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2022.11.17
【読むラジオ】MC:森山公稀(odol) ジョン・ウィリアムズ特集から「スターウォーズ」編を蔵出し!「Room H」-2022.11.16-
FM福岡で毎週水曜日 26:00~26:55にオンエアしている音楽番組「Room "H"」。九州にゆかりのある3組のバンド、ユアネスの黒川侑司、松本 大、odolの森山公稀が週替わりでMCを務め、彼らが紹介したい音楽をお届けし、またここだけでしか聴けない演奏も発信していく。
今週のMCは、odolの森山公稀が担当。SENSAでは、オンエア内容を一部レポート!(聴き逃した方やもう一度聴きたい方は、radiko タイムフリーをご利用下さい。)
(森山)近況なのですが、前回の放送からの期間はずっとスタジオにこもってレコーディングをしていました。とてもいいものが録れているなと思ってます。ぜひ楽しみに待っていてくれたら嬉しいですね。そんな近況です。
ここからは@リビングルームのコーナーに入っていきたいと思います。毎回Room "H"の住人がそれぞれのカラーで今聴いてもらいたい音楽を自由にセレクトしていきます。ということで本日は「ノンネイティブ日本語詞」というテーマで3曲をご紹介したいと思います。「ノンネイティブ日本語詞」。これは何かと言うと、日本語を第一言語としてないアーティストの方が歌う日本語詞の曲のことです。一言で言い表すのが難しかったので、とりあえずそういう言い方にしてみました。
たまにノンネイティブのアーティストの日本語詞の曲ってあるじゃないですか?皆さんはなにか思い浮かびますか?全篇日本語詞じゃなくても、日本語が一部使われてる曲とかって意外とたくさんあると思うんですよね。僕はそういうタイプの曲をすごく魅力的だと思っています。
そして、その魅力って日本語を第一言語として日々使用する我々にしか味わえない魅力だと思うので、それを存分に味わいたいと思うんですよね。日本語を第一言語とする人が書く日本語詞は、日本語をあとから習得した人も同じように楽しめるんじゃないかと思うんですけど、逆はちょっと違うかなと思っています。その感じをこのコーナーを使って皆さんと共有していきたいですね。
そもそも、個人的に日本語詞の楽曲って意味が入ってきすぎる感があってあまり聴けないのですが、日本語以外の言語の歌というのはまず音で入ってきてくれるから、意味までにワンクッションがあるというのが、僕にとってすごく良くて。そのワンクッションが、歌のある音楽だとすごく大事なんですけど、今回のテーマである「日本語を第一言語としていないアーティストが歌う日本語詞」というのは、日本語で歌われているのにも関わらず、そのワンクッションを感じるという絶妙な魅力があるんですよ。伝わっていますかね(笑)。
ただこのニュアンスって、雑に「外国の方が使う日本語って可愛いよね、キュートだよね」みたいな風に捉えられがちなので、そうは捉えられたくなくて、もう少し丁寧にお伝えしたいので、引き続き話しますね。なんというか、言葉って結構曖昧じゃないですか?名詞とか一つとっても、その名詞が表してる、指し示すものって、輪郭がはっきりしてるわけじゃなくて、意外とモヤっとしているじゃないですか?意味とかニュアンスって日々微妙に変わっていっていると思うんですよね。文法とか助詞の使い方みたいなこととかも。その文脈が変わってるといいますか。また普通に言葉や音のイントネーション、発音も含めて時代とともに徐々に毎日変わっていっていると思うんですね。
それで、普段から同じ言語、日本語で生活している僕たち同士でも、なんとなくモヤモヤ感を共有しつつも、完全にそれが一致というか、同期してるわけじゃなくて、人それぞれでズレていたりするじゃないですか?同じ言葉を使っていても、それが指し示してる概念が微妙に違うなみたいな、そういうズレってよくあると思います。
