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2025.10.15
いや〜愉快愉快。本当、ライブはこうでなくちゃ。小腸(Gt/Vo)、肝臓(Key)、腎臓(Ba)、肺(Dr)の4人からなるネオディスコバンド・Geloomy。小腸を中心に彼の幼馴染である肝臓、高校の同級生だった腎臓、大学で同じサークルに籍を置いた肺で結成されたバンドである。「4人で集まるとくだらない下ネタを言っているか、スマブラで遊んでいる」という彼ら。気の置けない仲間とつるんでいるが故の自由と気楽さと快楽は、もちろんこの音楽に反映されている。
ということでGeloomyにとって初のワンマンライブ、「want it with PICKLES??」が渋谷WWWにて行われた。なんとも陽気でちょっぴり挑発的、そんな気持ちのいいファンクナンバーに踊る一夜である。




音源で聴くよりもずっと華のあるバンドだと思った。しみったれた時代の空気を吹っ飛ばすような4人の(半ば能天気な?)ノリが、ライブではそっくりそのままポジティブなフィーリングへと転化する。大阪の古着屋で揃えたという衣装もお洒落でカラフル。彼らがステージに現れると、それだけで視界が鮮やかになったような気がした。

バンドのムードを受け取ったのか、オーディエンスのバイブスが終始良かったのが印象的である。ファンキーな「hey!!!!!」で始まったライブは小腸の「踊れ!」という掛け声に反応、早速フロアが揺れていく。続く「p.h.p」がいきなりヤバい。なんというかもう、2曲目にして山場が訪れたのかと思った。情熱と余裕を感じさせる小気味良いアンサンブルが実に痛快。UFOが飛び回るみたいに中空を滑空するシンセサイザーもバッチリで、続く「airam」でも鍵盤は主役を張っていた。リスナーを夢の中に引きずり込むような催眠めいた音色のイントロ、そして中盤の身体が浮き上がるようなソロプレイまで、妙に癖になるシンセフレーズが飛び出してくる。そして檄ポップな「블루 (beullu)」である。これはもうGeloomy流の80'sシンセポップだろうか? なんとまあ気持ちの良いエイトビートだろう。スケートリンクの上をスイスイと滑っていくような、快いベースとドラムが聴く者を笑顔にさせる。


内蔵に響くような(Geloomyだけにね)ズシンとしたベースが心地良いソウル「Black Cinema」から、未発表の新曲を挟み「bubblegum」へ。小腸がハマっているというハウスからの影響を反映した楽曲だが、打ち込みをメインとする音源とは変わってライブではバンド仕様に変形している。ハウス色を取り入れたロックナンバーといったところだろうか。曲が進むにつれてサイケデリックな雰囲気を醸し出していく中、4人の演奏にシンクロするようにフロアの熱も上がっていく。そしてファレル・ウィリアムス「happy」のカバーである。爽やかなポップソングである原曲に比べると、ボーカルの熱量も高く、どことなくソリッドな演奏だったように思う。というか、前へ前へと進んでいくようなスピード感のあるドラムは、まるでこのバンドの未来を示しているようではないか。

取り止めのないMCを挟み、ライブは折り返し。まろやかな「unknown」でスローダウンしたかに思われたが、「ここからは撮影OK」という認可が下りたことで、「antianti」から再びボルテージが高まっていく。示し合わせたようにキラー「Shock!!中毒」を持ってくるのもニクい。この曲はなんと言っても存在感抜群のベースである。腰を刺激するイケイケのディスコファンクにきっと誰もが痺れただろう。続く未発表曲「ibaraki(仮タイトル)」もすこぶる良い。軽快なタッチのドラムと滑らかなベースが心地良いR&Bで、ハンドマイクで歌うボーカルもバッチリ決まっている。おまけにキュートな音色の鍵盤にもほんわかするなど、聴きどころだらけの1曲だ。本当、早くリリースしてほしい。

