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2022.11.20
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!カネコアヤノ・SADFRANK・台風クラブほか全24作品 -2022.11.19-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
カンナ:11月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全24作品の中から、まずはPart 1の8作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!日本語の素敵な音楽がたくさんリリースされたなという印象でして、はじめましての笹倉慎介さんはいかがでしたか?
金子:素晴らしいですよね。笹倉慎介さんはキャリアが既にある方で、1981年静岡県生まれのシンガーソングライターであり、文筆家でもあり、FRIENDSHIP.的には優河さんとか古川麦さんがレコーディングで使用しているスタジオのエンジニアさんでもあるという。WOWOWで放送された堤幸彦さん監督の『TOKYO ROCK BEGINNINGS』というはっぴいえんどのデビューライブの再現を描いた映画に、大瀧詠一さん役で出ていたりもします。
カンナ:多才ですね...。
金子:このキャリアが裏付けるように音楽自体も素晴らしくて、歌ももちろん良いんですけど、今回はフォーク・アンビエントというのがテーマのひとつとしてあったみたいで、サウンド的にも作りこまれています。Bon Iver以降というか、歌が素晴らしいのはもちろん、サウンド的なチャレンジも果敢に行っているような、比較的最近のシンガーソングライターたちともリンクするような作風になっていますね。
カンナ:すごく深く静かに訴えられていく感じが素晴らしかったです。続いても、素敵な日本語のミュージックで、はじめましての"ゆうやけしはす"。
金子:彼らはバンド編成で活動していて、その中にはいまお休みしているSuchmosのメンバーがいたりもするんですけど、ほぼソロプロジェクトからの発展でのバンド形態みたいです。ちなみに"ゆうやけしはす"というバンド名を見て、お気づきになることありますか?
カンナ:なんだろう...。
金子:ボーカルが元"すばらしか"で鍵盤を弾いていた林祐輔さんなんですけど、林祐輔のアナグラムが"ゆうやけしはす"なんですよね。
カンナ:本当だ!偶然気づかれたんですか?
金子:調べました(笑)。なので、バンド形態ではあるけど、中心にいるのが林さん。このアナグラムをつけたのもThe Doorsのジム・モリソンに影響を受けていたりとか、古いサイケデリック・ロックやクラシック・ロックのフィーリングがありつつ、カンナさんがおっしゃったように日本語でそれをやっていて、とても良いですね。
カンナ:私も少しThe Beatlesを感じて、「大好きだな〜」という感じでした。それではPart 1で長めに流す曲、こちらも素晴らしい日本語音楽でしたね。
金子:そうですね。カネコアヤノさんの新曲をかけようかなと思います。来年の1月に新しいアルバム『タオルケットは穏やかな』がリリースされます。このタイトルからして、日本語のセンスを感じますよね。
カンナ:そう思います!
金子:アルバムリリースの前には武道館2デイズが決まっていて、3月には大阪城ホールも決まっているということで、ますます活躍の幅を広げています。でもその手前の10月、11月、12月は東京の小さなライブハウスで3ヶ月続けてライブをやっていたりもして、彼女のインディペンデント精神みたいなところも感じます。今回の「予感」という曲は、もちろん日本語の良さもあり、カネコさんの歌の良さもありつつ、途中からかなり歪んだプロダクションが入ってきて、これまでも要素としてはあったんだけど、ここまで暴力的というか、ガッツリ出ている感じはあんまりなかったかなと。アメリカのシンガーソングライターのPhoebe Bridgersとか、ああいう人たちとも少しリンクするようなオルタナ感があってすごくかっこよかったですね。
カンナ:そんな中でも声が絶対に負けないという感じがより強調される感じもしました。
金子:たしかに。他が変わっても軸にあるのはやっぱり歌声という。アルバムがとっても楽しみですね。
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!FRIENDSHIP.から初のリリースなんですが、私のお友達がいまして、最後にかかりました三つ峠。EPがリリースとなりました。
金子:お友達なんですね。
カンナ:そうなんです。ボーカルの方を"はじめちゃん"と私は呼んでいるんですけど、はじめちゃんが下北沢のライブハウスで働いていまして、そこでお友達になりました。今回の曲のリリースにあたってちょっとお会いしたので、話を聞いてきました。
金子:ミニインタビューされたんですね。
カンナ:今回の作品について聞いてみたところ、「ここまでサポートメンバーを入れて何年も活動してきましたが、自分たち的にはようやく今始まるという気持ちで作ったEPです」とお話してくださいました。私もリリースを楽しみにしていまして、はじめちゃんの温かさがそのまま出たEPなのかなという感じがするんですけど、厚武さんはどんな風に感じましたか?
