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2025.10.05
New Release Digest Part 1
みさと:9月29日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全27作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まずはLITE、EPです!
金子:10月9日からひさびさの北米ツアーが始まるLITEがEPをリリース。先行でリリースされているCovetのYvette Youngとコラボした曲だったり、いろんなタイプの曲が入ってるんですけど、表題曲の「The Beyond」に関してはTHE LITEな感じのテクニカルなギターフレーズ、ソリッドでタイトなリズム、巧みな展開が詰まった曲で。こういう真骨頂な曲を今出せるのは、この4人がやればどんな曲でもLITEになるという自信の裏返しかなと。
みさと:同感です。"20年前に戻った気持ちで作られた"と武田さんからコメントでいただいていて、さらに"バンドは有機的な生命体だと思ったときに、曲も同じようにもっと生き物みたいにうねうねと自由に紆余曲折のある生命体でいいと思って作った曲"とあるんですけど、このうねりというのがすべての楽器から感じられる、すべての楽器が歌っているような、LITEにしか作れない楽曲、楽しませてもらいました。続いて、petalheadがアルバムリリースです。
金子:ついにアルバムのリリースですね。petalheadもいろんな曲をリリースしてきて、さっきのLITEの話じゃないけど、「Called to the Shore」に関してはTHE petalheadな一曲。英語詞で、ジャジーな雰囲気があって、Jaimeさんの声を生かしつつ、でもちょっとインディポップ感もある。この絶妙なバランスはやっぱりpetalheadだなと。この曲はアルバムの最後に入っているので、いろんな旅をして、最後にもう一度ホームにたどり着くような、そんな感覚もあったかなと思います。
みさと:"私たち自身にとって本物だと感じられる音を見つけ、形にしました"とコメントをいただいているんですけど、LITEの話に通じるところで、20年の間でLITEにいろんなことがあったように、petalheadもきっと"自分たちらしさって何だろう?"とずっと模索してきた中で答えを見つけられたのがこの曲なのかなと思って聴かせてもらいました。まさに真骨頂というか、petalheadらしさが詰まっている一曲であり、作品になってるんじゃないでしょうか。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:sucolaの新曲を紹介しようと思います。
みさと:最高。
金子:sucolaはやっぱりいいですよね。"夏の終わりに聴きたいラブソング"をテーマにしたドリーミーな曲ということで、このテーマの曲が10月の頭にリリースされるのは意外な気もするけど、でも今の温度感からすると実はぴったり。やっと涼しくなってきたので、このタイミングに聴くのがいいと思います。あとはyopecoさんのコメントによると、去年の年末あたりからタイの音楽を頻繁に聴くようになったそうで、サウンド面はそういったところから影響を受けていると。Khruangbinでタイのファンクが注目されたり、最近だとHelsinki Lambda ClubとコラボしたFORD TRIOというバンドがいたり、タイの音楽は今、一部では盛り上がっているので、そこにビビッドに反応して、自分たちの曲に取り込んでいく、sucolaのリスナーとしての耳の鋭さも含めて、やっぱりいいなと思いましたね。
みさと:タイの夜って蒸し暑くて、妖艶で、エキゾチックな印象があるんですけど、そことも紐づくテーマ性だなと思っていて。"夜の静けさの中で生まれる、声にならない瞬間を書き留めました"というセルフライナーノーツもいただいてるんですけど、サビがセンテンスを切りながら展開するのも、聴き手が小さな余白に紐づくストーリーを想像できるというか。KiBiさんの空気をコントロールするボーカルが、明言できない夏の終わりの世界とすごくマッチしていて、sucolaの楽曲はどれも好きなんですけど、私的に一番かもしれない。いい曲でしたね。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。来ました!んoon。
金子:去年のアルバム以来、約1年ぶりの新曲。かっこいい!
