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2024.06.22
First Love is Never ReturnedとEmeraldが初共演。「教室でよく目が合う気になる2人」が示した着実な歩みの価値
6月16日、First Love is Never Returned(以下、FLiNR)が『Early Summer 2024[once,again]』の東京公演を新宿MARZで開催した。地元・札幌での公演はワンマンだが、この日のゲストはともにFRIENDSHIP.から楽曲を配信リリースしているEmerald。FLiNRの結成が2018年なのに対し、Emeraldの結成は2011年なのでキャリアの長さこそ異なるものの、ソウル、R&B、ファンクなどを基盤にした音楽性には通じるものがあり、またこの一年は楽曲のリリース日がよく被り、それをきっかけにSNSでの交流が生まれ、この日の共演にたどり着いたというストーリーも面白い。
トップバッターのEmeraldはメンバー6人にサポートのyuthke(ギター/TAMTAM)とえつこ(コーラス/DADARAY、katyusha)を加えた8人編成。この日のチケットはソールドアウトで、フロアにはぎっしりオーディエンスが埋まる中、ソウルバラードの「You & I」からライブがスタートした。FLiNRとEmeraldは音楽性もさることながら、強力なボーカリストを擁するバンドであることも大きな共通点。FLiNRのキャッチコピーが「恋する歌声」であることと比較すれば、これまで様々な人と関わりながら音楽活動を続け、深みと温かみを増し、包容力をも感じさせる中野陽介のボーカルは「愛を知る歌声」といったところだろうか。「ゆるし」をテーマに〈私だけにわかるフィーリング 愛おしく思う〉と歌う「You & I」も、その背景にあるのは人と人との重なりから生まれる「愛」のはずだ。
そこにindigo la Endから礼賛に至る川谷絵音のバンドでもコーラスを務める、えつこのコーラスが加わり、さらには藤井健司が曲によってトークボックスも用いながらコーラスを重ねて、Emeraldの歌の魅力をより倍増させている。一方、楽器陣の一筋縄ではいかないアレンジの面白さもFLiNRとEmeraldの共通点で、特にヴァースとコーラスがスムースだったりポップだったりしても、間奏に必ず驚きを伴う展開を入れてくるのはよく似ている部分。「Heartbeat」の間奏におけるミニマルなループの高揚感は何度聴いても素晴らしい。
FLiNRとの関係性を「教室でよく目が合う気になる2人」と表現したMCに続いて、ライブ中盤では4月にリリースされたばかりの最新曲「逆さの目」を披露。スムースでメロウな曲が多い印象のEmeraldの中でもとりわけサイケデリックな色合いの強いダンスチューンで、10年以上のキャリアを重ねた今もバンドが進化を続けていることがはっきりと伝わってくる。中野もギターを持ち、中村龍人の艶やかなエレピとともに歌う「東京」、「You & I」同様に他者との重なりを歌う「Pendulum」に続く「楽園」も〈真夜中のネオンサインが 君を抱きしめて〉とクラブに集う人々のことを綴るフロアライクな一曲で、今のEmeraldはよりライブ映えのするフィジカルな曲が増えている印象。8月のリリースが発表された7年ぶりのフルアルバム『Neo Oriented』も今からとても楽しみだ。
9月に行われるリリースツアーでは大阪と愛知で再びFLiNRと共演すること、東京公演はキネマ倶楽部でワンマンを開催することを伝えると、「最後アゲていくんで楽しんでください」と話しての「UP TO YOU」から、この日ラストに演奏されたのは「ムーンライト」。ミラーボールが輝く中、えつこがパワフルなフェイクを聴かせ、最後に中野が〈未来なんてわからない 歌を歌う日々よ〉と祈りを捧げるこの曲は、この後に登場するシンガーへのエールであるかのように感じられた。
続いて登場した本日の主役、FLiNRはコロナ禍やメンバーチェンジを経ての再始動を刻んだ「シューズは脱がないで」からライブがスタート。やはりまず耳に飛び込んでくるのがKazuki Ishidaの「恋する歌声」であり、もともとブライアン・マックナイトやジャスティン・ティンバーレイクに憧れ、ニューヨークでボーカルのレッスンを受けた経験もあるその歌声がメロディーの美しさをさらに引き立て、体を揺らしながら熱っぽく歌う姿も目を引くものがある。さらにはそこにギターのArata Yamamoto、キーボード/アコギのKeita Kotakemoriという2人のギターボーカル経験者がコーラスを重ねることでバックアップをするというのは、Emeraldにおける中野とえつこの関係性にも通じる部分だ。
ベースのYuji Sato、ドラムのMizuki Tsunemoto、ギターのArataがソロを回した「泡と文學」のラストではKotakemoriもハンドマイクでIshidaとともに歌って盛り上げ、サイケデリックな「ファンデーションの前に」に続くUKガラージ風のダンストラック「Baby Don't Stop」では、Yujiが前半をシンセベースで弾き、後半エレキベースに持ち替えて楽曲の推進力をさらに上げて、MCを担当するKotakemoriの煽りとともにフロアの爆発を生み出す構成力も素晴らしい。2024年の上半期は「Spotify Early Noise Night」や「VIVA LA ROCK」といったフェス/イベントも経験し、初見も含めたオーディエンスを自分たちのパフォーマンスで巻き込んでいく力が明らかに上がっていると感じた。