金子:すごく良いですよね。何か特別なギミックがあるタイプじゃなくて、シンプルに良いメロディーと、それこそこちらも良い日本語詞があって、歌詞は特に印象的でした。
カンナ:そうですよね!一つひとつの言葉が響いてくるので、ぜひ歌詞を見ながら聴いてほしいなと思います。
カンナ:続いてシンガーソングライター/ドラマーの楓 幸枝さん。
金子:楓 幸枝さんは以前に漫画の『宇宙兄弟』をオマージュした「ナンバ・ムッタ」という曲を出していて、聞いたところによると、それが縁で『宇宙兄弟』のメールマガジンの中でコラムを書いていたりもするそうです。
カンナ:すごい!繋がっていますね。
金子:で、今回は江國香織さんの小説『きらきらひかる』をオマージュした曲ということで、こうやって音楽以外からインスピレーションを受けて曲を作るみたいなことも面白いですよね。
カンナ:江國香織さんの小説がもともと好きなので、曲を聴いていても、たしかに世界観にマッチしているなと感じました。
金子:男女の目線を交互に描く小説になぞらえて、1番と2番で歌詞の視点が変わるという面白さがあります。アレンジに関しては今回MOP of HEADのGeorgeくんと初めて組んでいて、Georgeくんはiriさんにも関わっていたりする人で、トラックもかっこいいし、あと今回は幸枝さんがかつて組んでいた3ピースのメンバー2人と作曲をして、コーラスにも参加してもらっていて、音源上での8年ぶりの再結成でもあるそうです。
カンナ:熱い!
金子:熱いですよね。なので、いろんなポイントが詰まっている曲だなと。
カンナ:聴き応えありです!さて Part 2からお送りする曲はどうしましょうか?
金子:SADFRANKをかけようかなと思います。
カンナ:ファーストシングルですね。
金子:NOT WONKのボーカルの加藤修平くんのソロプロジェクトなんですけど、NOT WONKはちょっと前にメジャーデビューをして、これからのバンドシーンを引っ張ってくれるんじゃないかという期待をしていた音楽ファンはたくさんいたと思うんですけど、コロナ禍になってしまって、バンドとしての歩みは少し思ったようにはいかなかったのかなと。たぶん本人たちがそれを一番感じているとは思うんですけど、そんな中で加藤くんがバンドとはまた別のアウトプットをスタートさせて、本当にかっこよかったんですよね。
カンナ:かっこよかったですね。
金子:プロジェクト自体はちょっと前から始動してるんですけど、音源になるのは初めてです。加藤くんの歌の素晴らしさはもちろんなんですけど、ベースがカネコアヤノさんのバンドやゆうらん船にも参加している本村くん、ドラムが引っ張りだこの石若駿くんというこのメンバーもいいですし、曲としてはストリングスが非常に印象的で。徳澤青弦カルテットという、RADWIMPSからくるり、ROTH BART BARONまで幅広く関わっている方ですけど、そのストリングスのアレンジの素晴らしさも加わって、かなり聴きどころの多い曲です。
カンナ:最強の布陣ですね。
金子:最近だとArctic Monkeysの新作が出て、彼らの曲もストリングスが入っていて映画音楽的な素晴らしさがあったり、Radioheadのトム・ヨークとかジョニー・グリーンウッドも映画のサントラをやっていて、ストリングスが素晴らしかったり、あとはアメリカのThe Nationalというバンドとか......海外のいろんな音楽家たちともリンクしつつ、そのうえでSADFRANKならではの表現だなという感じがすごくして、めちゃめちゃかっこいいですし、ここから先もめちゃめちゃ楽しみです。
カンナ:では聴いていただきましょう !
