2024.11.21
音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。Vol.221は、独創的なサウンドを鳴らすインディーロックバンドEASTOKLABを取り上げる。
新作であるミニアルバム『Your Morrow』には、"僕やあなたの明日を、未来を、小さく照らせるように"という願いが込められている。バンドサウンドとエレクトロミュージックを溶け合わせた意志ある楽曲たちに、ぜひ触れてみてほしい。
前身バンドをスタートした当初から、毎週スタジオに集まって楽器や機材を触りながら制作したり録音したりというサイクルがずっと続いていて、それが派生して現在はレコーディングエンジニアとしても様々なアーティストに関わらせてもらっています。
ここ数年は主に辺境テクノやレフトフィールドなどを聴いていて、特にロシアのGost Zvukというレーベルを中心にディグしながらレコードを収集しています。ロシアのエレクトロニックは冷たく不穏な空気のなかに美しさを感じるものが多く、その歪なサウンドデザインに魅力を感じます。
ロシアン・ミニマルを中心にDJをやったりすることもあるので、ロシアから日本に入ってくる限りなく少ないレコードを血眼で探すのが日課になっています。
今作はレコーディングからミックス・マスタリングを僕が、アートワークやMVをベースの岡くんが担当していて、オールDIYで制作を完結させました。過去のアルバムはアレンジなど完全に詰め切ってからレコーディングをスタートしていたのですが、今回はレコーディングと制作がシームレスにあり、ミュージシャンとしての自分とエンジニアとしての自分を隔たりなく繋げることがひとつのテーマとしてあったかなと思います。
なのでミックスしながら改めて音を足すことも引くこともあれば、なんとなく捻ってみたり、バツバツに切ってみたり、あくまでバンドサウンドを前提としていろいろと試したり遊んだりもしてみました。
中学生の頃にカセットテープMTRを買って始めて録音というものに触れた時のような、自分でもびっくりするくらいピュアな気持ちで作った作品で、過去のアルバムと比較しても計り知れないほどの愛着があります。
またサンプルやシンセも今まででいちばん多用したアルバムになっていて、それはHayato Hiokiとしてソロのアルバムを作った影響でもあるのかなと思います。もともとEASTOKLABとソロでは機材などを完全に分けていたのですが、どっちも自分だしもういいやと思ったので今回はソロで使っていたシンセやサウンドも流用しています。
個人的には、あのシンセをこのエフェクトに入れたら楽しそう!とか、あの音をこのマイクで録ったら楽しそう!というオタク的な願望がたくさんあるので、次の作品ではそういった自分の欲求も全面的に叶えつつ、自分たちもEASTOKLABを聴いてくれる方にも新しい発見があるような音楽を作りたいと思っています。
いわゆるエンタメ小説というものとは違い、大どんでん返しが!とか、衝撃のラスト!みたいなものでもなく、文学的な表現だったり、内面を掘っていくような小説が好きで、文章が立体的に立ち上がってくるような感覚や、言葉であるのに言葉では形容し難い感覚を覚えたり、それは音楽にも通づるものがあるのかなと思います。小説から直接の影響を受けて音楽を作ることはないのですが、間接的に自分の作る音楽にも影響を与えているのかもしれません。
好きな作家さんを挙げるとキリがないのですが、上田岳弘さん、山下澄人さん、金子薫さん、中村文則さん、田中慎弥さんなど、日常と地続きでありながらも何処か不穏な空気があって、ファンタジックな小説が好きな気がします。とはいえただ好きで読んでいるだけなので、あんまり細かいことは考えたりしていないし、心をフラットにして楽しめる唯一の趣味という感じなのかなと。
また、0から物語を作り、それを一つの小説として組み上げるのはとんでもないストイックさがないとできないことだと思うので、小説家という存在そのもの、ひいてはその姿勢を尊敬しているという点もあります。
回覧板を回してSNSには載っていない情報を共有したり、近所で行われる小さな祭りに参加したり、商店街で買い物をしたり、近所の居酒屋で同じ街に住む人たちと話したり、ここに来なければ知らなかった小さな文化に触れるなかで、いわゆるカルチャーショックというか、自分の知らなかったその地域に流れる固有のカルチャーというものを感じる瞬間が沢山あります。
音楽や文学などばかりをカルチャーとして捉えてきましたが、その多くはそもそも人間としての生活があって初めて生まれるもので、そんな当たり前のことに地域と関わることで気づけたような気がします。
それぞれの街に脈々と続いてきた小さなカルチャーがあるんだなと知って、今は自分の住む街の歴史やカルチャーに触れ、いつか何かしらの形で地域に貢献できたらいいなぁ、と思ったりしている日々です。
EASTOKLAB 「Your Morrow」
2024年11月20日(水)
試聴はこちら
2024年12月15日(日)
東京 Shimokitazawa ERA
OPEN17:45 / START18:15
EASTOKLAB / yeti let you notice / 水中スピカ
ADV¥3,000 / DOOR¥3,500(+1D)
EASTOKLAB
バンドサンドとエレクトロミュージックを同列にミックスし、国境やジャンルを横断した独創的なサウンドを鳴らすインディーロックバンド。
2019年6月、DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECTよりMini Album『EASTOKLAB』でデビュー。
2020年6月、Mini Album『Fake Planets』をリリース。
2020年11月、ANIMAL HACKとの共作曲「Ice Red」をリリース。
2021年11月、EP『Ai』をリリース。
2024年1月、1st Full Album『泡のような光たち』をリリース。
2024年11月、Mini Album『Your Morrow』リリース。
@eastoklab
@eastoklab
@EASTOKLAB
FRIENDSHIP.
新作であるミニアルバム『Your Morrow』には、"僕やあなたの明日を、未来を、小さく照らせるように"という願いが込められている。バンドサウンドとエレクトロミュージックを溶け合わせた意志ある楽曲たちに、ぜひ触れてみてほしい。
活動を始めたきっかけ
日置逸人(Vo/Syn):以前活動していたバンドが解散したタイミングで、当時憧れていたUSインディーのようなバンドを自分でもやってみたいと思い、気の合う大学の友達と始めたのがEASTOKLABの前身であるThe Skateboard Kidsでした。それから2019年にギターの西尾くんが加入してEASTOKLABになり、今の体制に至ります。前身バンドをスタートした当初から、毎週スタジオに集まって楽器や機材を触りながら制作したり録音したりというサイクルがずっと続いていて、それが派生して現在はレコーディングエンジニアとしても様々なアーティストに関わらせてもらっています。
影響を受けたアーティスト
日置:このバンドを始めるにあたって主に影響を受けていたのはBlonde Redhead、Deerhunterなど4AD(英国のインディーレーベル)周辺のロックバンドで、楽曲はもちろん、視覚的かつデザイン的なサウンドのレイヤーに大きな影響を受けました。EASTOKLABとしてもエンジニアとしても、自分の根底に常に流れているものなのかなと思います。ここ数年は主に辺境テクノやレフトフィールドなどを聴いていて、特にロシアのGost Zvukというレーベルを中心にディグしながらレコードを収集しています。ロシアのエレクトロニックは冷たく不穏な空気のなかに美しさを感じるものが多く、その歪なサウンドデザインに魅力を感じます。
ロシアン・ミニマルを中心にDJをやったりすることもあるので、ロシアから日本に入ってくる限りなく少ないレコードを血眼で探すのが日課になっています。
注目してほしい、自分の関わった作品
日置:新しいミニアルバム『Your Morrow』です。今年の1月にファーストフルアルバム『泡のような光たち』をリリースしたのですが、ツアーが終わり一区切り!かと思いきや、ものすごい制作意欲に駆られて過去最速で新しい作品を作ることができました。今作はレコーディングからミックス・マスタリングを僕が、アートワークやMVをベースの岡くんが担当していて、オールDIYで制作を完結させました。過去のアルバムはアレンジなど完全に詰め切ってからレコーディングをスタートしていたのですが、今回はレコーディングと制作がシームレスにあり、ミュージシャンとしての自分とエンジニアとしての自分を隔たりなく繋げることがひとつのテーマとしてあったかなと思います。
なのでミックスしながら改めて音を足すことも引くこともあれば、なんとなく捻ってみたり、バツバツに切ってみたり、あくまでバンドサウンドを前提としていろいろと試したり遊んだりもしてみました。
中学生の頃にカセットテープMTRを買って始めて録音というものに触れた時のような、自分でもびっくりするくらいピュアな気持ちで作った作品で、過去のアルバムと比較しても計り知れないほどの愛着があります。
またサンプルやシンセも今まででいちばん多用したアルバムになっていて、それはHayato Hiokiとしてソロのアルバムを作った影響でもあるのかなと思います。もともとEASTOKLABとソロでは機材などを完全に分けていたのですが、どっちも自分だしもういいやと思ったので今回はソロで使っていたシンセやサウンドも流用しています。
今後挑戦してみたいこと
日置:年々バンドが楽しくなってきていて、また新しいアルバムを作ってツアーをしたいなと、ただそれだけが次の目標であり、モチベーションになっています。個人的には、あのシンセをこのエフェクトに入れたら楽しそう!とか、あの音をこのマイクで録ったら楽しそう!というオタク的な願望がたくさんあるので、次の作品ではそういった自分の欲求も全面的に叶えつつ、自分たちもEASTOKLABを聴いてくれる方にも新しい発見があるような音楽を作りたいと思っています。
カルチャーについて
触れてきたカルチャー
