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2025.01.12
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!東京初期衝動ほか全9作品&特別企画「2025年の活躍に期待!みさとと厚武の推しゴト」 -2025.1.11-
New Release Digest Part 1
みさと:1月6日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全9作品を一気にご紹介しました。リリースおめでとうございます。お正月ボケ解消にふさわしいこの曲、downy。
金子:強烈でしたね。
みさと:いやぁ、目覚めました。
金子:downyは今年結成25周年。FRIENDSHIP.のキュレーターでもある青木ロビンさんが所属しているバンドなわけですけど、今回コメントもいただいていて、「このバンドで初めて曲を作るつもりで作った」「続けることで得るもの失うもの全てを入れ込んで、もはやジャンルもなく、拍子という概念も取り払った新譜です」と。
みさと:本当にそうでしたね。
金子:本当に全てが詰め込まれているというか、今回ゲストとしてeksperimentoj (エクスペリメントイ)というバンドの若命さんと、zezecoのmanukanさんが参加していて、zezecoはロビンさんとmanukanさんのユニットで、若命さんもロビンさんとDhalっていうユニットをやってたりするので、ロビンさんと関係値のある人たちがdownyに一斉に参加してるんですよね。曲自体は「拍子という概念も取り払った」という言葉通り、いつもそうっちゃそうなんだけど、初聴きだと全然拍子が取れない(笑)。ハードコアなリズム隊、後半から入ってくるギターのノイズもあれば、エレクトロニックなノイズもあれば、そのサウンドの重なり具合もかっこいいし、ロビンさんの歌声がまたさらに生々しくなったような感じもあったりして。まさにこれはアニバーサリーイヤーの一発目にふさわしい、強力な曲だなと。
みさと:お二人がゲストに迎えられたっていうのも、まさにこの25周年の中での関係値が見えてきますし、「日蝕」というタイトルですけど、通常は地球よりも太陽よりも小さいはずの月が太陽を隠すっていうのは距離の作用ももちろんあるとはいえ、あり得ない状況で。やっぱり通常ではないんだけれども、長い時間をかけて生まれる、奇跡の瞬間って考えると、まさに25周年というタイミングにふさわしい概念なのかなと思いました。
金子:downyはこれまでも"月"をテーマにすることが多くて、このタイミングでの「日蝕」なので、そこにも物語があると思いますね。
みさと:「日蝕」の蝕は「蝕む」って書くじゃないですか。この感じもdownyのソリッドでエッジの効いたダークなサウンド感にあっていて、素晴らしい一曲でしたね。続いて、Kaori Kusuhashiさん。
金子:北九州の出身ということで、FM FUKUOKA的にもぜひみなさんに聴いていただきたいアーティストですけど、さらに今回は北九州を代表するルースターズの曲からインスピレーションを受けて、めんたいロックをイメージしながら作ったと。
みさと:DNAに刻まれてる感じがしますね。
金子:ただ今回の曲は縦ノリのロックンロールという意味では確かにめんたいロック風なんだけど、でも曲調自体はポップで、これは歌詞のテーマがちょっとシビアだからこそ、曲調はポップにしているということなんですよね。タイトルが「R.V.P」、これはリベンジポルノを表していて、シビアな内容をテーマにしているからこそ、ポップな明るめのサウンドに仕上げてるっていう、その対比も楽しんでもらえる楽曲になっていると思います。
みさと:まったくポップじゃない内容をこんなにポップに歌うと、めんたいロックの力も相まって世の中に届けやすくなるんだなっていうのを見せてもらいました。Kaori Kusuhashiさんの曲からは社会への風刺というか、切り取りという面で、すごく切れ味の良さを毎回感じていたんですけど、今回「めんたいロック」っていう一文があることによって少し開かれた印象があって。サウンド的にもとっても聴きやすい。彼女の曲の中でもとってもポピュラーな、聴き馴染みの良さが全面に表れている曲かなと感じました。そんな1月6日週の中からどの曲をピックアップしましょうか?