金子:この曲7分近くありまして、フルではかけられないと思うんですけど、後半の展開めちゃめちゃかっこいいので、改めて通しでも聴いてみていただけたらと思います。
カンナ:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!RiE MORRiSさんとMURAバんく。のEP出ましたが、私がどうしても紹介したいBest gigiもEPが出ました!
金子:今週は本当に濃密ですけど、Part 3はカンナさんが好きそうな人たちが揃っていますね。
カンナ:最高です。
金子:Best gigiいいですよね。僕も好きです。
カンナ:今回も音の一つひとつが洗練されているなという感じでした。
金子:「素朴でコケティッシュなラテン」というキーワードがあったそうですけど、これも面白いですよね。コケティッシュな、少しフレンチポップスっぽい低体温な感じのボーカルはBest gigiの魅力ですけど、そこにラテンの軽やかなリズムが乗っていて、この組み合わせは面白いですね。
カンナ:たまらなかったです。そして、おひさしぶりのリリースとなります、アンニュイ・ホリデイ。
金子:1年以上ぶりの新曲です。もともと大学生のオノデラさんとオヤマダさんが良質なポップスを追求するユニットとして2020年10月に始動しているのですが、これ聴いて「カンナさん絶対好きだろうな」と思ったんですけど、いかがでしょうか?
カンナ:最高でしたね。自分たちで言ってる"良質なポップス"をちゃんと体現しているというか。爽やかなんだけど、実は聴いていくとフックになる言葉が散りばめられているところも、「ポップスの中でカマしてやるぞ」みたいなのがあっていいなと思いました。
金子:2人組というところも含めて、やっぱりフリッパーズ・ギターとかを想起させますよね。
カンナ:オヤマダさんですもんね(笑)。
金子:オヤマダさんだけど、曲はどちらかというと小沢健二さんっぽいという。
カンナ:たしかにそうですね。
金子:この名前は絶対に突っ込まれ続けると思うけど(笑)、あとはボーカルが仮谷せいらさんというtofubeatsの曲とかにも参加している方で、いわゆるネット以降というか、Avec AvecとSeihoがやっているSugar's Campaignとか、そういう人たちとも通じるような感じがあって、いまを体現する2人組という感じがします。
カンナ:すごく良かったです。さあPart 3からお送りする曲、私も大好きですが、ご紹介お願いします。
金子:台風クラブをかけようと思います。
カンナ:すごくかっこよかったです。
金子:台風クラブも超好きですね。
カンナ:私も(笑)!
金子:FRIENDSHIP.からは初めてのリリースなので、「よくぞ!」という感じです。
カンナ:ありがとうございます!
金子:3ピースで、このバンドも特に何かギミックがあるわけではないんですけど、本当に良い演奏・良い歌・良い日本語という素晴らしいバンドです。よく日本のインディーズの流れみたいな話をこの番組でしていて、FRIENDSHIP.的には踊ってばかりの国がいて、Yogee New Waves、never young beachがいて、いまはカネコアヤノさんやkunmohileがいるとか、シャムキャッツがいてミツメがいて、いまはカワサキケイさんがいるみたいな話を時々してますけど、台風クラブは第三の流れを作りそうな人たちだったというか。彼らやキイチビール&ザ・ホーリーティッツ、あと家主とか、そういうバンドたちがいて、新しい流れが生まれるのかな?となんとなく思いつつ、実際そういう流れができたような気もするんだけど、台風クラブ自体は如何せんマイペースなので、あんまりシーンとか流れを作るみたいなタイプではなくて。実際アルバムで言うと2017年以来出してないんですよね。
カンナ:そうなんですね。
金子:「台風クラブ、何してるのかな...」と時々気になるんですけど、ひさしぶりにホームページを見に行ったら、今まさにアルバムを作っていて、ミックスまで終わって、あとはマスタリングを残すのみと、"2022年10月"という日付とともに書いてあったので、どうやらそろそろアルバムが届きそうです。
カンナ:楽しみですね。
金子:今回の曲もそこに向けた1曲なのかもしれないけど、パンクというか、メロコアみたいな曲で(笑)。
カンナ:そうですね(笑)。
金子:「え!」と思ったんだけど、でもやっぱり曲展開にしろメロディーにしろ、ばっちり台風クラブなんですよね。このアレンジでも、めちゃめちゃ良かったです。
カンナ:なんかもう泣きたくなっちゃう感じでした(笑)。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
カンナ:11月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全24作品の中から、まずはPart 1の8作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!日本語の素敵な音楽がたくさんリリースされたなという印象でして、はじめましての笹倉慎介さんはいかがでしたか?