ライブ中盤では様々な曲調の楽曲を披露し、「Mama's Pie」のようなロックナンバーからは初期の音楽性がギターロックだったという彼らの歴史が垣間見え、ゲーム風のサウンドメイクがユニークな人気曲「Unlucky!!」は流石の盛り上がり。メロディーのキャッチーさもさることながら、こういう遊び心を強く感じさせるタイプの楽曲がすでにSpotifyだけで200万回以上再生され、代表曲の一つになっているのも彼ららしい。会場中がクラップと合唱に包まれた「バックミラー」、「ジンギスカン」風の間奏がユニークな最新曲「Black or White?」と続き、こちらも人気曲の「OKACHIMACHI FRIDAY NIGHT」はこの日一番と言ってもいい盛り上がりを見せる。かつてIshidaが東京で仕事をしていた経験をもとに作られ、〈行き先未定の切符を手に乗り込んだ〉と歌われるこの曲によって、まるでここ新宿がホームであるかのような空気感を生んでいたことは、とても感動的だった。
ラストの曲を前にしたMCではKotakemoriが「僕らはSNSでバズったり、TikTokでめっちゃ曲が使われて、みたいな売れ方はできないかもしれないけど、自分たちのいいと思った音楽をこれからも出し続けていきます。一歩一歩しか進めないバンドなので、時間はかかるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします」と話し、フロアからは大きな拍手が贈られた。Spotifyの「RADAR:Early Noise」の10組に選出され、知名度が向上したり、ストリーミングでの再生回数が上がったのは事実だが、彼らは現状「Early Noise」に選出された他のアーティストのようにメジャーレーベルからのリリースが決まっているわけではなく、今も札幌を拠点にインディペンデントな活動を続けていて、その歩みは決して派手なものではない。そして、そんな活動姿勢こそが何よりのEmeraldとの共通点であり、実際2組はトレンドのど真ん中からは少し外れたところにいるバンドだったりする。
Emeraldがファーストアルバム『Nostalgical Parade』を発表した2014年はまだ「シティポップ」というワードがそこまで普及していない時期で、当時はceroらとともに海外におけるネオソウルのリバイバルにいち早く反応したバンドという印象だった。その後にYogee New WavesやSuchmosが台頭して「シティポップ」のブームが生まれていくわけだが、逆にFLiNRが始動したのは(少なくとも東京では)そのブームが落ち着き始めた頃で、さらにコロナ禍を経て、トレンドとしての「シティポップ」は一回リセットされた印象が強い。決して常に時代の追い風を受けてきたわけではないからこそ、FLiNRもEmeraldも一歩一歩歩みを進めることの重要さを自らの楽曲で噛み締めている。
〈時の速さに 途方に暮れて うなだれてみたり 忘れてた 才能なんて 遠回りを受け入れていく〉と歌うEmeraldの「逆さの目」は「遠回りをしてでも、鈍く強く輝き続ける星がこの世には存在する」ということを10年以上に及ぶ歩みと重ねて力強く掲げる一曲。そして、「このバンドはIshidaの歌をすごく大事にしている」と再度語った上で披露されたFLiNRのラストナンバー「People 365」も、365日を一歩一歩確実に進んでいくことがいかに重要であるかを歌った一曲だ。〈駅前のビルも 街並みも セットのように移り変わり その中で生きる 誰かの役を受け継いで〉と時間の流れに翻弄されながら、それでも〈You've already special "GIFT" in your arms〉と、すでにあなたはあなただけのギフトを持っていると歌いかけるこの曲は、何もかもが凄まじい勢いで変化をしていく時代において、自分を見失わないための大事なメッセージを投げかけてくれている。
盛大な拍手で迎えられ、「この曲があったから今の自分たちがある」とアンコールで披露されたのは、コロナ禍への想いを綴り、〈Answer is nobody knows it〉と歌う「Twenty-Twenty」。答えは誰にもわからないし、未来のことなんてさっぱりわからない。もしかしたら、Kotakemoriの予想に反してTikTokで楽曲が大バズりするかもしれないし、実際この日感じた歌の力、楽曲の力を持ってすれば、FLiNRが数段飛ばしで勢いよく人気バンドへと駆け上がっていく可能性も十分に感じられた。ただどんな未来が待っていようとも、2020年に感じた思いをいつまでも忘れなければ、この日2バンドが体現した一歩一歩歩みを進めることの意義をしっかりと握りしめてさえいれば、FLiNRという札幌の星はこれからもきっと輝き続けるだろう。
文:金子厚武
撮影:
Emerald/松尾守
First Love is Never Returned/市川実果
First Love is Never Returned「Black or White?」
2024年6月12日(水)
Format:Digital
Label:Frengers Records
Track:
1.Black or White?
試聴はこちら
Emerald「Neo Oriented」
2024年8月28日(水)
Format:Digital
Label:Maypril Records
・札幌編(ワンマンライブ)
2024年6月29日(土)
Sound lab mole
OPEN18:00 START18:30
前売り一般¥3,400 前売り学生¥2,900 当日券¥3,900 +1D ¥600
チケット発売中:https://eplus.jp/sf/detail/4038920001-P0030001
2024年9月7日(土)
大阪CONPASS
OPEN/START 18:30/19:00
Guest:First Love is Never Returned
前売:¥4,500(税込/D別)学割:¥3,000(税込/D別)
Info:SMASH WEST 06-6535-5569
2024年9月8日(日)
名古屋stiff slack
OPEN/START 18:30/19:00
Guest:First Love is Never Returned
前売:¥4,500(税込/D別) 学割:¥3,000(税込/D別)
Info:JAILHOUSE 052-936-6041
2024年9月20日(金)
東京キネマ倶楽部
OPEN/START 18:30/19:30
前売:¥4,500(税込/D別)学割:¥3,000(税込/D別)
Info:HOT STUFF PROMOTION 050-5211-6077
オフィシャル"先着"先行受付(東名阪)6月16日(日)12:00~6月30日(日)23:59
チケットURL
https://eplus.jp/emerald/
オフィシャルサイト
@1st_love_is
@1stlove_is
TikTok
Emerald
オフィシャルサイト
@Emerald_info_
@emerald.official.05
Official YouTube Channel
トップバッターのEmeraldはメンバー6人にサポートのyuthke(ギター/TAMTAM)とえつこ(コーラス/DADARAY、katyusha)を加えた8人編成。この日のチケットはソールドアウトで、フロアにはぎっしりオーディエンスが埋まる中、ソウルバラードの「You & I」からライブがスタートした。FLiNRとEmeraldは音楽性もさることながら、強力なボーカリストを擁するバンドであることも大きな共通点。FLiNRのキャッチコピーが「恋する歌声」であることと比較すれば、これまで様々な人と関わりながら音楽活動を続け、深みと温かみを増し、包容力をも感じさせる中野陽介のボーカルは「愛を知る歌声」といったところだろうか。「ゆるし」をテーマに〈私だけにわかるフィーリング 愛おしく思う〉と歌う「You & I」も、その背景にあるのは人と人との重なりから生まれる「愛」のはずだ。
そこにindigo la Endから礼賛に至る川谷絵音のバンドでもコーラスを務める、えつこのコーラスが加わり、さらには藤井健司が曲によってトークボックスも用いながらコーラスを重ねて、Emeraldの歌の魅力をより倍増させている。一方、楽器陣の一筋縄ではいかないアレンジの面白さもFLiNRとEmeraldの共通点で、特にヴァースとコーラスがスムースだったりポップだったりしても、間奏に必ず驚きを伴う展開を入れてくるのはよく似ている部分。「Heartbeat」の間奏におけるミニマルなループの高揚感は何度聴いても素晴らしい。
FLiNRとの関係性を「教室でよく目が合う気になる2人」と表現したMCに続いて、ライブ中盤では4月にリリースされたばかりの最新曲「逆さの目」を披露。スムースでメロウな曲が多い印象のEmeraldの中でもとりわけサイケデリックな色合いの強いダンスチューンで、10年以上のキャリアを重ねた今もバンドが進化を続けていることがはっきりと伝わってくる。中野もギターを持ち、中村龍人の艶やかなエレピとともに歌う「東京」、「You & I」同様に他者との重なりを歌う「Pendulum」に続く「楽園」も〈真夜中のネオンサインが 君を抱きしめて〉とクラブに集う人々のことを綴るフロアライクな一曲で、今のEmeraldはよりライブ映えのするフィジカルな曲が増えている印象。8月のリリースが発表された7年ぶりのフルアルバム『Neo Oriented』も今からとても楽しみだ。
