたね。

─ではやはり「HELLO INDIE」のような機会は貴重だと。


青木:貴重ですね。こういうイベントをいろんな場所でやってくれたらめちゃくちゃいいなと思うんですけど。

─ちなみに沖縄のバンドシーンはいかがですか?


青木:沖縄は、バンド自体は活発ですし、ハードコアとかヒップホップも盛んなんですけど、こと集客になると、もう一言で言うとミーハーなものしか入らないイメージかな。自分たちの中ではメジャーな方が来ても、「この人たちで入らないんだ」と思うようなことが起きるから、やっぱり沖縄でやるのは大変なんだなと思いますね。

─10~20年前と比べるとどうでしょう?


青木:昔はdownyで企画をやってたんですよ。「或る日の暁」っていう、スペシャが一緒になって、番組にもなって。3年連続とかでやってたんじゃないかな。それは言っても600人ぐらいの規模感でしたけど、地元にかっこいいバンドを呼びたいなっていうことで、ある年は54-71とNUMBER GIRLとdownyと、あと地元のバンド3つとかでやりました。ただ来てくれるバンドには申し訳ないけど、どうやっても値段が合わないから、途中まで車で来て、九州のどっかから飛行機に乗ってきてくれ、みたいな感じでしたね。

─先ほど話に出たがらまんホールにマウスが出たのは2017年。それ以外でも近年沖縄でライブをやられていますか?


川﨑:昔桜坂セントラルでやったことがあって、そのときは結構なバンドが出るイベントで。桜坂セントラル自体は、キャパはそんなに大きくないけど。

青木:350人ぐらいかな。桜坂セントラルは僕らも去年行きました。若い子が頑張って呼んでくれるんで。

─「HELLO INDIE」はPay What You Can=投げ銭制を採用していて、若い子でも遊びに行きやすいようになっていることが大きな特徴です。


川﨑:それこそ金子さんが恭さんにインタビューされた記事を読んで、恭さんに連絡をしたんですよ。明星/Akeboshiさんのライブに恭さんが来られてたんですけど、あまり喋れなかったので、改めて連絡をして、記事も読みましたって話をして、何か一緒にできたらいいですねっていうことで、今回の出演に繋がったんです。投げ銭のあの方法も、恭さんがカナダに行ってるときに、現地では当たり前にやってたんですよね。

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─インディのバンドシーンもそうだし、美術館や博物館もそういうスタイルで、文化として根付いてたのを実際に見てきたのが大きかったそうですね。


川﨑:それこそバンドとかに興味がある若い子が来やすいのはすごくいいことですよね。採算が難しいとか、足代かかるよねとか、ライブをするにはいろんな問題があるわけですけど、自分たちのことを言うと、コロナが明けてからいろいろあって、しばらくライブを抑えてたんです。でも去年はヨーロッパに8年ぶりに行ったんですよ。で、忘れられてるかなと思ったら、もうウェルカムというか、お客さんもいっぱい入って、「ピアノ系ポストロックのレジェンド」みたいな感じで言われて。

青木:まあでも実際そうだよね。

川﨑:お客さんからも「ファーストアルバムは名盤だ」「あの曲やってくれ」とか言われて、これはライブをいっぱいやった方がいいなと単純に思ったんです。で、去年は国内でもいくつかライブをやって楽しかったし、やっぱりライブハウスで育ったから、若い人たちもそこの道が開けるといいかなっていうふうには思って。それで恭さんの話も聞いて、投げ銭はいいなと。

─toeやLITEもコロナ明けでひさびさに海外に行ったら熱烈な歓迎を受けたと聞きました。


川﨑:海外での盛り上がりは「今のうちだよな」って毎回言ってたんですけど、 うちら今年20周年で、今でもそんなに衰えてない感じがあるし、好きでいてくれる人は結構ずっといて、それはすごくありがたい。downyもアメリカに行かれるそうで。

青木:今の時点では行く設定になってますけど、ちゃんとビザが下りるかわからなくて焦ってます(後日、無事にビザを取得できたそうです)。ただやっぱりスケジュールを発表したら「ありがとう!」っていうメールもすごい来るし、チケットもすごい動いてくれてるみたいで、海外に行くと、とにかくそれが嬉しいよね。去年中国に行ったときも、気持ちを率直にぶつけてくれるから、楽しいし、また行こうって思うし。

