2024.01.23
2024年1月には東京、大阪、福岡を回るツアー『We are Jane Jade〜nice to meet tour〜』を控えているふたりに、Jane Jade結成の経緯や楽曲制作の裏側についてじっくりと話を聞いた。
うちに一番多く泊まってるのはさくらちゃんかもしれない(優河)
─おふたりの交流は、藤原さんがご自身のラジオ番組『HERE COMES THE MOON』で優河さんの楽曲をかけたのがきっかけだったそうですね。
藤原さくら:はい。「夏の窓」という曲を、「私にとって、この夏のテーマソングはこれです」みたいな感じで紹介しました。
優河さんのことは、私もレコーディングやライブのサポートをお願いしたことのある神谷洵平さんや、以前から「素敵な音楽を作っている人だな」と思っていた岡田拓郎さんが魔法バンド(優河のパーマネントバンド)のメンバーだったりして、ずいぶん前から存在は知っていました。
─どんな印象でしたか?
藤原:最初はもう、神聖なイメージがありましたね。透明感のある歌声で、聴いていると自分の心が浄化されるような感じがあって......ただただ一方的にファンだったから、こうやって一緒に曲を作ることになるなんて思ってなかったし、こんな変な人だとも思ってなかった。
優河:あははは!
藤原:なんか、すごくファニーな人なんですよ。出てくるワードとかいちいち変だし面白い。会う前のイメージと、いい意味でギャップがあって。
─優河さんは、藤原さんのことをどんなタイミングで知ったのですか?
優河:最初は(藤原がヒロインを務めた2016年の)ドラマ『ラヴソング』でした。そのあと、池上本門寺のフェス(『Slow LIVE '17』)でたまたま同じ日があったんです。その時に食堂で見かけたのですが、「テレビに出てる方だ」と思って話しかけられなかったんです。でもその後、実際にライブを観て「すごいなあ」って。歌もギターも素敵だなと思ったのが最初の印象でした。それで、さくらちゃんが私の曲を流してくれた前日に、ちょうど「mother」のミュージックビデオをじっくり観てたんです。
普段海外のアーティストのPVを観ることのほうが多いのすが、その日はたまたま「mother」が目に入って、聴き入ってしまいました。さくらちゃんの声、言葉の終わらせ方がとっても綺麗だなと思って。そしたら次の日に私の夫(フォトグラファーの廣田達也)が「かけてくれたみたいだよ」と教えてくれて。とてもタイムリーだったので思わず連絡したんです。
藤原:「私もちょうど聴いてたんです」とメッセージを送ってくれて。そこから「お茶でもしましょうよ」という話になり、代々木で会ったのが初対面でした。そこから少しずつ仲良くなっていって、キャンプの番組(キャンプ型音楽メディア『WildStock』)で一緒に歌ったりしゃべったり、「藤原さくら×優河」名義でフェス(『麦ノ秋音楽祭2023』)に出たり、ラジオにお呼びしたりしているうちに、すごく仲良くなっていました。
優河:うちに一番多く泊まってるのはさくらちゃんかもしれない(笑)。
藤原:優河さんのおうちに行くと、気づいたら終電がなくなっていることが多いんですよ。
優河:あっという間に時間が経っちゃうんだよね。「あれ?もう電車がなくなる時間?」って(笑)。
─どんな話をするんですか?
藤原:もちろん音楽の話もしますし、優河さんのうちで飲むとなると廣田さんも加わることが多いから、ふたりのことをタロットで占ったりして(笑)。結局、Jane Jadeという名前もタロットで決めましたからね。
─(笑)。仲良くなってみて、藤原さんはどんな印象ですか?
優河:意志の強さをすごく感じます。決めたことに対して迷いがない。それに、全てのことに対して好奇心が旺盛な人。あと考え方が全部少し変わっているというか、面白い。
藤原:あははは。
優河:すべてのことを、ちょっと俯瞰で見ているところがあるのかな。俯瞰で見ているからこそ発した言葉にユーモアがまとっていて。
─藤原さんはデビュー時から取材をさせていただいているのですが、「動じない人だな」と思うことがあります。
優河:うん、動じない。カッコいい。ちゃんと自信を持って行動している、ように見える。
藤原:あら(笑)、嬉しいです。
優河:でも、そうでしょ?
藤原:どうだろう(笑)。自分がやりたいと思っていることをやるのがいちばん大事だといつも思っていて。それが自信につながっているのかもしれないですね。例えば優河さんと一緒にやるのも。「この人とだったら絶対にいいものができる」という自信のもとに音楽を作っているから、だからそんなふうに見てもらえるのかなと。
私の声を、さくらちゃんの声が包み込んで......お布団みたいだなって(優河)
─Jane Jadeというユニット名の由来は?
藤原:最初、Robert Joy(ロベルト・ジョイ)って名前だったんだよね?(笑)ギリギリまでそれで進めてたんですけど、タロットの結果が最悪だったのと(笑)、なんかね......ちょっと男性の名前っぽ過ぎないかなって。無骨な感じがあるし。
優河:Jane Jadeは、どこかからの帰りの空港で名前のことを考えていた時に、マネージャーさんから「ふたりがもし英語の名前だったら『ジェーン』って感じがします」と言われて。「へえ!ジェーンか。いいな」と。でも「ジェーン」だけだと検索にも引っかかりにくいし。で、以前から好きな石が「翡翠(ジェイド)」で、自分が英語名だったら「ジェイド」がいいなと思っていたので、じゃあそのふたつをくっつけてみようと。Robert Joyは、レーベル名にしたんですよ。
藤原:捨てきれなかったんだよね(笑)。Robert JoyからデビューしたJane Jadeです。
─おふたりのアーティスト写真もとても素敵でした。
優河:撮影は、夫の廣田にお願いしました。私とさくらちゃんとうちでご飯食べたりするときは大体一緒にいたので、私たちの雰囲気を一番近くで知ってる人かなと思って。
藤原:本当に3人だけで行ったんだよね。朝イチの光を撮ろうということになり、前日の夜に優河さんの家にお泊まりして。朝イチなんてめっちゃ寒いのに、何も考えず下北沢で購入したスケスケで網々の衣装を着て行きました(笑)。
優河:寒さで指とか全部取れるかと思った。
─(笑)。ちなみに、Jane Jadeを結成するにあたって参考にしたアーティストはいましたか?
藤原:優河さんの家で色々流していて、「こんな感じいいよね」みたいな話はしました。マイ・ブッバというスウェーデンとアイスランドのデュオも好きな感じでしたね。
先日、ふたりで1週間くらいニュージーランドを旅行したんですけど、その時にクルマの中でお互いの好きな曲を流し合ったりもしました。キャロル・キングやジュディ・シルなんかは、私も優河さんも10代の頃とかに聴き込んでいたから、今回Jane Jade名義で作った「moonlight」と「季節の音」にも、そういう懐かしい雰囲気は入っていると思います。
─公式コメントによれば「moonlight」は、優河さんが普段弾かないウクレレを弾きながら、普段使わない英語で書いた曲だそうですね。
優河:はい。この曲は、去年リリースしたアルバム『言葉のない夜に』のレコーディング中にできました。ただ、アルバムに入れるのはどうかな?と思って取っておいたんです。そのあとさくらちゃんと仲良くなっていく中で、「これはさくらちゃんが歌ったら良くなるに違いない!」と思って。
藤原:一緒にご飯を食べているとき、おもむろに優河さんがギターを持ってきて「ちょっと歌います」って。すごくいい曲だと思いましたね。最初は、「さくらちゃんが歌ったら良いと思うんだよね!」みたいに言われて。「ライブの時とか私がハモったりしてもいいし」みたいな。
そんな流れから、「今度一緒にライブをやる時にはこの曲を絶対やろう」と。その時はまだ、名前を付けて本格的に活動することまで考えていなかったんです。優河さんが私に歌って聞かせてくれた時から、「絶対に形にしたい」とは思っていましたけど。
─さっき話していたフェス『麦ノ秋音楽祭2023』で、「moonlight」を初披露したそうですね。
藤原:はい。キャンプ番組に出演した時のスタッフの方が、私たちのことをすごく気に入ってくださって、フェスにも呼んでくれて。40分くらいやったのかな。「サヨナラCOLOR」(SUPER BUTTER DOGの曲)とかカヴァーしたよね。
優河:そう。その番組のリハで、初めてさくらちゃんと一緒に歌ったんですけど、リハの音源を帰りのクルマの中で聴いていたら、私たちの声って全然違うんだけど、重なった時に「ひとつの声」みたいになるなと思ったんです。私の声を、さくらちゃんの声がホワーンって包み込んでいるような......お布団みたいだなって。
藤原:わかる!優河さんの声が真ん中にあってね。
優河:さくらちゃんの声は倍音がすごくたくさんあるから、それが混じり合った感じがすごく気持ちいい。こんなふうになるんだ!と感動したのを覚えています。
藤原:なので、セクションごとに代わる代わる歌ってサビで一緒にハモる......みたいな、よくあるデュエットの形ではなく最初から最後までずっとユニゾンで歌って、そこにハモリのパターンも重ねていったら面白いんじゃないかなって。「moonlight」も、何声入れたか覚えていないくらい声をダビングしているんです。息だけのトラックとかもあったりして。
「moonlight」は、古(いにしえ)から歌い継がれてきたスタンダードのよう(藤原)
─「季節の音」はどうやってできたのですか?