そういう人それぞれのズレが、その言語が第一言語じゃない人との間ではズレ方の質が違うというか、予想外のズレ方をしてたりすると思うんですよね。
皆さんの周りにも第一言語じゃないけど、日本語を話す友達とかいらっしゃると思うんですけど、すごく日本語が堪能で普通にコミュニケーションも何ら問題なくできるというレベルで習得されている方でも、すごく些細な部分とかに独特のズレ方があるなと感じることがありませんかね?僕はあるんですよね。日本語を普段から使っている人に感じるズレ、例えば「この人の言葉遣いが独特だな」とか、「言葉選びが面白いな」みたいな、そういうズレとは種類が違う感じがするんですよね。うまく説明できないですけど...。この感覚って分かってもらえてるような気がするんですけど。
それで、ただ単にそういう違和感のある、独特のズレのある日本語が面白いよねという話ではなく、そういうズレ、足場の違いがある人の歌だからこそ、歌としてメロディーに乗った時に、その日本語の聞こえ方みたいなのが全然違ったものになる感じがするんですよね。日本のアーティストがそういう意識のもとで日本語を解体したりとか、メロディーへの乗せ方を工夫したり、遊んだりしているという作品もたくさんあると思うんですけど、それはそれで面白いですけど、それだとどうしても出せないニュアンスがあると思っています。それが魅力だと感じているんですよね。もしかしたら、ちょっとバイアスがかかった聴き方になっているみたいな、そういう面もあるかもしれないですけど、僕はそれだけじゃないような気がしてるんですよね。
それをまだうまく言葉にはできないですけど、とにかくすごく魅力的に思っています。そのニュアンスと言いますか、日本語の聞こえ方の違いというのが僕の中では、最初に話した意味にたどり着くまでワンクッションになってて、すごく心地よく聴けるんですよ。そんな感じです(笑)。日本語詞を、意味が入ってくる前にワンクッション置いて楽しめるという、その良さを皆さんに共有したいなというところです。
という、僕がぼんやりと考えてたことを放り投げたところで、音楽を聴いていきたいなと思います。本日は3曲ご紹介していきたいなと思っております。
今日聴く「DENTAKU」という曲も、あまり普段聴かない方はYMO的に聴こえてしまうかもしれないですね。ちなみに「DENTAKU」という曲なんですけど、「Pocket Calculator」という曲の日本語バージョンなんですよね。Kraftwerkってこの曲に限らず、そして日本語に限らず、作品の中で様々な言語を言葉として扱ってるんですよね。この曲も5〜6言語のバージョンがあるらしいですね。未リリース分も含めるとね。気になったらちょっと調べて聴き比べてみるといいかなと思います。Kraftwerkの使う言葉というのは、これまた長くなりますが最初に話したのとは別の面白さも同時にありますよね。この曲は翻訳家の方が入って翻訳してるんですけど、Kraftwerkの言葉の扱い方だけじゃなく、日本語の発音のグルーヴとかもすごく魅力に感じているので、その辺りを聴いてみていただきたいなと思いこの曲を選びました。
「ノンネイティブ日本語詞」というテーマで3曲お送りしてきたのですが、最初にいろいろ話しましたけど、結局普通に良い曲たちですよね(笑)。日本語を言葉としての意味の前に、ワンクッション置いて音として、音楽として楽しめる感覚というか、そういう魅力が少しでも共有できていたらいいなと思います。皆さんもこのタイプの曲でおすすめだったり、好きなものがあったらぜひ教えてくれたら嬉しいなと思います。
ここで前回時間の関係で流せなかった、ジョン・ウィリアムズ特集からの『スターウォーズ』編を蔵出しオンエアしたいと思います。それでは早速聴いてください、どうぞ。
『スターウォーズ』の音楽って「アメリカ史上最高」とか言われたり、すごい評価をされていたりすると思うのですが、改めて「何がすごかったんだろう」というのに触れていこうと思います。もちろん音楽自体かっこいいし、映画も言わずもがなという感じですけど、「アメリカにとって何でそれが一番なんだろう」と、今の僕たちからしたら少し疑問に思うところもあるかなと思います。
有名な話なのでご存知の方も多いかもしれませんが、簡単にいうと、この『スターウォーズ』の音楽で、ハリウッドのオーケストラサウンドというのをジョン・ウィリアムズが取り戻したみたいな、復活させたみたいな感じなんですよね。『スターウォーズ』が公開されたのは70年代後半なのですが、前回映画会社に専属オケやスタジオがあるというお話をしましたけど、そういうのをひっくるめたスタジオシステムというのも割と崩れてきている時代でした。映画音楽もそういう風にオリジナルのスコアというのではなく、ポップスとか、既成の楽曲というのがたくさん使用されていたりする時代です。あとは70年代後半って電子音楽、というか電子楽器の時代ですよね。YMOの時代と言っていいかもしれないですけど(笑)。電子楽器の時代なので、SF映画というとやっぱり電子楽器が導入されがちだったみたいですね。当時にしてみれば「未知の音」ということで、SFにはぴったりですけど、そういう感じでいわゆるハリウッド的なシンフォニックサウンドみたいなのがあまり聴こえなくなっていった流れがあったということですね。そんな中で『スターウォーズ』が大成功したことによって、「音楽も素晴らしい!」となって、それ以降またそういう大きな映画といえば、こぞって「オーケストラサウンドでしょう!」という風になったという。そういう大きな流れがあって、そのきっかけになった作品とされているわけですね。
そういう意味で一つの時代を変えた作品となったということだと思いますね。ちょっと違ってるかもしれないんですけど、僕の中の理解ではそういう感じです。ジョン・ウィリアムズのサウンドトラックって、いわゆる「ザ・ハリウッド」ですよね。というか歴史そのものなので当然というか、逆にジョン・ウィリアムズ的なものを"ザ・ハリウッド"と呼んでるみたいな、そんな感じなのですが、逆にそれ故に、特に音楽やっている人からは正面から評価されづらい感もあるんですよね。コテコテ感というかコッテリ感というか、そのまんま直球みたいな、そういうイメージが逆に評価されづらいみたいな。改めて「好き」とかそんなに言わないみたいな空気感を感じたりもするんですけど、それでもやっぱりジョン・ウィリアムズが、変わっていく時代の中で作り上げた・取り戻したという、ど真ん中のハリウッドサウンドというのは、それはそれでものすごいことなんだなと改めて思いますよね。
ということで散々引っ張ってきたので、『スターウォーズ』の「メインタイトル」を聴いてみましょう。
ジョン・ウィリアムズ特集から『スターウォーズ』編の蔵出しオンエアをさせていただいたのですが、いかがでしたでしょうか?ジョン・ウィリアムズもなかなか語り尽くすことのできない方だと思いますので、またいつか機会があればやってみたいなと思います。ということで続編はあまり期待せずに、でも少しだけ楽しみにしていてくれたらいいなと思います。皆さんのおすすめもまだまだ教えてください。ということでジョン・ウィリアムズ特集の蔵出しオンエアでした。
Kraftwerk「DENTAKU」
bo en「my time」
Takénobu「Toki Doki」
John Williams「Star Wars: Main Title (From "Star Wars")」
番組へのメッセージをお待ちしています。
Twitter #fmfukuoka #RoomH をつけてツイートしてください。MC3人ともマメにメッセージをチェックしています。レポート記事の感想やリクエストなどもありましたら、#SENSA もつけてツイートしてください!
放送時間:毎週水曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
黒川侑司(ユアネス Vo.&Gt.)
福岡で結成された4人組ロックバンド。感情の揺れが溢れ出し琴線に触れる声と表現力を併せ持つヴォーカルに、変拍子を織り交ぜる複雑なバンドアンサンブルとドラマティックなアレンジで、
詞世界を含め一つの物語を織りなすような楽曲を展開。
重厚な音の渦の中でもしっかり歌を聴かせることのできるLIVEパフォーマンスは、エモーショナルで稀有な存在感を放っている。2021年12月1日に初のフルアルバム「6 case」をリリース。2022年6月1日にソロ第1弾シングル「この星からの脱出」をリリース。
オフィシャルサイト/ @yourness_on/ @yourness_kuro
松本大
2006年に長崎県で結成。バンド名「LAMP IN TERREN」には「この世の微かな光」という意味が込められている。松本の描く人の内面を綴った歌詞と圧倒的な歌声、そしてその声を4人で鳴らす。聴く者の日常に彩りを与え、その背中を押す音楽を奏でる集団である。
2021年12月8日にEP「A Dream Of Dreams」を配信リリース。
オフィシャルサイト/ @lampinterren/ @pgt79 / @lampinterren
森山公稀(odol Piano&Synth.)
福岡出身のミゾベリョウ(Vo.)、森山公稀(Pf./Syn.)を中心に2014年東京にて結成した3人組。ジャンルを意識せず、自由にアレンジされる楽曲には独自の先進性とポピュラリティが混在し、新しい楽曲をリリースする度にodolらしさを更新している。
2022年3月16日に「三月」を配信リリース。
オフィシャルサイト/ @odol_jpn/ @KokiMoriyama
今週のMCは、odolの森山公稀が担当。SENSAでは、オンエア内容を一部レポート!(聴き逃した方やもう一度聴きたい方は、radiko タイムフリーをご利用下さい。)
(森山)近況なのですが、前回の放送からの期間はずっとスタジオにこもってレコーディングをしていました。とてもいいものが録れているなと思ってます。ぜひ楽しみに待っていてくれたら嬉しいですね。そんな近況です。
「ノンネイティブ日本語詞」をテーマに3曲紹介!@リビングルーム
ここからは@リビングルームのコーナーに入っていきたいと思います。毎回Room "H"の住人がそれぞれのカラーで今聴いてもらいたい音楽を自由にセレクトしていきます。ということで本日は「ノンネイティブ日本語詞」というテーマで3曲をご紹介したいと思います。「ノンネイティブ日本語詞」。これは何かと言うと、日本語を第一言語としてないアーティストの方が歌う日本語詞の曲のことです。一言で言い表すのが難しかったので、とりあえずそういう言い方にしてみました。
たまにノンネイティブのアーティストの日本語詞の曲ってあるじゃないですか?皆さんはなにか思い浮かびますか?全篇日本語詞じゃなくても、日本語が一部使われてる曲とかって意外とたくさんあると思うんですよね。僕はそういうタイプの曲をすごく魅力的だと思っています。
そして、その魅力って日本語を第一言語として日々使用する我々にしか味わえない魅力だと思うので、それを存分に味わいたいと思うんですよね。日本語を第一言語とする人が書く日本語詞は、日本語をあとから習得した人も同じように楽しめるんじゃないかと思うんですけど、逆はちょっと違うかなと思っています。その感じをこのコーナーを使って皆さんと共有していきたいですね。
そもそも、個人的に日本語詞の楽曲って意味が入ってきすぎる感があってあまり聴けないのですが、日本語以外の言語の歌というのはまず音で入ってきてくれるから、意味までにワンクッションがあるというのが、僕にとってすごく良くて。そのワンクッションが、歌のある音楽だとすごく大事なんですけど、今回のテーマである「日本語を第一言語としていないアーティストが歌う日本語詞」というのは、日本語で歌われているのにも関わらず、そのワンクッションを感じるという絶妙な魅力があるんですよ。伝わっていますかね(笑)。
