SENSA

2023.03.22

ルイ・トムリンソン秘蔵ドキュメンタリー映画『ALL OF THOSE VOICES』公開記念!チャーリー・ライトニング監督×シャーリー富岡インタビュー

ルイ・トムリンソン秘蔵ドキュメンタリー映画『ALL OF THOSE VOICES』公開記念!チャーリー・ライトニング監督×シャーリー富岡インタビュー

ワン・ダイレクションのメンバーからソロアーティストになるまでのルイ・トムリンソンの軌跡を余すことなく記録した秘蔵ドキュメンタリー映画『ALL OF THOSE VOICES』がいよいよ公開した。本作はワン・ダイレクションの最後のコンサート・シーンから始まり、ルイの未公開のホーム・ムービーや、完売した2022年ワールド・ツアーの舞台裏などを通して、超人気グループからソロ・アーティストになるまでのルイの新たな人生への葛藤と挑戦を描いている。今回、『ALL OF THOSE VOICES』の監督を務めたチャーリー・ライトニングにシャーリー富岡がインタビュー。

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撮影:SENSA編集部


彼はセレブリティやショービズに感化されていなくて、普通であることを望んでいる

―最初にルイ(・トムリンソン)に会ったのはいつでしたか?初対面の印象も教えてください。


チャーリー・ライトニング:最初にルイに会ったのは、僕が作ったリアム(・ギャラガー)のドキュメンタリー『(リアム・ギャラガー:)アズ・イット・ワズ』の試写会だったかな。その後、ルイからファーストアルバムのミュージックビデオを撮ってくれという電話があって、その時に何かやろうという話になったんだ。

ルイについては知っていたけど、初めて会った時に想像以上にいい人で、僕は彼を本当に好きになった。たぶん彼には好感が持てる何かがあるんだよね。彼はセレブリティやショービズに感化されていなくて、そういう生活を求めていないんだ。そこが好きだ。
彼は(いわゆるセレブリティが行く)その道を行かないで、プライベートを大切にしていて、普通であることを望んでいる。

面白いのは、ワン・ダイレクションの偉大さは知っていたつもりだけど、彼と一緒に仕事をして、彼に密着するようになってから、初めてどれだけ大きい存在だったかを知ったんだ。というのも、僕は彼のバックストーリーは知っていたけれど、それは彼が持つポテンシャルについての話だと思うんだ。

この映画の全体像は、ロックダウンで驚くべき事態が起きてから、彼がステージに戻り、パフォーマンスをすることがどれだけ好きか、そして彼がワン・ダイレクションでそれをすることがどれだけ好きだったかを描いている。彼の身に起こった出来事のためになかなかライブをする機会がなくなり、レコードを出すのも少し遅れてしまうけれど、映画はそれでも彼が大好きなステージに戻ろうとする様子を描いたものなんだ。

最初のふたつのライブを行った後、ことごとく全てのライブがキャンセルになって、彼はショックを受けた。劇中で彼が「休みが取れる」と言った気持ちもわかるだろう。あの時はきっと「負けた」と感じたんだと思うよ。わかるかな、この意味。
ツアーに出て、その経験を次のアルバムに生かしたいと(劇中で)話していたと思うけど、ツアーがなくなってしまったことで、彼はまた次のアルバムで何をしようかと考えなくてはならなくなった。
あの時、彼は何をすればいいのかわからなくなってしまったけど、ライブ配信をしたおかげで、男性ソロアーティストのチケット販売数でギネスブックに載るというとんでもないことが起きた。それが、彼自身が自分にも観客がいるということを知った転機だと思う。

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©️CharlieLightning


彼は自分のファンがいることを知り、世界中の観客に直接会うことが必要だと思った。それが、最初の夜明けのようなものだった。ツアーがなくなり、ライブ配信を行うことで、これは良いことが起きてるぞと思えた。観客がライブ配信のチケットを買った場所から、それがどこなのか、どこへ向かうべきかがわかるからだ。つまり、ライブ配信が彼にとって前へ進む原動力となった。

ツアーが始まっても、彼は急にビッグになりたいとは思わなかった。最初はそこそこのサイズの会場で始めたんだ。その時点では全ツアーの会場がそのサイズのつもりだった。でも、ヨーロッパに移ると突如チケットが売れすぎて会場がアリーナへ変更されたんだ。そして南米では3夜ともアリーナになった。それがすべてひとつのツアーで起こったのだから、まさに驚くべきことだ。

彼は素晴らしいバンドを従えて、より良いパフォーマーになったというか。彼は、自分自身はバンドの一員だと感じているんだ。自分の足元を固めたというか、そういう感じだね。そしてそれは、彼がソロになることを望んでいなかったからにほかならない。

