SENSA

2024.11.27

フレデリックとLucky Kilimanjaro、POOLSが夢の対バン。最高の親和性で燃え上がった『802 Jungle Attack』レポート

フレデリックとLucky Kilimanjaro、POOLSが夢の対バン。最高の親和性で燃え上がった『802 Jungle Attack』レポート

11月18日(月)、大阪のライブハウス・GORILLA HALL OSAKAと大阪のラジオ局FM802、プレイガイド・イープラスが共同で主催する『802 Jungle Attack』が行われた。本イベントは、大阪のライブハウスカルチャーを推進すべく始まった、3者主導の新プロジェクト。キャリアやメジャー、インディーズに関係なく、FM802スタッフが自信をもっておすすめするアーティストを、ラジオ、ライブハウス、WEB、様々な切り口でPUSHしていくというもの。今年8月に行われた初回にはThis is LAST、ビッケブランカ、Mr.ふぉるてが出演した。2度目の開催となる今回の出演者はフレデリック、Lucky Kilimanjaro(以下、ラッキリ)、そしてO.AにはPOOLSが登場。音楽業界の誰もが待ち望んだ組み合わせのライブは本当に素晴らしい親和性で、まるでスリーマンライブかのように盛り上がった。そんな最高の夜の模様をレポートする。

この日のチケットはソールドアウト。開場時間になり、続々とオーディエンスが入場する中でステージに現れたのはFM802 DJの土井コマキだ。イベント概要を説明した後、FM802とHIP LAND MUSICが運営するデジタルディストリビューションサービス・FRIENDSHIP.関係者によるオーディションで選ばれたO.AのPOOLSを紹介する。POOLSは、2019年夏に京都で結成されたドリーム&インディーポップバンド。土井は「フレデリックとラッキリにすごく似合うんじゃないかと思いますので、O.Aから楽しんでいただきたいです。こんなに大きな会場でライブをするのは初めてだと言っていたので、応援してあげてください!」とPOOLSを呼び込んだ。

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サポートベースを迎えた4人編成でステージに上がった、みきりょうへい(Vo/G)、いでの(G)、佐野マリナ(Dr)。今年7月にリリースされたショートチューン「wave」を気合いたっぷりに轟音で鳴らすと「POOLSです、どうぞよろしく!」とみきが叫び、インストナンバー「meme(ii)」から最高にポップでキラキラしたロックナンバー「KICK-ASS」へ、さらにシームレスに「luv(2u)」へと駆け抜ける。最初こそ少し緊張したような表情を見せたが、曲が始まるとすぐに4人とも笑顔でプレイ。クリアで伸びやかなみきの歌声とパワフルなサウンドが会場を包んでいく。いでのは手応えを感じたのか、ギターを弾きながら嬉しそうに「うおー!」と雄叫びを上げる。

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「luv(2u)」の<O-o-ooooh>では、じわじわとフロアを埋めていくオーディエンスにシンガロングを求め「もっといけるやろ皆! 今来た人も一緒にやろうぜ!」と巻き込み、ハイトーンボーカルで「effect!」を飛ばして、ラストの「サークル」までの全5曲を渾身のプレイで走り抜けた。堂々たるパフォーマンスで、楽曲の幅広さと実力をしっかりと提示したPOOLS。初見の人が多かったにも関わらず、手を挙げ身体を揺らして盛り上がったオーディエンスからは、目の前の音楽を享受して楽しもうというポジティブな想いが感じられた。

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ライブ終了後、土井の担当番組『MIDNIGHT GARAGE(毎週月曜24:00〜27:00)』に生出演した2人は「あんなに人がいっぱいおる中でライブできてすごく嬉しかった。良い景色でした(いでの)」「"気付いたら仲間"みたいな感じ。「サークル」のシンガロングでは鳥肌が立ちました(みき)」と興奮冷めやらぬ様子で感想を語っていた。

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POOLSのライブでぐんと熱が上がった会場。気付けば1階も2階も人でパンパンに。ジングルが流れ、土井とFM802 DJの加藤真樹子が元気にステージに登場すると、期待と高揚感に高まったフロアはクラップと大歓声で2人を迎え入れる。フレデリックとラッキリの組み合わせについては「本当に私たちも待ち望んだという感じ!(加藤)」と大興奮。2組は近いところにいるようで、対バンはこの日が初めて。「お互いにリスペクトがあって、それはファンの皆さんにも伝わってるから、"ぜひこのツーマンを"と思っていた方がすごくいらしたんじゃないですか?」と加藤が問うと、割れんばかりの歓声から、その喜びが存分に伝わってきた。景気づけに「ジャンアタ!」「ウホウホ〜!(ゴリラが拳で胸を叩くドラミングの仕草付き)」のコール&レスポンスでひとつになったところで「思い切り自由に踊っていってください!」とバトンを渡した。

