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2021.09.04
a flood of circle、結成15周年を祝う5組が新木場コーストに集結。愛と敬意が溢れた「GIFT ROCKS LIVE」
「ロックって最高」の一言に尽きる。そんな一夜だった。今年結成15周年を迎えたa flood of circleの自主企画イベント「GIFT ROCKS LIVE」だ。出演者には、SIX LOUNGE、Rei、UNISON SQUARE GARDEN、THE BACK HORN、the pillowsという錚々たる5組のアーティストが名を連ねた。キャリアはバラバラ。だが、それぞれに自分の表現に対する確固たる矜持を持った5組だ。おそらく、こんなラインナップで自主企画を組めるのはフラッドだけだろう。
この日は、フラッドが8月11日にリリースした前代未聞と言われるギフトアルバム『GIFT ROCKS』のレコ発イベントという位置づけになる。フラッドが15年間で出会ってきたアーティストに楽曲をプレゼントしてもらい、それを自分たちで演奏する、というかたちで完成させたスペシャルな1枚。第三者の目線からフラッドを表現することで、新しいバンドの一面に出会える新鮮な作品だった。そこに参加しているのが上記の5組ということになる。
この日のそれぞれのステージには、とにかくフラッドへの愛と敬意が溢れていた。
直球のロックンロールでイベントの口火を切ったSIX LOUNGEは、おそらく佐々木へのリスペクトを込めて、だろう。どんな時間帯のステージでも、朝のあいさつで始める佐々木を真似て、ヤマグチユウモリ(Vo/Gt)が「おはようございます」と交わしたあいさつが粋だった。
唯一の女性ソロアーティストだったReiは、「ギタリストであり、ボーカリストである」というアイデンティティを全開にしたパフォーマンスで会場の視線を釘付けにした。MCでは「お互いに大好きなものが近い」と、フラッドに感じるシンパシーを素直に語った。
『GIFT ROCKS』のなかで、フラッドがカバーした「WINDOW開ける」を1曲目に置くという、「わかってる感」が最高だったUNISON SQUARE GARDENは、スリーピースとは思えない圧巻のアンサンブルで魅了した。「15年続けてくれて、ありがとう!」という斎藤宏介(Vo/Gt)の言葉は、長く彼らと歩みを共にした彼らだからこその一言だった。
その場所に生きる意味を刻み付けるような熱演が胸を揺さぶったTHE BACK HORNは、「a flood of circleの熱い情熱に触れると、未来は明るいと思えてきます。大好きです」と、山田将司(Vo)が言葉を尽くした。バンドのキャリア的で言うと、8年の差がある。だが、そんなことは関係なく、ひとりの人間として真摯にリスペクトを伝える姿勢がとても印象的だった。
トリ前。ビール片手にぶらりと後輩の15周年を祝いにやって来た、というラフさがありながら、貫禄のステージでフラッドにバトンを渡したのはthe pillowsだった。かつてピロウズの25周年を祝うトリビュート盤でフラッドがカバーした「Blues Drive Monster」も含むセットリストは、フラッドのために選んだ、というニュアンスが色濃い。そして、MCも痺れた。「32年やってる俺らが言えることは、まだまだ楽しい時間を過ごせるってこと、それは君たち(お客さん)も一緒」。そのキャリアが裏打ちする、山中さわお(Vo/Gt)の説得力のある言葉は、フラッドの面々はもちろん、この日集まったお客さんにとっても宝物になったと思う。
ここまで6時間(新型コロナ対策のため、転換に長めの換気タイムも確保されていた)。全5組が素晴らしいステージを繰り広げたあとのa flood of circleのステージに、気合いがこもらないわけがなかった。リリースから1年足らずで、もはやライブに欠かせないアンセムと化した「Beast Mode」を起爆剤に、『GIFT ROCKS』でプレゼントしてもらった楽曲が次々に披露されていった。
バンドそのものをテーマにした歌詞に合わせて、佐々木がメンバーの側に寄り添って歌ったRei提供のブルージーなダンスナンバー「I'M ALIVE」をはじめ、SIX LOUNGE提供のロマンチックなミディアムバラード「LADY LUCK」から、意外にもジャジーのアプローチで驚かせたTHE BACK HORN提供の「星屑のレコード」。UNISON SQUARE GARDENが提供した「まだ世界は君のもの」の前には、その元ネタになったフラッドの楽曲「世界は君のもの」を続けて披露とするという聴かせ方も絶妙だった。終盤に置いたthe pillows提供の「夕暮れのフランツ 凋まない風船」では、極上のメロディと優しいグルーヴが心地好い空間を作り上げた。
a flood of circleは熱量の高いロックンロールだけを持ち味とするバンドではない。その真ん中にはずっと日本人らしい「歌ごころ」がある。そのことをよく知る面々が楽曲を手がけた『GIFT ROCKS』だったからこそ、この日のフラッドのステージは、いつも以上にセンチメンタルな気分が強く浮き彫りになっていた。そして同時にそこで披露された歌たちには、「どんな時代も転がり続ける」というバンドの意思が、フラッドの言葉ではなく、それぞれのバンドの言葉で代弁されていたことがとても素敵だった。
この日、佐々木は、「人生、いろいろなことを間違ってきたけど(中略)、今日みたいな日があると、1個も間違いじゃなかった気がする」と言った。それが、この日の意味のすべてだったと思う。
15年とは日数にすると、約5,500日にもなる。そこで下した選択の一つひとつが、合っていたのか、間違っていたのか。それは終わってみないとわからない。だからこそ、こうやって特別な日に、大切な仲間に祝福されて、過去の自分たちを肯定するような感覚を得られたことは、きっとa flood of circleにとって、これからも歩み続けるための大きな糧になるだろう。
