SENSA

2023.04.07

現代の日本に産み落とされたEmoの魂「Japanese Football」-Highlighter Vol.168-

現代の日本に産み落とされたEmoの魂「Japanese Football」-Highlighter Vol.168-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。 Vol.168は、Emoのスピリッツを受け継ぐJapanese Footballを取り上げる。
バンド名に表れているように、American Footballチルドレンである4人組。Emoからの影響を受けつつも、Jackの染み入るような歌声と、日本的で複雑にアレンジされたフレーズを昇華し、オリジナリティを追求している。


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活動を始めたきっかけ
Jack(G/Vo):9歳からギターを弾いてきたけど、いちばんギターを触る気もない時期といえば25歳の頃でした。いろいろあってモチベーションも低かったですが、ちょうど前のバンド(京都のGOLDFISH ADVENTURE)のドラムさんからスタジオの喫煙所で「American Football」を初めて教えてもらって、逆転できました。変則チューニングと変拍子に憧れて、それからマスロックとmid-west emoの世界に入って、音楽の生きがいが復活しました。

それから2・3年ほど掲示板に投稿しながらメンバー募集をかけて、2020年の11月ぐらいにやっとドラムのKenさんと出会えました。初セッションから相性がよくて、出会ってから2時間だけのセッションで初リリースした曲「Escape」がほぼほぼできました。
Kenさんからどんどん他のメンバーを紹介してもらい、4人になって、みんなから東京の音楽シーンについていろいろ教えてもらって、めっちゃ嬉しいことにこのコミュニティにJapanese Footballも参加することができています。



Ken(Dr):ボーカルのJackと知り合ってセッションしたのが大きなきっかけでしたね。当時、私は自分が好きなMathやEmoをルーツにした音楽をやりたいと考えてまして、そんな中でJackがバンドメンバーを募集している記事をネット上で見つけました。その記事の「American Footballが大好きで、日本でJapanese Footballを作りたい」という内容がとても印象的で、連絡を取ってみようと思いました。
彼はインスタにギターを演奏している動画をたくさん投稿していたので、まずは彼に連絡を取って、自己紹介代わりに彼の動画にドラムをつけてみました。



彼は動画を気に入ってくれて、「ぜひ何か一緒に作りましょう!」という話になり、実際に会ってスタジオでジャムセッションをすることにしましたが、その時のセッションが個人的にはとても衝撃的でした。初めて会って何も決めてないのにお互いがやりたいことがほとんどわかっていて、20~30分くらいでほぼ一曲完成してしまう勢いでした。
今回リリースする音源に収録されている「Escape」の原型も、この時点で出来ました(笑)。
何より演奏していてとても楽しかったので、ぜひ一緒にバンドをやりたいと思い、このバンドを始めました。

その後、ありがたいことにバンド活動している身近な友達がギターとベースで入ってくれたので、本格的に曲作りやライブ活動を始めました。お互いバンド活動の経験もあるので、それぞれがアイデアを出し合い、周りの友達にもライブブッキング/写真撮影/レコーディング/デザイン/リリース等、とても大きなサポートをしてもらいながら活動をしています!

影響を受けたアーティスト
Jack:ギターを始めた頃、シュレッダーを目指してMetallcaとかいろいろメタルを聴きましたが、集中力が低くてリードギターが無理とわかってからギターボーカルに注目し、Foo FightersThe Gaslight Anthem、Jimmy Eat World、エモロックからいろいろ影響を受けました。

高校生の頃に友人のBenさんが毎日車で迎えに来てくれて、学校に着くまでに車でDance Gavin DanceAlexisonfireClosure in MoscowのようなPost-hardcoreのバンドを一緒に聴きました。
もっと最近でいえばAmerican FootballCovetHot MulliganHikesThe Black KeysTricotParanoid Voidからいろいろ影響を受けたと思います。



Ken:自分のプレイスタイルとしてtoeのドラムには非常に大きな影響を受けましたね。2010年にO-EASTで初めてライブを観た時の熱量が忘れられません。今思えばEmoというジャンルに興味を持ったきっかけだったかもしれません。



その他にはAmerican Football、Hikes、Delta SleepDuck. Little Brother, Duck!、Covet等、影響を受けたバンドを挙げるとキリがないですが、少なくともAmerican Footballにはメンバー全員影響を受けていると思います(笑)。



Murakami(G):初めてtoeを聴いた時、それまでメタルやロックばかり聴いていたので、こんなバンドがいるんだと驚きました。なんか音が歪んでねぇぞって。
Japanese Footballにおいては初期のWe Were Promised JetpacksやDuck. Little Brother, Duck!、CSTVTなどから影響を受けていると思います。

Shuhei Nakamura(B):大学生の頃、東京八王子のライブシーンで長く活動するmalegoatというバンドに出会ったのがEmoというジャンルに触れた始まりでした。ライブを見てまずビックリしたのが、全てのパートがとにかく音がデカイ(笑)。初めて観に行ったライブが、キャパが50人くらいのスタジオライブだったんです。それまで邦ロックだったり、J-popと呼ばれるジャンルをずっと聴いていて、観に行くライブもキャパの大きなライブハウスがほとんどだったので、見ている光景の何もかもが衝撃の連続でした。今自分たちがやっているようなDIYで活動していくバンドに初めて触れたのも、そのライブでした。

このバンドのおかげで、自分でオリジナルバンドをやってみたいと思いましたし、そこから海外のEmo、Punk、Indie rock、Post rockなどを自分で掘るきっかけになりました。



Japanese Footballに関しては、他のメンバーが挙げているバンドはもちろん自分にも影響しています。
他にもYou blew it!Everyone everywhereI feel fineI Love your lifestyle等キリがないですが、所謂の海外Emo revivalバンドには多大な影響を受けました。

注目してほしい、自分の関わった作品
Jack:『Reflections of You EP』には、Japanese Footballの4人が揃ってから初めて作った4曲が入っています。各曲のムードと個性が違って、各曲で各メンバーの個性が出てると思います。ひとつの作品として、Japanese Footballのオリジンズで聴いてほしいです。

Ken:今回リリースする『Reflections Of You EP』は、僕らの初めてのフィジカルリリースであり、このバンドの初期衝動が詰まった4曲が入っていると思います。いい意味で各メンバーがルーツにしている音楽がクロスオーバーしており、音に関してもリズムセクションを太めにしつつも、ギターの迫力や、歌の表現を失わないバランスを目指しました。
ライブの臨場感や、感情の揺れ動きを感じられる作品になっているので、ぜひ聴いてください!

また、メンバーや周りの友達にたくさん協力してもらって作った音源で、カセットのデザインもとても気に入っています。
早くみんなの手元に届けられることを楽しみにしています!

Murakami:今作の『Reflections Of You EP』には、バンド結成初期に作った曲が入っているので、バンド結成したばかりの頃の、このメンバーでどんな曲を作ろうかと思いながら制作していた思い出があります。
初めての作品ということで、キャッチーで耳に残るフレーズが出てくることと、何度も聴けるシンプルなアルペジオの繰り返しを意識しました。4曲の中で緩急がある作品になっていると思うので、通して聴いてもらえたら嬉しいです。

Shuhei:『Reflections Of You EP』は、これぞジャパフト節!という魅力が詰まった4曲入りの作品となっています。Vo.Jackの精良な歌声、ツインギターの流麗なフレーズ、どっしりと全体を支えるリズム隊の安定感、何よりシンプルに収まらない一癖も二癖もある曲の展開。おすすめポイントを挙げればキリがないですが(笑)。
まず聴いて頂ければ、必ずどこかには刺さるはず。なのでぜひともこのEPを聴いていただきたいです!




今後挑戦してみたいこと
Jack:全国ツアーと海外ツアーもやりたいです!

Ken:予定の調整が難しいですが、遠方のツアーライブに挑戦してみたいと考えています。可能であれば海外等でライブもしてみたいです。
また、ライブハウス以外のBARや野外など様々なロケーションでライブをして、活動の幅を広げていきたいと思っています。面白いロケーションで映像を撮るのもいいですし、何より楽しいので!

Murakami:昨年バーでのライブイベントや、サーキットイベントに出演させてもらって、バーでは殺陣やダンスのパフォーマンスがあったり、サーキットイベントではクラフトビールとのコラボレーションがあって、音楽と別の文化が一緒に体験できる空間がとても楽しかったです。
今度は自分たちでも、音楽にプラスして他のことも楽しめるイベントをしてみたいと思っています。

Shuhei:ありがたいことにライブハウスでのライブ以外にも、サーキットイベントやバーでの演奏など、通常ではなかなかできないイベントにもお誘いいただく機会が増えました。
今後もジャパフトだから出演オファーしたよ!って言っていただけるような貴重な場所でのライブを経験したいなと思っています。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
Jack:ウイスキーとカクテルカルチャーからいろいろ影響を受けたと思います。ウイスキーの生産では、原材料やビジョンにこだわりがなければ、どんだけかっこいいボトルやいちばん新しい設備があっても、最終的に個性があるものは作れません。カクテルも一緒。ベースに使う材料にこだわりがなければ、どんだけうまくシェイカーを振っても、カクテルの美味しさは限られてしまいます。
20年間音楽やってきましたが、最近まで音楽の原材料に特にこだわりがなくて、誇りに思える物をそこまで作ってこられていません。周りにいるお酒業界の仲間とJapanese Footballのメンバーのおかげで、原材料のこだわりの重要性をやっと理解できたと思います。



Ken:個人的にはお酒(ウイスキー、日本酒)、映画、漫画、ファッション、語学(英語)とかが好きですね。具体的に何がって言われると難しいですが、映画とかだとゾンビもの、戦争映画、サスペンスとかよく観ます。好きな映画だと以下になります。