川﨑:この前のアルバムで一緒にコラボしたロレイン・ジェイムスもdownyをいいって言ってた。やっぱり海外の人も日本のバンドに注目してると思うから、さっきのビザもそうですけど、もうちょっと行きやすくなるといいですよね。

青木:あとは円安がね。円安もちょっとまた足を遠のけるよね。

─そういう中で、去年は海外のバンドを呼んで、投げ銭で開催する「HELLO INDIE」はやっぱりすごいですよね。


青木:そうですね。さっきもちょっと話に出たけど、若い子がライブハウスから足が離れてるっていうわけじゃないですか。だったらお金をいっぱい払える世代に払ってもらって、若い子は100円でも500円でもいいから見てほしい。足を運ぶところからしか始まらないっていう意味では、結構フィットした設定なのかもしれないですね。採算が見えないから、シンプルに勇気がいることだなとは思いますけど、それで見てくれる分母が増えるんだったら、それはぜひ続けてほしい。このイベントが20年後も続いてれば、今年500円で入った若い子が、1万円払うようになるかもしれない。そういうふうになっていくといいですよね。

バンドって面白い生き物だよね、本当に(青木)

─仙台での「HELLO INDIE 2026」の翌日に、「HELLO INDIE 2026-TOKYO-」としてZepp Shinjukuでツーマンが開催されます。音楽的にも、映像を使った演出という意味でも、共通点の多い両者だと思うので、非常に楽しみなツーマンですね。


川﨑:ライブだと映像はパッドと連動してる感じなんですか?

青木:うん、うちは同期がないから、ずっと手押しで、バンドが走れば一緒に走っていくし、みたいな。あと会場のサイズですぐにやり方を変えられるようにはしてもらってて。リハでサッと確認して、サイズがちっちゃかったら、天井に当てて照明っぽく見せちゃうとか、いろんな選択をすぐできるようにはしてます。どの会場にもそれぞれの良さがあって、お客さんの後頭部に映るのがよく見えるような形のときもあるし、そこは臨機応変にやってる感じですね。ただ最近みんな老眼が始まってて(笑)。今まで照明は一切なしで、プロジェクターの光だけでやるスタイルでずっとやってきてて。それは僕が人前で歌うのが恥ずかしいからっていうのもあるんだけど。

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─その感覚は昔から変わらずある?


青木:未だに全然ある。だから照明でバーっと照らされたくなくて、映像を使えば下を向いてていいし、お客さんを向いてなくてもいいし、みたいな理由でずっとやってたんだけど、だんだん(目が)見えなくなってきてるから、薄ら光が手元にもらえるようにしてみたり、あの手この手で考えてて。 特に黒い光がやばいんですよ。黒ってただ真っ暗なんじゃなくて、プロジェクターから黒い光が出てるんです。その黒の光が一番やばくて、「俺今本当に3フレ見てるの?」みたいになる。あと秋山(タカヒコ)くんはストロボ的な映像がやばいって言ってた。特に変拍子のとき。

─ああ、映像が光るリズムと曲の拍子がずれちゃうわけですね。


青木:そういうのはもう頑張ってやるだけなんだけど。やっぱり年とともにいろいろ考えなきゃなっていうのは思いますね。

─マウスは近年ライブのやり方が変わってきてたりしますか?


川﨑:うちらの場合はリアルタイムでVJが操作しつつ、曲によってプロジェクションだけや照明だけにしたり、セットリスト全体の流れで演出してる感じです。最近の曲調が過去のとちょっと変わってきつつあるので、映像の変化もある感じですね。

─映像に関しても川﨑さんの意向が強く反映されているのでしょうか?


川﨑:VJのrokapenisくんとは、長年やってるので、方向性は大体伝わってるから、新曲ができた場合、何かアイデアをもらって、それを揉んでいくみたいな感じですけど、基本的にはできる限りお任せでやってます。初期は自分で作ってたんですけど、あまりにも作業量が多くなり過ぎるので、分担ができるようになってきた感じですね。

─ちなみに、最近だとAIで誰でも映像が作れるようになってきてますよね。


青木:でもAI警察もいますよね。僕は割と使い方次第だと思ってて、トラックメイキングにおけるグリッヂの使い方に近いのかなと思うんです。わざと変なもん作らせて、それを集めて映像にしたり、「グリッヂじゃん」と思ってるんだけど。でもいちいち「この鳥は AIだろ」みたいに言ってくる人がいて、印象としては、日本より海外の人の方がそういうメッセージを書き込む人が多いかな。

─海外はクリエイティブにAIを使うことに対するハードルがかなり高いみたいですね。


川﨑:前作のMVをシカゴのAI映像作家フランク・マンザーノにお願いしたんですけど、公開したら海外から「AI使ってんじゃねえ」って書き込まれて。

青木:やっぱあるんだね。使い方次第な気がするんだけど。

─いろんな理由があるみたいですよね。クリエイティブを自分でやれっていうのもそうだし、電力消費が大きいみたいな話だったり、もっと社会的な意味で、 AIを使うことによって職が奪われていくみたいなこととか、海外ではいろんなレイヤーでよりハードルが高い印象です。


青木:クリエイティブ面で言うと、撮るより大変だったりもするんだけどなって思う。鳥なんか撮った方が絶対早いのに、変な鳥を作るのに何ヶ月もかけたりするから、意外と大変なんだけどな、とも思うけど。

川﨑:まあ、今はちょっと様子見って感じですね。プロンプトで投げたものをそのままリリースするとかっていうわけじゃないと思うし、使う人が使えば新しいものができる可能性はある気はするので。この発言もね、警察に何か言われるかもだけど(笑)。

─マウスは今年が20周年で、新作のリリースも予定されているそうですが、改めて、どんな方向性になりそうですか?


川﨑:2024年にリリースした『midnight』は、ドラムがそもそもないとか、ロレイン・ジェイムスと作ったりとか、アンビエント寄りなものになってて。もともとテクノのミニマルな感じとか、アンビエントなものをどうにかできないかと思ってたんですけど、mouse on the keysは、自分のドラムがキャラクターになってて、そこを外さないとアンビエントな曲にならないと。で、ごっそり抜いたりしたのが前回のアルバムだったんですけど、ヨーロッパツアーに行ったりしたときに、やっぱりライブいいよねっていう反応が多くて、今は改めてライブ感を意識してます。あとは新メンバーの白枝(匠充)くんがライブで、過去曲をアレンジしたり、即興演奏をするんですけど、それがすごくいいので、彼のその良さをもっと存分に出して作品を作りたいなと。

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─じゃあ新作ではしっかりドラムを叩いてるわけですね。


川﨑:そうですね。ただ今回ドラムは、シンプルにはしてて。もうちょっとピアノやシンセの音の積み重ね方を大事にして、より自覚的にキーの曖昧さにフォーカスしてます。ピアノが主役だから意外と気持ちよく聴こえちゃうけど、仕込んでるところはちょっと変っていう。

─分析的に聴くと、おかしなことになってる。


川﨑:そうですね。白枝くんのお陰で面白い領域に突入できましたね。反面、そのジャンルの専門の人からすると突破できない難しさもあるなとも感じた。整合性がありながら、違和感をどれだけ入れられるかのせめぎ合いがある。レコーディング中も「ここをなんとかしたい」って言っても止まっちゃったりする場面があって。ロビンくんと秋山さんじゃないけど、自分も白枝くんといろいろ話はしてますね。すごくうまいし、マウスの新しいスタイルとして彼が入ったのは大きいんですけど、もっとできるんじゃないかって。そういう意味では、これからもっと進化する気はしてます。新作を出す前からこんな話をするのもあれですけど。

─今まさに作ってる最中なんですか?


川﨑:もう録音は終わってます。今回エンジニアがtoeの美濃(隆章)くんで、僕らの20周年のタイミングで、十数年ぶりにお願いしたんですけど。

─もともとマウスはtoeのレーベルのMachupicchuからリリースしてたわけですもんね。downyの去年のアルバムもミックスが美濃さんでしたし、長く続けてきた人たちが、ここに来てまた一緒になってくる感じもいいですね。


川﨑:それこそtoeの25周年の両国のライブでも入口でロビンくんと会って、そのときも「ライブ一緒にやろうよ」って話してた(笑)。

─downyでいうと、去年のアルバムが出たときのSENSAのインタビューも読ませてもらって、「このアルバムが最後になってもいい」ぐらいの気持ちで作ったという話をされていて。そこからアルバムのツアーがあったり、1年半ぐらい経過してると思うんですけど、今はネクストが見えてきてるのか、今のdownyはどんな状態ですか?