藤原:自分たちに名前をつけて、リリースするとなると、「moonlight」だけだと曲が足りないから「もう1曲作ろう」と。優河さんの家に行ったり、山梨で合宿したり。でも結局何も作らなかったんだよね?(笑)「今日はもう、お酒でも飲んで明日は絶対に作ろうね」と言いつつ、翌日は朝から遊んで(笑)、疲れてそのまま東京に帰ってきた。
結局、家に帰ってから私が作ったんですけど、優河さんが歌っている声を頭の中で再生しながら作ったら、自分の曲とはまた全然違う感じになりました。
─それこそが、ふたりで作る醍醐味ですよね。
藤原:そう思います。それで出来た曲を優河さんに投げたら、返ってきた歌詞が本当に素晴らしくて。私、優河さんにはプライベートなことや仕事のことなど、結構包み隠さず話してきたんですけど、それが歌詞の中に散りばめられていて愛を感じました。
優河:さくらちゃんの気持ちを代弁して書こうと思ったわけではないんですけど、本当にいろいろな話を聞かせてもらった上で、私もさくらちゃんの声を想像したり、実際にデモの歌声聴きながら歌詞を書いたので、ふたりの間のボキャブラリーがそこに反映されているところはあるかもしれないですね。
─年明けにはツアーが控えています。どんな内容になりそうですか?
優河:まずはお披露目だし、私たちが共有しているこの空気感や、やりたいことが伝えられたらいいなと思っています。私たちの声が重なった時に私たちが感じたことを、どの曲でも体験してもらえたら嬉しいです。
藤原:Cow and Mouseさんという、私が弾き語り47都道府県ツアーをしたとき時や、優河さんが魔法バンドでツアーをした時にお世話になったチームと一緒に回るんです。(住吉神社)能楽殿など普通のライブハウスとはまた一味違った会場の空気感がうまく伝わるといいなと。
─今後、どんなことをJane Jadeでやっていきたいですか?
藤原:今回は2曲入りのシングルだったので、次はEP、そしてアルバムと数を増やしていけたらいいなと思います。最初に「moonlight」を聴いた時、まるで古(いにしえ)からいろんな人に歌い継がれてきたスタンダードのような感じがして。そういう曲を、これからもふたりで作っていきたいです。
優河:クリスマスアルバムも作りたいよね。毎回、冬になってから思い出すから、今回はちゃんと夏から準備して。
藤原:絶対作りたい。早めに仕込みましょう!
取材・文:黒田隆憲
撮影:廣田達也
RELEASE INFORMATION
Jane Jade「moonlight」
2023年12月13日(水)
Format:Digital
Label:Robert Joy
Track:
1.moonlight
試聴はこちら
Jane Jade「季節の音」
2024年1月17日(水)
Format:Digital
Label:Robert Joy
Track:
1.季節の音
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
We are Jane Jade〜nice to meet tour〜
東京公演:DAY12024年1月24日(水)
自由学園明日館 講堂(東京都豊島区西池袋 2-31-3)
https://jiyu.jp/
開場 17:30 / 開演 18:30
東京公演:DAY2
2024年1月25日(木)
自由学園明日館 講堂(東京都豊島区西池袋 2-31-3)
https://jiyu.jp/
開場 17:30 / 開演 18:30
注意事項:
※開場時間前の会場へのご入場はご遠慮ください。
※会場内は飲食禁止です。
※会場駐車場はご利用できません。公共交通機関または近隣のコインパーキングをご利用ください。
大阪公演
2024年1月26 日(金)
旧桜宮公会堂(大阪市北区天満橋 1 丁目 1-1)
https://produce.novarese.jp/kyusakuranomiya-kokaido/
開場 19:00 / 開演 19:30
注意事項:
※開場時間前の会場へのご入場はご遠慮ください。
※入場時にドリンク代別途 700 円現金でお支払いください。
※会場専用の駐車場はありません。公共交通機関または近隣のコインパーキングをご利用ください。
福岡公演
2024年1月28日(日)
住吉神社 能楽殿 (福岡市博多区住吉 3-1-51)
https://www.nihondaiichisumiyoshigu.jp/
開場 16:30 / 開演 17:30
注意事項:
※開場時間前の会場へのご入場はご遠慮ください。
※お席は座布団席となります。
※会場内土足厳禁、靴はお渡しする袋に入れてご入場ください。
※会場内は飲食禁止です。
※会場専用の駐車場はありません。公共交通機関または近隣のコインパーキングをご利用ください。
■チケット料金:
通常チケット:5500 円(税込/整理番号順入場・自由席)
直筆サイン入りアナログ付きチケット:8250 円(税込/整理番号順入場・自由席)
※年齢制限:3 歳以上はチケットが必要(2 歳以下は⼊場不可)
LINK
優河オフィシャルサイト
@yugabb
@y_u_g_a
@yuga6733
FRIENDSHIP.
藤原さくら