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先攻は結成10周年イヤー真っ只中、全国ツアー『"YAMAODORI 2024 to 2025"』が始まったばかりのLucky Kilimanjaro。ラッキリのライブはMCを挟まないノンストップのDJスタイルだ。SEが流れ、熊木幸丸(Vo)が「『Jungle Attack』よろしくお願いします! Lucky Kilimanjaroです! ご存知の通りダンスは自由です」と導くと、早速「350ml Galaxy」から猫も杓子も躍らせる。熊木が袖からビールを持ってきて「素敵なダンサーの皆さんに乾杯〜!」とフロアと乾杯すると、山浦聖司(B/Sampler)がサンプラーを操る、ライブアレンジが詰まりまくった「Kimochy」で加速!「月曜から踊りに来たんでしょ?」という熊木の言葉により、フロアの熱はまたひとつ引き上がった。

2NB_6227.jpg2NB_6493.jpg2NB_6365.jpg2NB_6279.jpg2NB_6201.jpg2NB_6221.jpg
「ひとりの夜を抜け」からカットインで投下されたダンスチューン「Dancers Friendly」のインパクトはものすごかった。ナイトクラブのようにど派手な照明とヒリヒリしたビートで、GORILLA HALL OSAKAはダンスホールに大変身。さらにTikTokでバズを起こした「Burning Friday Night」では、イントロからシンガロングが大発生。大瀧真央(Syn)の「『Jungle Attack』、踊れてる?」のセリフもキュートで、フロアはハピネスな高揚感に包まれた。まだ足りないとばかりに「皆さんのダンス、とても素敵です。でも今日はフレデリックとの対バンですよ。そんなもんじゃないでしょう?」と煽り、熊木と松崎浩二(G)はフロントに躍り出て背中合わせのパフォーマンスでフロアを扇動する。音の波に潜らせるように「KIDS」から「エモめの夏」、7月にリリースされたEP『Dancers Friendly』と対になる10月リリースのEP『Soul Friendly』に収録された「フロリアス」、ラミ(Per)と柴田昌輝(Dr)の雷のようなビートが鳴り響いた新曲「かけおち」を投下して、ラストスパートへ。代表曲「踊りの合図」、グルーヴィな「でんでん」、「メロディライン」と躍動感たっぷりに音を解き放ち、ラストは「HOUSE」で後方までくまなく踊らせる。ライブを観るごとに身体的になるステージパフォーマンスに、どんどん強固になっていくフロアとの信頼関係。もはや楽園だと言わんばかりに全身を音楽に委ねて踊るオーディエンスの顔はキラキラと輝いていた。全曲の演奏を終えた熊木が「ダンスは自由です! フレデリックでも自由に踊れー!」と叫ぶと、最高潮に高まったフロアはすさまじい熱狂と拍手に包まれた。思わず熊木が「ワンマンだっけ?(笑)」と言ってしまうほどの濃厚な50分。GORILLA HALL OSAKAを完全掌握したLucky Kilimanjaroだった。

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転換中には加藤真樹子が「ゆらゆらできる曲をかけながら過ごしていきましょう! 楽しんでいってね〜!」と2階フロアでDJを行う。サカナクションの「夜の踊り子」や東京スカパラダイスオーケストラの「星降る夜に〜The Star Spangled Night〜」などをチョイスして、フロアの熱を持続した。

後攻は今年結成15周年、メジャーデビュー10周年を迎えたフレデリック。SEが流れてメンバーが順に登場すると、準備万端のフロアは待ってましたとばかりに歓声を上げる。三原健司(Vo/G)が「50分一本勝負、フレデリックです。どうぞよろしく」と放つと、三原康司(B)のベースと高橋武(Dr)のビートが勢いよく会場に響き渡った。健司は「人生の中で教えていただけること、たくさんありますよね。俺が教えてもらって1番タメになったのは、結論を先に言うこと。結論から言います。俺たちフレデリックは、踊ってない夜が気に入らない」と言うと、赤頭隆児(G)のギターリフが炸裂し「オドループ」からライブスタート! なんと爽快な幕開けだろう。曲中「意外とゴリラっぽい感じの人おらんなぁ。あなたの中のゴリラはどこにあるんですか!」と煽られたフロアはまたひとつテンションを上げて会場を揺らし、一糸乱れぬクラップとサビのシンガロングに、メンバーは満足そうな表情を見せる。続き、POOLSとラッキリのライブに触発されたのか、「今日もえげつないライブして帰ります!」と叫んで投下された「CYAN」では、健司が挑みかかるように咆哮する場面があり、力強く響き渡るロングトーンもいつになく美しかった。