金子:素晴らしいですよね。笹倉慎介さんはキャリアが既にある方で、1981年静岡県生まれのシンガーソングライターであり、文筆家でもあり、FRIENDSHIP.的には優河さんとか古川麦さんがレコーディングで使用しているスタジオのエンジニアさんでもあるという。WOWOWで放送された堤幸彦さん監督の『TOKYO ROCK BEGINNINGS』というはっぴいえんどのデビューライブの再現を描いた映画に、大瀧詠一さん役で出ていたりもします。
カンナ:多才ですね...。
金子:このキャリアが裏付けるように音楽自体も素晴らしくて、歌ももちろん良いんですけど、今回はフォーク・アンビエントというのがテーマのひとつとしてあったみたいで、サウンド的にも作りこまれています。Bon Iver以降というか、歌が素晴らしいのはもちろん、サウンド的なチャレンジも果敢に行っているような、比較的最近のシンガーソングライターたちともリンクするような作風になっていますね。
カンナ:すごく深く静かに訴えられていく感じが素晴らしかったです。続いても、素敵な日本語のミュージックで、はじめましての"ゆうやけしはす"。
金子:彼らはバンド編成で活動していて、その中にはいまお休みしているSuchmosのメンバーがいたりもするんですけど、ほぼソロプロジェクトからの発展でのバンド形態みたいです。ちなみに"ゆうやけしはす"というバンド名を見て、お気づきになることありますか?
カンナ:なんだろう...。
金子:ボーカルが元"すばらしか"で鍵盤を弾いていた林祐輔さんなんですけど、林祐輔のアナグラムが"ゆうやけしはす"なんですよね。
カンナ:本当だ!偶然気づかれたんですか?
金子:調べました(笑)。なので、バンド形態ではあるけど、中心にいるのが林さん。このアナグラムをつけたのもThe Doorsのジム・モリソンに影響を受けていたりとか、古いサイケデリック・ロックやクラシック・ロックのフィーリングがありつつ、カンナさんがおっしゃったように日本語でそれをやっていて、とても良いですね。
カンナ:私も少しThe Beatlesを感じて、「大好きだな〜」という感じでした。それではPart 1で長めに流す曲、こちらも素晴らしい日本語音楽でしたね。
金子:そうですね。カネコアヤノさんの新曲をかけようかなと思います。来年の1月に新しいアルバム『タオルケットは穏やかな』がリリースされます。このタイトルからして、日本語のセンスを感じますよね。
カンナ:そう思います!
金子:アルバムリリースの前には武道館2デイズが決まっていて、3月には大阪城ホールも決まっているということで、ますます活躍の幅を広げています。でもその手前の10月、11月、12月は東京の小さなライブハウスで3ヶ月続けてライブをやっていたりもして、彼女のインディペンデント精神みたいなところも感じます。今回の「予感」という曲は、もちろん日本語の良さもあり、カネコさんの歌の良さもありつつ、途中からかなり歪んだプロダクションが入ってきて、これまでも要素としてはあったんだけど、ここまで暴力的というか、ガッツリ出ている感じはあんまりなかったかなと。アメリカのシンガーソングライターのPhoebe Bridgersとか、ああいう人たちとも少しリンクするようなオルタナ感があってすごくかっこよかったですね。
カンナ:そんな中でも声が絶対に負けないという感じがより強調される感じもしました。
金子:たしかに。他が変わっても軸にあるのはやっぱり歌声という。アルバムがとっても楽しみですね。
New Release Digest Part 2
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!FRIENDSHIP.から初のリリースなんですが、私のお友達がいまして、最後にかかりました三つ峠。EPがリリースとなりました。
金子:お友達なんですね。
カンナ:そうなんです。ボーカルの方を"はじめちゃん"と私は呼んでいるんですけど、はじめちゃんが下北沢のライブハウスで働いていまして、そこでお友達になりました。今回の曲のリリースにあたってちょっとお会いしたので、話を聞いてきました。
金子:ミニインタビューされたんですね。
カンナ:今回の作品について聞いてみたところ、「ここまでサポートメンバーを入れて何年も活動してきましたが、自分たち的にはようやく今始まるという気持ちで作ったEPです」とお話してくださいました。私もリリースを楽しみにしていまして、はじめちゃんの温かさがそのまま出たEPなのかなという感じがするんですけど、厚武さんはどんな風に感じましたか?
