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2025.08.10

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!東京真中・Hitotonari・Nishikawa Yasunariほか全24作品 -2025.8.10-
New Release Digest Part 1
みさと:8月4日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全24作品の中から、Part-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。さあ、はじめましてさんが2組。まずは、mohutone。
金子:mohutoneはシナリオアートのハヤシくんが地元滋賀の友達と始めたバンドプロジェクト。シナリオアートはドラムのクミコさんも「vitaruun」というユニットをやっていたり、メンバーそれぞれがシナリオアートという軸を持ちつつ、自分のやりたい音楽を自由に始めていますね。本体のシナリオアートがあるからこそ、サイドプロジェクトは全然別軸の音楽性で、mohutoneはすごくフォーキーなサウンド。アルバムタイトルは『sohua』と書いて、"ソファー"と読ませるタイトルになっていて、"だらだらと過ごすことを許してくれるソファーのように、優しく寄り添う音楽"と"so far=遠くへ行ってしまった誰かや、何かを想いながら歌った音楽"というこのダブルミーニングもいいですよね。
みさと:素敵です。パッチワークでカラフルなソファーというよりは、モノトーンだけど生地の質が良くて、自分の肌に馴染んで包んでくれるような、そんな日常の中の温もりが音になった作品だなぁと。プロフィールにも"モフモフした柔らかい気持ちで活動中"といただいていて、まさにそういったコンセプトにぴったりなバンドであり作品だったかと思います。続いてもはじめましてさんです。揺れるは幽霊。
金子:こちらは2024年始動、岡山発のポストロックやシューゲーザーといったオルタナティブなサウンドを基調とする4人組。こういうサウンド感で、さらに女性ボーカルとなると、最近たくさんいる印象はあるんですけど、そういうバンドが岡山から出てきて、東京でもライブをやって、話題を呼んでいるというのはオルタナティブなシーンの広がりが感じられます。メロディーや節回しからは羊文学の影響も大きそうなんだけど、相対性理論の影響もありそうだなと思いました。女性ボーカルという点もそうだし、相対性理論はもともと匿名性の高い活動スタイルでも知られているわけですけど、最近のバンドは匿名性を重視した打ち出し方をしている人たちが多い印象があって、揺れるは幽霊からもそういう今っぽさを感じました。
みさと:匿名性で言うと、"自分の孤独に向き合ってみようというところからこの曲を作り始めた"とセルフライナーでいただいています。やっぱり外に出せない気持ちがあるからこそ、孤独感がより色濃くなったり、外に出したいんだけど、言えないもどかしさみたいなところが見せ方と曲作りでも通じているのかもしれないですね。今回は楽器から出るかっこいい音の成分と楽曲の中心であるボーカルの佐古さんの声をどう混ぜていくかにとてもこだわったと伺っていて、楽器も声も無理のない自然体の中で響く音がちゃんと形になっているなぁと。聴き心地のいい楽曲でした。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:東京真中の新曲を紹介しようと思います。
みさと:すごくいい曲!いいコラボですね。
金子:東京真中はこれまでボーカロイドを使って楽曲を発表してきたんですけど、今回は初めてリアルなボーカリストとコラボレーション。しかも相手がはしメロで、はしメロはもともとFRIENDSHIP.からリリースしていたわけなんですけど、MAISONdesに参加したりしてどんどん有名になって、ついにはメジャーデビュー。FRIENDSHIP.の出世頭の一人になっているような状態で。もう一人は9Lanaさんという歌い手的な活動している方が参加されてるんですけど、めちゃポップな仕上がりですよね。もともとボカロで曲を作ってきただけに、当然ボカロシーンの潮流も感じさせつつ、2人の変幻自在のボーカルが乗ることによって、楽曲としてのパンチがさらに上がっていて。これは東京真中のこれまでの楽曲の中でも、跳ねる可能性の高い一曲だなと思いました。
みさと:今回の曲はゲーム『ゼンレスゾーンゼロ』の新キャラクターからインスピレーションを受けて制作したそうです。ボーカロイドを入れるって作品に命を注入する感覚なのかなと思うんですけど、ゲストボーカルをキャラクター的に迎えるって、それとリンクしてるなと思っていて。ボカロPがゲストボーカルを迎えることと、ボカロPがキャラクターを迎えることは意味合いが違ってくるので、その精神性が守られているのがすごく素晴らしい着眼点だなと感じてます。また、ボーカロイドと生身の人間の違いである表現力が存分に表れてるし、ボーカロイドでもなくゲストボーカルでもない完成度という中間地点がすごく新しいなと。素晴らしい曲でした。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。こちらもはじめましてさん。新井恵理那さん。
金子:フリーアナウンサーの新井恵理那さん。テレビでもご活躍の方ですけど、彼女がシンガーとしてデビュー。
みさと:しかも一緒にやってるのが?
金子:宇宙まおさん。お二人は昔から友達だったらしく、今回宇宙まおさんが曲を書いて、新井恵理那さんが歌詞を書いていると。新井さんは絵を書いたり、ジュエリーのデザインなどいろんなことやっているみたいで、今回のカバーアートも新井さんが手掛けていると。
みさと:かわいい。
金子:さらにサウンドプロデュースとして、miidaのマスダミズキさんが参加。以前、宇宙まおさんとコラボレーションしてるので、もともと繋がりがあるわけですね。タイトルは「ぬるいシャワー」。新井さん本人が手がけた歌詞には、どっちつかずなもどかしい気持ちや、心の中にわだかまりがあって、なかなか洗い流せないような感情が言葉として表れていて。それをこのサウンドに乗せることで、自分の中で消化していくような感覚があると思いました。それはこの楽曲に関わった、ある程度近い世代の人たちが抱えている共通した悩みであり感覚なんじゃないかなとも思えて。いろんなクリエイティブをしているからこその視点だし、すごく面白い曲だなと。
みさと:お風呂の中の湿度の高さがしっかりサウンドメイクされていましたし、あと新井さんの低すぎない低音域と無理のない自然体の歌唱法が「ぬるいシャワー」ともリンクしていて、世界観がしっかり伝わってきた楽曲だったと思います。そのもどかしさの中に見え隠れする、ぬくもりというか、人の体温だけで終わらせないメロやサウンドアレンジが宇宙まおちゃんとミズキちゃんの成せる技。プロの仕事がすごく光っていました。続いてもはじめましてです。T.V.NOT JANUARY。
金子:こちらは2008年頃より東京で活動を開始した、アコースティックな音楽を基調とする4人組。今はメンバーがいろんなところに住んでるみたいなんですけど、静岡で暮らしてるメンバーの田舎にある木造の古屋で、時間をかけて少しずつ録音・ミックスをして、セルフプロデュースで作り上げたと。この後、アルバムが出るんですけど、先行シングルとして今回の「hasen」がリリースされるということですね。フォーキーで脱力感のある、ちょっと調子ハズレな歌と、田舎にある木造の古屋で作ったという感覚がリンクしていて、やっぱり場所と音楽はつながるんだなと聴きながら感じました。
みさと:歌詞は感覚的なんですけど、子供たちの咳払いとか田舎に住む虫たちの声とか工事の音なんかも入っているので、ストレートに飛び込んでくる曲。生活だったり命であったり、直球じゃないのに直球に聴こえるという不思議な感覚でした。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:Hitotonariの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回EPリリースです。
金子:彼らはもともと2013年に結成されている3ピースのバンド。プログラミングと生演奏を組み合わせたオーガニックな作風が持ち味ということで、このプロフィールを読んでも思うんですけど、She Her Her Hersとリンクするようなサウンドのイメージ。今回EPのタイトルが『薄墨』なんですけど、このちょっと淡いイメージもサウンドの感じとすごくリンクしていて、She Her Her Hersの持つ浮遊感にも通じるものがあると思います。その上で、リード曲の「スパイス」を聴くとちゃんとポップでもあるなと感じるし、先行で出てる「春の宵」はドラムンベースのビートが基調になっていて、ビート感を強めている感じもShe Her Her Hersとリンクするような部分がある。すでに仲良かったりするのかもしれないけど、一緒にやってもよさそう。
みさと:『薄墨』って滲みの要因と影のようにそこにしっかり残る側面、あともともとは真っ黒だったものが薄まったという見方もできるじゃないですか。それぞれの作品と照らし合わせながら芸術性も楽しめる、そういったEPになっているかと思います。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。さあ、福岡の奏人心。EPリリースです。
金子:少し前までライブ音源のリリースが続いていて、それは衝動を感じさせるライブならではの生々しさが魅力だったんですけど、ちゃんとした録音になるとまた違った味を感じました。パンクの背景はあるんだけど、しっかり歌と言葉を届けることができるバンドなんだなと、このEPを通して改めて感じます。さらにはメンバー3人とも今年20歳になるということで、今の彼らが感じる若さというものと向き合って言葉を綴っていて、「ユース・キャンドル」に関しては特にそういう曲なので、その感性もじっくり味わってほしい作品だなと思います。
みさと:青春や若さを描くことにおいて、街の存在って重要だなと思っていて。〈あの曲がり角で、あの交差点で、あの路地で、何を持って誰と一緒にいたか〉って、青春の1ページとしてハイライトのように思い浮かべられると思うんですけど、今回ジャケットの背景にさりげなく実在するビルや看板に福岡への愛が感じられるなんてことを資料でいただいているので、「あそこのことじゃない?」と発見がある作品になってるんじゃないかと思います。聖地巡礼のように思い浮かべながら、その場所で聴いていただくという楽しみ方もいいかもしれません。
金子:ジャケットの作画はメンバー自身がやってるみたいですね。
みさと:そこもまた素敵ですね。続いて、ズボンズ。
金子:FRIENDSHIP.からのリリースが始まり、前回紹介したときにリズム隊が新しく入れ替わっている話をしたと思うんですけど、今回に関してはオリジナルメンバーであるベーシストのムーストップも参加していると。
みさと:胸アツ!
金子:若い世代とも一緒にやりつつ、曲によってずっとやってきた仲間がまた参加してたり、こういう自由度もいいなと思うし、曲調自体ゴスペルの感じとか、反復で徐々に高揚していく感じはまさにズボンズらしさであって、オリジナルメンバーが参加しているというのが納得な仕上がりだなと思いました。
みさと:今回「Stop The War!」のコール&レスポンスパートが実際のライブでレコーディングされていると伺っていて、まさにライブで観たくなるような一曲だったし、この一言をたくさんの人が大声でその場で叫んでいることの力強さというか、心の中での連帯って今必要だなと思わせてくれるような一曲でしたね。そんなPart-3からはどうしましょう?
金子:Nishikawa Yasunariさんの新曲を紹介しようと思います。
みさと:最近Nishikawaさんすごくないですか(笑)?
金子:今年の1月に「Redux (feat. Kokayi) 」という曲を出していて、グラミー賞ノミネートの経験もあるKokayiをゲストに迎えた曲だったんですけど、今回もゲストを、しかも2組迎えていて。一人は韓国のラッパーのQim Isle、もう一人がBlack petrolのメンバーでもあるSOMAOTA。SOMAOTAは4月リリースのTAMIWのアルバムにも参加してましたけど、まあとにかくかっこいいですね。Nishikawaさんらしい変拍子を駆使したジャズ〜ヒップホップなトラックに、ラッパー2人が、インプロっぽい感じだと思うんですけど、ラップを乗せていって、しかもちゃんとポップス的なメロディも入ってる。アーティスティックな方向でも聴けるし、ちゃんとポップスとしても機能してる。Nishikawaさんはいつも聴いたことのないような音楽を作って、驚かせてくれますけど、今回もまさにそんな一曲だったなと思います。
みさと:ジャズともヒップホップとも言い切れないけど、それぞれの要素がしっかり飛び込んできて、それぞれのファンも楽しめるという間口の広さはある意味のポップスとも考えられるかなと思いますし、芸術や学問、哲学の歴史としての切り取りがよりスリリングに飛び込んでくる。Nishikawaさんと参加ゲストの才能のぶつかり合いがまた一つ形になったなと。ワクワクしました。
番組の後半はWAZGOGGこと、Wataru Fujiwaraがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10