写真:Viola Kam (V'z Twinkle)
@afoc_official
@a_flood_of_circle_official
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この日は、フラッドが8月11日にリリースした前代未聞と言われるギフトアルバム『GIFT ROCKS』のレコ発イベントという位置づけになる。フラッドが15年間で出会ってきたアーティストに楽曲をプレゼントしてもらい、それを自分たちで演奏する、というかたちで完成させたスペシャルな1枚。第三者の目線からフラッドを表現することで、新しいバンドの一面に出会える新鮮な作品だった。そこに参加しているのが上記の5組ということになる。
この日のそれぞれのステージには、とにかくフラッドへの愛と敬意が溢れていた。
直球のロックンロールでイベントの口火を切ったSIX LOUNGEは、おそらく佐々木へのリスペクトを込めて、だろう。どんな時間帯のステージでも、朝のあいさつで始める佐々木を真似て、ヤマグチユウモリ(Vo/Gt)が「おはようございます」と交わしたあいさつが粋だった。
唯一の女性ソロアーティストだったReiは、「ギタリストであり、ボーカリストである」というアイデンティティを全開にしたパフォーマンスで会場の視線を釘付けにした。MCでは「お互いに大好きなものが近い」と、フラッドに感じるシンパシーを素直に語った。
『GIFT ROCKS』のなかで、フラッドがカバーした「WINDOW開ける」を1曲目に置くという、「わかってる感」が最高だったUNISON SQUARE GARDENは、スリーピースとは思えない圧巻のアンサンブルで魅了した。「15年続けてくれて、ありがとう!」という斎藤宏介(Vo/Gt)の言葉は、長く彼らと歩みを共にした彼らだからこその一言だった。
その場所に生きる意味を刻み付けるような熱演が胸を揺さぶったTHE BACK HORNは、「a flood of circleの熱い情熱に触れると、未来は明るいと思えてきます。大好きです」と、山田将司(Vo)が言葉を尽くした。バンドのキャリア的で言うと、8年の差がある。だが、そんなことは関係なく、ひとりの人間として真摯にリスペクトを伝える姿勢がとても印象的だった。
トリ前。ビール片手にぶらりと後輩の15周年を祝いにやって来た、というラフさがありながら、貫禄のステージでフラッドにバトンを渡したのはthe pillowsだった。かつてピロウズの25周年を祝うトリビュート盤でフラッドがカバーした「Blues Drive Monster」も含むセットリストは、フラッドのために選んだ、というニュアンスが色濃い。そして、MCも痺れた。「32年やってる俺らが言えることは、まだまだ楽しい時間を過ごせるってこと、それは君たち(お客さん)も一緒」。そのキャリアが裏打ちする、山中さわお(Vo/Gt)の説得力のある言葉は、フラッドの面々はもちろん、この日集まったお客さんにとっても宝物になったと思う。
ここまで6時間(新型コロナ対策のため、転換に長めの換気タイムも確保されていた)。全5組が素晴らしいステージを繰り広げたあとのa flood of circleのステージに、気合いがこもらないわけがなかった。リリースから1年足らずで、もはやライブに欠かせないアンセムと化した「Beast Mode」を起爆剤に、『GIFT ROCKS』でプレゼントしてもらった楽曲が次々に披露されていった。
バンドそのものをテーマにした歌詞に合わせて、佐々木がメンバーの側に寄り添って歌ったRei提供のブルージーなダンスナンバー「I'M ALIVE」をはじめ、SIX LOUNGE提供のロマンチックなミディアムバラード「LADY LUCK」から、意外にもジャジーのアプローチで驚かせたTHE BACK HORN提供の「星屑のレコード」。UNISON SQUARE GARDENが提供した「まだ世界は君のもの」の前には、その元ネタになったフラッドの楽曲「世界は君のもの」を続けて披露とするという聴かせ方も絶妙だった。終盤に置いたthe pillows提供の「夕暮れのフランツ 凋まない風船」では、極上のメロディと優しいグルーヴが心地好い空間を作り上げた。
a flood of circleは熱量の高いロックンロールだけを持ち味とするバンドではない。その真ん中にはずっと日本人らしい「歌ごころ」がある。そのことをよく知る面々が楽曲を手がけた『GIFT ROCKS』だったからこそ、この日のフラッドのステージは、いつも以上にセンチメンタルな気分が強く浮き彫りになっていた。そして同時にそこで披露された歌たちには、「どんな時代も転がり続ける」というバンドの意思が、フラッドの言葉ではなく、それぞれのバンドの言葉で代弁されていたことがとても素敵だった。
この日、佐々木は、「人生、いろいろなことを間違ってきたけど(中略)、今日みたいな日があると、1個も間違いじゃなかった気がする」と言った。それが、この日の意味のすべてだったと思う。
15年とは日数にすると、約5,500日にもなる。そこで下した選択の一つひとつが、合っていたのか、間違っていたのか。それは終わってみないとわからない。だからこそ、こうやって特別な日に、大切な仲間に祝福されて、過去の自分たちを肯定するような感覚を得られたことは、きっとa flood of circleにとって、これからも歩み続けるための大きな糧になるだろう。
写真:Viola Kam (V'z Twinkle)
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オフィシャルサイト@afoc_official
@a_flood_of_circle_official