金子:東京初期衝動の新曲をピックアップします。
みさと:今回は『pink II』ということで、 EP 5作目となります。
金子:資料には「現在のバンドの状況を反映した攻めの作品」とありますね。前作『pink』が「守り」とすれば、今作は「攻め」だと。2024年はSXSWがあったり、FUJI ROCK FESTIVALがあったり、ライブもガンガン外向きに行っていたので、その勢いのまま攻めの作品になったということでしょうね。実際バンドサウンドには攻めのモードがすごく表れていて、今回5曲入りなんですけど、最初の4曲がthe peggiesの、現在はQ.I.S.というソロプロジェクトをやっている北澤ゆうほさんがプロデュースをしてて、5曲目が田渕ひさ子さんのプロデュース。そういう力も借りながら、研ぎ澄まされたバンドサウンドを堂々と鳴らしています。で、1曲目が 「LSD」 。
みさと:攻めてますよね。
金子:タイトルからして"おっ"という感じがしますけど、彼女たちの作風は苦しみだったり、「岡崎京子のあの娘になりたかった」だったら嫉妬心だったり、マイナスな、ネガティブな感情なんだけど、それを否定しないで、それも自分だと受け止めて、前向きに転換していくことを歌っていると思うから、この攻めのサウンドにそういう言葉が乗ることによって、より響く曲になっている印象を受けました。
みさと:切り取る部分によっては痛々しい部分もあるし、イヤな女の側面を見たりもするんだけど、それも含めて現実だよっていうことを最前線で声を出してくれてる感じがしていて。それに救われてる女の子は絶対いるし、もしかしたら、一緒に闇に落ちていく瞬間も生まれているかもしれないけど、遠回りなようでも、これが近道なのかなと思わせてくれるような楽曲のアウトプットがいつも素敵だなと思っていて。守りと攻めがセットで世の中に出ることになって、これが一つパッケージとして完結したときに、受け取った人たちがどう思うのかがすごく楽しみな作品です。
特別企画「2025年の活躍に期待!みさとと厚武の推しゴト」
みさと:続いては年始のスペシャル企画です。「2025年の活躍に期待!みさとと厚武の推しゴト」!もともとは私が推しを熱く推しまくる企画だったんですけど、年始のタイミングでは厚武さんと一緒に推しゴトをやっております。
ということで、年末には2024年のNo.1を決めましたけど、それとはまた別で今年上がっていくんじゃないか、もしくは今年頑張って欲しいとか、そういった意味を込めて2組ずつ私たち選んできました。まずは私から1組目です。Geloomy!
金子:なるほど〜。
みさと:これは単純に「最近何の曲聴いてるの?」って聞かれたときに、「Geloomyだけど」って言いたい(笑)。「知らなかったけど、めっちゃかっこいいね!」って言わせる自信があるというか、2024年に初めて出会ったときに、「なんだこれ!?絶対ハネる!」って、中の人の存在を知らなくても高揚してしまった。
そして、調べれば調べるほど、「なるほど!」と思ったバンドでもあったので。番組を聞いてくださってる早耳リスナーさんの中には、Geloomyもちろんご存知の方もいらっしゃると思うんですけど、これを出すと、「あ!知ってるね!」っていう感じに、「おしゃれなの聴いてるんだね!」っていう。
金子:ちょっと人に自慢できると(笑)。
みさと:そうそう、人に自慢できる。やっぱり、そういう感覚も大切だなと思って。実際に2024年から活動の幅もどんどん広がっていますし、フォロワー数も数万人になってきているという注目度も含めて、2025年もっと行くでしょう。先週リリースになったばかりの新曲がありますので、一度聴いていただこうと思います。
金子:まず大前提として、Geloomyかっこいいですよね。ただ、ここからどう活動していくのかっていうところが気になる。
みさと:正直言うと、2024年もう一息行くかなと思っていたんですよ。プロモーションの仕方とか、どこまで開示して、どこまで攻めていくのかなって思ってたじゃないですか?もっと行くかと思ったら、「そうか、そういう感じで2024年は終わるんだな」って。ただ、2025年1月の初週に曲を出したっていうことで、ここに標準を合わせてきたんだなと勝手に解釈したので、2025年の曲にして、そういう意味でちょっと楽しみですよね。
金子:さて、ここからどうなっていくのか。
みさと:では厚武さんの推しゴト、1組目をお願いします。
金子:僕の最初のアーティストは、Pablo Haiku。
みさと:そうよ、そうなのよ!ニュース見た!
金子:12月に特大の発表がありました。JR SKISKIのキャンペーンソングを担当すると。
みさと:もうこれアレじゃん。売れ線の、大抜擢と言いますか。
金子:結構な大抜擢ですよね。
みさと:広瀬香美になれるかもってことでしょ。
金子:広瀬香美はアルペンかな(笑)。JR SKISKIのキャンペーンソングもこれまで有名なアーティストがたくさんやってきた枠で、正直Pablo Haikuは世間一般の知名度で言うとまだまだこれからで、ラジオで火がつきつつあるくらいのタイミングですけど、早耳なご担当の方が見つけてくれたのか、僕らが推してたのが少しは気づいてもらえたのかわからないけど、とにかく大抜擢されてしまったので、本当に売れちゃってほしいなと。
この番組ではずっと紹介してきましたけど、彼らはロックとヒップホップのいいとこ取りで、日本のラップシーンも盛り上がってますけど、こういうUKロックとかの匂いが入ってるのはいそうでいなかったタイプのアーティストだし、最近はエンジニアの中村公輔さんが参加するようになって、音響的にも、サウンド的にも面白い方向に進んでいて、音楽玄人から見ても気になる存在になってきているので、2025年かなり楽しみ。
みさと:「最近何聴いてるの?」「Pablo Haiku!」これも言いたいよね(笑)。
金子:で、CMで曲が流れ始めたら......。
みさと:「前から知ってたけど!」って言いたいやつですよ。
金子:そのためにも、まずは現時点での最新曲を聴いておいてもらいましょう。
みさと:予習お願いいたします。
みさと: SNSのリールとかでこういう曲使っちゃうと、おしゃれでたまらないですよね。
金子:ちなみにJR SKISKIのキャンペーンソングを担当することが発表されて、その後に自己紹介的な感じでYouTubeで「Pablo Haikuメンバーに聞く"10の質問"」という動画を上げてたんだけど、その中で今後の目標として、「ラジオやりたい」って言ってた。
みさと:え?もうそれはFM FUKUOKAさんで!まずはうちの番組に出ていただいて、練習していただいて......すぐに呼びましょう!