日置:現代の純文学が好きで、好きになった作家さんの小説を遡って読むことが多いです。もともと20歳くらいの頃に、時間はあるけどお金がない!みたいな毎日だったので、暇つぶし程度の感覚で100円コーナーの古本を読むようになり、ただ本って何を読めばいいかわからないので、当時に面白いと思った本の傾向から芥川賞候補作などの純文学と呼ばれるものを読み続けています。いわゆるエンタメ小説というものとは違い、大どんでん返しが!とか、衝撃のラスト!みたいなものでもなく、文学的な表現だったり、内面を掘っていくような小説が好きで、文章が立体的に立ち上がってくるような感覚や、言葉であるのに言葉では形容し難い感覚を覚えたり、それは音楽にも通づるものがあるのかなと思います。小説から直接の影響を受けて音楽を作ることはないのですが、間接的に自分の作る音楽にも影響を与えているのかもしれません。
好きな作家さんを挙げるとキリがないのですが、上田岳弘さん、山下澄人さん、金子薫さん、中村文則さん、田中慎弥さんなど、日常と地続きでありながらも何処か不穏な空気があって、ファンタジックな小説が好きな気がします。とはいえただ好きで読んでいるだけなので、あんまり細かいことは考えたりしていないし、心をフラットにして楽しめる唯一の趣味という感じなのかなと。
また、0から物語を作り、それを一つの小説として組み上げるのはとんでもないストイックさがないとできないことだと思うので、小説家という存在そのもの、ひいてはその姿勢を尊敬しているという点もあります。
今注目しているカルチャー
日置:僕は今、名古屋市内に超古い木造の古民家を借りて生活をしていているのですが、縁もゆかりもない地に越してきて、その街に流れている小さなカルチャーがあるんだなと知りました。回覧板を回してSNSには載っていない情報を共有したり、近所で行われる小さな祭りに参加したり、商店街で買い物をしたり、近所の居酒屋で同じ街に住む人たちと話したり、ここに来なければ知らなかった小さな文化に触れるなかで、いわゆるカルチャーショックというか、自分の知らなかったその地域に流れる固有のカルチャーというものを感じる瞬間が沢山あります。
音楽や文学などばかりをカルチャーとして捉えてきましたが、その多くはそもそも人間としての生活があって初めて生まれるもので、そんな当たり前のことに地域と関わることで気づけたような気がします。
それぞれの街に脈々と続いてきた小さなカルチャーがあるんだなと知って、今は自分の住む街の歴史やカルチャーに触れ、いつか何かしらの形で地域に貢献できたらいいなぁ、と思ったりしている日々です。
RELEASE INFORMATION
EASTOKLAB 「Your Morrow」
2024年11月20日(水)
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
EASTOKLAB presents "Our Morrow"
2024年12月15日(日)
東京 Shimokitazawa ERA
OPEN17:45 / START18:15
EASTOKLAB / yeti let you notice / 水中スピカ
ADV¥3,000 / DOOR¥3,500(+1D)
PROFILE
EASTOKLAB
バンドサンドとエレクトロミュージックを同列にミックスし、国境やジャンルを横断した独創的なサウンドを鳴らすインディーロックバンド。
2019年6月、DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECTよりMini Album『EASTOKLAB』でデビュー。
2020年6月、Mini Album『Fake Planets』をリリース。
2020年11月、ANIMAL HACKとの共作曲「Ice Red」をリリース。
2021年11月、EP『Ai』をリリース。
2024年1月、1st Full Album『泡のような光たち』をリリース。
2024年11月、Mini Album『Your Morrow』リリース。
LINK
オフィシャルサイト@eastoklab
@eastoklab
@EASTOKLAB
FRIENDSHIP.