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2023.11.26
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!PLATFORM・Shimon Hoshinoほか全13作品 -2023.11.24-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:11月20日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全13作品の中からまずはPart-1をご紹介しました。リリースおめでとうございます。Part-1ははじめましてさんが多くて、まずaieumです。
金子:沖縄を拠点に活動する4ピースバンドの初めての正式音源です。インストのかっこいいバンドでしたよね。ひんやりとした質感で、アブストラクトな感じがあって、FRIENDSHIP.だと沖縄でnorkéとかもいますけど 彼らの方がもうちょっとエレクトロニックで、aieumの方がもうちょっと生の質感を生かした感じというか。通じるところもありつつ、ちゃんと独自性がある、かっこいいバンドでした。
みさと:構築美というか、すごく美しさと計算されたものを感じるというか、前半と後半でまた違った形を見せてくれる、色というよりは形を感じるような、その音の音色感がすごく面白い、とてもかっこいいバンドでした。
金子:norké に続いて、彼らもFRIENDSHIP.のキュレーターであるdownyのロビンさんが紹介してくれたバンドで。沖縄というと、海、暑い、みたいな単純なイメージもありますけど、こういうちょっとひんやりとした、クールなサウンドを持つバンドたちのシーンもあるんだなと思うと、やっぱり奥深いですよね。
みさと:住んでる人にしかわからないものが絶対あるんだなって思いますよね。そして、超☆社会的サンダルもはじめましてさんです。
金子:こちらは一転して熱いですね。
みさと:熱いですね、これ。aieumも一度改名しているのですが、 超☆社会的サンダルも改名しているということで。
金子:そうみたいですね。
みさと:反社会的サンダルという名前から、2022年の4月に超☆社会的サンダルへ改名という。
金子:反社から社会的に変わっていったんですね。
みさと:面白いですね。ポケモンの進化みたいなのを感じるよね。
金子:若いバンドですけど、すでに「出れんのサマソニ」のオーディションで入賞したり、今年復活した「閃光ライオット」でもファイナリストになったりとか、じわじわと名前を広めているバンドです。資料を読むと、相対性理論、神聖かまってちゃん、クリープハイプ、大森靖子みたいな名前が並んでて、なるほどと思いつつ、僕だったらここに銀杏BOYZを入れて、FRIENDSHIP.的には東京初期衝動とか、あとは紅白が決まった、あのちゃんとか、そういう人たちとも通じるような、今のバンドだなって感じはしますよね。
みさと:今回のPart-1に入っている予感とも相性が良さそうな気がしました。SNS世代というか、どうしても憧れてしまう対象と自分を比べてしまって、あの頃に引き戻されたりとか、でも自分はここにいてっていう、結局答えは見つからないんだけど、っていう、ストレートな、等身大な感じっていうのは、音は全然違うんだけど、予感とも世界観的に合いそうな感じしますね。
金子:Part-1は言葉が引っかかるバンド、アーティストが多いですよね。
みさと:素敵ですね。さあ、そんな中『Moving Around』をリリースしたPLATFORMもはじめましてなんですが、EPということもあって紹介していきましょう。
金子:2022年1月に結成された大阪を中心に活動するスリーピースのバンドです。最近よく「都内でオルタナティブなバンドが増えてきたね」みたいな話をしてますけど、いくつかのタイプに分けたときには、わりとシューゲイザー系が多かったりする中、その一方でもう一個多いのがエモのバンドで。2010年代以降、海外ではリバイバルが起きて、それが日本にも入ってきて、みたいなところがあって、それこそ今週だとPOOLSもエモに影響された曲を出してたりして。もともとドリームポップ、シューゲイザー寄りなイメージが強いバンドですけど、彼らもエモをやってみたりするぐらい、インディ・シーンではすごく広まっていて、PLATFORMの曲を聴くと、まさに!という感じで。変拍子がめちゃめちゃ印象的で、5と3と4と行ったり来たりする感じは、拍子を数えながら聴くと楽しいと思います。
みさと:今回EPなんですけど、このEPどうなるんだろうっていう1曲目にこの「Slowmotion」が来ることで、その期待感を高めてくれる構成になってるなっていうのと、「Slowmotion」自体が2分半という、すごくタイトなんですけど、そのタイトさも、「もう一回聴きたい」が「2曲目聴きたい」に変えてくれるような、やっぱり通してEP聴きたいよねっていう、今の時代だからこそ訴えてくるものを感じて聴いてました。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのはPart-2でした。リリースおめでとうございます。Part-2のはじめましてさん、カブトムシですが、私すごく好き。
金子:aiko?
