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2024.11.28
人気テレビ番組「シナぷしゅ」への楽曲提供や菅原小春ダンス公演『SUGAR WATER』の音楽制作など、ますます活動の場を広げている5人組グループ、チーナが3年ぶりの新作『iroiro』をリリースした。全6曲入りのミニアルバムだが、内容は以前にも増して多彩そのもの。抒情的なものからハードなものまでバラエティに富んだ作風が、この5人ならではの息の合ったプレイや緻密なアレンジによって、"これこそチーナ・サウンド"というべき唯一無二の音世界にまとめあげられていく。
リード・ヴォーカルとピアノ演奏を務める椎名杏子は、もちろんアルバムすべての楽曲の作詞・作曲も担当。俳優・黒田大輔が主演したMVも話題の2曲目「てを」、さらに3曲目「匂い」と、いきなり歌から始まるナンバーが続くのも強い印象を残す。"一音、一文字たりとも絶対おろそかにするものか"的なキメの細かい歌唱から、彼女がいかに言葉と旋律の関係に留意しているかが伝わってくる。前述「匂い」には"止まる時もあるけど"というパートが4回出てくるのだが、その2回目と4回目に登場する"ど"の音使いにも私は猛烈に鋭いセンスを感じた。5曲目「裸の王様」のエンディングの余韻のなさにも"そう来たか!"と拍手を送りたくなった。
柴由佳子のヴァイオリンは、"奏であげる"という表現がぴったり。前奏部分での活躍はもちろん、歌に絡みつくように音色を響かせるパートも美しい。いわゆるエレクトリック・ベースではなくコントラバスを採用しているのもチーナの特徴で、林絵里はピチカート(指弾き)とアルコ(弓弾き)の双方で流麗なプレイを展開。ドラムのHAPPYはコントラバスと一体となってバンドの底辺を支え、スネアの明快な出音でも大きな存在感を示す。ギターのリーダーは、"歌の引き立て方"と共に"歌への刺激の与え方"をも熟知しているに違いない。時にロング・トーンで空間に音を充満させていくようなアプローチは、ヴァイオリンやコントラバスのクラシカルな響きと、なんとも味わい深くブレンドする。
歌詞の世界も何ひとつ気取っておらず、それでも未来への展望は捨てていない。〈景色は次第に変わってゆく その先はきっとましさ〉(「龍と魚」)、〈どこかの家の夜ご飯 なぜか優しい気持ちにしてくれる〉(「匂い」)、〈単純じゃない人生は 単純に言っておもしろい〉(「じゃない」)──こうした言葉に共鳴できたら、あとは『iroiro』に耳を傾けるだけだ。
活動の場を広げたことで、椎名杏子は「改めてチーナの音楽って結局どんなだっけ?と考え、俯瞰し、立ち返ることができたように思える」という。色とりどりの音楽性を持つ『iroiro』は、古参ファンはもちろん、チーナ入門編としても多くの聴き手に訴えるはずだ。
文:原田和典
チーナ「iroiro」
2024年11月20日(水)
Format:Digital
Label:FRIENDSHIP
Track:
1.龍と魚
2.てを
3.匂い
4.じゃない
5.裸の王様
6.きいろいうみ
試聴はこちら
※CDは会場と通販限定で発売中
@chi_na_official
リード・ヴォーカルとピアノ演奏を務める椎名杏子は、もちろんアルバムすべての楽曲の作詞・作曲も担当。俳優・黒田大輔が主演したMVも話題の2曲目「てを」、さらに3曲目「匂い」と、いきなり歌から始まるナンバーが続くのも強い印象を残す。"一音、一文字たりとも絶対おろそかにするものか"的なキメの細かい歌唱から、彼女がいかに言葉と旋律の関係に留意しているかが伝わってくる。前述「匂い」には"止まる時もあるけど"というパートが4回出てくるのだが、その2回目と4回目に登場する"ど"の音使いにも私は猛烈に鋭いセンスを感じた。5曲目「裸の王様」のエンディングの余韻のなさにも"そう来たか!"と拍手を送りたくなった。
柴由佳子のヴァイオリンは、"奏であげる"という表現がぴったり。前奏部分での活躍はもちろん、歌に絡みつくように音色を響かせるパートも美しい。いわゆるエレクトリック・ベースではなくコントラバスを採用しているのもチーナの特徴で、林絵里はピチカート(指弾き)とアルコ(弓弾き)の双方で流麗なプレイを展開。ドラムのHAPPYはコントラバスと一体となってバンドの底辺を支え、スネアの明快な出音でも大きな存在感を示す。ギターのリーダーは、"歌の引き立て方"と共に"歌への刺激の与え方"をも熟知しているに違いない。時にロング・トーンで空間に音を充満させていくようなアプローチは、ヴァイオリンやコントラバスのクラシカルな響きと、なんとも味わい深くブレンドする。
歌詞の世界も何ひとつ気取っておらず、それでも未来への展望は捨てていない。〈景色は次第に変わってゆく その先はきっとましさ〉(「龍と魚」)、〈どこかの家の夜ご飯 なぜか優しい気持ちにしてくれる〉(「匂い」)、〈単純じゃない人生は 単純に言っておもしろい〉(「じゃない」)──こうした言葉に共鳴できたら、あとは『iroiro』に耳を傾けるだけだ。
活動の場を広げたことで、椎名杏子は「改めてチーナの音楽って結局どんなだっけ?と考え、俯瞰し、立ち返ることができたように思える」という。色とりどりの音楽性を持つ『iroiro』は、古参ファンはもちろん、チーナ入門編としても多くの聴き手に訴えるはずだ。
文:原田和典
RELEASE INFORMATION
チーナ「iroiro」
2024年11月20日(水)
Format:Digital
Label:FRIENDSHIP
Track:
1.龍と魚
2.てを
3.匂い
4.じゃない
5.裸の王様
6.きいろいうみ
試聴はこちら
※CDは会場と通販限定で発売中
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オフィシャルサイト@chi_na_official