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2025.06.15

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!Foi・AIHA AND JUN・SEVENTEEN AGAiNほか全17作品 -2025.6.14-
New Release Digest Part 1
みさと:6月9日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全17作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まずはT.M.Pです。
金子:T.M.Pもコンスタントにリリースが続いていますけど、今回の曲はこの夏に向けたドライブアンセムということで、インディロックな感じでしたね。ハイパーポップ的な、バキッとしたシンセのサウンドはほとんど使われていなくて、ギターがメイン。もともと"オルタナティブロックをハイパーポップで再定義する"というテーマがあったから、ロック的な側面はそもそもあったんだけど、今回の曲はよりインディロック的な感じ。リファレンスにもYuck、The Pains Of Being Pure At Heart、ART-SCHOOL、No Busesみたいな名前があがっていたりするので、ロック的な側面が強くて、ハイパーポップとかクラブシーンだけじゃなくて、バンドシーンにもアピールするような曲だったかなと思います。
みさと:夏の恋の歌がテーマで、夏の恋の歌って一瞬で駆け抜ける、燃え上がる熱と、刹那的な冷静さの2つの側面があると思っていて、今作はまさに冷静と情熱の間。海岸沿いをバーっと走ってる、そんな風景が思い浮かぶような、T.M.Pとしても新しい挑戦のサウンド感でとてもいい曲だったと思います。続いて、Arran Noir(アラン・ノワール)。
金子:去年まではALFRDという名義で活動していて、その名義のときからFRIENDSHIP.でリリースしてたんですけど、今年からArran Noirという名前に改名したと。音楽的にはALFRD時代から通じるものがあって、当時からフランク・オーシャンとか宇多田ヒカルが好き、みたいな話があったと思うんですけど、今回の曲もネオソウル的なテイストがあって、WONKとも通じるような雰囲気があったりする。アレンジはWez AtlasのバックDJ・サウンドプロデュースをしているnonomiが今回手掛けているとのことで、Wezくんと通じる部分もありつつ、でもWezくんのポップな世界観ともちょっと違う、セクシーで雰囲気のある感じはやっぱりこの人の個性だなという感じがして、かっこよかったですね。
みさと:Robert Glasperの『Black Radio』シリーズが好きな方には刺さりそうな上質さと、ストリートの融合みたいなところの位置づけがすごく好みでした。日本語のラップがのることによって、オリジナリティがしっかりとアウトブットされていたかと思います。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:Foi(フォイ)の新曲を紹介しようと思います。
みさと:Foiの新曲、すごく良かった。
金子:Foiさんは一昨年にGhost like girlfriendの曲にフィーチャリングで参加してましたが、単独名義ではFRIENDSHIP.からはひさびさのリリース。今回「ファジーボーイ」というタイトルで、この言葉には"ハッキリしない、ぼやけた恋を手放す"という意味を込めていると。で、この感覚を表すために、楽曲自体もあまりドラマチックな展開はなくて、淡々と進んでいく感じ。でもすごくかっこいい音で、Vaundyの「踊り子」をLaura day romanceが演奏したらこうなる、みたいな(笑)。
みさと:絶妙(笑)!
金子:「踊り子」は多分リファレンス元がRex Orange Countyだったりすると思うんですけど、そういう海外インディ感もFoiさんの歌声にはすごく合うし、いい曲でしたね。
みさと:しっかりのれたり、歌える側面もありながら、アレンジ感によってLaura day romanceのモヤがかった雰囲気にも通じるというのは本当に絶妙な表現だなと思いますし、日本語で歌唱しているんだけど、歌唱全体からアジアの風が感じられるというのは、日本と中国にルーツを持つFoiさんだからこその質感。アイデンティティとしても伝わってくる1曲だったかと思います。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。まずはCarpenter'sBlue。
金子:リリースは結構ひさしぶりで、一昨年にLarks Louというバンドとスプリット「phenomenon」を出してるんですけど、それ以来の新曲。ちなみに、「Next Music From Tokyo」という、日本のインディバンドをカナダに紹介するイベントが昔からあって、昨年はHammer Head Sharkも参加してるんですけど、今年はTattletaleとかと一緒に、彼女たちもそのイベントに出演することが決まっています。
みさと:良さそう。合いそう。
金子:今名前を挙げたバンドにも通じるようなオルタナ感は彼女たちの魅力で、エモーショナルな側面もあるんだけど、前半のポリリズムとか、ちょっとひねくれた感覚も持ち合わせていたりして、魅力的なバンドだなと思いました。
みさと:イントロから耳を奪われるというか、手数がしっかりあるサウンドに引き算されたボーカルパート、伸びやかさと力強さも共存したボーカルというのが作品の中で一つの楽器として独立していて、言葉の意味が伝わらずともバンド自体の魅力が伝わるような、海外に向けてのアプローチというのがすごくぴったりなバンドですね。
金子:「papipupession」っていうタイトルからしてユニークですよね。
みさと:「papipupession」って"パピプペボ"から来てるはずだから、日本語のニュアンスもしっかり残していて、ジャパニーズ発なところもいいですね。続いて、ゆうらん船です。
金子:7月のアルバムリリースに向けて先行配信の曲が続いてますけど、今回の「Crack Up!」は前半The Beatles的な感じがありつつ、途中でジャズのセッションみたいな展開になり、そこから終盤にかけて一気に爆音になるという。このサイケ感はやっぱりゆうらん船らしい。結構音量差があって、ヘッドホンで聴くとびっくりする。
みさと:びっくりした(笑)。
金子:一曲の中での音量差は抑えるもので、あまり差をつけないことが一般的だと思うんですけど、それをあえてやっちゃう感じも含め、ゆうらん船らしいなと。その上でちゃんとポップだし、さすがの1曲でしたね。
みさと:Aさんが聴けばフォークロックに感じるし、Bさんが聴けばサイケだし、Cさんが聴けばピアノポップだし、Dさんが聴いたらピアノロックだし、みたいな。聴く人それぞれが感じ取れる懐の深さは、これまでも毎回感じていましたが、今回は特にそれが強く伝わってくる一曲だと思います。アルバムが楽しみですね。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:AIHA AND JUNの新曲を紹介しようと思います。
みさと:ユニット名がまずいいよね。シンプルに。
金子:過去にはソロでFRIENDSHIP.からリリースしたこともある日暮愛葉さんと、COMEBACK MY DAUGHTERSなどでもベースを弾いていた稗田淳さんのユニット。お二人は私生活でもパートナーということで、そのまま名前の連名によるユニットで今回初めてのリリースです。日暮愛葉さんを昔から聴いてる人からすると「待ってました!」という感じの、音数の少ないソリッドでオルタナなサウンド。まさにSEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER時代から愛葉さんのトレードマークになっている部分がありつつ、ただ今回はドラムがない、ギターとベースだけで、ここまでプリミティブにしちゃうという。でもそれはこの演奏であり、この歌声があるからこそできることだと思うし、"私たちがやるのはこういうことです"っていう、所信表明になっているような一曲でした。
みさと:やっぱり"シド・アンド・ナンシー"が頭には降ってくるんですけど、歪みであったり、美意識であったり、ちょっとBLANKEY JET CITYを連想させたりだとか。その時代のある種のオルタナを愛していた音楽好きにとってもたまらない。この二人がやるところにストーリーがあるはずなので、まるっとファンになっていただければと思います。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPsrt-3でした。リリースおめでとうございます。アツムワンダフルさん、一服trackシリーズをコンスタントに出されております。
金子:今回はウイスキーのBARをイメージして作った曲ということで、僕はお酒弱いのであんまりウイスキーは飲まないんですけど、このスモーキーなイメージはわかる感じがします。お酒と音楽といえば、FRIENDSHIP.的には、ゲストにも来てくれたTHE LOCAL PINTS。クラフトビールを音楽に変換してるわけですけど、夏になればビールのシーズンだと思うので、アツムさんにも今度はクラフトビールで1曲作ってもらったりとかしたらいいんじゃないかな。
みさと:嗜むお酒の種類によって聴きたくなる音楽って変わりますよね。クラフトビールとTHE LOCAL PINTSは本当にイメージ通りだし、こういったウイスキーのBARをイメージして作られた曲だとちょっと大人の香りがしますよね。でも、きっとこのバーでは人との交流もあるんだろうなという、どっぷり深夜のバーというよりは、人が交流しているような、楽しそうな雰囲気もすごく伝わってくるので、それぞれのお酒に合わせて作ってほしいですね。続いて、オレモリカエル。アルバムです。
金子:マンドリンとかフルート、オーボエのメンバーなども含む11人組ですけど...。
みさと:壺のメンバーもいらっしゃるんですか?
金子:みたいですね。さらにはVJも加わって現在の体制になっているそうなんですけど、アルバムとしては5年ぶり3枚目と。今回紹介している「sugar」はアルバムのラストの曲で、鉄琴や管楽器が入っていて、ファンタジックでもあり、牧歌的でもあるような世界観を作りつつ、後半には結構歪んだギターが入ってくるので、バンド的な重量感もあって、まさにラストにふさわしいような一曲。チーナとかとすごく相性良さそう。もしかしたらもう仲良かったりするかもしれないけど、一緒にやっても良さそうだなと思いました。
みさと:日常に寄り添ってくれる歌詞の世界観を感じるけど、11人編成ってあんまり日常的じゃないじゃないですか。編成は日常的ではないんだけど、日常をちょっと彩ってくれる、この11人だからこそできる技なんだなと感じられる大作だったと思います。
金子:『おめかし』というアルバムタイトルで、まさに日常と非日常を行き来するような感覚がテーマになっているそうなので、その感覚が味わえるんじゃないでしょうか。
みさと:そんなパート3からどうしましょう?
金子:SEVENTEEN AGAiNの新曲を紹介しようと思います。FRIENDSHIP.からのリリースは初めてなんですけど、このバンドがFRIENDSHIP.からリリースしてくれるというのは僕的には結構胸アツでして。SEVENTEEN AGAiNは2000年代から活動しているキャリア的には長いバンドで、パンクシーンを出自に持ちつつも、よりポップなサウンドだったり、幅広い楽曲をずっとやってきているバンドで、2010年代以降はNOT WONKもリリースしていたKiliKiliVillaというレーベルからリリースしていて。
で、NOT WONKは北海道にずっといて、2010年代の終わりにはメジャーからのリリースをしたりしてたわけですけど、SEVENTEEN AGAiNはずっとインディな活動を続けてきて、「リプレイスメンツ」というイベントをずっとやっていて、それがまさにパンクとかオルタナのシーンをずっと盛り上げてきたイベントなんですよね。
で、今はコロナ禍を経て、オルタナシーンがすごく盛り上がっているわけで、言ってみたらだけど、SEVENTEEN AGAiNみたいなバンドが頑張ってきたからこそ、今のシーンがあるとも言えると思うんですよね。で、そのバンドが今回KiliKiliVillaではなく、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのゴッチさん(後藤正文)のレーベル、only in dreamsからリリースをすると。ゴッチさんはアジカンというどメジャーなバンドにいながらも、ずっとインディのシーンをサポートして、応援してきた人なので、「そこが組むんだ!」っていう、この物語は個人的に胸アツなので、この後に出るアルバムはまたじっくり紹介したいなと思います。
みさと:そのストーリーを聞いた上で、「想像力ばかり育ち過ぎてどこにも行けなくなった」っていうタイトルを聞くと、まったく違う意味に響いてくるんですよね。想像力って本来であればプラスに働く言葉のはずだけど、大人になればなるほど、経験すればするほど、それが足かせになってしまう、行動力を失わせてしまうものでもある。でも今のストーリーを聞くと、よりいろんな想像を掻き立てられますね。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10