みさと:かっこいい〜。
金子:リズムトラックはかなり攻めていて、ステレオなミックスが面白く、相変わらずの変態ベース。さらにはJCさんの非常にスムースなボーカルと、この組み合わせはんoon節として一つ完成されていますよね。完成されつつ、ちゃんとアップデートもしてる。非常にかっこいいなと。
みさと:本当に説明が野暮というか、んoonに関してはとにかく変態でかっこいいとしか言いようがないくらい(笑)。「ベースでラップしてる」と言っちゃう積島さんのことが大好きな私たちですけど、やっぱり今回も変態超絶楽曲だなあと思いました。終盤の大御所のような貫禄と、先進的というか常にチャレンジャーでい続ける姿勢も見えて、とにかくヒリヒリ、ドキドキしながら毎作楽しませてもらってます。ありがとうございます。タイトルの「HEBITORA」の意味もちょっとまだ汲み取りきれてないので、探っていきたいですね。続いて、江沼郁弥くん。ソロ名義でEPです。
金子:ソロ作品はひさしぶりなんですよね。DOGADOGAは今UK.PROJECTからのリリースですけど、ソロは今回もFRIENDSHIP.でのリリースと。でですね、今回の曲はplentyっぽいんですよね。DOGADOGAではplenty時代とは違うアプローチをしてるんだけど、「ことさら」に関しては非常にplentyっぽいなと思いました。プロデュースで山本幹宗くんが入っていることがポイントで、自分一人だとストレートなバンドアレンジをやるモードではないのかもしれないけど、第三者的な人が入ることによって、こういうストレートなバンドアレンジの曲もできたのかなと。めちゃめちゃいい曲でした。ちなみに、最近よく名前を出している、今年復活したthe cabsのドラムの中村一太くんって、the cabsが一度止まったあとにplentyで活動して、plentyが止まったあとにベルリンに行ってたんですよね。今回帰ってきて、またthe cabsをやってるんですけど、一太くん帰ってきたし、「plentyもやったらいいじゃん!」とすごく勝手なことを、この曲を聴くと思っちゃうんですよね。
みさと:そうですね〜。本当にplentyを思い出すし、江沼くんのど真ん中ってこうだったよなあと。そういう意味で感傷的になってしまう古いリスナーさんは多いんじゃないかな。着飾らなくても成り立つ声と音を持っているのが江沼くんだと改めて思いました。「ことさら」に関してはそのままループできそうな終わりになっていて、読後感というか、脳内をずっとループしているというのも、『ことさら EP』というタイトルにもつながっていくかなと。その作家性もやっぱり江沼くんらしいと思いながら聴かせてもらいました。彼は声変わりしたことがあるんでしょうか(笑)。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:miidaの新曲を紹介しようと思います。
みさと:アルバムリリース、おめでとうございます!
金子:3ピースのバンドになってからは初めてのアルバムです。これまでも曲を紹介してきましたけど、リリースの度に3ピースのバンドサウンドの音になっていって、これまでのmiidaをアップデートしてるのは間違いないですね。セルフライナーノーツを読むと、ミズキちゃん以外のメンバーも作曲に関わっているみたいで、そういう意味でも本当にバンドになったんだなという感じがしました。アルバムタイトルが『GUM』で、ジャケットにも3色のガムが描かれていて、そこにも3ピース感が出ていたし、『GUM』というワードからは日常感と少年性みたいな部分が感じ取れて、音楽がガムと同じぐらい日常的な存在になったということと、ガムを噛む男の子みたいな少年性、今でも"バンド"というものに対する憧れを持っている感じが今回のアルバムに詰まっているように思いました。
みさと:ガムって噛み続ければ噛み続けるほど味がじわじわと出てくるというか。すぐ隣にあるような存在で、特別なものではないかもしれないけど、あると嬉しい、つい手が伸びちゃう、その象徴のようなガムとmiidaの音楽はすごくリンクしているのかなと思いました。miidaが以前から大切にしているミズキちゃんらしい浮遊感だったり、ギターのかっこよさはありつつ、どんどんバンドになってきてるなと。3人全員が同じ方向を見れているというのが、本当にすごいなと思って。付き合い自体は20代の頃からあったみたいですけど、バンドになってからのこの短い時間で、ちゃんと目線が共有できているのは、やっぱり人選というか、人間関係の中で培われてきた信頼とか、そういうものが大きいんだろうなと感じました。miidaというか、ミズキちゃんの人間性もそこにすごく表れていて、"今のバンドの雰囲気いいんだろうなあ"なんて、勝手に想像しながら聴かせてもらいました。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。来ました、Guiba!