そしてお待ちかね、この日のハイライト「occiput feat. aint lindy」 である。期待通り登場したaint lindyに歓声が上がると、Geloomyの演奏もことさら火がついていく。ボーカルふたりがマイクを分け合う歌唱はもちろん魅力的で、何よりも我を忘れて弾き狂うような終盤の小腸のギターソロが痛快だ。この瞬間、彼は誰よりも楽しんでいたのではないだろうか。本編最後は2025年のGeloomyの気分を反映したような闇鍋ソングーーもとい、サイケデリック・ディスコ・ファンク「The Mint Robbery」である。この1年間でリリースした楽曲を網羅的に演奏しつつ、最後にはキッチリ現行のモードを示すライブだったように思う。
アンコールではこの日22歳の誕生日を迎えた小腸をみんなでお祝い。3人のメンバーはそれぞれ誕生日プレゼントを渡し、誰が一番センスが良いかを決めてもらうという、これまた楽しそうというか、引き締まった演奏とは打って変わってだらっとしたMCでオーディエンスを楽しませている(私は肝臓が野菜を持ってきてびっくりした。優勝は腎臓、2位は肝臓、3位は肺)。

楽曲は上々、演奏はゴキゲン。でもMCは緩く、これが絶妙なバランスで成り立っていて面白い。8月にやったインタビューでは「音楽的な気持ち良さを追求しながら、売れたいという下心の両方がある」と語っていたが、風通しの良いクリエイティブを楽しみながら、肩肘はらず洒落っ気を持って突き抜けていけるやつらはカッコいい。結成から2年、ここまで完全自主でやりたいようにやってきた彼らは、これからもユルいまま刺激的な音楽を目指していくのだろう。ちなみに、このバンドの結成時に上がっていたリファレンスはEarth, Wind & Fire。曰く「根っこにあるのはソウルとディスコ。俺らの知らない時代を華やかに生きた人たちの精神性を忘れたくない」とのこと。マジでこの陽気さが眩しいのだ。
文:黒田隆太朗
撮影:pei the machinegun

Geloomy「macaroni and cheese」
2025年9月3日(水)
Format:Digital
Label:Geloomy
Track:
1.The Mint Robbery
2.hey!!!!!
3.bubblegum
4.unknown
5.occiput feat. aint lindy
試聴はこちら
「of BLUE LAB vol.11 by HOT STUFF」@WWW
@Geloomy_Band
@geloomy_
@geloomy
TikTok
ということでGeloomyにとって初のワンマンライブ、「want it with PICKLES??」が渋谷WWWにて行われた。なんとも陽気でちょっぴり挑発的、そんな気持ちのいいファンクナンバーに踊る一夜である。




音源で聴くよりもずっと華のあるバンドだと思った。しみったれた時代の空気を吹っ飛ばすような4人の(半ば能天気な?)ノリが、ライブではそっくりそのままポジティブなフィーリングへと転化する。大阪の古着屋で揃えたという衣装もお洒落でカラフル。彼らがステージに現れると、それだけで視界が鮮やかになったような気がした。

バンドのムードを受け取ったのか、オーディエンスのバイブスが終始良かったのが印象的である。ファンキーな「hey!!!!!」で始まったライブは小腸の「踊れ!」という掛け声に反応、早速フロアが揺れていく。続く「p.h.p」がいきなりヤバい。なんというかもう、2曲目にして山場が訪れたのかと思った。情熱と余裕を感じさせる小気味良いアンサンブルが実に痛快。UFOが飛び回るみたいに中空を滑空するシンセサイザーもバッチリで、続く「airam」でも鍵盤は主役を張っていた。リスナーを夢の中に引きずり込むような催眠めいた音色のイントロ、そして中盤の身体が浮き上がるようなソロプレイまで、妙に癖になるシンセフレーズが飛び出してくる。そして檄ポップな「블루 (beullu)」である。これはもうGeloomy流の80'sシンセポップだろうか? なんとまあ気持ちの良いエイトビートだろう。スケートリンクの上をスイスイと滑っていくような、快いベースとドラムが聴く者を笑顔にさせる。