Murakami:漫画が好きで小さい頃からずっと読んでいます、今も毎月80冊くらい読んでいると思います。少年漫画だと「うしおととら」や「刃牙」シリーズや「嘘喰い」とか、少女漫画だと「ぼくの地球を守って」や「7SEEDS」などが好きです。
いろんな時代の漫画を読んでキャラクターの行動や言葉でその当時の常識とか雰囲気が感じられるのも楽しいです。

あとはキックボクシングと総合格闘技を昔やっていたので格闘技が好きで、UFC、ONE、RIZINという大きな団体の大会はほとんど全て配信チケットで見ていると思います。
去年はメンバーのKenちゃんを誘って会場まで観に行ったりもしました。

Shuhei:音楽と平行してもともと大好きだったのがお笑いでした。バラエティ番組やお笑い番組をテレビにかじりつくくらい熱中していた学生時代を過ごし、2018年にふと思い立って直接お笑いの劇場に直接ライブを観に行きました。未体験だったので恐る恐る行ったのですが、蓋を開けてみたら、音楽と同じで限られた持ち時間の中で以下にインパクトを残すかという手に汗握る体験をしました。そこから現在でもお笑いにどっぷり浸かっている生活を送っています(笑)。さらば青春の光、空気階段の2組は毎年欠かさず単独に行くくらい大好きな芸人さんです。

音楽のライブに日常的に行っていて、お笑いライブに興味があって直接観てみたいなと思う方は、勇気を出して1度行ってみていただきたいです。そこから広がる世界は、とても魅力の詰まったものだと断言できます。自分はそれくらいの衝撃でした。

今注目しているカルチャー
Jack:お酒、バーとレストランカルチャー。美味しいワインやウイスキー、ていねいに作ったカクテルとかコースディナーも、原材料のこだわりから提供する時のプレゼンテーションまで、シンプルな日常的のものから忘れられない体験を作れるなんて素晴らしいと思います。音楽も同じです。

Ken:ゲームですけど、「マインクラフト」の動画を見るのが好きなので、友達と「マインクラフト」で建築したりするのに興味がありますね(笑)。



Murakami:最近はフィルムカメラでよく写真を撮っています。数年前からブームと言われていますが、需要としては大きくないようで、原材料の生産の少なさと相まってどんどんフィルムが高騰していて、今のうちにもっと触っていたいと思うようになりました。
それとJapanese Footballのライブや遠征に一緒に来て撮影をしてもらっているカメラマンの伊藤さんという方がいるのですが、フィルムカメラに詳しくていい写真を撮ってくれるので、その影響もあります。
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北海道でのライブ前にライブハウスの近くを散歩しました



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思い出補正みたいに写るのが好きです



Shuhei:今年中には劇場での舞台を観に行ってみたいなと思っています。音楽ともお笑いとも異なるであろう、俳優さんの生の演技を一度体感してみたいです。かなりのテレビ好きの為、ドラマも毎期欠かさずチェックしていて、映像とリアルだと実際に何が異なるのか気になっています。拝見した時に、自分自身何を感じるのかがとても興味深いですし、自分のライブとはかなり離れているとは思いますが、空気感の作り方だったり、見せ方の勉強の一環になるのではと思っています。

RELEASE INFORMATION

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Japanese Football『Reflections Of You EP』
2023年4月7日(金)
試聴はこちら

LIVE INFORMATION

吉祥寺ワープpresents「HEIJITSU FAN CLUB」
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2023年4月28日(金)
open 19:00 / start 19:30
adv ¥2,300 / door ¥2,800

rem time rem time / ToyJoy / Japanese Football and more...

NINE SPICES presents「Golden Kabuki City」DAY.2
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2023年5月4日(祝木)
新宿NINE SPICES
OPEN / START 16:00 / 16:30
ADV / DOOR ¥2,000 / ¥2,500 (+1drink)

LESTER / Awesome &roid / either / aoni / CONFVSE / BreakthroughMemories / Japanese Football


PROFILE

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Japanese Football
メンバ-はJack Chambers(G/Vo)、Masahiro Murakami(G)、Shuhei Nakamura(B)、Ken Ohashi(Dr)。
2020年12月にJackとKenが出会い、American FootballやChinese Footballが好きな彼らは「日本でJapanese Footballを作りたい」という思いからバンドをスタートした。
Jack以外のメンバーは それぞれhardcoreやEmo等の要素を含んだ他のバンドでも活動しており、Jackの歌をmidwest Emo/math rock等を系譜としたバンドサウンドに展開させている。
美しいメロディーで染み入る様な歌声とUS Emoカルチャーを踏襲しつつも、どこか日本的で複雑にアレンジされたフレーズが作り出す、爽やかで切ないサウンドを追求している。

LINK
@japafoot
@japanese.football
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