Enfants、満員の恵比寿LIQUIDROOMで示した覚悟──ワンマンツアー「Loneliness, Social Interaction」ファイナル公演ライブレポート
REPORT
2026.09.18
ドミコ、異次元の密度でぶつかり合う追加公演「MOODSTOCK:UP」ライブレポート
5月の仙台からスタートして全国9公演が行われたドミコの「MOODSTOCK」ツアー。テンポ遅めの「SLOW」と速めの「UP」という2パターンのセットリストを用意して、会場ごとにどちらかをやる、というコンセプトのツアーで、ファイナルとなった6月26日、東京・Spotify O-EASTではなんと当日の天気によってどっちをやるか決めるということになっていた。各地のファンの感想を見るに結局のところどっちのセトリも最高!という感じだったのだが、ファイナルの日の東京は台風が接近していてあいにくの雨。したがって「SLOW」のほうが披露されたのだった。

ところが、そのライブ中にさかしたひかる(Vo/Gt)が「よく考えたら、天気でステージ変えるってお客さんにとって何のメリットもなかった」と発言。しかも、やっぱりどうしても東京で「UP」のほうもやりたい、ということで、急遽追加公演の開催が決定した。それが今回。9月8日・新代田FEVERでの「MOODSTOCK:UP」である。


当然超満員のFEVERのステージに姿を現したさかしたとドラマー・細川千弘。ふたりがまず小手調べのように鳴らしたのは「猿犬蛙馬」だった。リヴァーブのかかった〈ぷりどーん〉の絶叫で会場の空気をがちっと掴むと、細川のドラムのラッシュから「びりびりしびれる」へ。「新代田ァ」とさかしたがつぶやく。加速していくリズムとギターリフに歓声が上がるなか、突然ステージがピンクの光に照らされ、艶かしいグルーヴがほとばしる。もちろんBPMの数字はあるが、そもそもドミコの曲は「速い」「遅い」で単純に区分することなんてできない。急のなかにも緩があり、緩のなかにも急がある。生き物のようにうねり、曲がり、ねじれ、またまっすぐに戻ったりしながら、オーディエンスを巻き込んでいく。その、ドミコの音楽がもつ中毒性というかトリップ性というか、そういうものが序盤から全開である。

ギターとドラムがまるでひとつのラインを奪い合うように、あるいは融け合うように絡み合う「こんなのおかしくない?」、そして爆発的なテンションのなかにブルースとファンクの黒さを感じる「なんて日々だっけ?」。曲が進むごとに、ドミコという生命体はどんどん勢いに乗っていく。と同時に、さかしたと細川という今のドミコのフォーメーションが、この1年で加速度的に成熟していることに気づいた。

去年の11月、Spotify O-EASTでおこなわれた「誰にも言わないでいるよ」のリリースツアーファイナルがこの体制での東京初ワンマンだったのだが、そのときはまだ一緒にやるようになって日が浅いタイミングで、ふたりの相性のよさとともにお互いにぶつかり合いながらドミコという新しい形を作っている段階のような印象も感じていた。隕石がバンバンぶつかって星がデカくなっていく、あの感じ。ステージ上で火花が散っているのが見えるようで、それゆえのスリルと可能性みたいなものが溢れかえっていた記憶があるのだが、そのときとは明らかにヴァイブスが違う。ポストパンキッシュなリフをハンマーのように振り下ろされるビートが切り刻んでいく「てん対称移動」、歌い終えて雄叫びを上げるさかしたを見て細川が笑う。ここに限らず、ライブ中には何度もそんな瞬間があった。楽しげなのだ。それも、単に楽しいというだけではなく、お互いに呼吸を読みながら仕掛けあっていく丁々発止の感じ。曲中にアドリブがガンガン入っていくのは前からそうだが、そのフィーリングがバチっと合って、流れるようにひとつのグルーヴになっていく。すごく有機的なのである。

そんな調子なので、曲を追うごとにライブはどんどんよくなっていく。「歯触り舌触り」から「まいららばい」と「UP」の範疇内でも絶妙なアップダウンを見せると、濃密なセッションから入っていった「アーノルド・フランク&ブラウニー」のサイケデリアがフロアを覆い尽くしていく。その空気を細川のパーカッションががらりと塗り替える。その主導権を瞬く間にギターが奪い返して「解毒して」へ。すると今度は細川のドラムがギターと歌を下から突き上げ、曲全体のテンションを高めていく。彼はめちゃくちゃ華のあるドラマーだが、それと同時にとても目と耳と勘がいいんだろうなということをいつも思う。さかしたの鳴らす音、その姿勢、表情、手捌き、そういうものを瞬時に感じ取って、自身のプレイをアジャストさせていく。その上で出ていくときは躊躇なく出ていく。熟練のサイドバックのようなポジショニングとプレイ選択で、曲をハンドリングしていく。演奏中は何度も何度もさかしたを見て、さかしたは滅多に目を合わせてこないけど、そこから何かのメッセージを受け取ってギアを入れ替えていく......そうやってドミコのグルーヴができあがっていくのである。