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MCで健司は「いや〜、待望のツーマンライブですね。ラッキリとめっちゃくちゃ親和性があると思っていたんですよ。一昨年ぐらいからフェスで観るタイミングがあって、いつか一緒にやりたいなーみたいな話はお互いしてて。この出会いを繋げてくれて、802の皆さんに感謝です」と興奮したように語る。そして「POOLSもカッコ良いしさ。何よりすごく良いなと思ったのが、O.Aの時点で皆結構来てくれてて。"どの音楽も見逃さへんぞ、踊り尽くすぞ、楽しみ切るぞ、この月曜日を"と捉えている人たちがたくさんいるんやなと思って、幸せな気持ちになりました。2バンドがやってくれた以上にフレデリックが最高にして帰しますんで、1日よろしくお願いします!」と気合いたっぷり。ちなみに空き時間、会場の近くにある「ボートレース住之江」に行った健司と赤頭。赤頭は1000円、健司は3000円負けたそうで「今日は4000円分取り返していこうと思っております!」とまたひとつ気合いを入れる。

中盤は「FRDC Remix始めます」と雰囲気を変えて、楽曲をシームレスに繋いでいった。康司はシンセベースを、高橋はSPDを用いつつ、暗めの照明で浮遊感と没入感のある空間に誘っていく。まさに踊らせることに特化したようなリミックスで、緻密な演奏の中に光る超絶技巧と色気は痺れるほどにカッコ良い。何よりも4人が自由で、楽しくて仕方ないという想いが全身から溢れ出していたのが印象的だった。

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2度目のMCで健司は「楽し〜〜。ありがとう!」と声に実感を込める。ラッキリとの対バンについて、フェスの持ち時間では見れない一面を観れるのがワンマンやツーマンの魅力だと述べて、「ラッキリはフェスで観てる時点で好きやから、もっと入り込めばもっと好きになるんやろうなと思って。今日ツーマンして、すっっっごい楽しかったです。ラッキリ最高、マジでありがとうございます」と早口で感動を伝える。ただ、お酒大好きのラッキリに少々困惑気味の健司。「俺らが出る前に楽屋に一升瓶が置いてあったんですよ。どういう感じの人たちなんやろう」と述べて、「銀河の果てに連れ去って!」に続き、「POOLSもラッキリもフレデリックもそうして生きてまいりました。ご自分の幸せはご自分で掴んでください!」と11月20日にリリースされたミニアルバム『CITRUS CURIO CITY』にも収録の最新曲「Happiness」をソリッドかつアッパーに披露して会場を圧倒した。

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すぐさま起こったアンコールを求める拍手に応えてステージに再登場したフレデリックの4人。健司は「めっ......っちゃ良いイベントやね」としみじみ。いつもイベントに出る際はその趣旨や想い、経緯を言葉にすることが多い健司だが、「今日は言葉にする必要もないぐらい良いイベントやなと思いました。こういう日が来るのが1番楽しい。今日の夜がその先に繋がってる感じが俺めちゃくちゃ好きで。そういう夜を経験できたからすげえ良かったし、そういう想いでやりたかったからこの曲を置いて帰ろうと思っていて。今日はその必要もないほど良いイベントやけど、あえて自分たちの想いを置きたい」と最後に「名悪役」をドラマチックにプレイした。

「本日はどうもありがとうございました! フレデリックでした」と述べた健司。しかし、楽器を下ろす気配がない。「......と思ってたんですけどぉ。なんかさぁ、まだ心で踊ってほしいなー、歌詞で突き刺して帰らしたいなーと思って。あなたたちまだちょっとゴリラ残ってるっぽいから、もう1曲やって帰ってもいいですか?」と急遽1曲追加することに。これにはフロアも大興奮! 「POOLSとラッキリとあなたがそうさせました。そんなあなたのオンリーワンに感謝です」と「オンリーワンダー」を投下した。「大阪、最後の曲やぞー!」と叫んだ健司は渾身のボーカルを叩き込む。高橋と赤頭はとびきりの笑顔で楽器を奏で、康司は嬉しそうに拳を突き上げる。人と人が繋がる奇跡とエネルギーを目の当たりにして、胸が熱くなる。きっとこの日のライブを忘れることはないだろう。そんな予感をくれた最高のステージだった。

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最後は全員で記念撮影。赤頭は健司がMCで話していた一升瓶「二階堂」を、熊木はサントリーウイスキー「角瓶」を、そしてPOOLSのみきは「黒霧島」を持ってステージに登場。お酒と一緒に撮影した後は、赤頭がラッキリの少し前のアー写(メンバーが横一列に並んで少しのけぞっている写真)の真似をするとそれが伝播するなど和気藹々の雰囲気で、すっかり仲良くなった様子の3組だった。

こうして大団円で終了した2度目の『802 Jungle Attack』は、最高の親和性と化学反応で、生のライブの素晴らしさを実感した輝かしい夜となった。フレデリックとラッキリの初のツーマンライブに関しては、伝説になったと言っても過言ではないのではないだろうか。もちろん『802 Jungle Attack』は第3回目の開催も考えているとのことなので、続報を楽しみにしていよう。

文:久保田瑛理
写真提供:FM802
撮影:渡邉一生

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