「SHIBUYA SOUND RIVERSE 2026 ~ Pre-Party SSR on the Road ~」FRIENDSHIP.キュレーターによるアーティストレコメンド
REVIEW
2026.08.24
pudelhunds「imnotsureif」──不確かな今を不確かな言葉で
記憶と肉体と言葉と
事故や病気で手足を失った者は、その不在に対し、痛みを感じることがあると言う。あるいは、デジャブという現象を前世の記憶の追体験だとする解釈を耳にしたことのある人も少なくないはず。この2つの事例は、我々が肉体と精神、そして記憶の連帯について考えてきた痕跡を示している。同じ軽音サークルで活動していたメンバーが集まり、2024年8月に始動した福岡県発のスリーピースバンド・pudelhundsも、こうした難題に対して頭をひねり続けている人間集団だ。
pudelhundsがインディーズレーベル・Oaikoとタッグを組んだ2nd EPには、本作に「忘れてしまう前に今ここで起きていることを残しておきたいと思った」とコメントを添えた通り、肉体と記憶にまつわる熟考の軌跡が残っている。なんせ、2音ごとにストップアンドゴーを繰り返すギターがうねったリズムを形成していく「(starting)platforms」の〈いまあるきみのその痛みのように この手指が君を掴んだら〉という歌詞にしろ、淡く弾けるハーモニクスの波が押し寄せる「halo-」の〈きのうとはちがう身体に ゆうぐれと おなじ肌理、〉というリリックにしろ、中野颯太(Gt)の綴る詩世界には、身体の部位と忘却といったテーマが同時に顔を出すのである。
そして、こうしたモチーフは「言葉にする」というただ1つの動作に収斂していく。〈わすれないように はなしてきかせて〉(「はなしてきかせて」)。〈消えてしまうもの、その体温に 似た言葉をあたえるの〉(「わすれゆくきみへ」)。彼らは尊いこの瞬間を保存するために言葉を紡ぎ、交わし合おうとしているのだ。そう考えると、「halo-」の最終行にて〈トルソはおもいくちをひらく〉と、発話を暗示する口というアイコンが登場する理由もストンと胸に落ちる。
しかし、ここまで言葉と会話を重視しているにもかかわらず、pudelhundsのサウンドデザインは、中尾優志(Ba,Vo)の少年めいた歌声だけを主役に抜擢しているわけではない。玲瓏なメロディーの裏では何度もブレイクが展開され、マスロック譲りの熾烈なギターが蠢いている。時に、シャウトまでもが後景化するタイミングさえある。「わすれゆくきみへ」の〈いつまでも言葉は ぼくらには追いつかない〉という1ラインは、この不一致の理由を解き明かしてくれた。
そうか、「この5曲が正確な記録となるかは分からない。今の自分には、そう見えているだけだ」と発信していたように、そもそも言葉は不確かで、あくまでも現時点での結論にすぎないのだ。遠くで開いた花火の音が聴こえるまでに時差があるみたいに、思いが口を突いて出るまでと音符になるまでの時間は違うのではないか。であるならば、このズレこそが、歌の中に現在を記録している裏付けなのだ。タイトルは「よくわからない」という意味の定型句。分からないことを分からないままで記したからこそ、逆説的にpudelhundsのリアルが屹立している。
文:横堀つばさ

pudelhunds「imnotsureif」
2026年8月19日(水)
Format:Digital
Label:Oaiko
Track:
1. (starting)platforms
2. はなしてきかせて
3. halo-
4. わすれゆくきみへ
試聴はこちら
@pudelhunds03
@pudelhunds03
@pudelhunds
事故や病気で手足を失った者は、その不在に対し、痛みを感じることがあると言う。あるいは、デジャブという現象を前世の記憶の追体験だとする解釈を耳にしたことのある人も少なくないはず。この2つの事例は、我々が肉体と精神、そして記憶の連帯について考えてきた痕跡を示している。同じ軽音サークルで活動していたメンバーが集まり、2024年8月に始動した福岡県発のスリーピースバンド・pudelhundsも、こうした難題に対して頭をひねり続けている人間集団だ。
pudelhundsがインディーズレーベル・Oaikoとタッグを組んだ2nd EPには、本作に「忘れてしまう前に今ここで起きていることを残しておきたいと思った」とコメントを添えた通り、肉体と記憶にまつわる熟考の軌跡が残っている。なんせ、2音ごとにストップアンドゴーを繰り返すギターがうねったリズムを形成していく「(starting)platforms」の〈いまあるきみのその痛みのように この手指が君を掴んだら〉という歌詞にしろ、淡く弾けるハーモニクスの波が押し寄せる「halo-」の〈きのうとはちがう身体に ゆうぐれと おなじ肌理、〉というリリックにしろ、中野颯太(Gt)の綴る詩世界には、身体の部位と忘却といったテーマが同時に顔を出すのである。
そして、こうしたモチーフは「言葉にする」というただ1つの動作に収斂していく。〈わすれないように はなしてきかせて〉(「はなしてきかせて」)。〈消えてしまうもの、その体温に 似た言葉をあたえるの〉(「わすれゆくきみへ」)。彼らは尊いこの瞬間を保存するために言葉を紡ぎ、交わし合おうとしているのだ。そう考えると、「halo-」の最終行にて〈トルソはおもいくちをひらく〉と、発話を暗示する口というアイコンが登場する理由もストンと胸に落ちる。
しかし、ここまで言葉と会話を重視しているにもかかわらず、pudelhundsのサウンドデザインは、中尾優志(Ba,Vo)の少年めいた歌声だけを主役に抜擢しているわけではない。玲瓏なメロディーの裏では何度もブレイクが展開され、マスロック譲りの熾烈なギターが蠢いている。時に、シャウトまでもが後景化するタイミングさえある。「わすれゆくきみへ」の〈いつまでも言葉は ぼくらには追いつかない〉という1ラインは、この不一致の理由を解き明かしてくれた。
そうか、「この5曲が正確な記録となるかは分からない。今の自分には、そう見えているだけだ」と発信していたように、そもそも言葉は不確かで、あくまでも現時点での結論にすぎないのだ。遠くで開いた花火の音が聴こえるまでに時差があるみたいに、思いが口を突いて出るまでと音符になるまでの時間は違うのではないか。であるならば、このズレこそが、歌の中に現在を記録している裏付けなのだ。タイトルは「よくわからない」という意味の定型句。分からないことを分からないままで記したからこそ、逆説的にpudelhundsのリアルが屹立している。
文:横堀つばさ
RELEASE INFORMATION

pudelhunds「imnotsureif」
2026年8月19日(水)
Format:Digital
Label:Oaiko
Track:
1. (starting)platforms
2. はなしてきかせて
3. halo-
4. わすれゆくきみへ
試聴はこちら
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オフィシャルサイト@pudelhunds03
@pudelhunds03
@pudelhunds