金子:すごく良いですよね。何か特別なギミックがあるタイプじゃなくて、シンプルに良いメロディーと、それこそこちらも良い日本語詞があって、歌詞は特に印象的でした。
カンナ:そうですよね!一つひとつの言葉が響いてくるので、ぜひ歌詞を見ながら聴いてほしいなと思います。
カンナ:続いてシンガーソングライター/ドラマーの楓 幸枝さん。
金子:楓 幸枝さんは以前に漫画の『宇宙兄弟』をオマージュした「ナンバ・ムッタ」という曲を出していて、聞いたところによると、それが縁で『宇宙兄弟』のメールマガジンの中でコラムを書いていたりもするそうです。
カンナ:すごい!繋がっていますね。
金子:で、今回は江國香織さんの小説『きらきらひかる』をオマージュした曲ということで、こうやって音楽以外からインスピレーションを受けて曲を作るみたいなことも面白いですよね。
カンナ:江國香織さんの小説がもともと好きなので、曲を聴いていても、たしかに世界観にマッチしているなと感じました。
金子:男女の目線を交互に描く小説になぞらえて、1番と2番で歌詞の視点が変わるという面白さがあります。アレンジに関しては今回MOP of HEADのGeorgeくんと初めて組んでいて、Georgeくんはiriさんにも関わっていたりする人で、トラックもかっこいいし、あと今回は幸枝さんがかつて組んでいた3ピースのメンバー2人と作曲をして、コーラスにも参加してもらっていて、音源上での8年ぶりの再結成でもあるそうです。
カンナ:熱い!
金子:熱いですよね。なので、いろんなポイントが詰まっている曲だなと。
カンナ:聴き応えありです!さて Part 2からお送りする曲はどうしましょうか?
金子:SADFRANKをかけようかなと思います。
カンナ:ファーストシングルですね。
金子:NOT WONKのボーカルの加藤修平くんのソロプロジェクトなんですけど、NOT WONKはちょっと前にメジャーデビューをして、これからのバンドシーンを引っ張ってくれるんじゃないかという期待をしていた音楽ファンはたくさんいたと思うんですけど、コロナ禍になってしまって、バンドとしての歩みは少し思ったようにはいかなかったのかなと。たぶん本人たちがそれを一番感じているとは思うんですけど、そんな中で加藤くんがバンドとはまた別のアウトプットをスタートさせて、本当にかっこよかったんですよね。
カンナ:かっこよかったですね。
金子:プロジェクト自体はちょっと前から始動してるんですけど、音源になるのは初めてです。加藤くんの歌の素晴らしさはもちろんなんですけど、ベースがカネコアヤノさんのバンドやゆうらん船にも参加している本村くん、ドラムが引っ張りだこの石若駿くんというこのメンバーもいいですし、曲としてはストリングスが非常に印象的で。徳澤青弦カルテットという、RADWIMPSからくるり、ROTH BART BARONまで幅広く関わっている方ですけど、そのストリングスのアレンジの素晴らしさも加わって、かなり聴きどころの多い曲です。
カンナ:最強の布陣ですね。
金子:最近だとArctic Monkeysの新作が出て、彼らの曲もストリングスが入っていて映画音楽的な素晴らしさがあったり、Radioheadのトム・ヨークとかジョニー・グリーンウッドも映画のサントラをやっていて、ストリングスが素晴らしかったり、あとはアメリカのThe Nationalというバンドとか......海外のいろんな音楽家たちともリンクしつつ、そのうえでSADFRANKならではの表現だなという感じがすごくして、めちゃめちゃかっこいいですし、ここから先もめちゃめちゃ楽しみです。
カンナ:では聴いていただきましょう !
金子:この曲7分近くありまして、フルではかけられないと思うんですけど、後半の展開めちゃめちゃかっこいいので、改めて通しでも聴いてみていただけたらと思います。
New Release Digest Part 3
カンナ:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!RiE MORRiSさんとMURAバんく。のEP出ましたが、私がどうしても紹介したいBest gigiもEPが出ました!