9月に行われるリリースツアーでは大阪と愛知で再びFLiNRと共演すること、東京公演はキネマ倶楽部でワンマンを開催することを伝えると、「最後アゲていくんで楽しんでください」と話しての「UP TO YOU」から、この日ラストに演奏されたのは「ムーンライト」。ミラーボールが輝く中、えつこがパワフルなフェイクを聴かせ、最後に中野が〈未来なんてわからない 歌を歌う日々よ〉と祈りを捧げるこの曲は、この後に登場するシンガーへのエールであるかのように感じられた。
続いて登場した本日の主役、FLiNRはコロナ禍やメンバーチェンジを経ての再始動を刻んだ「シューズは脱がないで」からライブがスタート。やはりまず耳に飛び込んでくるのがKazuki Ishidaの「恋する歌声」であり、もともとブライアン・マックナイトやジャスティン・ティンバーレイクに憧れ、ニューヨークでボーカルのレッスンを受けた経験もあるその歌声がメロディーの美しさをさらに引き立て、体を揺らしながら熱っぽく歌う姿も目を引くものがある。さらにはそこにギターのArata Yamamoto、キーボード/アコギのKeita Kotakemoriという2人のギターボーカル経験者がコーラスを重ねることでバックアップをするというのは、Emeraldにおける中野とえつこの関係性にも通じる部分だ。
ベースのYuji Sato、ドラムのMizuki Tsunemoto、ギターのArataがソロを回した「泡と文學」のラストではKotakemoriもハンドマイクでIshidaとともに歌って盛り上げ、サイケデリックな「ファンデーションの前に」に続くUKガラージ風のダンストラック「Baby Don't Stop」では、Yujiが前半をシンセベースで弾き、後半エレキベースに持ち替えて楽曲の推進力をさらに上げて、MCを担当するKotakemoriの煽りとともにフロアの爆発を生み出す構成力も素晴らしい。2024年の上半期は「Spotify Early Noise Night」や「VIVA LA ROCK」といったフェス/イベントも経験し、初見も含めたオーディエンスを自分たちのパフォーマンスで巻き込んでいく力が明らかに上がっていると感じた。
ライブ中盤では様々な曲調の楽曲を披露し、「Mama's Pie」のようなロックナンバーからは初期の音楽性がギターロックだったという彼らの歴史が垣間見え、ゲーム風のサウンドメイクがユニークな人気曲「Unlucky!!」は流石の盛り上がり。メロディーのキャッチーさもさることながら、こういう遊び心を強く感じさせるタイプの楽曲がすでにSpotifyだけで200万回以上再生され、代表曲の一つになっているのも彼ららしい。会場中がクラップと合唱に包まれた「バックミラー」、「ジンギスカン」風の間奏がユニークな最新曲「Black or White?」と続き、こちらも人気曲の「OKACHIMACHI FRIDAY NIGHT」はこの日一番と言ってもいい盛り上がりを見せる。かつてIshidaが東京で仕事をしていた経験をもとに作られ、〈行き先未定の切符を手に乗り込んだ〉と歌われるこの曲によって、まるでここ新宿がホームであるかのような空気感を生んでいたことは、とても感動的だった。
ラストの曲を前にしたMCではKotakemoriが「僕らはSNSでバズったり、TikTokでめっちゃ曲が使われて、みたいな売れ方はできないかもしれないけど、自分たちのいいと思った音楽をこれからも出し続けていきます。一歩一歩しか進めないバンドなので、時間はかかるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします」と話し、フロアからは大きな拍手が贈られた。Spotifyの「RADAR:Early Noise」の10組に選出され、知名度が向上したり、ストリーミングでの再生回数が上がったのは事実だが、彼らは現状「Early Noise」に選出された他のアーティストのようにメジャーレーベルからのリリースが決まっているわけではなく、今も札幌を拠点にインディペンデントな活動を続けていて、その歩みは決して派手なものではない。そして、そんな活動姿勢こそが何よりのEmeraldとの共通点であり、実際2組はトレンドのど真ん中からは少し外れたところにいるバンドだったりする。
Emeraldがファーストアルバム『Nostalgical Parade』を発表した2014年はまだ「シティポップ」というワードがそこまで普及していない時期で、当時はceroらとともに海外におけるネオソウルのリバイバルにいち早く反応したバンドという印象だった。その後にYogee New WavesやSuchmosが台頭して「シティポップ」のブームが生まれていくわけだが、逆にFLiNRが始動したのは(少なくとも東京では)そのブームが落ち着き始めた頃で、さらにコロナ禍を経て、トレンドとしての「シティポップ」は一回リセットされた印象が強い。決して常に時代の追い風を受けてきたわけではないからこそ、FLiNRもEmeraldも一歩一歩歩みを進めることの重要さを自らの楽曲で噛み締めている。
