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2024.10.27
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!エルスウェア紀行・ゆうらん船・SACOYANSほか全25作品 -2024.10.26-
New Release Digest Part 1
みさと:10月21日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全25作品の中からPart-1ダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。今週はいっぱい喋ってくれるであろうShe Her Her Hersがゲストなので、少しタイトめに行きたいなと思いつつ、喋りたいことがたくさんありますね。まずは、楓幸枝さん。
金子:楓幸枝さんは曲を出すたびに、果たしてプロデューサーは誰で、どの作品をオマージュしているのか、みたいなところが気になるんですけど、今回は西寺郷太さんがプロデュースに入っていて、非常にかっこいいトラックになっています。さらには吉本ばななさんの小説、「ムーンライトシャドウ」をモチーフにして"今生の別れ"を描いているという。テーマ設定が毎回面白いし、その中で楓幸枝さん自身のボーカリストとしての説得力もどんどん上がっていて、毎回気になっちゃいますね。
みさと:楓幸枝さんの持つ低音ボイスってすごく説得力があるので、何をオマージュしたかというところに対してのアンサーがしっかり胸に届いてくるというところと、あとはこの軽やかなビート。やっぱり郷太さん節がすごく感じられるディスコな、ファンキーなダンストラックの間に入るセクシーな、少し声が漏れる感じというのが、楓さんとのタッグの意味を感じるなという、素晴らしい曲でしたね。続いて、んoon。
金子:最近はアートディレクターのYOSHIROTTENとか、哲学者の柳澤田実さんとコラボレーションで曲を作っていたんですけど、純粋にんoonの新曲としては結構ひさしぶりで。なおかつ、遂にアルバムがこの後に控えているということで、そのリード的な曲にもなっているんですけど、かっこよかったですね。ドラムンベース的なリズムを基調としつつ、ラッパーのACE COOLをフィーチャーしていて、ラップと歌の絡みもあるし、あとは真ん中のベースね、あれがすごく印象的で。コメントによると、あれはベースソロではなく、ACE COOLの言葉の波動に負けないようにベースでラップをしているそうです(笑)。
みさと:かっこいい!しびれる〜!
金子:そこはぜひ聴いていただきたいですね。
みさと:この曲好きすぎて、Podcast(FRIENDSHIP.RADIO-After Talk)でもう1回お話ししようかなと思います。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:エルスウェア紀行の新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回、アルバムリリースおめでとうございます。
金子:アルバムが遂に完成ということで、この人たちのことも長く語りたいんですけど(笑)。端的に言うと、今回は『ひかりを編む駐車場』というタイトルで、ヒナタミユさんのコメントから抜粋すると、"さまざまな音像とテーマを行き交いながら編んで「最後に悲しみと手を繋ぐこと」という一貫したゴールに向かっていくようなアルバムです"ということが書いてあって。
僕がエルスウェア紀行を好きなところってこういうところで、背景には悲しみとか孤独とか内省的な感情があるんだけど、それといかにして向き合っていくかということが色んな曲から感じられて。悲しみって消し去りたいと思うんだけど、やっぱり消えなくて。でも、じゃあその悲しみとどう手を繋ぐのか?という前向きな方に発想を転換することによって、自分を見つけていくことができる。そういうメッセージが色んな曲に詰まっていて、「天才は今度」でも"天才は今度にしよう"と歌っていて、誰しも天才という存在に憧れてしまうんだけれども、自分は天才にはなれない。でも"天才は今度にしよう"と思うことによって、本当の自分自身というものを見つけていける。そのメッセージが1番印象的でしたね。
みさと:サウンド面はすごく胸が踊るような、速めのBPMなんだけど。
金子:こんなアップテンポの曲も珍しいですよね。
みさと:珍しいですよね。だけどまだ飛び立っていない感じの、まさにその悲しみとどう折り合いをつけていくのか、付き合っていくのかという、こう膝を曲げて、今にも飛び立つというような瞬間の曲であって、ワードチョイスもすごく日常的で共感性の高い言葉選びをされる方々だなと思っています。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。まずはchatoe、アルバムリリースです。おめでとうございます。
金子:chatoeはFRIENDSHIP.からのリリースは初めてで、2022年結成の4ピースバンド。オルタナな音楽性がまずは印象的で、この番組でよく言っていますけど、羊文学とかの影響を感じさせるオルタナのバンドがいっぱい出てきて、本当に全体のレベルが上がっている、その中で一個抜けてきたのがchatoeなんだろうなという感じがあって。今回紹介している曲は特にストレートに、オルタナ~シューゲイズ系の曲ですけど、ミニアルバムの他の曲を聴くとレゲエ的なアップローチをしていたりとか、バンドとしての幅の広さも見せているので、ぜひ6曲聴いてほしいなと思いますね。
みさと:言葉選びからも背中を押してくれるようなその強さ、"いざ行かん"という言葉を使ったりして、すごく情景だったりとか自分の気持ちにフィットするような歌詞世界ではあるんですけど、サウンドだけでもどこまでも道が続いていくような、ギターリフとか、音だけでもその世界が伝わってくるような曲作りをされていて、オルタナティブな個性の中にポップさというのも孕んでいる素晴らしい楽曲ですね。続いて、mogariがEPです。
金子:こちらも若手のロックバンドで今ジワジワときているバンドですけど、もともと2020年の結成で、2023年に改名して今mogariという名前になっています。「春がそうさせる」は結構ストレートでパンキッシュな曲なんですけど、4曲聴くと幅の広さがわかって、作品についての解説を読むと、group_inouとかに影響を受けて踊れるロックをやっていたりということで。今の若手のバンドでgroup_inouを参照点にしてるとか他にあんまりいない気がするし、そういう目線の面白さもあるバンドだなと。これからが楽しみですね。
みさと:毎作耳に残るギターリフというところもあって、青さが持つまっすぐさとか大雑把さとか、それこそ鼓舞してくれるような、きっとその鼓舞するのは自分に対しても言っているんだろうなというような強いワードチョイスが印象的な、今のバンドという感じがしますね。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:ゆうらん船の新曲を紹介しようと思います。
みさと:はぁー!お待ちしておりました。
金子:ひさびさの新曲ですね。2年以上ぶりですかね。
みさと:カクバリズムからのリリースということですよ。
金子:そうなんです。カクバリズムからのリリースなんです。FRIENDSHIP.的にはÅlborgもカクバリズムからリリースしているので、FRIENDSHIP.~カクバリズムラインが少しできつつある感じですけど。
みさと:嬉しいな。
金子:今回歪んだギターが印象的な曲になっていて、その中に彼ららしいピアノとシンセがどっちも入っているアレンジもありつつ、結構新鮮ですよね。カクバリズムの最近のイメージだとこういう歪んだギター、オルタナなイメージってあんまりなかった気もするんですけど、でもさっきの羊文学の話みたいに、今ってインディーの中でオルタナな音というのが1つのシーンを形成していることの象徴のようにも聴こえるし、カクバリズムというレーベルももともとで言うとパンク的な精神を持っているレーベルだったりするので、今このタイミングでゆうらん船がカクバリズムから出すというのは個人的に納得感もあって、すごくいい曲でしたね。
みさと:この曲に関しては少しエルスウェア紀行とタイトルの精神性みたいなところに通じる部分があるのかなと思って、人生においてのこの混沌としている時期というか、闇的な時期をどうやって抜け出して、また次のところに向かっていくのかというところ。それぞれの個性で切り取り方は違うし、消化される形は違うんだけど、印象的な"またここを抜け出そう"というあの言葉、歌詞の"また"が付くことによって見えるもの、感じられることが変わってくるなとしみじみ聴かせてもらいました。
金子:確かに、エルスウェア紀行も"天国"というワードを結構使うんですよね。
みさと:通じますね。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。さあ、MURABANKU。は2年ぶりです。
金子:今年から新体制になっていて、もともと"BANKU。"がカタカナとひらがな混じりの"MURAバんく。"だったんですけど、今はアルファベットで"MURABANKU。"になっています。新体制になって、自らをスチャラカコア・インストゥルメンタルバンドと呼び始めているようで、まさにスチャラカな感じが速いビートに表れていて、ライブでめっちゃ盛り上がりそうだなという感じもあるし、さっきゆうらん船がカクバリズムからリリースという話がありましたけど、やっぱり彼らはSAKEROCKの遺伝子を受け継ぐバンドだなと思うので、このバンドもカクバリズムから出さないかなあと勝手に思ったりもして。
みさと:本当ですね。
金子:正統後継者だと思うんでね。もちろん、その上で今回MURABANKU。らしさをよりしっかり打ち出してきているから、今後にかなり期待ですね。
みさと:楽曲の作り方からもカルチャーをしっかり大切にしているのが見えてきて。「青梅街道」に関しては、"小学生の頃、公園に集まって任天堂DSで通信して遊ぶ、あの時間もストリートだ"というところからコンセプトが生まれているという、切り取り方もカクバリズムに合いそうだな、みたいな。素晴らしい曲でした。続いて、First Love is Never Returnedもね、いいのよ。
金子:ファーストラブは今年本当に精力的ですよね。
みさと:本当に、また新曲を出しちゃいましたね。
金子:ライブも結構やってるけど、曲もずっと作ってるみたいで、今回は平成のトレンディドラマがキーワードになっている曲です。前作も「夜的平成浪漫」というタイトルで平成感を出していたけど、シティポップのリバイバルがあって、そこからの平成初期ぐらいの感じというのは、今の若い子からすると少し懐かしい感じがして面白いのかなという気がしつつ、ファーストラブのキャッチーさというのはもともとドラマ主題歌になっても全然おかしくないぐらいのものだから、そういう意味でもフィットするし、でもこの曲は最後に急展開があって、ファーストラブらしい遊び心もちゃんとある、いい曲でした。
みさと:最後急にハイスクールドラマみたいな展開で終わりますよね。トレンディドラマから始まって、最後ハイスクールで終わった、みたいな。でも本当に面白い、サンプリングであったりだとか、いつも細かいところでクスッと笑わせてくれて耳が奪われる。"なに?また歌うまくなった?"というような、Kazuki Ishidaさんの歌声の伸びやかさというのが存分に味わえる1曲でした。そんな、Part-3からは?
金子:SACOYANSの新曲を紹介しようと思います。SACOYANSは福岡のインディーシーンを代表する、と言ってもいいのかな、そういうバンドですけど、リリースはひさしぶりで。この間にメンバーの2名がお子様を授かり、さらには産休中にメンバーの1人が遠方に引っ越し、バンドを続けられるのかどうなるのかという時期があって、最初4~5曲のEPを作る目的で現場復帰したけど、でも曲を作ったりライブをしているうちに、子育てしながらでも遠距離でもバンドできるぞ、ということになり、最終的にはアルバムを作っちゃいました!というストーリーがあって。つい先日Hump Backがメンバー3人とも出産して復帰したというニュースがありましたけど。
みさと:いやー、現代の希望ですね。
金子:だから最近は子育てをしながらでも、環境作りをちゃんとして、バンドを続けていくことができているというね。まずそれがグッときてしまうポイントの1つであり、あと今週は"オルタナ"というキーワードをずっと言ってますけど、言ってみればSACOYANSはそれを先んじてやってきたようなバンドでもあって。今回の曲もかっこいいオルタナ感がしっかり出ていて、戻ってきてくれてありがとう!という感じの1曲でしたね。
みさと:エルスウェア紀行、ゆうらん船の曲を聴いて、その後に「サモトラケのニケ」がよく合うような、人生のレイヤーみたいな位置付けができるかなと思っていて。人生を振り返ったときのハイライトって悲しいことだったりとか苦しい時期だったりすると思うんですけど、その苦しみを受け入れたあたりのことをその後に思い出すと思うんですよ。まさにそういうタイミングでこの「サモトラケのニケ」は聴けるのかなと思っていて。厚武さんが説明してくれた背景も合わせてこの曲を聴くと、"なるほどな"と感じられる1曲だと思います。
番組の後半はShe Her Her Hersがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10