ここまで終わってどれくらい時間が経ったのかなと思ってちらりと時計を見たら、30分しか経っていなかった。濃い。「時間が過ぎるのが遅い」というのは退屈みたいな意味にもなってしまうが、この場合は違う。精神と時の部屋みたいな異次元空間に放り込まれたような感覚である。野球のバッターが「ボールが止まって見えた」みたいなことを言うのはこういうときなんだろうな、知らんけど。そしてこの後もふたりの生み出すグルーヴはさらに濃度を高めていく。「深海マリアナ海溝旅行にて」の永遠とも思えるリフの応酬を経て「不眠導入剤」で一気に視界が開けると、ここから「UP」の本領発揮。つまりあとはあっという間だった。「誰にも言わないでいるよ」から、イントロのビートが鳴り響いた瞬間にぶわっとフロアの温度が上がった「ユナイテッドパンケーキ」へ。この曲の独特のキャッチーさが強烈な引力となってオーディエンスをぐっと引き込んでいくと、そこに「幽霊みたいに'25」のダンスビートが畳み掛けられ、鮮やかなピークタイムを描き出した。

そして「ラストです」というさかしたの言葉とともに「ペーパーロールスター」を繰り出して本編を終えると、アンコールでは「血を嫌い肉を好む」を披露。スローなところから一気に上昇気流を生み出して炸裂させていくダイナミックな展開は、今のドミコの調子のよさをはっきりと示していた。この日のライブ、途中にさかしたのギターが鳴らなくなるトラブルがあったのだが、テックも出てきていろいろいじっているあいだ、細川はまるでそれも曲の一部かのような涼しい顔でドラムを叩いていた。で、実際、その長いイントロも確かに曲の重要なパートになっていた。その光景にドミコという音楽のおもしろさが詰まっていた。次は11月からの東名阪2マンツアー。ドミコのライブがよくなかったことは覚えているかぎり一度もないが、もしかしたら現在の彼らは最強かもしれない。その最強のドミコが対バンでどんな化学反応を見せてくれるのか、期待しかない。

文:小川智宏
撮影:キョートタナカ

ドミコ「うつつしい」
2026年10月21日(水)
Format:Digital,CD
品番:domico-1010 / 価格:¥3,300(税込)
Track:
1.うつつしい
2.媚態
3.誰にも言わないでいるよ
4.砂にまみれ
5.存え
6.As a Ghost
7.融解離脱
8.青の波浪
試聴はこちら
※CD購入者先着特典:Takada Fuによる『うつつしい』アルバムコラージュ・リミックスCD-R

11月22日(日)愛知・NAGOYA JAMMIN'
OPEN 17:15 / START 18:00
11月23日(月・祝)大阪・BIGCAT
OPEN 17:00 / START 18:00
ゲスト:踊ってばかりの国
12月6日(日)東京・Zepp Shinjuku
OPEN 17:00 / START 18:00
※ゲストは後日発表
【チケット】
Tシャツ付きチケット 一般:¥9,300
チケット 一般:¥5,500
Tシャツ付きチケット 中高生:¥3,800
チケット 中高生限定先行:¥0
※Tシャツ付きチケットと中高生限定先行は枚数限定/オフィシャル第1次先行のみ受付
※全て整理番号順入場/消費税込/別途ドリンク代必要
チケット販売URL:https://w.pia.jp/t/domico26tour/



【日程】2026年10月24日(土)
【会場】恵比寿LIQUIDROOM
【時間】OPEN 13:00 / START 14:00
【料金】スタンディング ¥6,000 (税込・ドリンク代別途)
【出演者】
LIQUIDROOM:踊ってばかりの国 / PEDRO / österreich / ドミコ / GeGeGe
KATA:DENIMS / Blume popo / Guiba / やさしいみらい / LOLOET
LIQUID LOFT:THE CHARM PARK / 永井琳子 (Band Set) / 友田オレ (Band Set) / sucola / 新川莉子 (ゆうさり)
【チケット】一般発売中
イープラス https://eplus.jp/ssr/
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/ssr-2026/(Pコード:327-512)
【主催】HIP LAND MUSIC CORPORATION / FRIENDSHIP.
【お問い合わせ】恵比寿LIQUIDROOM (03-5464-0800)
公式アプリダウンロードURL (スマートフォンから):https://apps.apple.com/jp/app/ssr-2026/id6804879025
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.hiplandmusic.ssr2026
<ハッシュタグ>
#SSR2026
@SSR_FRIENDSHIP
ドミコ オフィシャルサイト
@hikarururururu
@hikarucchi_domico

ところが、そのライブ中にさかしたひかる(Vo/Gt)が「よく考えたら、天気でステージ変えるってお客さんにとって何のメリットもなかった」と発言。しかも、やっぱりどうしても東京で「UP」のほうもやりたい、ということで、急遽追加公演の開催が決定した。それが今回。9月8日・新代田FEVERでの「MOODSTOCK:UP」である。


当然超満員のFEVERのステージに姿を現したさかしたとドラマー・細川千弘。ふたりがまず小手調べのように鳴らしたのは「猿犬蛙馬」だった。リヴァーブのかかった〈ぷりどーん〉の絶叫で会場の空気をがちっと掴むと、細川のドラムのラッシュから「びりびりしびれる」へ。「新代田ァ」とさかしたがつぶやく。加速していくリズムとギターリフに歓声が上がるなか、突然ステージがピンクの光に照らされ、艶かしいグルーヴがほとばしる。もちろんBPMの数字はあるが、そもそもドミコの曲は「速い」「遅い」で単純に区分することなんてできない。急のなかにも緩があり、緩のなかにも急がある。生き物のようにうねり、曲がり、ねじれ、またまっすぐに戻ったりしながら、オーディエンスを巻き込んでいく。その、ドミコの音楽がもつ中毒性というかトリップ性というか、そういうものが序盤から全開である。

ギターとドラムがまるでひとつのラインを奪い合うように、あるいは融け合うように絡み合う「こんなのおかしくない?」、そして爆発的なテンションのなかにブルースとファンクの黒さを感じる「なんて日々だっけ?」。曲が進むごとに、ドミコという生命体はどんどん勢いに乗っていく。と同時に、さかしたと細川という今のドミコのフォーメーションが、この1年で加速度的に成熟していることに気づいた。

去年の11月、Spotify O-EASTでおこなわれた「誰にも言わないでいるよ」のリリースツアーファイナルがこの体制での東京初ワンマンだったのだが、そのときはまだ一緒にやるようになって日が浅いタイミングで、ふたりの相性のよさとともにお互いにぶつかり合いながらドミコという新しい形を作っている段階のような印象も感じていた。隕石がバンバンぶつかって星がデカくなっていく、あの感じ。ステージ上で火花が散っているのが見えるようで、それゆえのスリルと可能性みたいなものが溢れかえっていた記憶があるのだが、そのときとは明らかにヴァイブスが違う。ポストパンキッシュなリフをハンマーのように振り下ろされるビートが切り刻んでいく「てん対称移動」、歌い終えて雄叫びを上げるさかしたを見て細川が笑う。ここに限らず、ライブ中には何度もそんな瞬間があった。楽しげなのだ。それも、単に楽しいというだけではなく、お互いに呼吸を読みながら仕掛けあっていく丁々発止の感じ。曲中にアドリブがガンガン入っていくのは前からそうだが、そのフィーリングがバチっと合って、流れるようにひとつのグルーヴになっていく。すごく有機的なのである。

そんな調子なので、曲を追うごとにライブはどんどんよくなっていく。「歯触り舌触り」から「まいららばい」と「UP」の範疇内でも絶妙なアップダウンを見せると、濃密なセッションから入っていった「アーノルド・フランク&ブラウニー」のサイケデリアがフロアを覆い尽くしていく。その空気を細川のパーカッションががらりと塗り替える。その主導権を瞬く間にギターが奪い返して「解毒して」へ。すると今度は細川のドラムがギターと歌を下から突き上げ、曲全体のテンションを高めていく。彼はめちゃくちゃ華のあるドラマーだが、それと同時にとても目と耳と勘がいいんだろうなということをいつも思う。さかしたの鳴らす音、その姿勢、表情、手捌き、そういうものを瞬時に感じ取って、自身のプレイをアジャストさせていく。その上で出ていくときは躊躇なく出ていく。熟練のサイドバックのようなポジショニングとプレイ選択で、曲をハンドリングしていく。演奏中は何度も何度もさかしたを見て、さかしたは滅多に目を合わせてこないけど、そこから何かのメッセージを受け取ってギアを入れ替えていく......そうやってドミコのグルーヴができあがっていくのである。


ここまで終わってどれくらい時間が経ったのかなと思ってちらりと時計を見たら、30分しか経っていなかった。濃い。「時間が過ぎるのが遅い」というのは退屈みたいな意味にもなってしまうが、この場合は違う。精神と時の部屋みたいな異次元空間に放り込まれたような感覚である。野球のバッターが「ボールが止まって見えた」みたいなことを言うのはこういうときなんだろうな、知らんけど。そしてこの後もふたりの生み出すグルーヴはさらに濃度を高めていく。「深海マリアナ海溝旅行にて」の永遠とも思えるリフの応酬を経て「不眠導入剤」で一気に視界が開けると、ここから「UP」の本領発揮。つまりあとはあっという間だった。「誰にも言わないでいるよ」から、イントロのビートが鳴り響いた瞬間にぶわっとフロアの温度が上がった「ユナイテッドパンケーキ」へ。この曲の独特のキャッチーさが強烈な引力となってオーディエンスをぐっと引き込んでいくと、そこに「幽霊みたいに'25」のダンスビートが畳み掛けられ、鮮やかなピークタイムを描き出した。

そして「ラストです」というさかしたの言葉とともに「ペーパーロールスター」を繰り出して本編を終えると、アンコールでは「血を嫌い肉を好む」を披露。スローなところから一気に上昇気流を生み出して炸裂させていくダイナミックな展開は、今のドミコの調子のよさをはっきりと示していた。この日のライブ、途中にさかしたのギターが鳴らなくなるトラブルがあったのだが、テックも出てきていろいろいじっているあいだ、細川はまるでそれも曲の一部かのような涼しい顔でドラムを叩いていた。で、実際、その長いイントロも確かに曲の重要なパートになっていた。その光景にドミコという音楽のおもしろさが詰まっていた。次は11月からの東名阪2マンツアー。ドミコのライブがよくなかったことは覚えているかぎり一度もないが、もしかしたら現在の彼らは最強かもしれない。その最強のドミコが対バンでどんな化学反応を見せてくれるのか、期待しかない。

文:小川智宏
撮影:キョートタナカ
RELEASE INFORMATION

ドミコ「うつつしい」
2026年10月21日(水)
Format:Digital,CD
品番:domico-1010 / 価格:¥3,300(税込)
Track:
1.うつつしい
2.媚態
3.誰にも言わないでいるよ
4.砂にまみれ
5.存え
6.As a Ghost
7.融解離脱
8.青の波浪
試聴はこちら
※CD購入者先着特典:Takada Fuによる『うつつしい』アルバムコラージュ・リミックスCD-R
LIVE INFORMATION
「DOMICO TWOMAN TOUR 2026

11月22日(日)愛知・NAGOYA JAMMIN'
OPEN 17:15 / START 18:00
11月23日(月・祝)大阪・BIGCAT
OPEN 17:00 / START 18:00
ゲスト:踊ってばかりの国
12月6日(日)東京・Zepp Shinjuku
OPEN 17:00 / START 18:00
※ゲストは後日発表
【チケット】
Tシャツ付きチケット 一般:¥9,300
チケット 一般:¥5,500
Tシャツ付きチケット 中高生:¥3,800
チケット 中高生限定先行:¥0
※Tシャツ付きチケットと中高生限定先行は枚数限定/オフィシャル第1次先行のみ受付
※全て整理番号順入場/消費税込/別途ドリンク代必要
チケット販売URL:https://w.pia.jp/t/domico26tour/
SHIBUYA SOUND RIVERSE ~ SSR2026 ~



【日程】2026年10月24日(土)
【会場】恵比寿LIQUIDROOM
【時間】OPEN 13:00 / START 14:00
【料金】スタンディング ¥6,000 (税込・ドリンク代別途)
【出演者】
LIQUIDROOM:踊ってばかりの国 / PEDRO / österreich / ドミコ / GeGeGe
KATA:DENIMS / Blume popo / Guiba / やさしいみらい / LOLOET
LIQUID LOFT:THE CHARM PARK / 永井琳子 (Band Set) / 友田オレ (Band Set) / sucola / 新川莉子 (ゆうさり)
【チケット】一般発売中
イープラス https://eplus.jp/ssr/
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/ssr-2026/(Pコード:327-512)
【主催】HIP LAND MUSIC CORPORATION / FRIENDSHIP.
【お問い合わせ】恵比寿LIQUIDROOM (03-5464-0800)
公式アプリダウンロードURL (スマートフォンから):https://apps.apple.com/jp/app/ssr-2026/id6804879025
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.hiplandmusic.ssr2026
<ハッシュタグ>
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ドミコ オフィシャルサイト
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