金子:2025年中には必ずお呼びしたいですね。
みさと:乞うご期待です。続きまして、私の推しゴト2組目は、壱タカシさん。
金子:いいですね。
みさと:LGBTQ+を公表しているアーティストってFRIENDSHIP.も何組かいるじゃないですか。でも傾向としてルーツに日本以外がある人の方がオープンにしやすいというか。やっぱり、日本よりも海外の方が少し進んでいるというところも含めて。
金子:Otomodatchiとかね。
みさと:そうそう、Amiideとか、Kenzo Martiniさんとかもそうだと思うんですけど、壱さんは岐阜出身の方で、公表しながら、それがあったからこその歌詞世界をずっと届けていらっしゃる方で。新しい年の区切り目になったことで、日本がもっと全ての人に選択肢が与えられるような国になって欲しいなという願いを込めて、壱さんを選びたいなと思いました。性自認と性的指向の違いもすごく大切だし、センシティブなことだからこそ、そこに触れないのではなくて、丁寧に膝を付き合わせて語り合えるような、そんな2025年になって欲しいなっていうのはすごく感じてるんですよね。こういう話をしてしまっている時点でまだ特別視をしているけれども、そうじゃなくて、もっと当たり前に話せるような形で。壱さんを紹介するときにも、こんな話をせずにアーティストとして紹介できるようにしていきたいと思ってはいるけど、やっぱり現状としてはこの説明があってこそ、また聴いてもらえるっていう段階ではあるのが事実だと思うので、そういった願いも込めて。2024年の3月に出した楽曲「プラズマ」が、音楽的にも本当に素晴らしい。
金子:壱さんいつもトラックかっこいいですもんね。
みさと:この楽曲はBLOCKYYYと共同プロデュースをしていた楽曲で、トラップ要素があったり、ジャジーな感じとか、歌詞世界もすごくアダルトな恋愛の歌なので、そこにフィットした1曲のパッケージとして素晴らしい楽曲だったなと思って、この曲を選びました。
みさと:壱さん、いいですよね。
金子:トラックもいいし、歌自体もすごく魅力的。みさとさんが言ってくれたように、シンプルにポップミュージックとして、わざわざ歌詞の内容について語らなくても、単純にラブソングとして楽しんだりとか、そういうことでも全然いいと思う。もっと広まってほしいアーティストの一人ですよね。
みさと:さあ、厚武さんの2組目の推しゴトはどなたでしょう?
金子:2組目は、Cruyff。
みさと:Cruyffか!
金子:2024年はライブハウスシーンでのオルタナティブロックの盛り上がり、エモやポストロックの盛り上がりの話をずっとしてきて、2020年代も今年からいよいよ後半に入るわけですけど、そういうオルタナのシーンがよりオーバーグラウンド化していく、もしくは音楽的により洗練されていく、深まっていく、みたいなことを考えたときに、Cruyffというバンドは2024年にいち早く今のオルタナティブシーンの一歩先を示したバンドだったなと。今から「Halcyon」という曲を紹介しますけど、このリリースタイミングでDJのarowさんという方が加わって、かなり音響的な側面を強めた9分弱の曲で。
みさと:すごいですよね、旅ですよね。
金子:そうそう。バンドにDJがミックスで関わってるわけですけど、それってフィッシュマンズとエンジニアのzAkさんの関係みたいな、それこそ音響的な側面が加わることで旅のような感覚を与える、フィッシュマンズで言う「Long Season」的な、Cruyffにとってのそういう1曲だったのかなという感じもして。現在ストレートにオルタナティブロックをやってるバンドの中から、例えば、エレクトロニックにもっていく人が現れたり、もっとライブでの盛り上がりに特化した人が現れたり、2025年はシーンがいろんな方向に分岐していくんじゃないかなという感じがするので、その象徴としてもCruyffを推したいなと思います。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10