金子:今週は本当に濃密ですけど、Part 3はカンナさんが好きそうな人たちが揃っていますね。
カンナ:最高です。
金子:Best gigiいいですよね。僕も好きです。
カンナ:今回も音の一つひとつが洗練されているなという感じでした。
金子:「素朴でコケティッシュなラテン」というキーワードがあったそうですけど、これも面白いですよね。コケティッシュな、少しフレンチポップスっぽい低体温な感じのボーカルはBest gigiの魅力ですけど、そこにラテンの軽やかなリズムが乗っていて、この組み合わせは面白いですね。
カンナ:たまらなかったです。そして、おひさしぶりのリリースとなります、アンニュイ・ホリデイ。
金子:1年以上ぶりの新曲です。もともと大学生のオノデラさんとオヤマダさんが良質なポップスを追求するユニットとして2020年10月に始動しているのですが、これ聴いて「カンナさん絶対好きだろうな」と思ったんですけど、いかがでしょうか?
カンナ:最高でしたね。自分たちで言ってる"良質なポップス"をちゃんと体現しているというか。爽やかなんだけど、実は聴いていくとフックになる言葉が散りばめられているところも、「ポップスの中でカマしてやるぞ」みたいなのがあっていいなと思いました。
金子:2人組というところも含めて、やっぱりフリッパーズ・ギターとかを想起させますよね。
カンナ:オヤマダさんですもんね(笑)。
金子:オヤマダさんだけど、曲はどちらかというと小沢健二さんっぽいという。
カンナ:たしかにそうですね。
金子:この名前は絶対に突っ込まれ続けると思うけど(笑)、あとはボーカルが仮谷せいらさんというtofubeatsの曲とかにも参加している方で、いわゆるネット以降というか、Avec AvecとSeihoがやっているSugar's Campaignとか、そういう人たちとも通じるような感じがあって、いまを体現する2人組という感じがします。
カンナ:すごく良かったです。さあPart 3からお送りする曲、私も大好きですが、ご紹介お願いします。
金子:台風クラブをかけようと思います。
カンナ:すごくかっこよかったです。
金子:台風クラブも超好きですね。
カンナ:私も(笑)!
金子:FRIENDSHIP.からは初めてのリリースなので、「よくぞ!」という感じです。
カンナ:ありがとうございます!
金子:3ピースで、このバンドも特に何かギミックがあるわけではないんですけど、本当に良い演奏・良い歌・良い日本語という素晴らしいバンドです。よく日本のインディーズの流れみたいな話をこの番組でしていて、FRIENDSHIP.的には踊ってばかりの国がいて、Yogee New Waves、never young beachがいて、いまはカネコアヤノさんやkunmohileがいるとか、シャムキャッツがいてミツメがいて、いまはカワサキケイさんがいるみたいな話を時々してますけど、台風クラブは第三の流れを作りそうな人たちだったというか。彼らやキイチビール&ザ・ホーリーティッツ、あと家主とか、そういうバンドたちがいて、新しい流れが生まれるのかな?となんとなく思いつつ、実際そういう流れができたような気もするんだけど、台風クラブ自体は如何せんマイペースなので、あんまりシーンとか流れを作るみたいなタイプではなくて。実際アルバムで言うと2017年以来出してないんですよね。
カンナ:そうなんですね。
金子:「台風クラブ、何してるのかな...」と時々気になるんですけど、ひさしぶりにホームページを見に行ったら、今まさにアルバムを作っていて、ミックスまで終わって、あとはマスタリングを残すのみと、"2022年10月"という日付とともに書いてあったので、どうやらそろそろアルバムが届きそうです。
カンナ:楽しみですね。
金子:今回の曲もそこに向けた1曲なのかもしれないけど、パンクというか、メロコアみたいな曲で(笑)。
カンナ:そうですね(笑)。
金子:「え!」と思ったんだけど、でもやっぱり曲展開にしろメロディーにしろ、ばっちり台風クラブなんですよね。このアレンジでも、めちゃめちゃ良かったです。
カンナ:なんかもう泣きたくなっちゃう感じでした(笑)。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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