内蔵に響くような(Geloomyだけにね)ズシンとしたベースが心地良いソウル「Black Cinema」から、未発表の新曲を挟み「bubblegum」へ。小腸がハマっているというハウスからの影響を反映した楽曲だが、打ち込みをメインとする音源とは変わってライブではバンド仕様に変形している。ハウス色を取り入れたロックナンバーといったところだろうか。曲が進むにつれてサイケデリックな雰囲気を醸し出していく中、4人の演奏にシンクロするようにフロアの熱も上がっていく。そしてファレル・ウィリアムス「happy」のカバーである。爽やかなポップソングである原曲に比べると、ボーカルの熱量も高く、どことなくソリッドな演奏だったように思う。というか、前へ前へと進んでいくようなスピード感のあるドラムは、まるでこのバンドの未来を示しているようではないか。

取り止めのないMCを挟み、ライブは折り返し。まろやかな「unknown」でスローダウンしたかに思われたが、「ここからは撮影OK」という認可が下りたことで、「antianti」から再びボルテージが高まっていく。示し合わせたようにキラー「Shock!!中毒」を持ってくるのもニクい。この曲はなんと言っても存在感抜群のベースである。腰を刺激するイケイケのディスコファンクにきっと誰もが痺れただろう。続く未発表曲「ibaraki(仮タイトル)」もすこぶる良い。軽快なタッチのドラムと滑らかなベースが心地良いR&Bで、ハンドマイクで歌うボーカルもバッチリ決まっている。おまけにキュートな音色の鍵盤にもほんわかするなど、聴きどころだらけの1曲だ。本当、早くリリースしてほしい。

そしてお待ちかね、この日のハイライト「occiput feat. aint lindy」 である。期待通り登場したaint lindyに歓声が上がると、Geloomyの演奏もことさら火がついていく。ボーカルふたりがマイクを分け合う歌唱はもちろん魅力的で、何よりも我を忘れて弾き狂うような終盤の小腸のギターソロが痛快だ。この瞬間、彼は誰よりも楽しんでいたのではないだろうか。本編最後は2025年のGeloomyの気分を反映したような闇鍋ソングーーもとい、サイケデリック・ディスコ・ファンク「The Mint Robbery」である。この1年間でリリースした楽曲を網羅的に演奏しつつ、最後にはキッチリ現行のモードを示すライブだったように思う。
アンコールではこの日22歳の誕生日を迎えた小腸をみんなでお祝い。3人のメンバーはそれぞれ誕生日プレゼントを渡し、誰が一番センスが良いかを決めてもらうという、これまた楽しそうというか、引き締まった演奏とは打って変わってだらっとしたMCでオーディエンスを楽しませている(私は肝臓が野菜を持ってきてびっくりした。優勝は腎臓、2位は肝臓、3位は肺)。

楽曲は上々、演奏はゴキゲン。でもMCは緩く、これが絶妙なバランスで成り立っていて面白い。8月にやったインタビューでは「音楽的な気持ち良さを追求しながら、売れたいという下心の両方がある」と語っていたが、風通しの良いクリエイティブを楽しみながら、肩肘はらず洒落っ気を持って突き抜けていけるやつらはカッコいい。結成から2年、ここまで完全自主でやりたいようにやってきた彼らは、これからもユルいまま刺激的な音楽を目指していくのだろう。ちなみに、このバンドの結成時に上がっていたリファレンスはEarth, Wind & Fire。曰く「根っこにあるのはソウルとディスコ。俺らの知らない時代を華やかに生きた人たちの精神性を忘れたくない」とのこと。マジでこの陽気さが眩しいのだ。
文:黒田隆太朗
撮影:pei the machinegun
RELEASE INFORMATION

Geloomy「macaroni and cheese」
2025年9月3日(水)
Format:Digital
Label:Geloomy
Track:
1.The Mint Robbery
2.hey!!!!!
3.bubblegum
4.unknown
5.occiput feat. aint lindy
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
2025年12月18日(木)「of BLUE LAB vol.11 by HOT STUFF」@WWW
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オフィシャルサイト@Geloomy_Band
@geloomy_
@geloomy
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