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2023.06.18
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介! RiE MORRiS・Funkindustry・SHU-MIほか全17作品 -2023.06.17-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:6月12日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全17作品の中から、まずはPart-1をお送りしました。リリースおめでとうございます。おひさしぶりですね、Aaanna Japanese Special。
金子:1年弱くらいぶりのリリースですね。Jan FluというバンドをやっているP.Nekobayashiくんの作曲プロジェクトで、前まではバンドとの差別化も含めボカロを使ってたんですけど、今回からP.Nekobayashiくん自身が歌い始めていて、ソロとしての独立性がより強まってきているのかなと。
みさと:ボーカロイドの枠から飛び越えてという視点で見ると、インディーポップの枠も越えた音がすごく印象的な1曲だなと。次のところに進化する過程なんだなって、聴きながら感じてました。
金子:ボカロをコーラス的に使ってたりもして、こういう使い方も面白いですよね。
みさと:面白いですね。そして、面白いのはもうこの人です。Saccharin。
金子:今回すごい曲ですよね。
みさと:すごいよね。どんどんこのスナックに人が集まってきてるなっていう、こちらも進化の過程を感じますけど。
金子:もうね、なんちゅう展開をするんだっていうぐらいの。
みさと:エレクトリカルパレードのオマージュから。
金子:急に8ビートのパンクみたいなのが始まったり。
みさと:"聴いたことある"、"何か知ってる"がたくさん詰め込まれてますよね。
金子:和のフレーズもあったり、Saccharinらしさが突き詰められつつ、その一方で歌詞にはちゃんとメッセージ性があって。今回は「はないちもんめ」が題材になっていて、"勝って嬉しいはないちもんめ 負けて悔しいはないちもんめ"がある種現代社会の格差の縮図を表しているようであり、でもそうじゃない世界を目指したいよねっていう目線がある。それはShe Her Her Hersがちょっと前に出した「non zero sum game」のテーマともリンクするような気がして。あっちはとまそんくんが作詞をしてたと思うけど、やっぱりバンドメイトだなっていう。
みさと:いいですね。8月19日に代官山ユニットでライブが決まっていて、今回も客演が豪華なので、そちらもチェックお願いいたします。そして、そんなPart-1からはどうしましょうか?
金子:RiE MORRiSの新曲をかけようかなと。
みさと:とっても良かった。コラボ似合いますね。
金子:RiE MORRiSさん毎回人選が上手ですよね。
みさと:ホントに上手。
金子:今回はnenashiを迎えているわけなんですけど、nenashiはもともと正体のわからない覆面プロジェクトとしてスタートしてて、一昨年かな、Origami ProductionのHiro-a-keyさんが正体であることを明かしていて。Hiro-a-keyさんはもともと日本とアメリカとで育ってきているからこそ、変な区分けなしにグローバルにフラットに表現するために、最初は正体を隠してたけど、コロナ禍を経て、今度は逆にアジア人というアイデンティティをちゃんと出した上で表現していこうということを始めていて。RiEさんももともと18歳でアメリカに渡って、4年間ロサンゼルスに滞在しながら音楽活動を本格的に始めたりしていて、異文化の共存がベーシックにある人だから、そういう観点で見ても、この組み合わせには意味があるというか。
みさと:今おっしゃったみたいに、2人がやってきたルーツとしてのグローバル感がありつつ、それがよりポップに聴こえるっていうのが、2人が揃ったからこそっていう。素材の魅力もすごく際立つし、それぞれがそれぞれにどう思っているのか、どういうところを魅力と思ってるからこう表現したのかっていうのが感じられる曲作りになってますよね。
New Release Digest Part 2
みさと:6月12日週リリースの新譜ダイジェストPart-2をお送りしました。リリースおめでとうございます。厚武さん、上質なはじめましてさんがいらっしゃってます。ZARUKAME。
金子:バイオリンとチェロのユニットという、なかなか珍しいですよね。
みさと:そうですね。
金子:お二人ともこれまでのキャリアはすごくて、ライブのサポートはKing Gnu、Vaundy、SEKAI NO OWARIなどなど、録音でも映画「鬼滅の刃」「君の名は」などなどなどなど、もう第一線で活躍されてる方々ですね。
みさと:イメージとしてはクラッシック、高尚な音楽をやっているっていうようなイメージになってしまいがちなこのチェロとバイオリンでありながら、そういったところにフィールドを持ってる2人だからこそできる音楽性っていうのが垣間見られるのと、ミックスやマスタリングにもそのあたりの仲間たちを起用しているっていうのが、どこで戦っていきたいのかがとても感じられて、すごく応援したくなるユニットですね。
金子:バイオリンとチェロの音域の違いを上手く活かしていて、資料にも「2人が対話するようなメロディー」という表現が出てきてますけど、まさにそんな感じで。そのメロディーの美しさであり、そこから浮かび上がる情景みたいなものが、非常に解像度高く表現されていて、良い曲でしたね。
みさと:そして、1曲目のWAZGOGGがとってもかっこよかったです。
金子:今週もPart-1にhario islandの曲があったり、この番組ではShimon Hoshinoさんの名前がよく上がりますけど、WAZGOGGもWataru Fujiwara名義含め、本当に頻繁に楽曲をリリースしていて。特にWAZGOGGはコラボレーションも多いから、それも含めればもっとリリース数多くて、気づけばSpotifyの月間リスナーが10万人超えていて。
みさと:えーーっ!作品によっては、良い意味で聴き流せる良さもありますもんね。
金子:Wataru Fujiwara名義の曲は特にそうだと思うけど、逆にWAZGOGG名義だとアーティスト性強めで、今回はラッパーのCHAPAHを迎えていて。「AKUBI」というタイトル通りにちょっとゆるい感じですけど、このジャズ要素はWataru Fujiwaraの「Tequila at midnight」とかとも通じるし、アーティスト性がしっかり出てる曲だなと思いました。
みさと:Wataru Fujiwara名義も含めてボーカルなしでも曲を作れる人が選ぶ声ってこういうことなんだなっていう、毎回楽器のような個性のある声を持っている人を客演に迎えられていて。さっきもね、人選の話があったけど、やっぱり目の付け所、耳の付け所が洗練されてますよね。さあ、そんなPart-2からはどうしましょう。
金子:Funkindustryをかけようと思います。
みさと:まさかの土岐さんとコラボなの?
金子:土岐さん来ちゃいましたね。
みさと:いやー、もうちょっと驚きでした。本当にFRIENDSHIP.はみんなコラボが上手だな。
金子:まさにそうですよね。今回はFunkindustry流のシティポッププロジェクトとして、「Midnight City Lovers」というEPが完成したわけですけど、これまでにナツサマーさん、ex-zukunashiの衣美EMILANDさん、JiLL-Decoy associationのchihiRoさん、竹仲絵里さんとコラボをしてきて、最後に登場するのが土岐さんという。いい曲ですよね。Funkindustryらしいアシッドジャズとかファンクの感じ、アフロな感じっていうところと、往年のシティポップらしさが土岐さんのボーカル含めて上手く合わさっていて、日本人が作るシティポップとも違う、やっぱりこのコラボならではのものになってるなっていう感じがすごくしました。
みさと:土岐さんの制作におけるセンスと才能もしっかり形に、結果に残されてるけど、声だけ切り取っても素敵じゃないですか、土岐さんって。それを本当にFunkindustryだからこそできるコラボレーションにしちゃうっていうのも、すごく聴いてて聴き心地も良かったし、あとはシティポップといえばの永井博さんがジャケットを描いてるのも盤石な布陣ですね。
金子:間違いないですよね。Funkindustryはちょうど今週から来日ツアーも始まっておりまして、ナツサマーさんと衣美EMILANDさんとは共演することも決まってたりとか、東京なんですけど、パジャ海と一緒にやったりとか、そんな予定もありますので、行かれる方はぜひという感じで。
みさと:終わらないSSR(SHIBUYA SOUND RIVERSE)って感じですね。嬉しいなあ。
New Release Digest Part 3
みさと:6月12日週リリースの新譜ダイジェストPart-3をお送りしました。リリースおめでとうございます。さてさてはじめましてさんが、波のよう。
金子:楽曲制作からマスタリングまで音源制作の全ての過程を自らで行うオンラインDIYバンドということです。ボーカルのちあきさんがニューヨークに住んでいて、ニューヨークと東京でレコーディングをしつつ、オンラインで曲を完成させてるということなんですけど、このめちゃめちゃオーガニックな感じの曲調がオンラインで東京とニューヨークを繋いで作られてるって、ちょっと面白いですよね。