彼は今、自分の足元を見つめ直し、挑んでいるのだと思う。セカンド・アルバム(『フェイス・イン・ザ・フューチャー』)は、足場固めであり、彼がこれらの新曲をセットリストに入れたら、次のツアーは相当素晴らしいものになるだろうと感じているよ。



『Xファクター』のような作品にはしたくなかった

―彼のファンの多くは、ワン・ダイレクションの頃から彼を見てきているので、この映画によって、その後、彼がどのように成長し、進化してきたかを知ることができますよね。ファンもこの映画の厚みに気づくと思います。


チャーリー:そう思う?僕もこれまでの彼の道のりは大好きで、たとえ彼が父親になってもそう思うよ。

―息子さんとのシーンも心に響きました。


チャーリー:本当に素敵だよ。彼にとって家族がどれだけ大切かということなんだ。ひとりでは(抱えているものが)重すぎるからね。僕が彼を本当に尊敬しているのは、彼のポジティブさだ。彼が経験してきたことを考えると、普通の人だったら立ち直れないだろう。でも彼は自分の強さによって前へ進んだんだから。

―私はルイ自身がこれほどまでに自信喪失になっていたことは思いもしませんでした。パフォーマーとしての彼を見ていると、観客にそのような雰囲気を微塵も感じさせないからです。だから監督がルイの真横でずっと撮影したことによって引き出された、ルイが経験したことや、感じている深いものを、この作品で知りました。監督はルイとは特別な絆を持つことになったのではないですか?


チャーリー:すごく仲良くなったんだ。彼のことをとても好きだし。こういう映画の場合、9割が僕とカメラしかないから。僕の場合、より長い期間で有機的な成り行きに任せて撮影をし、予算を練るんだ。多くの人数を揃えるにはコストがかかるが、それを分散させることができる、それが僕がやっていることなんだ。そして、それがひとつになっていくんだ。

いつも言っていることだけど、撮影しないタイミングを見極めるのは簡単ではない。カメラを置いたとき、部屋の雰囲気を読むとき、シナリオを読むとき、状況を読むとき、そして適切なタイミングであまり押し付けがましくないときなど。多くの時間を投資するとき、僕の場合はその対象は自分が信じるものでなければならない。そして当初から僕はルイを信じていたし、彼に成功してほしいと思っていた。

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©️CharlieLightning


―彼の声は美しいですよね。


チャーリー:その通りさ。ワン・ダイレクションが活動休止になったあと、メディアはハリー(・スタイルズ)やナイル(・ホーラン)を取り上げただろう?ルイには見向きもしなかった。彼には辛かったと思うよ。
この映画を見た人たちは、「これはすごい」と思うだろう。なんてかっこいいんだ!音楽も最高!超良い!ってね。映画の中での彼の成長はすごいよね。そうだろう?

―ええ、観客もそう感じるでしょうね。映画にはたくさんの驚きが詰まってるから!そこで、お聞きしたいのですが......彼から何かリクエストはありましたか?境界線はなかったのでしょうか?たとえば、これは出来ない、とか。


チャーリー:それはなかったよ。彼は常に素直でオープンだった。彼のあの素直さは、撮影中に自然と出てきたものなんだ。一緒に出かけて会話をして本音を引き出すというようなものではない。彼は日々、やらなくてはならないことに向き合っていて、そこにカメラを持つ僕がいるんだ。もうカメラがそこにあることなんて忘れているよ。

映画を通じて、彼のお母さんやお姉さんの個人的なことをちゃんと話したかったんだ。『Xファクター』やテレビ番組で、そのような人たちの瞬間を切り取ってしまうのは、とても簡単なことだと思うんだ。でも、そういう作品にはしたくなかった。なぜなら、彼は自分が経験したことを話してるのだから、僕たちもその物語をきちんと伝えなくてはならなかった。しかも彼の人生にとって重大な話だ。僕らは彼に敬意を表しながらできたと思うよ。
これはリアルに存在する人間の人生の話なんだ。だからみんながこの映画を見てくれるのが待ち遠しいよ。みんな気に入ってくれると思う。

―ルイが自分の物語を、監督を介して伝えてくれたことがとても嬉しいです。あなたのおかげで、映画は生々しく、正直でナチュラルで全く違和感がないものになったと思います。


チャーリー:彼はカメラへの対応が上手いんだ。自然体なんだよね。彼が言うように、ワン・ダイレクションとしてカメラに囲まれて育ったから。リラックスして取り組むことで、より正直になり、何も隠すことなく話せるようになるのだと思うよ。

―タイミングも良かったですよね


チャーリー:そう思うよ、本当に。だって、映画も作る予定じゃなかったから。

―コロナ禍になる前のことですよね?


チャーリー:そう、昨年の3月は映画の撮影が終わるか終わらないかの状況で、5月末か6月には南米で似たようなことをする予定だった......彼にとって全てのタイミングが良かった。僕には今後、彼がどんどん大きくなっていく気がする。みんなも彼の凄さに気づくようになる。

―ええ、彼には才能がありますよね。


チャーリー:彼のライブはすごいからね。ロックンロールだ。彼はずっと今のようなバンドを欲していた。昨日行ったバーでも、彼の曲をかけたんだ。新曲も混ぜて。そしたら一味も二味も違ったのさ。

自分とカメラ、それだけの撮影が好きなんだ

―プレミアは月曜日(3月13日)でルイが出演します。彼は4月にもコンサートのために東京に来ます。私はワン・ダイレクションのコンサートを2回観たことがあるんですが、ソロ・コンサートは本当に楽しみです。劇中でコンサートシーンを見て「ワオ」って思いました。


チャーリー:コロナ禍になり、前回のツアーとこの映画の撮影時には日本に来られなかったから、残念だったよ。僕は日本が大好きだから。

日本には15回か、もっと来てるんだ。ポール・マッカートニー、リアム・ギャラガー、そしてカサビアンと一緒に来日していろんなことをやったけど、とにかく日本の人と文化が好きだ。初めて来日した時はまるで別の惑星に来た感覚になったよ。視覚的に別世界で驚いたし、まるで映画の中にいるようだった。人々のファッションも、夜の街のネオンとかも、映画『ブレードランナー』やその類の映画のように思えた。
初来日は20年ほど前のことかな。まだ世界に対して僕がナイーブだった頃。そこで、今回、最初のプレミアが日本で行われると聞いたとき、僕はとても興奮したよ。

―日本がワールド・プレミアになるんですね。


チャーリー:観客に観てもらうのが待ち遠しいよ。



―今作で私が素晴らしいと思うのは、コンサートのライブシーンです。一度しかないライブを撮影するのは、とてもチャレンジングなことですよね?


チャーリー:何年でどれだけのライブが撮影されているのか知りたいな。僕はほとんど自動的に、何が効果的かわかっているので。自分がどの位置にいて、どの角度で撮影すれば観客に見せることができるかがわかるんだ。なぜなら、僕は世界中のアリーナやスタジアムで、世界中の大スターと一緒にあらゆるポジションに立ってきたから。ステージの上に目があり、そして観客がいる。多くの場合、アーティストと観客の間にいるとき、観客からのエネルギーを感じると同時に、アーティストからのエネルギーも感じられるんだ。

アーティストを知っていれば、その人がいつ喜んでいて、いつ嫌がるか、その日のバックステージで何が起きているかもわかるし、その人がどう感じるか、それがパフォーマンスにどう影響するかどうかもわかるんだ。それが僕らの立場の人がやる仕事さ。

最高のドキュメンタリーコンサート映画だと思う。幸運だったよ。20年前の僕には考えられないことさ。
Instagram、TikTok、YouTubeの前は、コンテンツの出口はDVDかテレビしかなかったんだ。そのため、僕はいつも「あなたはメイキングの人でしょ」とか「あなたは素材の映像を撮るだけでしょ」といった感じで、僕とカメラだけでは誰も相手にしてくれなかったからね。
今では大きなクルーとの撮影も経験したし、ミュージックビデオからコマーシャルまでいろんなジャンルの映像も手がけてきた。でも結局は、自分とカメラ、それだけの撮影が好きなんだとわかったよ。
今日これから何が起こるかわからない、それが好きなんだ。

僕はただの"見てる人"。この映画はルイの誠実さが作り上げたんだ

―なぜ映画監督になったのですか?


チャーリー:父親がドキュメンタリーカメラマンだった。面白いのが、彼の撮影はマイアミのSWATチームと仕事したり、空母の上から撮影したり、小児病院で撮影したりして、無骨なものばかりだった。自分がドキュメンタリーを撮るなんて思ってもいなかったけど、一般的な仕事がしたいとも思わなかったし、10代の少年のようにサッカー選手やロックスターになりたいとも思わなかった。もちろん自分にそんな才能があるとは思っていなかったしね。

まさか、お金をもらって、有名な人たちと一緒に世界中を回るなんて思ってもいなかった。素晴らしいことだと思う。そしてポール・マッカートニーを15年も撮り続けて、しかも自分にとって青春時代のヒーローだったリアム・ギャラガーの映画(『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』は高い評価を受けNational Film AwardsでBest Non-Fiction Documentaryを受賞している)まで作ってしまった。

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©️CharlieLightning


―この映画は、自分探しをしている若者たちにとっても大きな助けとなるでしょうね?


チャーリー:イエスでもあり、ノーでもあるかな。多くの人々と家族はワン・ダイレクションやルイと一緒に育ってきた。これは僕も初めて見る光景だった。ファンは好きになって、そこから多くを学ぶ。
たとえばポール・マッカートニーと同じように、若い世代はビートルズの時代に生きていなかったから、直接的なつながりはないけど、家族的な古いつながりはある。親が若い頃にはもっとエキサイティングだった。それが受け継がれて、そのつながりを理解することは素晴らしいと思う。多くのワン・ダイレクションやルイのファンはそうだけど、それは決して全員ではない。ファンは10代から今20代になるまでワン・ダイレクションと共に歩んできた。それはとても有益な時間だ。
僕はただの"見てる人"なんだ。ただ見たものを記録している。この映画は彼の人生を描いてるし、ルイの誠実さが作り上げたんだ。

―ルイがこの映画のファイナルカットを見たとき、なんて言っていましたか?


チャーリー:この映画は、彼には自惚れがなくクールで素敵な人だという事実を描いている。彼にとっては奇妙なことだったと思うよ。誰かが自分についての映画を作り、それを見なくてはならないのだから。誰かが携帯で撮影した自分の映像を見るのでさえ辛いのに、自分の人生や個人的なことが多く描かれている映画を、多くの人と共有するわけで。でも、明らかに彼はこの映画を気に入ってると思うよ。素直な彼をありのままに描こうとしたし、彼もそれをわかってくれたと思う。

―きっと彼にとっても自慢の作品ですね。あなたはルイのミュージックビデオも撮っていますよね。「Walls」は、今まで見たミュージックビデオの中でも最も好きなもののひとつです。心を打たれました。


チャーリー:モロッコの砂漠で撮影したんだ。たくさんの人が関わってチームのように地元の人も取り組んだ。事前に4つのセットが組まれていて、それを砂漠へ持ち出したんだ。それから、あっちで撮影して、こっちで撮影して、という感じで。あの舞踏会のシーンはまるでスタジオで撮影したように見えるけど、実はカーテンの後ろは砂漠なんだ。あのビデオは全てが僕のお気に入りさ。


―ルイのファンには、この映画をどう楽しんで欲しいですか?


チャーリー:みんなには単純に楽しんでほしい。ファンはきっと気に入ってくれるでしょう。でも、これはエンターテインメント映画だから。ルイのファンじゃなくても、彼の物語を面白いと感じるんじゃないかな。

取材:シャーリー富岡
翻訳:中村未知子

MOVIE INFORMATION

ALL OF THOSE VOICES
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監督:チャーリー・ライトニング
出演:ルイ・トムリンソンほか
3/22(水)TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか公開
©️ 78 Productions Limited 2023

チケット販売スケジュール:
上映日の2〜3日前から劇場HPにて販売開始。
※劇場によりスケジュールが異なります。詳しくはご鑑賞劇場へお問い合わせください

HP:https://www.culture-ville.jp/allofthosevoices

公開劇場
札幌 ユナイテッド・シネマ札幌 3/22のみ
宮城 TOHOシネマズ 仙台 3/22のみ
新潟 ユナイテッド・シネマ新潟 3/22, 3/25 二日間限定
東京 TOHOシネマズ 日本橋 3/22〜3/25
TOHOシネマズ 六本木ヒルズ 3/22〜3/25
ヒューマントラストシネマ渋谷 3/22〜3/25
吉祥寺オデヲン 3/22のみ
TOHOシネマズ 立川立飛 3/22のみ
神奈川 TOHOシネマズ ららぽーと横浜 3/22のみ
TOHOシネマズ 川崎 3/22のみ
千葉 TOHOシネマズ 流山おおたかの森 3/22のみ
TOHOシネマズ ららぽーと船橋 3/22のみ
埼玉 ユナイテッド・シネマ ウニクス南古谷 3/22, 3/25 二日間限定
栃木 TOHOシネマズ 宇都宮 3/22のみ
長野 長野グランドシネマズ 3/22のみ
静岡 静岡東宝会館 3/22のみ
愛知 109シネマズ名古屋 3/22, 3/25 二日間限定
大阪 TOHOシネマズ 梅田 3/22〜3/25
TOHOシネマズ なんば 3/22のみ
兵庫 TOHOシネマズ 西宮OS 3/22のみ
京都 TOHOシネマズ 二条 3/22のみ
岡山 TOHOシネマズ 岡南 3/22のみ
広島 TOHOシネマズ 緑井 3/22のみ
福岡 TOHOシネマズ ららぽーと福岡 3/22のみ
熊本 TOHOシネマズ 熊本サクラマチ 3/22のみ


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