みさと:って思いましたよね。ついにバンド名にまでなりました、カタカナでカブトムシです。
金子:プロフィールからしてすごく気になる人たちで、美術作家、作曲家、打楽器奏者、ピアニストの4人組のバンドです。これまではインプロを中心に曲制作を行ってきたけれども、来年リリース予定のアルバムから制作のスタイルを一変させて、緻密に楽曲を構成していく中で生まれた一曲と。確かにすごくシンプルなんだけど、緻密に構成されていて、「Time Break」というタイトルだからなのか、ブレイクが繰り返されて、そこに言葉の強さが乗るという、ポストパンク的な美学も感じさせるような、気になる存在ですね。
みさと:癖が強いんじゃって、あの人の声で再生されるような。
金子:シンプルなのに癖が強いですよね。
みさと:そう、そこですよね。〈もういいんじゃない?〉って耳から離れないし、言葉がすごく残るんだけど、やっぱり美しい。根底に美学があるし、演奏力も高いと思うので、その安定感がある上でここまでふざけちゃうっていうのがちょっとGuibaにも通じるところがありつつ、ユーモアと技術の掛け合わせを感じる。
金子:カブトムシというバンド名もあえて付けてる感じしますよね。
みさと:あえて、だよね。かっこいい、気になります。そして、おひさしぶりな楓幸枝さんも気になっています。
金子:半年ぶりくらいのリリースですかね。今週のAKIRAさんもそうですけど、トラックメイカー、プロデューサーと毎回、曲毎に一緒にやる人を変えながら作ってる面白さがあって、幸枝さんは今回mashoe'を迎えていて、ソウル・ジャズをベースにしたかっこいい楽曲になってました。さらに言うと、幸枝さんは毎回漫画とかを題材に歌詞を書いてるのが面白いところで。
みさと:過去には『宇宙兄弟』をオマージュしてましたが。
金子:今回は『A子さんの恋人』という漫画を題材にしていて。僕この作品自体は知らなかったんですけど、アラサーの男女の恋愛模様を描いている漫画らしく、多分、幸枝さんも近い年代だから思うところがあったようで、その登場人物であるAタローくんをそのままタイトルにしてるところとかも含めて、毎回こうやってモチーフがあって作っていくスタイルはやっぱり面白いですよね。
みさと:幸枝さんの声ってどうしても強く見えちゃう、強く聴こえちゃう、強い女性、という印象を持たれると思うんですけど。
金子:高音というよりは低音の良さですもんね。
みさと:ただこの曲の中でスクラッチが最初に入ってきたり、トイピアノみたいな可愛らしさが入ってきたりとか、それこそアラサー女子の"一人でも生きていけんのよ"じゃなく、実はやっぱり可愛らしいところもあるし、弱いところもあるしっていうのが音からも見えてくるような、楓幸枝さんの色んな顔を感じた一曲だったなと思います。 そんな中、お送りするのはどうしましょう?
金子:今週はShimon Hoshinoさんをひさしぶりに紹介しようかなと。
みさと:毎週紹介してるんですけどね(笑)。
金子:ゲストにも来てもらったしね(笑)。でも今回は一風変わった作品ということで、『All of this music was produced on the airplane』というまさにこのタイトル通り、飛行機の中で作曲からジャケット制作まで全て完全パッケージングした作品。
みさと:ごめん、なんかもう普通にかっこいい話なんだけど笑っちゃうぐらい。だってShimonさんって海の上、浮きながら、波に流されながらも作曲できるし、浜辺でもできるし、空の上、無重力空間でも最早いけちゃう。なんでしょうね、この人の、ワーカホリックとかじゃない、もう本当に音楽を作るのが好きなんだなっていう愛を感じますよね。しかも今回って、今まではクライアントさんに向けて曲を作ることが多かったから、リスナーさんに向けて作ったっていう。それも愛よねーと思って、グッときました。
金子:作るシチュエーションが変わると音楽の質も変わって、いつものピアノの感じというよりも、もうちょっと浮遊感のあるサウンドになってたり、あと「haneda」というタイトルで、出発のタイミングで作ったのか、戻ってくるタイミングで作ったのかはわからないですけど、ちなみに今羽田空港の国際線の到着エリアって、相対性理論のやくしまるえつこさんのサウンドアートがBGMになっていて。
みさと:そうなんですね。
金子:時間とか温度とか天気によってちょっと音が変わる、サウンドアートになってるらしいんですよ。
みさと:雨の日はこんな感じとか、カラッと晴れたらこんな感じって、何か変化があるってこと?
金子:多分、変化があるんだと思う。
みさと:面白ーい。
金子:似たようなこと、Shimonさんもできそうだなと思って。
みさと:できる。ついでにアロマも焚いちゃって。
金子:そうそう。Shimonさんは音と香りで空間デザインができる人だから、羽田空港のターミナルの空間デザインみたいなことも、全然あり得る話っていうか。
みさと:夢物語じゃないですよね。
金子:羽田空港、面白いことやってるんだなって。
みさと:センスいいですね。 空港って何かドラマあるから行きたいですよね。Shimonさんは気圧や水圧とか質量を感じさせる楽曲作りが本当に得意なので、まさに違う高度のところから降り立ったあの瞬間にどんな音が流れてて欲しいのかっていうのは、Shimonさんだからこそできそう。
金子:さらにそこにどんな香りが。
みさと:いいなー、Shimon Hoshinoさん、次に会うときにはまた肩書きが増えてるかも。「空港デザイナー」みたいなのがもしかしたら増えてるかもしれません(笑)。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。 放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武 1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。 @a2take / @a2take3 奥宮みさと ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。 @_M1110_ / @11misato10 Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar) 神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。 The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。 オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin