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2022.02.28
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!NIKO NIKO TAN TAN・WAZGOGG・Luminous101 ほか全17作品 -2022.02.23-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、2/23にオンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:2月21日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全17作品の中から、まずはPart 1の9作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!厚武さん!ひとまずビールを飲んで、やすみましょう!
金子:アイラヴミー「やすめ」と、なすてしまの「ひとまずこのビール飲まないか?」、2つの曲をくっつけましたね。さすがです。
MISATO:解説ありがとうございます。言われると恥ずかしい(笑)。アイラヴミーの「やすめ」、ここまで言ってもらえると「そっか、休もうかな...」って思いますよね。
金子:「やすめ」っていいですよね。「休んでもいいんだ」って思います。
MISATO:今回はじめましてさんがいて、札幌近郊を拠点に活動する4人組バンド、melです。
金子:melはデモテープ会議で選ばれてリリースに至ったバンドです。
MISATO:そうなんだ!
金子:2019年に結成されたバンドで、ボーカルとベースが女子で、ギターとドラムが男子の4人組。結成された年に出したデモテープの「YOURS」という曲のMusic Videoが、For Tracy HydeのメンバーやNOT WONKのメンバーから賞賛を浴び、結成わずか半年でHomecomingsとNOT WONKのイベントのオープニングアクトに抜擢される、といった経歴を持つ4人組になります。
MISATO:結成半年のオリジナルソングが高いクオリティーだったということですよね?それもすごいですね。一人ひとりになにかバックグラウンドがあるんでしょうかね?
金子:北海道の大学で出会って、サークルのメンバーで結成したという話だから、まだ若いと思うので...才能ですかね(笑)。
MISATO:すごい!この2年くらいは続かないバンドも多かったりして、特に大学生にとっては難しい時期だったと思うけど、よく諦めずに続けてくれましたね。それだけでも称賛に値するなって。
金子:音楽的にも、HomecomingsとNOT WONKのオープニングアクトをやっているのは「まさに!」な感じで、HomecomingのポップさとNOT WONKのオルタナ感と、ちゃんとどっちもあわせ持っている。これはインディー好きだったら間違いないでしょという、そういうバンドですね。
MISATO:シューゲイザーのドリーミーな感じもすごく気持ちがいいですね。そして、ちょっと触れてもよろしいですか?はしメロです(マイメロ風に)。
金子:先週"推しゴト"してましたけど、今週新曲がリリースですね。
MISATO:待ってました。3曲収録の『ism EP』がリリースになるわけですけど、このEP自体、はしメロちゃんがいろんなことに挑戦をしている期間なんだなという。とりあえず手札全部突っ込むぞ、くらいの感覚がすごくかっこいいなと思って。
金子:以前の曲はR&Bっぽかったり、トラップっぽかったりしたけど、今回みたいなちょっとクールなダンス・トラックもできちゃうんだという。そういういろんなタイプの曲を入れた作品に『ism EP』というタイトルをつけてるのは、まさにいろんな手札があって、いろんなことができるというのが「私のイズムだ」という風に、はしメロちゃん自身がちゃんとセルフプロデュース出来ているというかね。そんな感じがします。
MISATO:はい、それでは1曲お送りしましょう。
金子:今週は、NIKO NIKO TAN TANを紹介しようかなと思います。
MISATO:今回もかっこいいです。
金子:NIKO NIKO TAN TAN、良い感じに来てますね。昨年の9月・10月・11月と連続で3曲リリースしてて、その後の11月に初ワンマンを渋谷のWWWで行い、見事ソールドアウトということで、着実にステージを上げてきてる中での、新たなタームのはじまりの1曲になるのかなという印象です。昨年のインタビューをちょっと読んでみたんですけど、彼らにとってNIKO NIKO TAN TANはメインストリームへの挑戦という意識があるみたいで、特に音楽担当の2人とかは、もともとオルタナティヴな音楽が好きで、ルーツとしてThe Mars Voltaみたいな名前が上がってたり、ポスト・ロックとかも好きだったりするみたいで。そういうエッジーな音楽が好きというバックグランドがありつつ、でもちゃんとメインストリームへ行こうという意識がある。今回の「水槽」にしても、やっぱりコーラスとかはめちゃめちゃキャッチーですよね。
MISATO:J-Popですね。
金子:でもサウンドメイク、シンセだったりビートだったりはやっぱり攻めていて、その両方があるということが改めて感じられた曲です。そして、やっぱりNIKO NIKO TAN TANは映像と一緒にというのが一番のポイントなわけですけど、我らがFRIENDSHIP.のキュレーターでもある青木ロビンさんのdownyって、いま振り返れば本当に音楽と映像を組み合わせた先駆けだったなって思うんですね。でも昔ってそれはあくまでオルタナティヴで、「他の人がやってないことをやる」という姿勢で映像を使ってたと思うんですけど、いまは価値観が転換して、彼らはメインストリームに行くために必要なものとして"映像"というものを捉えてるってことだと思うんですよね。
MISATO:なるほど。
金子:もちろん、その間にはYouTubeだったりいろんな動画メディアが生まれたということが大きいと思うんですけど、本当に価値観がガラッと変わったなって、改めて思ったりしました。
MISATO:何を武器として、何がスタンダードに変わったのかって、このたった10年だけ振り返っても大きく変わったし、それをもって「じゃあ、メインストリームって何なんだ?」という指標も変わっていると思うんですよね。その指標を作っていた先人たちとか、先輩達とか、いろんな人たちの石を置くような作業というのが、いまの彼らにも繋がってくるわけで。
金子:そうですね。そこからきっと新しい、ネクストのスタンダードが生まれて来るんでしょうね。
MISATO:うわー楽しみだな〜。
MISATO:NIKO NIKO TAN TANの活動は精力的に続くみたいですね。
金子:昨年も3ヶ月連続リリースして、その後にワンマンとか、プランニングもしっかりしてそうな人たちなので、また面白いリリースが続きそうですね。
MISATO:きっと年間スケジュールが立っていそうですね。
金子:年末までスケジュールを想定してると思います。
MISATO:うわーいいね!楽しみです。ウェブサイトやSNSもご覧になってみてください。
MISATO:2月21日週にリリースしました新譜ダイジェスト全17作品の中から、後半8作品をダイジェストでご紹介しました。私の推しのAmiideとsaccharin、2人がこういう歌詞を歌うんだという、だいぶアンチテーゼな楽曲をリリースしております。
金子:saccharinは「OM3」と書いて、「オマエサン」。この言語感覚は面白いですよね。
MISATO:文字の羅列を見ているだけでも、大樹くんが書く歌詞というのは面白いですね。そして、今回はじめましての方がPart 2に2組いらっしゃるんですが、シャープ兄弟!はじめましてで新人さんかと思ってたら、大ベテランでした(笑)。
金子:1999年結成のバンドですが、20年ぶり2枚目のフルアルバムリリースということです。FRIENDSHIP.的に言うと、このバンドのベースが濱野泰政さんという方で、カネコアヤノさんの作品にレコーディングエンジニアとしてずっと関わっていて、伊豆スタジオという有名なスタジオがあり、そこでエンジニア業をしつつ、自らプレイヤーとしても活動されている方です。
MISATO:なるほど!
金子:昨年末にカネコアヤノさんがBillboardでライブをやって、そこに濱野さんもプレイヤーとして参加してたんですよ。で、その公演の前にカネコさんに取材をする機会があって、そこに濱野さんも参加して取材をしたんですけど、そのときに「濱野さんってもともとどういうキャリアの方なんですか?」って聞いたら、「昔バンドやってて、それでデビューしたことがあって、ベーシストだったんですよ」という話をしてくれてて。「へえ〜」って思っていたら、「これか!」という(笑)。
MISATO:「FRIENDSHIP.から出てる!」って(笑)。なんかいいですね。夢があるというか、一度デビューもされて、だけどバンドではなく、エンジニアの方向って決めたときは結構な決断だったと思うんですよ。そこから一流のミュージシャンを支え続けて、でもプレイヤーとしてもやり続けていたというのが歴史として面白いし、こういう生き方もひとつのあり方として憧れますね。
金子:しかも、音楽的には渋い。かっこいい。古くはプログレ、Pink Floydみたいな感じもありつつ、99年結成だから僕よりちょっと世代が上ぐらいだと思うんですけど、あえてちょいマニアックな固有名詞を出すと、アメリカのMercury Revというバンドとか、イギリスのThe Verveというバンドなんかを思い出しました。The Verveは90年代後半のイギリスでRadioheadと双璧をなしたようなバンドですけど、彼らの初期作みたいな感じがすごいして、個人的に大好物という。
MISATO:初期作 (笑)。あんまりピンと来なくて、「うんうん」と言えなくて申し訳ない。
金子:もし好きな方はディグってみてください。
MISATO:そしてもう1組初登場です。Luminous101!
金子:Luminous101は2019年にセルフタイトルの1stアルバムを出していて、すごくいいなと思ってたんですけど、その後あんまり名前を聞かなかったから、今回FRIENDSHIP.からリリースということで、こちらも個人的に嬉しいですね。
MISATO:そうなんですね。
金子:ちなみに今回の曲は、「ストレンジポップを作りたいと思いながら散歩していたら良い感じのリフが浮かんできて、そこからほぼ何も考えずにサビまで作ってしまったので多分トータル10分くらいでできた曲です」とのことです。
MISATO:え!?そんなことが起こるんですか?
金子:コメントには「得てしてこういう曲が良い感じになったりするのだと思います」と書いてあって、確かにいわゆる降ってきた系の曲で、それがそのまま完成して大ヒットしちゃうみたいな話って、やっぱりあるんですよね。
MISATO:ありますね。その降ってきた感じというのは、すごく印象的なフレーズのリフレインが出てくるので、理解はできる。あれはやっぱり一聴して頭の中でループしちゃう。
金子:OGRE YOU ASSHOLEあたりも連想させつつ、このリズムの構築とか隙間の作り方は独自のものだなと思うので、すごくかっこいいですね。
MISATO:さあ1曲お届けするのは?
金子:今週はWAZGOGGを紹介しようかなと思います。
MISATO:冒頭で少しお話ししましたが、私が言葉を持たない文学家だと思っているWAZGOGG先生ですね。
金子:今回は『From Japan』というアルバムで、昨年の9月に『Japanese Tradition』というやはり日本を題材にした作品を出しているので、その続編みたいなイメージだと思います。琴だったり笛だったり、日本の和楽器を使いつつ、それをビートと組み合わせていて、曲名だけ見ても、「Matsuribayashi」とか「Semi Shigure」、「Nihonkai」とかね、そういう曲が並んでいます。でも今回聴いてもらう「Murasame」という曲に関しては、アルバムの1曲目に据えられているんですけど、そこまで和楽器をフィーチャーしてるわけじゃなくて、でもどことなく日本を感じるというタイプの曲で。そういうある種の曖昧さというか、雰囲気から感じるみたいなことって、日本らしさでもあるなと思いました。
MISATO:そうですね。
金子:これがリードトラックとして1曲目に置かれてるというのは、すごく新鮮だなって。
MISATO:例えば「Matsuribayashi」とか、わかりやすく琴を使ってるような曲を1曲目にして、リードにする方が単純にはわかりやすいですけど、そこを避けているのが、WAZGOGGがやる日本だからというか。そういう見せ方なのかなという気もしますね。
金子:「エフェクトを多用して自分らしいグルーヴが作れて、全曲の中でもお気に入りの楽曲です」という本人のコメントもあって、日本らしさというところと、自分らしさというところがちゃんと合致してできた曲だという手応えが、自分の中でもあるんでしょうね。
MISATO:こういう和のサウンドとビートを一緒に展開させていくって、塩梅がとても難しいじゃないですか?両極にある楽器を使ってるようなイメージ。それを中和させるというのは相当な想像力というか、すごいですよね。
金子:一歩間違えると「ただ和楽器を使いました」というだけになっちゃうと思うけど、そうじゃないものに仕上がってるのはWAZGOGGさんの技かなと思います。
MISATO:アルバムの中では蝉の鳴き声とかカラスの鳴き声も入ってましたけど、録りに行ったんですかね?
金子:かもしれないですね。フィールドレコーディングとか入ってるのかな?わかんないけど。
MISATO:ぜひどんな音が隠れているのか探してみてください。
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、2/23にオンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:2月21日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全17作品の中から、まずはPart 1の9作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!厚武さん!ひとまずビールを飲んで、やすみましょう!
金子:アイラヴミー「やすめ」と、なすてしまの「ひとまずこのビール飲まないか?」、2つの曲をくっつけましたね。さすがです。
MISATO:解説ありがとうございます。言われると恥ずかしい(笑)。アイラヴミーの「やすめ」、ここまで言ってもらえると「そっか、休もうかな...」って思いますよね。
金子:「やすめ」っていいですよね。「休んでもいいんだ」って思います。
MISATO:今回はじめましてさんがいて、札幌近郊を拠点に活動する4人組バンド、melです。
金子:melはデモテープ会議で選ばれてリリースに至ったバンドです。
MISATO:そうなんだ!
金子:2019年に結成されたバンドで、ボーカルとベースが女子で、ギターとドラムが男子の4人組。結成された年に出したデモテープの「YOURS」という曲のMusic Videoが、For Tracy HydeのメンバーやNOT WONKのメンバーから賞賛を浴び、結成わずか半年でHomecomingsとNOT WONKのイベントのオープニングアクトに抜擢される、といった経歴を持つ4人組になります。
MISATO:結成半年のオリジナルソングが高いクオリティーだったということですよね?それもすごいですね。一人ひとりになにかバックグラウンドがあるんでしょうかね?
金子:北海道の大学で出会って、サークルのメンバーで結成したという話だから、まだ若いと思うので...才能ですかね(笑)。
MISATO:すごい!この2年くらいは続かないバンドも多かったりして、特に大学生にとっては難しい時期だったと思うけど、よく諦めずに続けてくれましたね。それだけでも称賛に値するなって。
金子:音楽的にも、HomecomingsとNOT WONKのオープニングアクトをやっているのは「まさに!」な感じで、HomecomingのポップさとNOT WONKのオルタナ感と、ちゃんとどっちもあわせ持っている。これはインディー好きだったら間違いないでしょという、そういうバンドですね。
MISATO:シューゲイザーのドリーミーな感じもすごく気持ちがいいですね。そして、ちょっと触れてもよろしいですか?はしメロです(マイメロ風に)。
金子:先週"推しゴト"してましたけど、今週新曲がリリースですね。
MISATO:待ってました。3曲収録の『ism EP』がリリースになるわけですけど、このEP自体、はしメロちゃんがいろんなことに挑戦をしている期間なんだなという。とりあえず手札全部突っ込むぞ、くらいの感覚がすごくかっこいいなと思って。
金子:以前の曲はR&Bっぽかったり、トラップっぽかったりしたけど、今回みたいなちょっとクールなダンス・トラックもできちゃうんだという。そういういろんなタイプの曲を入れた作品に『ism EP』というタイトルをつけてるのは、まさにいろんな手札があって、いろんなことができるというのが「私のイズムだ」という風に、はしメロちゃん自身がちゃんとセルフプロデュース出来ているというかね。そんな感じがします。
MISATO:はい、それでは1曲お送りしましょう。
金子:今週は、NIKO NIKO TAN TANを紹介しようかなと思います。
MISATO:今回もかっこいいです。
金子:NIKO NIKO TAN TAN、良い感じに来てますね。昨年の9月・10月・11月と連続で3曲リリースしてて、その後の11月に初ワンマンを渋谷のWWWで行い、見事ソールドアウトということで、着実にステージを上げてきてる中での、新たなタームのはじまりの1曲になるのかなという印象です。昨年のインタビューをちょっと読んでみたんですけど、彼らにとってNIKO NIKO TAN TANはメインストリームへの挑戦という意識があるみたいで、特に音楽担当の2人とかは、もともとオルタナティヴな音楽が好きで、ルーツとしてThe Mars Voltaみたいな名前が上がってたり、ポスト・ロックとかも好きだったりするみたいで。そういうエッジーな音楽が好きというバックグランドがありつつ、でもちゃんとメインストリームへ行こうという意識がある。今回の「水槽」にしても、やっぱりコーラスとかはめちゃめちゃキャッチーですよね。
MISATO:J-Popですね。
金子:でもサウンドメイク、シンセだったりビートだったりはやっぱり攻めていて、その両方があるということが改めて感じられた曲です。そして、やっぱりNIKO NIKO TAN TANは映像と一緒にというのが一番のポイントなわけですけど、我らがFRIENDSHIP.のキュレーターでもある青木ロビンさんのdownyって、いま振り返れば本当に音楽と映像を組み合わせた先駆けだったなって思うんですね。でも昔ってそれはあくまでオルタナティヴで、「他の人がやってないことをやる」という姿勢で映像を使ってたと思うんですけど、いまは価値観が転換して、彼らはメインストリームに行くために必要なものとして"映像"というものを捉えてるってことだと思うんですよね。
MISATO:なるほど。
金子:もちろん、その間にはYouTubeだったりいろんな動画メディアが生まれたということが大きいと思うんですけど、本当に価値観がガラッと変わったなって、改めて思ったりしました。
MISATO:何を武器として、何がスタンダードに変わったのかって、このたった10年だけ振り返っても大きく変わったし、それをもって「じゃあ、メインストリームって何なんだ?」という指標も変わっていると思うんですよね。その指標を作っていた先人たちとか、先輩達とか、いろんな人たちの石を置くような作業というのが、いまの彼らにも繋がってくるわけで。
金子:そうですね。そこからきっと新しい、ネクストのスタンダードが生まれて来るんでしょうね。
MISATO:うわー楽しみだな〜。
MISATO:NIKO NIKO TAN TANの活動は精力的に続くみたいですね。
金子:昨年も3ヶ月連続リリースして、その後にワンマンとか、プランニングもしっかりしてそうな人たちなので、また面白いリリースが続きそうですね。
MISATO:きっと年間スケジュールが立っていそうですね。
金子:年末までスケジュールを想定してると思います。
MISATO:うわーいいね!楽しみです。ウェブサイトやSNSもご覧になってみてください。
New Release Digest Part 2
MISATO:2月21日週にリリースしました新譜ダイジェスト全17作品の中から、後半8作品をダイジェストでご紹介しました。私の推しのAmiideとsaccharin、2人がこういう歌詞を歌うんだという、だいぶアンチテーゼな楽曲をリリースしております。
金子:saccharinは「OM3」と書いて、「オマエサン」。この言語感覚は面白いですよね。
MISATO:文字の羅列を見ているだけでも、大樹くんが書く歌詞というのは面白いですね。そして、今回はじめましての方がPart 2に2組いらっしゃるんですが、シャープ兄弟!はじめましてで新人さんかと思ってたら、大ベテランでした(笑)。
金子:1999年結成のバンドですが、20年ぶり2枚目のフルアルバムリリースということです。FRIENDSHIP.的に言うと、このバンドのベースが濱野泰政さんという方で、カネコアヤノさんの作品にレコーディングエンジニアとしてずっと関わっていて、伊豆スタジオという有名なスタジオがあり、そこでエンジニア業をしつつ、自らプレイヤーとしても活動されている方です。
MISATO:なるほど!
金子:昨年末にカネコアヤノさんがBillboardでライブをやって、そこに濱野さんもプレイヤーとして参加してたんですよ。で、その公演の前にカネコさんに取材をする機会があって、そこに濱野さんも参加して取材をしたんですけど、そのときに「濱野さんってもともとどういうキャリアの方なんですか?」って聞いたら、「昔バンドやってて、それでデビューしたことがあって、ベーシストだったんですよ」という話をしてくれてて。「へえ〜」って思っていたら、「これか!」という(笑)。
MISATO:「FRIENDSHIP.から出てる!」って(笑)。なんかいいですね。夢があるというか、一度デビューもされて、だけどバンドではなく、エンジニアの方向って決めたときは結構な決断だったと思うんですよ。そこから一流のミュージシャンを支え続けて、でもプレイヤーとしてもやり続けていたというのが歴史として面白いし、こういう生き方もひとつのあり方として憧れますね。
金子:しかも、音楽的には渋い。かっこいい。古くはプログレ、Pink Floydみたいな感じもありつつ、99年結成だから僕よりちょっと世代が上ぐらいだと思うんですけど、あえてちょいマニアックな固有名詞を出すと、アメリカのMercury Revというバンドとか、イギリスのThe Verveというバンドなんかを思い出しました。The Verveは90年代後半のイギリスでRadioheadと双璧をなしたようなバンドですけど、彼らの初期作みたいな感じがすごいして、個人的に大好物という。
MISATO:初期作 (笑)。あんまりピンと来なくて、「うんうん」と言えなくて申し訳ない。
金子:もし好きな方はディグってみてください。
MISATO:そしてもう1組初登場です。Luminous101!
金子:Luminous101は2019年にセルフタイトルの1stアルバムを出していて、すごくいいなと思ってたんですけど、その後あんまり名前を聞かなかったから、今回FRIENDSHIP.からリリースということで、こちらも個人的に嬉しいですね。
MISATO:そうなんですね。
金子:ちなみに今回の曲は、「ストレンジポップを作りたいと思いながら散歩していたら良い感じのリフが浮かんできて、そこからほぼ何も考えずにサビまで作ってしまったので多分トータル10分くらいでできた曲です」とのことです。
MISATO:え!?そんなことが起こるんですか?
金子:コメントには「得てしてこういう曲が良い感じになったりするのだと思います」と書いてあって、確かにいわゆる降ってきた系の曲で、それがそのまま完成して大ヒットしちゃうみたいな話って、やっぱりあるんですよね。
MISATO:ありますね。その降ってきた感じというのは、すごく印象的なフレーズのリフレインが出てくるので、理解はできる。あれはやっぱり一聴して頭の中でループしちゃう。
金子:OGRE YOU ASSHOLEあたりも連想させつつ、このリズムの構築とか隙間の作り方は独自のものだなと思うので、すごくかっこいいですね。
MISATO:さあ1曲お届けするのは?
金子:今週はWAZGOGGを紹介しようかなと思います。
MISATO:冒頭で少しお話ししましたが、私が言葉を持たない文学家だと思っているWAZGOGG先生ですね。
金子:今回は『From Japan』というアルバムで、昨年の9月に『Japanese Tradition』というやはり日本を題材にした作品を出しているので、その続編みたいなイメージだと思います。琴だったり笛だったり、日本の和楽器を使いつつ、それをビートと組み合わせていて、曲名だけ見ても、「Matsuribayashi」とか「Semi Shigure」、「Nihonkai」とかね、そういう曲が並んでいます。でも今回聴いてもらう「Murasame」という曲に関しては、アルバムの1曲目に据えられているんですけど、そこまで和楽器をフィーチャーしてるわけじゃなくて、でもどことなく日本を感じるというタイプの曲で。そういうある種の曖昧さというか、雰囲気から感じるみたいなことって、日本らしさでもあるなと思いました。
MISATO:そうですね。
金子:これがリードトラックとして1曲目に置かれてるというのは、すごく新鮮だなって。
MISATO:例えば「Matsuribayashi」とか、わかりやすく琴を使ってるような曲を1曲目にして、リードにする方が単純にはわかりやすいですけど、そこを避けているのが、WAZGOGGがやる日本だからというか。そういう見せ方なのかなという気もしますね。
金子:「エフェクトを多用して自分らしいグルーヴが作れて、全曲の中でもお気に入りの楽曲です」という本人のコメントもあって、日本らしさというところと、自分らしさというところがちゃんと合致してできた曲だという手応えが、自分の中でもあるんでしょうね。
MISATO:こういう和のサウンドとビートを一緒に展開させていくって、塩梅がとても難しいじゃないですか?両極にある楽器を使ってるようなイメージ。それを中和させるというのは相当な想像力というか、すごいですよね。
金子:一歩間違えると「ただ和楽器を使いました」というだけになっちゃうと思うけど、そうじゃないものに仕上がってるのはWAZGOGGさんの技かなと思います。
MISATO:アルバムの中では蝉の鳴き声とかカラスの鳴き声も入ってましたけど、録りに行ったんですかね?
金子:かもしれないですね。フィールドレコーディングとか入ってるのかな?わかんないけど。
MISATO:ぜひどんな音が隠れているのか探してみてください。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」FRIENDSHIP.