SENSA

2023.08.24

Ålborg、Homecomings、スカートが共演!「"SHIBUYA CLUB QUATTRO 35TH ANNIV. "NEW VIEW"×カクバリズムの夏祭り"」

Ålborg、Homecomings、スカートが共演!「"SHIBUYA CLUB QUATTRO 35TH ANNIV. "NEW VIEW"×カクバリズムの夏祭り"」

2023年8月17日、渋谷クラブクアトロで「"SHIBUYA CLUB QUATTRO 35TH ANNIV. "NEW VIEW" ×カクバリズムの夏祭り"」が開催された。これは、1988年6月28日に開店した渋谷クラブクアトロの35周年を記念したイベント。この夜は、カクバリズムからスカート、Homecomings、Ålborgが出演した。

この3組が出演することになった理由について、カクバリズムの代表である角張渉は、開催前日に公開したYouTubeでこう説明していた。いわく、「カクバリズムのなかでも特にインディーポップ。ポップスをロックバンド形態で鳴らす。しかも、いい歌、いい歌詞、いいアレンジ、いい音というのを信条にしているバンド」だからだと。かくして、3組ともその角張渉の言葉通りのステージを見せてくれた。

mei eharaによるDJでは、DJブースの上に提灯が吊るされていた。まさに夏祭り。入り口前には渋谷クラブクアトロ35周年を祝うダルマが2個置かれ、そこにスカート、Homecomings、Ålborgのサインも入っていた。

「飲み放題と言われて酔っ払っております」という角張渉の挨拶に続いて、まず登場したのはÅlborg(オールボー)。2023年7月26日に7インチレコード『Change / Memory』をカクバリズムからリリースしたばかりのバンドだ。メンバーは5人組で、2022年に横浜で結成された。

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この夜は、メンバーのMiyaと安田くるみは浴衣姿。そして、安田くるみが浴衣姿でトロンボーンを吹きはじめる光景はなかなかのインパクトがあった。やはり浴衣姿のMiyaがアコースティック・ギターを弾きながら歌う「Blend」は、英語詞であることもあいまって、まるで北欧のギターポップを聴いているかのような手触り。ラウドなサウンドに、トロンボーンが雄大さを加えてていく。Miyaの声質は70年代のシンガーソングライターをもイメージさせるので、軽く時空が混乱するような感覚に陥った。

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「I Listen to you」はクールさをたたえつつ、トロンボーンはさらに豊かな響きを聴かせる。「Window」や「Memory」のメランコリーも印象的だが、そこに日本的な湿り気はない。「Memory」では、クラップも力強く響いた。「Girl」は甘く、そしてラウドで、ネオアコのようでもある。そして「Change」は、7インチになったのも納得のフックが強いポップス。Miyaがアコースティック・ギターをフルートに持ち替えたので、安田くるみのトロンボーンとともにチェンバー・ロックのようなサウンドにもなった。

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二番手に登場したのはHomecomings。2012年京都で結成された、畳野彩加、福田穂那美、石田成美、福富優樹によるバンドだ。2021年にはIRORI Recordsからメジャー・デビュー。同レーベルにはスカート、そしてOfficial髭男dismも所属している。Ålborgと同様に、今年開催された「FUJI ROCK FESTIVAL'23」にも出演した。

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そのHomecomingsの「ラプス」は、ラウドかつリリカル。ヴォーカルの畳野彩加の立ち姿も凛々しく、ドラムの石田成美とベースの福田穂那美によるコーラスも美しい。ネオアコ感のある「ヘルツ」は、ヴォーカルとサウンドがぴたりと一体化しているかのようだ。「US / アス」は、ドラムの強いキックで幕を開け、強烈な開放感をもたらすサビへと展開していく。

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「Shadow Boxer」は、ゆったりとしたビートではじまり、カタルシスのあるメロディーを奏でていき、畳野彩加と福富優樹によるシャープなギター・サウンドも鮮やかだ。畳野彩加のギターのストロークと歌から始まった「euphoria / ユーフォリア」は、強い光を放つかのようなメロディーと演奏へ展開していく。「Here」では、太いビートと鋭くてラウドなギター・サウンドを聴かせ、しかも洗練されていた。「Blue Hour」も、「euphoria / ユーフォリア」同様に強い光を放つかのような演奏だった。

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トリを務めたのはスカート。澤部渡を中心に、この日は佐藤優介、佐久間裕太、岩崎なおみ、シマダボーイとのバンド編成。スカートはミツメ・トリプルファイヤーと共に東京インディーズ三銃士と称され、メジャー・シーンでインディーポップの良心を奏でている存在だ。澤部渡は、スパークスとゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツのライヴを見るために7月に渡米したばかり。ポップスの神髄に触れてきたことだろう。

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「CALL」は、楽曲の持つアンニュイさ、優しさ、ポップさなどが、煌めくサビへと収斂していく。「いつかの手紙」は、スウィング感がじりじりと高揚感を運んでくる。「視界良好」では、澤部渡ならではのコードの使い方が冴える。「十月(いちおう捨てるけどとっておく)」の構成と密度にも酔いしれた。「Aを弾け」は、早いシャッフルで駆け抜けていき、「サイダーの庭」ではボ・ディドリー・ビートが鳴り響く。「アンダーカレント」では、澤部渡のヴォーカルの高音が冴え渡り、岩崎なおみのベースラインやシマダボーイのパーカッションも深く響いた。「さかさまとガラクタ」のハードな演奏は、渦のなかへと流れ込むかのようだ。シングル収録曲なのに、ライヴでやるのは2年ぶりだったのは「背を撃つ風」。PUNPEEとのコラボレーションで発表した「ODDTAXI」は、ストリーミング再生回数が1000万回を超え、スカートの名を一躍世に知らしめた楽曲だ。この夜は、PUNPEEのラップパートも澤部渡が担当。「海岸線再訪」では、佐久間裕太のドラムがダイナミックに鳴り響いた。

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一旦終演となったが、ファンからのアンコールを受けて、スカートが再登場。さらにHomecomingsの畳野彩加、Ålborgの安田くるみを迎えて、スカートの「ストーリー」でセッションが行われた。夏祭りはせつなくも華やかに終わりを迎えた......と思いきや、酔った角張渉が「もう1曲聴きたいな、社長のわがまま聞いてくんないかな」とマイクを通して言うと、「ひとりならやれるかな」と澤部渡がギターを掻き鳴らし、「静かな夜がいい」を歌いだした。まるでその姿は、ひとりオルタナ、ひとりグランジ。熱演を目の当たりにしたファンからの熱い歓声とともに、「"SHIBUYA CLUB QUATTRO 35TH ANNIV. "NEW VIEW" カクバリズムの夏祭り"」は幕を閉じた。

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文:宗像明将
撮影:廣田達也


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