2024.04.26
音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。Vol.201は京都で結成されたロックバンド・ベランダを取り上げる。
このたび、6年ぶりのアルバムとなる『Spirit』をリリース。親しみやすく秀逸なメロディとアグレッシブなギター・サウンドが響き渡る一枚。日常の中で感じる漠然とした不安の対峙が描かれた歌詞も、はじまりの季節に背中を押してくれる。
それから、高校でBUMP OF CHICKEN、ASIAN KUNG-FU GENERATION、ELLEGARDEN、RADWIMPSなど流行りのロックバンドを熱心に追いかけたり、19歳のときにハヌマーンに傾倒したりするなかで、"音楽に感動して涙する"経験をたくさんしました。
思春期をこじらせたことが災いして感受性にリミッターがかかっているような感覚が長くありましたが、そういった得難い音楽体験のおかげでいつしか我に返ることができました。
それは音楽を作る側になった自分を、今も衝き動かしているものでもあります。
ちょうどバンド活動が停滞していて、なにかしなくちゃ、どうにかしなくちゃと思いはするけれど、生活に忙殺されてどうにもできない日々を送っていたある日、遣る瀬のないジメジメとした感情を自分の言葉で詞に書くことができました。
"やるせない気持ち"と一口に言ってしまえば変哲もないですが、実際は、今にも何かが溢れそうで居ても立っても居られない、というくらいに強い気持ちを抱えていたのだと思います。そういう曲が産まれるときはいつも無我夢中になっているのでどのくらい時間を要したか定かではありませんが、ほとんど同時に歌と構成も完成した覚えがあります。
仮タイトルは「アルバム一曲目」でした。デモ音源を聴きながら何度も泣いたり、大勢の人たちの前で演奏する未来を想像して震えたりもしました。振り返ってみるとこの曲が出来たことが結果的にも、バンドが再び熱を帯びてアルバム制作へ動き出すためのターニングポイントでした。
アルバムのレコーディングが佳境に差し掛かった頃、個性豊かな11曲すべてを包括できる言葉を探しているうち、"spirit"という単語に辿り着きました。spiritとは「魂・生命力・生気・気迫」など、生命体に宿る精神や心のことをいうらしいです。まさしく僕の魂、生命力そのものみたいな曲です。もしこの曲に涙してくれる人がいたら、とりあえずありがとうと言わせてください。
海外ではSpeedrunと呼ばれているRTAですが、規模の大小はあれど国内外で日夜イベントが開催されています。中でも『RTA in Japan』は毎年お盆と年末にある大きなイベントで、実況解説もあるので何も知らなくても楽しめると思います。あのお祭り感がたまらなく良いんですよね。
通常プレイでは触れることのない様々なグリッチ(バグ)を自在に操ってクリアまで駆け抜ける様は爽快かつ愉快で、見るだけでももちろん楽しいのですが、せっかくなら自分も走者のひとりになってみたいとぼんやり思っています。
音楽に関することでいうと、『Spirit』をリリースするにあたり身近で明確な目標がひとつありますが、まだ秘密にさせてください。あと仕事は辞めたいです。
そのなかでも『ブレス オブ ザ ワイルド』という作品は、ストーリーや目的の明快さとは裏腹にとてつもなく度量の大きいゲームで、ここ数年で改めて虜になりました。
こうしてみたい!というプレイヤーの本能的な欲求にしっかり追従してくれる操作感、リアルとデフォルメを絶妙に一体化させたグラフィック、登場人物の言葉づかい、映像に則した音楽、 SEの耳馴染みの良さ、どれをとっても一流なのに嫌らしさがなく、知性の上に成り立つ普遍性をもって作られているのだろうなぁと、一ファンながら想像しています。ちなみに、通常プレイが最高に楽しいというのは前提としてグリッチもまた学問のごとく奥深いので、もし興味のある人がいたらこの地平に引きずり出したいです。『ブレワイ』のことなら何でも教えます。
何も考えず楽しく遊ぶことも出来るうえに、プレイヤーのポテンシャルに応じて遊びの余地がどんどん広がるような懐の深さは、音楽活動に置き換えても学ぶべきことがたくさんあるので、ゲームと音楽は自分にとってこれからも大切な二枚看板であると思います。
当面は、『ゼルダ』の新作とNintendo Switchの後継機の発売が待ち遠しいです。お金持ちになったら任天堂の株主総会に出てみたい。
ベランダ『Spirit』
2024年4月17日(水)
試聴はこちら
タワーレコード渋谷店
13:00~
ミニライブ+サイン会
2024年6月1日(土)
タワーレコード梅田NU茶屋町店
14:00~
ミニライブ+サイン会
2024年6月2日(日)
FLAKE RECORDS
12:00~
ミニライブ+サイン会
愛知・名古屋 KDハポン
w/幽体コミュニケーションズ
2024年6月22日(土)
京都・二条 GROWLY
w/bed
2024年7月7日(日)
東京・下北沢 THREE
w/pavilion
ベランダ
メンバーは髙島颯心(Soshi Takashima・ Vocal/Guitar)、中野鈴子(Suzuko Nakano・Bass/Chorus)、田澤守 (Mamoru Tazawa・Guitar/Chorus)。
京都で結成されたロックバンド。立命館大学のアコギサークルへ入部した髙島が、和音とメロディの関係性の妙に魅了され、ギターを手にして一か月で作曲を始める。
金沢健央 (Dr) と結成した前身バンド『ほいほい』の他メンバー脱退による解散を機に、2014年4月、ベランダとして活動を開始。
2014年5月、ライブで共演したバンドのギタリストであった中野がベランダの曲に感銘を受け、後にベーシストとして加入を希望、2015年7月に正式メンバーとなる。
2016年4月、金沢が大学の後輩であった田澤に声をかけ6代目サポートギターとなる。メンバーの心をつかみ、変動のあったサポートがこれで一旦定着する。
2016年7月、『RO69JACK 2016 for ROCK IN JAPAN FESTIVAL』 入賞。
2019年、拠点を東京都に移し、田澤が正式に加入。
2021年6月に金沢が脱退し現体制となる。
情緒的なコード進行に乗る繊細で倍音豊かな歌声、エッジィなギターと悠然としたベースプレイは、親しみやすくエヴァーグリーンな楽曲に滋味深さを加えている。
ライブではサポートドラムに若松祥太郎(5kai)を迎え、音源とは一味違った有機的かつ躍動感のあるパフォーマンスで観る者を惹きつける。
@verandah_band
@channelverandahofficial4901
FRIENDSHIP.
このたび、6年ぶりのアルバムとなる『Spirit』をリリース。親しみやすく秀逸なメロディとアグレッシブなギター・サウンドが響き渡る一枚。日常の中で感じる漠然とした不安の対峙が描かれた歌詞も、はじまりの季節に背中を押してくれる。
活動を始めたきっかけ
髙島颯心(Vo/G):メンバーの脱退を機に前身バンド『ほいほい』を解散することになったのですが、2014年、当時のドラムだった金沢健央に「つづけようぜ」と言われたのが事の発端です。他にも、livehouse nano店長の土龍さんに「お前の書く曲は良いからどんな形であれ続けろ」という旨の激励をもらったり、いろんな人に背中を押されて(あるいは唆されて)、半ばなし崩し的に始まったように思います。バンド名を決めようと何となく歌詞サイトを眺めていたときに見つけた「ベランダ」という言葉がなかなかしっくり来たので、深く考えずそのまま採用しました。影響を受けたアーティスト
髙島:幼少期はMr.Children、松任谷由美、aiko、サザンオールスターズなど日本のポップスをただ受動的に聴いていましたが、中学生の頃に友人の勧めでUVERworldと出会い、ロックというジャンルやギターという楽器を初めて認識したことから、音楽を掘り下げて聴く楽しみを覚えました。「音楽が好き」と公言するようになったのもその頃です。それから、高校でBUMP OF CHICKEN、ASIAN KUNG-FU GENERATION、ELLEGARDEN、RADWIMPSなど流行りのロックバンドを熱心に追いかけたり、19歳のときにハヌマーンに傾倒したりするなかで、"音楽に感動して涙する"経験をたくさんしました。
思春期をこじらせたことが災いして感受性にリミッターがかかっているような感覚が長くありましたが、そういった得難い音楽体験のおかげでいつしか我に返ることができました。
それは音楽を作る側になった自分を、今も衝き動かしているものでもあります。
注目してほしい、自分の関わった作品
髙島:3rd Album『Spirit』の1曲目、アルバムの名を冠する「スピリット」という曲について。ちょうどバンド活動が停滞していて、なにかしなくちゃ、どうにかしなくちゃと思いはするけれど、生活に忙殺されてどうにもできない日々を送っていたある日、遣る瀬のないジメジメとした感情を自分の言葉で詞に書くことができました。
"やるせない気持ち"と一口に言ってしまえば変哲もないですが、実際は、今にも何かが溢れそうで居ても立っても居られない、というくらいに強い気持ちを抱えていたのだと思います。そういう曲が産まれるときはいつも無我夢中になっているのでどのくらい時間を要したか定かではありませんが、ほとんど同時に歌と構成も完成した覚えがあります。
仮タイトルは「アルバム一曲目」でした。デモ音源を聴きながら何度も泣いたり、大勢の人たちの前で演奏する未来を想像して震えたりもしました。振り返ってみるとこの曲が出来たことが結果的にも、バンドが再び熱を帯びてアルバム制作へ動き出すためのターニングポイントでした。
アルバムのレコーディングが佳境に差し掛かった頃、個性豊かな11曲すべてを包括できる言葉を探しているうち、"spirit"という単語に辿り着きました。spiritとは「魂・生命力・生気・気迫」など、生命体に宿る精神や心のことをいうらしいです。まさしく僕の魂、生命力そのものみたいな曲です。もしこの曲に涙してくれる人がいたら、とりあえずありがとうと言わせてください。
今後挑戦してみたいこと
髙島:突拍子もなくてすみませんが、ゲームの最速クリアを狙う競技であるRTA(リアルタイムアタック)に挑戦してみたいです。お茶の間の知名度こそ高くないかもしれませんが近年着実に盛り上がりを見せているゲームのプレイスタイルの一つです。海外ではSpeedrunと呼ばれているRTAですが、規模の大小はあれど国内外で日夜イベントが開催されています。中でも『RTA in Japan』は毎年お盆と年末にある大きなイベントで、実況解説もあるので何も知らなくても楽しめると思います。あのお祭り感がたまらなく良いんですよね。
通常プレイでは触れることのない様々なグリッチ(バグ)を自在に操ってクリアまで駆け抜ける様は爽快かつ愉快で、見るだけでももちろん楽しいのですが、せっかくなら自分も走者のひとりになってみたいとぼんやり思っています。
音楽に関することでいうと、『Spirit』をリリースするにあたり身近で明確な目標がひとつありますが、まだ秘密にさせてください。あと仕事は辞めたいです。
カルチャーについて
触れてきたカルチャー
髙島:漫画とゲームは昔から好きでした。部屋の棚
今注目しているカルチャー
髙島:最近は特にゲームに没頭しています。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』にドハマりしたことがきっかけで、ゲームが好きでたまらないということに気が付きました。音楽なら邦ロック、漫画なら週刊少年ジャンプ、と多分に漏れず王道を好んで享受してきた自分ですが、ゲームならやはり任天堂が一番です。そのなかでも『ブレス オブ ザ ワイルド』という作品は、ストーリーや目的の明快さとは裏腹にとてつもなく度量の大きいゲームで、ここ数年で改めて虜になりました。
こうしてみたい!というプレイヤーの本能的な欲求にしっかり追従してくれる操作感、リアルとデフォルメを絶妙に一体化させたグラフィック、登場人物の言葉づかい、映像に則した音楽、 SEの耳馴染みの良さ、どれをとっても一流なのに嫌らしさがなく、知性の上に成り立つ普遍性をもって作られているのだろうなぁと、一ファンながら想像しています。ちなみに、通常プレイが最高に楽しいというのは前提としてグリッチもまた学問のごとく奥深いので、もし興味のある人がいたらこの地平に引きずり出したいです。『ブレワイ』のことなら何でも教えます。
何も考えず楽しく遊ぶことも出来るうえに、プレイヤーのポテンシャルに応じて遊びの余地がどんどん広がるような懐の深さは、音楽活動に置き換えても学ぶべきことがたくさんあるので、ゲームと音楽は自分にとってこれからも大切な二枚看板であると思います。
当面は、『ゼルダ』の新作とNintendo Switchの後継機の発売が待ち遠しいです。お金持ちになったら任天堂の株主総会に出てみたい。
RELEASE INFORMATION
ベランダ『Spirit』
2024年4月17日(水)
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
インストアライブ
2024年5月25日(土)タワーレコード渋谷店
13:00~
ミニライブ+サイン会
2024年6月1日(土)
タワーレコード梅田NU茶屋町店
14:00~
ミニライブ+サイン会
2024年6月2日(日)
FLAKE RECORDS
12:00~
ミニライブ+サイン会
ベランダpresents "Spirit" Release Tour「夜明け生まれの人たち vol.5」
2024年6月21日(金)愛知・名古屋 KDハポン
w/幽体コミュニケーションズ
2024年6月22日(土)
京都・二条 GROWLY
w/bed
2024年7月7日(日)
東京・下北沢 THREE
w/pavilion
PROFILE
ベランダ
メンバーは髙島颯心(Soshi Takashima・ Vocal/Guitar)、中野鈴子(Suzuko Nakano・Bass/Chorus)、田澤守 (Mamoru Tazawa・Guitar/Chorus)。
京都で結成されたロックバンド。立命館大学のアコギサークルへ入部した髙島が、和音とメロディの関係性の妙に魅了され、ギターを手にして一か月で作曲を始める。
金沢健央 (Dr) と結成した前身バンド『ほいほい』の他メンバー脱退による解散を機に、2014年4月、ベランダとして活動を開始。
2014年5月、ライブで共演したバンドのギタリストであった中野がベランダの曲に感銘を受け、後にベーシストとして加入を希望、2015年7月に正式メンバーとなる。
2016年4月、金沢が大学の後輩であった田澤に声をかけ6代目サポートギターとなる。メンバーの心をつかみ、変動のあったサポートがこれで一旦定着する。
2016年7月、『RO69JACK 2016 for ROCK IN JAPAN FESTIVAL』 入賞。
2019年、拠点を東京都に移し、田澤が正式に加入。
2021年6月に金沢が脱退し現体制となる。
情緒的なコード進行に乗る繊細で倍音豊かな歌声、エッジィなギターと悠然としたベースプレイは、親しみやすくエヴァーグリーンな楽曲に滋味深さを加えている。
ライブではサポートドラムに若松祥太郎(5kai)を迎え、音源とは一味違った有機的かつ躍動感のあるパフォーマンスで観る者を惹きつける。
LINK
@verandah@verandah_band
@channelverandahofficial4901
FRIENDSHIP.