〈時の速さに 途方に暮れて うなだれてみたり 忘れてた 才能なんて 遠回りを受け入れていく〉と歌うEmeraldの「逆さの目」は「遠回りをしてでも、鈍く強く輝き続ける星がこの世には存在する」ということを10年以上に及ぶ歩みと重ねて力強く掲げる一曲。そして、「このバンドはIshidaの歌をすごく大事にしている」と再度語った上で披露されたFLiNRのラストナンバー「People 365」も、365日を一歩一歩確実に進んでいくことがいかに重要であるかを歌った一曲だ。〈駅前のビルも 街並みも セットのように移り変わり その中で生きる 誰かの役を受け継いで〉と時間の流れに翻弄されながら、それでも〈You've already special "GIFT" in your arms〉と、すでにあなたはあなただけのギフトを持っていると歌いかけるこの曲は、何もかもが凄まじい勢いで変化をしていく時代において、自分を見失わないための大事なメッセージを投げかけてくれている。
盛大な拍手で迎えられ、「この曲があったから今の自分たちがある」とアンコールで披露されたのは、コロナ禍への想いを綴り、〈Answer is nobody knows it〉と歌う「Twenty-Twenty」。答えは誰にもわからないし、未来のことなんてさっぱりわからない。もしかしたら、Kotakemoriの予想に反してTikTokで楽曲が大バズりするかもしれないし、実際この日感じた歌の力、楽曲の力を持ってすれば、FLiNRが数段飛ばしで勢いよく人気バンドへと駆け上がっていく可能性も十分に感じられた。ただどんな未来が待っていようとも、2020年に感じた思いをいつまでも忘れなければ、この日2バンドが体現した一歩一歩歩みを進めることの意義をしっかりと握りしめてさえいれば、FLiNRという札幌の星はこれからもきっと輝き続けるだろう。
文:金子厚武
撮影:
Emerald/松尾守
First Love is Never Returned/市川実果
RELEASE INFORMATION
First Love is Never Returned「Black or White?」
2024年6月12日(水)
Format:Digital
Label:Frengers Records
Track:
1.Black or White?
試聴はこちら
Emerald「Neo Oriented」
2024年8月28日(水)
Format:Digital
Label:Maypril Records
LIVE INFORMATION
#FLiNR Early Summer 2024 [Once,Again]
・札幌編(ワンマンライブ)
2024年6月29日(土)
Sound lab mole
OPEN18:00 START18:30
前売り一般¥3,400 前売り学生¥2,900 当日券¥3,900 +1D ¥600
チケット発売中:https://eplus.jp/sf/detail/4038920001-P0030001
Emerald 3rd Album「Neo Oriented」Release Tour "Ray of Hope"
2024年9月7日(土)
大阪CONPASS
OPEN/START 18:30/19:00
Guest:First Love is Never Returned
前売:¥4,500(税込/D別)学割:¥3,000(税込/D別)
Info:SMASH WEST 06-6535-5569
2024年9月8日(日)
名古屋stiff slack
OPEN/START 18:30/19:00
Guest:First Love is Never Returned
前売:¥4,500(税込/D別) 学割:¥3,000(税込/D別)
Info:JAILHOUSE 052-936-6041
2024年9月20日(金)
東京キネマ倶楽部
OPEN/START 18:30/19:30
前売:¥4,500(税込/D別)学割:¥3,000(税込/D別)
Info:HOT STUFF PROMOTION 050-5211-6077
オフィシャル"先着"先行受付(東名阪)6月16日(日)12:00~6月30日(日)23:59
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