青木:厳密に言うと、「これで最後でもいい」というよりも、本当にそれも見据えてというか、メンバーが1人亡くなって、1人は病気でやれなくなって、次は自分かもしれない。おそらく僕が病気とかになったらもうdownyはやらなくなるだろうし、そういうのも見据えていかないとなっていう感じだったんです。(青木)裕さんが亡くなって、ギターを入れずにライブを続けて、でも去年のアルバムは(若命)優仁に入ってもらって、ライブもサポートしてもらって、一緒にツアーも回って、ギターがあるライブをひさしぶりにやったらやっぱり良くて。もちろんサンプラーの音もいいんだけど、中の音の厚みが全然違うから、それが外に出てるのも感じ取れるし、さっきのマウスの話と同じで、またライブが楽しくなってきて、本数増やそうぜってなって。そうするとやっぱり、じゃあ新曲作ろうかってなって、今はまた新しいアイデアを仕込んでます。

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─両バンドとも長く続けてると当然メンバーの変遷も起きてくるけど、それによってまたバンドがリフレッシュされたりもするわけですよね。


青木:メンバーが変わったり、人数が変わったりすると、ちょっとずつ生態が変わるというか、 何かがちょっと変わるから、だんだんそれを馴染ませて、体にフィットさせて、その中で起きる化学反応をまたピックアップしていくっていう感じだと思うんだけど。バンドって面白い生き物だよね、本当に。

─サンプラーじゃなくて、改めてギターをフィーチャーしたり、一旦ドラムを抜いてたけど、もう一回ちゃんとドラムを入れたり、「HELLO INDIE」ではどちらもバンドらしい、肉体的なライブが見れそうですね。


川﨑:2024年にEX THEATERでやった『midnight』のリリースイベントでは、映像から照明を含めた全体がインスタレーションのような内容でしたけど、新作や最近のライブは、昨年の経験を経て、ライブ感のあるものになってる。「HELLO INDIE」では、ヨーロッパツアーや国内ライブを経た、最新のアグレッシヴなライブセットをお見せできると思います。

取材・文:金子厚武
撮影:Yoshiaki Miura

LIVE INFORMATION

HELLO INDIE 2026 -SENDAI-
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2026年9月5日(土)
OPEN 12:30 / START 13:00
宮城・仙台PIT
Live:She Her Her Hers / spike shoes / downy / 環ROY / mouse on the keys / LITE

HELLO INDIE 2026 -TOKYO-
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2026年9月6日(日)
OPEN 16:30 / START 17:00
東京 Zepp Shinjuku
Live: downy / mouse on the keys

情けの首 with SYNCHRONICITY
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2026年12月2日(水)
東京 WWW X
OPEN 18:00 / START 19:00

【出演アーティスト】
downy / The Novembers

【チケット詳細】
チケット販売URL(チケットぴあ):
https://w.pia.jp/t/downy-thenovembers/

先行チケット販売期間《抽選》:8/29(土) 10:00〜9/6(日) 23:59
チケット一般販売《先着》:9/12(土) 10:00〜

チケット料金(各ドリンク別):
前売チケット:¥5,800
U25チケット(枚数限定):¥3,800
※各ドリンク別

【お問い合わせ】
info@synchronicity.tv

【企画・制作】
downy / The Novembers / SYNCHRONICITY

【主催】
downy / The Novembers / SYNCHRONICITY

20th Anniversary & New EP "衝動の肖像 Portrait of Impulse" Release Live

2026年11月5日(木)
OPEN 18:00 / START 19:00
東京 Spotify O-EAST

出演:mouse on the keys
w/ Special Guest Act 

チケット詳細はこちら

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HELLO INDIE 2026オフィシャルサイト

downy
downy オフィシャルサイト
@downy_official
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mouse on the keys
mouse on the keysオフィシャルサイト
@mouseonthekeys
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