ただこのニュアンスって、雑に「外国の方が使う日本語って可愛いよね、キュートだよね」みたいな風に捉えられがちなので、そうは捉えられたくなくて、もう少し丁寧にお伝えしたいので、引き続き話しますね。なんというか、言葉って結構曖昧じゃないですか?名詞とか一つとっても、その名詞が表してる、指し示すものって、輪郭がはっきりしてるわけじゃなくて、意外とモヤっとしているじゃないですか?意味とかニュアンスって日々微妙に変わっていっていると思うんですよね。文法とか助詞の使い方みたいなこととかも。その文脈が変わってるといいますか。また普通に言葉や音のイントネーション、発音も含めて時代とともに徐々に毎日変わっていっていると思うんですね。
それで、普段から同じ言語、日本語で生活している僕たち同士でも、なんとなくモヤモヤ感を共有しつつも、完全にそれが一致というか、同期してるわけじゃなくて、人それぞれでズレていたりするじゃないですか?同じ言葉を使っていても、それが指し示してる概念が微妙に違うなみたいな、そういうズレってよくあると思います。
そういう人それぞれのズレが、その言語が第一言語じゃない人との間ではズレ方の質が違うというか、予想外のズレ方をしてたりすると思うんですよね。
皆さんの周りにも第一言語じゃないけど、日本語を話す友達とかいらっしゃると思うんですけど、すごく日本語が堪能で普通にコミュニケーションも何ら問題なくできるというレベルで習得されている方でも、すごく些細な部分とかに独特のズレ方があるなと感じることがありませんかね?僕はあるんですよね。日本語を普段から使っている人に感じるズレ、例えば「この人の言葉遣いが独特だな」とか、「言葉選びが面白いな」みたいな、そういうズレとは種類が違う感じがするんですよね。うまく説明できないですけど...。この感覚って分かってもらえてるような気がするんですけど。
それで、ただ単にそういう違和感のある、独特のズレのある日本語が面白いよねという話ではなく、そういうズレ、足場の違いがある人の歌だからこそ、歌としてメロディーに乗った時に、その日本語の聞こえ方みたいなのが全然違ったものになる感じがするんですよね。日本のアーティストがそういう意識のもとで日本語を解体したりとか、メロディーへの乗せ方を工夫したり、遊んだりしているという作品もたくさんあると思うんですけど、それはそれで面白いですけど、それだとどうしても出せないニュアンスがあると思っています。それが魅力だと感じているんですよね。もしかしたら、ちょっとバイアスがかかった聴き方になっているみたいな、そういう面もあるかもしれないですけど、僕はそれだけじゃないような気がしてるんですよね。
それをまだうまく言葉にはできないですけど、とにかくすごく魅力的に思っています。そのニュアンスと言いますか、日本語の聞こえ方の違いというのが僕の中では、最初に話した意味にたどり着くまでワンクッションになってて、すごく心地よく聴けるんですよ。そんな感じです(笑)。日本語詞を、意味が入ってくる前にワンクッション置いて楽しめるという、その良さを皆さんに共有したいなというところです。
という、僕がぼんやりと考えてたことを放り投げたところで、音楽を聴いていきたいなと思います。本日は3曲ご紹介していきたいなと思っております。
1曲目:Kraftwerk「DENTAKU」
まず1曲目に選んできたのは、 Kraftwerkの「DENTAKU」です。この曲はみなさんご存じでしょうか?その前に一応、Kraftwerkのご紹介も改めてしておこうかなと思うんですけど、1970年にドイツにて結成された電子音楽グループです。超簡単な紹介ですが、テクノポップの始祖ですよね。テクノポップというか、ポップスの電子音楽の始祖でもあるといえるかもですね。本当に世界中の音楽に影響を与えていますよね。名前を聞いたことないという方はいないんじゃないかなと。今回紹介するKraftwerkの「DENTAKU」という曲は1981年の5月にリリースされているそうです。1981年5月ということは、YMOでいくと『BGM』というアルバムとほぼ同時期ですね。YMOは『BGM』のあとに『テクノデリック』というアルバムが出るんですけど、YMOも Kraftwerkに相当な影響を受けてるということも分かると思います。そこまでご本人たちは当時明言してなかったんじゃないかなという気もしますけど。でも当然同時代のアーティストですし、影響はやはり受けてますよね。今日聴く「DENTAKU」という曲も、あまり普段聴かない方はYMO的に聴こえてしまうかもしれないですね。ちなみに「DENTAKU」という曲なんですけど、「Pocket Calculator」という曲の日本語バージョンなんですよね。Kraftwerkってこの曲に限らず、そして日本語に限らず、作品の中で様々な言語を言葉として扱ってるんですよね。この曲も5〜6言語のバージョンがあるらしいですね。未リリース分も含めるとね。気になったらちょっと調べて聴き比べてみるといいかなと思います。Kraftwerkの使う言葉というのは、これまた長くなりますが最初に話したのとは別の面白さも同時にありますよね。この曲は翻訳家の方が入って翻訳してるんですけど、Kraftwerkの言葉の扱い方だけじゃなく、日本語の発音のグルーヴとかもすごく魅力に感じているので、その辺りを聴いてみていただきたいなと思いこの曲を選びました。
「ノンネイティブ日本語詞」というテーマで3曲お送りしてきたのですが、最初にいろいろ話しましたけど、結局普通に良い曲たちですよね(笑)。日本語を言葉としての意味の前に、ワンクッション置いて音として、音楽として楽しめる感覚というか、そういう魅力が少しでも共有できていたらいいなと思います。皆さんもこのタイプの曲でおすすめだったり、好きなものがあったらぜひ教えてくれたら嬉しいなと思います。
オンエアでは、2曲目にbo en「my time」、3曲目にTakénobu「Toki Doki」を紹介!ぜひradikoタイムフリーでお聴きください!
「スターウォーズ」編:ジョン・ウィリアムズ特集から蔵出し!
ここで前回時間の関係で流せなかった、ジョン・ウィリアムズ特集からの『スターウォーズ』編を蔵出しオンエアしたいと思います。それでは早速聴いてください、どうぞ。
『スターウォーズ』の音楽って「アメリカ史上最高」とか言われたり、すごい評価をされていたりすると思うのですが、改めて「何がすごかったんだろう」というのに触れていこうと思います。もちろん音楽自体かっこいいし、映画も言わずもがなという感じですけど、「アメリカにとって何でそれが一番なんだろう」と、今の僕たちからしたら少し疑問に思うところもあるかなと思います。
有名な話なのでご存知の方も多いかもしれませんが、簡単にいうと、この『スターウォーズ』の音楽で、ハリウッドのオーケストラサウンドというのをジョン・ウィリアムズが取り戻したみたいな、復活させたみたいな感じなんですよね。『スターウォーズ』が公開されたのは70年代後半なのですが、前回映画会社に専属オケやスタジオがあるというお話をしましたけど、そういうのをひっくるめたスタジオシステムというのも割と崩れてきている時代でした。映画音楽もそういう風にオリジナルのスコアというのではなく、ポップスとか、既成の楽曲というのがたくさん使用されていたりする時代です。あとは70年代後半って電子音楽、というか電子楽器の時代ですよね。YMOの時代と言っていいかもしれないですけど(笑)。電子楽器の時代なので、SF映画というとやっぱり電子楽器が導入されがちだったみたいですね。当時にしてみれば「未知の音」ということで、SFにはぴったりですけど、そういう感じでいわゆるハリウッド的なシンフォニックサウンドみたいなのがあまり聴こえなくなっていった流れがあったということですね。そんな中で『スターウォーズ』が大成功したことによって、「音楽も素晴らしい!」となって、それ以降またそういう大きな映画といえば、こぞって「オーケストラサウンドでしょう!」という風になったという。そういう大きな流れがあって、そのきっかけになった作品とされているわけですね。
そういう意味で一つの時代を変えた作品となったということだと思いますね。ちょっと違ってるかもしれないんですけど、僕の中の理解ではそういう感じです。ジョン・ウィリアムズのサウンドトラックって、いわゆる「ザ・ハリウッド」ですよね。というか歴史そのものなので当然というか、逆にジョン・ウィリアムズ的なものを"ザ・ハリウッド"と呼んでるみたいな、そんな感じなのですが、逆にそれ故に、特に音楽やっている人からは正面から評価されづらい感もあるんですよね。コテコテ感というかコッテリ感というか、そのまんま直球みたいな、そういうイメージが逆に評価されづらいみたいな。改めて「好き」とかそんなに言わないみたいな空気感を感じたりもするんですけど、それでもやっぱりジョン・ウィリアムズが、変わっていく時代の中で作り上げた・取り戻したという、ど真ん中のハリウッドサウンドというのは、それはそれでものすごいことなんだなと改めて思いますよね。
ということで散々引っ張ってきたので、『スターウォーズ』の「メインタイトル」を聴いてみましょう。
ジョン・ウィリアムズ特集から『スターウォーズ』編の蔵出しオンエアをさせていただいたのですが、いかがでしたでしょうか?ジョン・ウィリアムズもなかなか語り尽くすことのできない方だと思いますので、またいつか機会があればやってみたいなと思います。ということで続編はあまり期待せずに、でも少しだけ楽しみにしていてくれたらいいなと思います。皆さんのおすすめもまだまだ教えてください。ということでジョン・ウィリアムズ特集の蔵出しオンエアでした。
Photo by Shaikh Sofian
11月16日(水) オンエア楽曲
odol「夜を抜ければ」Kraftwerk「DENTAKU」
bo en「my time」
Takénobu「Toki Doki」
John Williams「Star Wars: Main Title (From "Star Wars")」
番組へのメッセージをお待ちしています。
Twitter #fmfukuoka #RoomH をつけてツイートしてください。MC3人ともマメにメッセージをチェックしています。レポート記事の感想やリクエストなどもありましたら、#SENSA もつけてツイートしてください!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Room "H"」
毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"203号室(毎週水曜日の26:00~26:55)"では、音楽番組「Room "H"」をオンエア。九州にゆかりのある3組のバンド、ユアネスの黒川侑司、松本大、odolの森山公稀が週替わりでMCを務め、本音で(Honestly)、真心を込めて(Hearty)、気楽に(Homey) 音楽愛を語る。彼らが紹介したい音楽をお届けし、またここだけでしか聴けない演奏も発信していく。放送時間:毎週水曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
黒川侑司(ユアネス Vo.&Gt.)
福岡で結成された4人組ロックバンド。感情の揺れが溢れ出し琴線に触れる声と表現力を併せ持つヴォーカルに、変拍子を織り交ぜる複雑なバンドアンサンブルとドラマティックなアレンジで、
詞世界を含め一つの物語を織りなすような楽曲を展開。
重厚な音の渦の中でもしっかり歌を聴かせることのできるLIVEパフォーマンスは、エモーショナルで稀有な存在感を放っている。2021年12月1日に初のフルアルバム「6 case」をリリース。2022年6月1日にソロ第1弾シングル「この星からの脱出」をリリース。
オフィシャルサイト/ @yourness_on/ @yourness_kuro
松本大
2006年に長崎県で結成。バンド名「LAMP IN TERREN」には「この世の微かな光」という意味が込められている。松本の描く人の内面を綴った歌詞と圧倒的な歌声、そしてその声を4人で鳴らす。聴く者の日常に彩りを与え、その背中を押す音楽を奏でる集団である。
2021年12月8日にEP「A Dream Of Dreams」を配信リリース。
オフィシャルサイト/ @lampinterren/ @pgt79 / @lampinterren
森山公稀(odol Piano&Synth.)
福岡出身のミゾベリョウ(Vo.)、森山公稀(Pf./Syn.)を中心に2014年東京にて結成した3人組。ジャンルを意識せず、自由にアレンジされる楽曲には独自の先進性とポピュラリティが混在し、新しい楽曲をリリースする度にodolらしさを更新している。
2022年3月16日に「三月」を配信リリース。
オフィシャルサイト/ @odol_jpn/ @KokiMoriyama