金子:Guibaは11月に3枚目のアルバムをリリースすることが決まっていて、そこからの先行シングル。これで3年連続、秋にアルバムをリリースすることになるので、制作のペースが非常に速いですよね。
みさと:それぞれのバンドがあるのに素晴らしいですよね。
金子:コンスタントに曲を作り続けているからか、曲のクオリティもどんどん上がっていて、今回の曲でもGuibaのポップスを一つ確立しているような印象を受けました。4人のアレンジはもちろん、鍵盤のアレンジ、コーラスのアレンジ含めて非常にクオリティが高くて、アルバムが非常に楽しみですね。
みさと:ちょっとイケてない、でも愛すべき男の哀愁をどの作品からも感じて、Guibaの曲を聴いてると自分の中の"うっかり・みさと"が救われるというか(笑)。"ちょっとミスっちゃったな"とか、"ちょっとうっかりしちゃったな"みたいな自分をよしよししてもらえるような楽曲に出会えると思うので、11月のアルバムが楽しみです。続いて、TIDAL CLUB。アルバムです。おめでとうございます。
金子:2020年に結成された仙台のバンドで、注目のレーベル・Oaikoからリリースの1stアルバム。ポストロックやシューゲイザーなどのジャンルを感じさせるポップス、ロックになっているんですけど、「ケトル」に関しては歌詞にくるりのオマージュが入ってて。
みさと:「ばらの花」ですね。
金子:そうそう。〈安心じゃない僕らはどこへ行こうね〉という歌い出しで。
みさと:いい作り方だなあ。
金子:〈安心な僕らは旅に出ようぜ〉と歌う「ばらの花」のオマージュになっていると。ちなみに「ケトル」は9曲目なんですけど、8曲目に「ホームタウン」という曲が入ってて、その曲の歌い出しは〈東京の街にきました〉。
みさと:もう大好きじゃん(笑)。
金子:これは明らかに狙ってますよね(笑)。オルタナの要素とポップスの要素を兼ね備えて、ちゃんと今のバンドとして着地してる。そんなバンド像が感じられました。
みさと:くるりの耳を奪われてしまうパンチラインというか、誰もが知ってるようなフレーズをオマージュするって、歌詞を引用するセンスと気概というか、覚悟も透けて見えてくると思うし、その(オリジナルの)フレーズに対して、自分たちがどう受け取って、自分たちの中ではどう消化してるのかというのが、(自分たちの)オリジナリティに繋がっていくと思うので、とてもいい引用をされていらっしゃると思います。歌詞、そしてサウンド面でも、聴き応えのあるアルバムになってたかと思います。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:Enfantsの新曲を紹介しようと思います。Enfantsも今年の1月以来のリリースですけど、ライブは国内外で結構やっているので、さらに地肩が強まっている感じが曲から伝わってきました。ヒリヒリとした緊迫感はまさにEnfantsなんですけど、今回の曲はプラス遊び心を感じられる要素が入っていて。出だしの変調されたボーカルもそうだし、Nirvanaをオマージュしたような〈ハロー ハロー〉が入っていたり。緊迫感と遊び心の両面性、それもEnfantsらしさなのかなと思いました。
みさと:うんうん、とにかく驚きました。正直な話、私の中で今までの作品はどうしても前身バンドをちょっと思い出してしまうところがあったんですけど、(今回は)全く別物というか、新しいスタートを感じさせてくれる曲だなと思いました。ここにたどり着くまでには3部作のEPのリリースが必要だったと思うし、EnfantsがEnfantsとしてバンドをしている意味、遊び心がすごく詰まっているように感じました。とっても好きです。
番組の後半はVivaOlaがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10