みさと:ですよね。あとちあきさんが海外在住なのに日本語を使ってるっていうのがすごく好感度高くて、人種のるつぼであるところでのアイデンティティっていうのは、より日本人であることっていうのを意識されたんじゃないかなって想像するぐらい、しっかり言葉を届けてくれてるところも全部好きですね。そして、Laura Ribeiroも初ですね。
金子:彼女はブラジルとポルトガルのミックスで、FRIENDSHIP.的にはOtomodatchiとしてもリリースをしているAmiideさんのパートナーで、お2人は結婚されて、現在はロンドンに移住されているということなので、こちらも非常にグローバルですね。ブラジルとポルトガルがルーツにあるっていうこともあって、ちょっとボサノバな感じとR&Bが混ざった感じがすごく気持ちよくて。梅雨でどうしてもジメジメしちゃいますけど、この曲はちょっとカラッとさせてくれますね。
みさと:良いですね。避暑地でチルしてる雰囲気をすごく感じるから、まさにこのジメジメを吹っ飛ばしてくれる、気持ちの良い曲ですよね。
金子:ロンドンも曇り空が多いから、こういう曲を聴きたくなるのかもしれないですね。
みさと:そしてPart-3からはどうしましょうか。
金子:Part-3はSHU-MIをかけようかなと思います。
みさと:SHU-MIはさ、なんかこの「スーパー・ハイパー・ウルトラ・ハッピー・アングラ・ポップ・ミュージック・グループ」って自分で言っちゃってたり、いつもちょっと馬鹿やってるような感じじゃないですか。
金子:もう日本で一番そのフレーズ言うの上手いですよね。
みさと:私が多分一番言ってると思う(笑)。でも今回は、そういうちょっとユニークな馬鹿をやってる人たちの真面目で繊細な様子を見ちゃって、ちょっとギャップにやられちゃうなって。
金子:まさにまさに。
みさと:今回の新曲は30歳を目前に控えた心境を内省的で繊細なビートに乗せた1曲っていうふうに聞いているんですけど。やっぱり10の位が変わるときって、いろいろ考えたりするじゃないですか。
金子:そうですよね。
みさと:厚武さん、どんな30歳だったんですか?
金子:僕、それこそ30歳でバンドを抜けてるんですよね。当時は別で仕事して、ライターもちょっとかじりつつ、でもバンドもやってるみたいな、今振り返るとよくわからん時期で。
みさと:移行期だったんだ。
金子:でも「自分は本当は何がしたいんだろう?」みたいなことを考える中で、バンドを抜けてライターの道を選び取っていくみたいなタイミングではあったから、こういう曲を聴くとちょっと思い出しますね。
みさと:30歳のタイミングでバンドを抜けようっていうのは、どうやって最後の決断ができたんですか?
金子:それはいろんなタイミングが重なったのもあって、その前年とかに初めてCDを全国流通で出したのかな。で、ちょっとずつバンドの活動が忙しくなってきて、バランスが取れなくなってきた中で、一番やりたいの何だろうって考えて選んだ、みたいな感じだったかな。
みさと:自分の人生を真ん中に置いたときの選択っていうのが、30歳のときにできて、今の厚武さんが形成されてるわけなんですね。
金子:今振り返ると、そういうことになりますね。
みさと:そうかー、やっぱり転機があるんだなー。
金子:でもバンドをずっとやってたら、今どうなったんだろうなとか思うけどね。
みさと:いや、あのときの決断でよかったんだと思いますよ。上手くいってるときにそれを手放すって、一番勇気がいることだから。悪くなってね、もう止めなくちゃいけないっていうのとちょっと違うじゃないですか。SHU-MIのみなさんもきっと同じような、いろんな葛藤とか、覚悟とかをもってこれを作ったんでしょうね。
金子:そんな曲にね、「喜望峰」というタイトルを冠してるのは、もちろんいろいろ考えることはあるんだけど、最終的にはこの先を前向きに捉えようとする感じが伝わってきて、とってもいいなと思います。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。 放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武 1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。 @a2take / @a2take3 奥宮みさと ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。 @_M1110_ / @11misato10 Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar) 神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。 The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。 オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin