Enfants、自主企画『CUSTOM 3』で神はサイコロを振らないと分かち合った孤独と命の輝き
REPORT
2025.12.01
Emerald×First Love is Never Returned、お互いを刺激し合う盟友による濃密な一夜。
11月23日、EmeraldとFirst Love is Never Returned(以下、ラブネバ)による2マンツアー『Re Friendship HOME TOWN TOUR 25'』の東京編が下北沢ADRIFTで開催された。
両者はSNSを通じて知り合い、昨年6月に新宿MARZで行われたラブネバ初の東京での自主企画『Early Summer 2024[once,again]』にEmeraldがゲスト出演。さらに昨年9月に行われたEmeraldのツアー『Ray of hope』の大阪・名古屋公演に今度はラブネバがゲスト出演と、交流を深めてきた。それから約1年を経て、今回はお互いのホームタウンを回るツアーが実現し、11月1日にはラブネバのホームである札幌SPIRITUAL LOUNGEで北海道公演を開催。そして、この日はEmeraldがホームの東京にラブネバを迎え入れたというわけだ。
ラブネバは今年avexとともに新レーベル・HEiLO RECORDS(ヒイロレコーズ)を設立し、5月にミニアルバム『POP OUT! Ⅲ』をリリースと、飛躍の一年になった。一方のEmeraldは10月にひさびさの新曲「いみをなくして」をリリースしたのに続いて、シンガーの吉川友に新曲「Ordinary Love」を提供。Emeraldはすでに10年以上のキャリアがあるが、他のアーティストへの楽曲提供は今回が初めてだ。この日の2マンはそれぞれが活動の幅を広げ、充実した時間を過ごしてきたことを証明するような、実に濃密な一夜となった。

先行のラブネバのライブは「夜的平成浪漫」からスタート。前半はEmeraldにも通じるようなムーディーなナンバーが続き、「泡と文學」ではメンバーのソロ回しを交え、『POP OUT! Ⅲ』からの「落日々」を続ける。Yuji Satoのベースをフィーチャーして徐々にギアを上げていくと、「ファンデーションの前に」ではArata Yamamotoがワーミーを使ったインパクトのある音色を聴かせ、UKガラージ風の「Baby,Don't Stop」は途中までじっくりためることによって、後半はMizuki Tsunemotoのドラムとともに爆発を生み出していく。今年は自身のワンマンツアーに加え、「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL」や「SWEET LOVE SHOWER」といった大型フェスにも出演するなど、ライブの経験を重ねたからこその自信と余裕が感じられるのは、この1年の大きな変化。Keita KotakemoriはMCで「今日は僕らがEmeraldの地元に乗り込むという形なので、緊張してます」と話していたが、曲間や曲中の熱い煽りはそれを感じさせないものだった。



最新曲の「微炭酸」ではトランペットにEmeraldにもサポートで参加する大泊久栄を迎え、オーディエンスとともに歌い、手を振り、この曲はまさにライブ映え抜群の仕上がり。さらに「プラチナ」、「Unlucky!!」を畳み掛けると、曲の途中でKazuki Ishidaが、初期は正規のメンバーがIshidaとSatoしかいなかったこと、コロナ禍で活動を休止せざるを得なかったことを踏まえて、「僕らはゲームオーバーから始まったバンドだなって、この曲を歌うたびに思い出すんですけど、こんな素敵なイベントに呼んでいただいて本当に嬉しいです」と感謝を伝え、そこからアカペラで歌い上げるシーンはやはりこのバンドの軸がIshidaの「恋する歌声」であることを印象付ける。勢いそのままに「OKACHIMACHI FRIDAY NIGHT」ではフロアに見事な一体感が生まれていた。


「僕らはいろんなジャンルを行ったり来たり、クロスオーバーしたり、そのとき自分たちのやりたいことをやるバンドです。ただ一つだけ、これだけは守ろうと言ってるのは、ボーカルのIshidaの歌声を大切にして、みなさんに届けるバンドとしてやっています。どうですか?Ishidaの歌、みなさんに届いてますか?」というKotakemoriの言葉に大きな拍手が贈られると、「なぜこういう風にEmeraldとの関係性ができたかというと、初めて東京で企画をやらせていただく際に、僕がギターの磯野さんにDMで凸ったところから始まった物語です。それがこんな大勢のみなさんに見てもらえるようになるとは思っていませんでした。本当にありがとうございました」と改めて感謝を伝えて、最後に披露されたのはバンドのこれまでをRPG風に綴ったポップナンバー「僕らの行進曲」。夢を見て故郷の街を出た大卒の少年の物語は、これからも続いていく。


後攻のEmeraldは藤井健司のトークボックスをフィーチャーした「Sunrise Love」からスタート。サポートを含む9人編成で鳴らされる端正なアンサンブルと、中野陽介のスウィートながら懐の深い歌声がキャリアの長さを感じさせつつ、「ストレンジバード」では「次の曲はFirst Love is Never Returnedの影響を受けて、曲の中で僕が勝手にこんなこと(手を上げて、前後に振る)するので、もしやってみたいと思ったら一緒にやってください」と話し、フロアからたくさんの手が上がるというこの日ならではの場面も。最新曲の「いみをなくして」はバンドが中野の歌にしっかり寄り添いつつ、アウトロの磯野好孝のギターソロも印象的だった。


ここでゲストとして、「Ordinary Love」を提供した吉川友がステージに登場。「曲に対してベネズエラの方からコメントをもらった」というエピソードが語られたように、世界的に人気なシティポップをEmerald流に追求した「Neo Oriented」な楽曲が、アイコニックなシンガーを通じて世の中に広まるという経験は、バンドにとっても大きなものだったはず。吉川のクールな歌声は曲調によく似合っていたし、その隣で中野とサポートのえつこが楽しそうに声を重ねる光景も普段のEmeraldでは見れないもので、非常に貴重なシーンだったと言える。続く「楽園」と「Letters」ではこの日2ステージの大泊のトランペットが、「楽園」では華やかに、「Letters」ではしっとりと、楽曲を見事に色付けていた。


さらにここで2人目のゲスト・YonYonが呼び込まれると、まだ未発表の新曲で、Emeraldにとって初のフィーチャリング楽曲「YOU feat.YonYon」を披露。中野が「俺たちラーメン作り出すと、自分たちのこだわりでギューッてなっちゃって、他の人が入る余地がなくなっちゃうんだけど、YonYonちゃんが上手く僕らに混ざってくれて、いい曲ができました」と話したように、ゆったりとしたリズムにYonYonと中野の歌声が溶け合う楽曲はまさにEmerald節ながらも新鮮な響きを感じさせるもの。ここ数年の集大成となった昨年のアルバムを経て、初めての楽曲提供に初のフィーチャリング楽曲と目線が外側に広がっているのは、ラブネバとの出会いも大きなきっかけになったのかもしれない。最後は「札幌から来てくれたラブネバ、そして我々は東京のバンドということで」と「東京」を披露し、来年が結成15周年になることに触れ、「いろいろあるけどさ、サバイバルして、勝ち取っていこう」と、「黎明」で本編が締めくくられた。

アンコールではこの日限りとなる2組の特別なコラボレーションが実現。まずはラブネバに中野が加わる形で「シューズは脱がないで」が披露され、Ishidaと中野という2人の素晴らしいシンガーの共演にフロアが大盛り上がりとなる中、今度はEmeraldにラブネバからIshida、Kotakemori、Arataの3人がボーカルとして参加して、「ムーンライト」で大団円。昨年6月の共演時に、中野はラブネバとの関係性を「教室でよく目が合う気になる2人」と表現していたが、この1年で2人はすっかり大親友になり、お互いを刺激し合う盟友になったようだ。君の想いも、僕ら歌えるよ。
文:金子厚武
撮影:松尾守
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両者はSNSを通じて知り合い、昨年6月に新宿MARZで行われたラブネバ初の東京での自主企画『Early Summer 2024[once,again]』にEmeraldがゲスト出演。さらに昨年9月に行われたEmeraldのツアー『Ray of hope』の大阪・名古屋公演に今度はラブネバがゲスト出演と、交流を深めてきた。それから約1年を経て、今回はお互いのホームタウンを回るツアーが実現し、11月1日にはラブネバのホームである札幌SPIRITUAL LOUNGEで北海道公演を開催。そして、この日はEmeraldがホームの東京にラブネバを迎え入れたというわけだ。
ラブネバは今年avexとともに新レーベル・HEiLO RECORDS(ヒイロレコーズ)を設立し、5月にミニアルバム『POP OUT! Ⅲ』をリリースと、飛躍の一年になった。一方のEmeraldは10月にひさびさの新曲「いみをなくして」をリリースしたのに続いて、シンガーの吉川友に新曲「Ordinary Love」を提供。Emeraldはすでに10年以上のキャリアがあるが、他のアーティストへの楽曲提供は今回が初めてだ。この日の2マンはそれぞれが活動の幅を広げ、充実した時間を過ごしてきたことを証明するような、実に濃密な一夜となった。

先行のラブネバのライブは「夜的平成浪漫」からスタート。前半はEmeraldにも通じるようなムーディーなナンバーが続き、「泡と文學」ではメンバーのソロ回しを交え、『POP OUT! Ⅲ』からの「落日々」を続ける。Yuji Satoのベースをフィーチャーして徐々にギアを上げていくと、「ファンデーションの前に」ではArata Yamamotoがワーミーを使ったインパクトのある音色を聴かせ、UKガラージ風の「Baby,Don't Stop」は途中までじっくりためることによって、後半はMizuki Tsunemotoのドラムとともに爆発を生み出していく。今年は自身のワンマンツアーに加え、「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL」や「SWEET LOVE SHOWER」といった大型フェスにも出演するなど、ライブの経験を重ねたからこその自信と余裕が感じられるのは、この1年の大きな変化。Keita KotakemoriはMCで「今日は僕らがEmeraldの地元に乗り込むという形なので、緊張してます」と話していたが、曲間や曲中の熱い煽りはそれを感じさせないものだった。



最新曲の「微炭酸」ではトランペットにEmeraldにもサポートで参加する大泊久栄を迎え、オーディエンスとともに歌い、手を振り、この曲はまさにライブ映え抜群の仕上がり。さらに「プラチナ」、「Unlucky!!」を畳み掛けると、曲の途中でKazuki Ishidaが、初期は正規のメンバーがIshidaとSatoしかいなかったこと、コロナ禍で活動を休止せざるを得なかったことを踏まえて、「僕らはゲームオーバーから始まったバンドだなって、この曲を歌うたびに思い出すんですけど、こんな素敵なイベントに呼んでいただいて本当に嬉しいです」と感謝を伝え、そこからアカペラで歌い上げるシーンはやはりこのバンドの軸がIshidaの「恋する歌声」であることを印象付ける。勢いそのままに「OKACHIMACHI FRIDAY NIGHT」ではフロアに見事な一体感が生まれていた。


「僕らはいろんなジャンルを行ったり来たり、クロスオーバーしたり、そのとき自分たちのやりたいことをやるバンドです。ただ一つだけ、これだけは守ろうと言ってるのは、ボーカルのIshidaの歌声を大切にして、みなさんに届けるバンドとしてやっています。どうですか?Ishidaの歌、みなさんに届いてますか?」というKotakemoriの言葉に大きな拍手が贈られると、「なぜこういう風にEmeraldとの関係性ができたかというと、初めて東京で企画をやらせていただく際に、僕がギターの磯野さんにDMで凸ったところから始まった物語です。それがこんな大勢のみなさんに見てもらえるようになるとは思っていませんでした。本当にありがとうございました」と改めて感謝を伝えて、最後に披露されたのはバンドのこれまでをRPG風に綴ったポップナンバー「僕らの行進曲」。夢を見て故郷の街を出た大卒の少年の物語は、これからも続いていく。


後攻のEmeraldは藤井健司のトークボックスをフィーチャーした「Sunrise Love」からスタート。サポートを含む9人編成で鳴らされる端正なアンサンブルと、中野陽介のスウィートながら懐の深い歌声がキャリアの長さを感じさせつつ、「ストレンジバード」では「次の曲はFirst Love is Never Returnedの影響を受けて、曲の中で僕が勝手にこんなこと(手を上げて、前後に振る)するので、もしやってみたいと思ったら一緒にやってください」と話し、フロアからたくさんの手が上がるというこの日ならではの場面も。最新曲の「いみをなくして」はバンドが中野の歌にしっかり寄り添いつつ、アウトロの磯野好孝のギターソロも印象的だった。


ここでゲストとして、「Ordinary Love」を提供した吉川友がステージに登場。「曲に対してベネズエラの方からコメントをもらった」というエピソードが語られたように、世界的に人気なシティポップをEmerald流に追求した「Neo Oriented」な楽曲が、アイコニックなシンガーを通じて世の中に広まるという経験は、バンドにとっても大きなものだったはず。吉川のクールな歌声は曲調によく似合っていたし、その隣で中野とサポートのえつこが楽しそうに声を重ねる光景も普段のEmeraldでは見れないもので、非常に貴重なシーンだったと言える。続く「楽園」と「Letters」ではこの日2ステージの大泊のトランペットが、「楽園」では華やかに、「Letters」ではしっとりと、楽曲を見事に色付けていた。


さらにここで2人目のゲスト・YonYonが呼び込まれると、まだ未発表の新曲で、Emeraldにとって初のフィーチャリング楽曲「YOU feat.YonYon」を披露。中野が「俺たちラーメン作り出すと、自分たちのこだわりでギューッてなっちゃって、他の人が入る余地がなくなっちゃうんだけど、YonYonちゃんが上手く僕らに混ざってくれて、いい曲ができました」と話したように、ゆったりとしたリズムにYonYonと中野の歌声が溶け合う楽曲はまさにEmerald節ながらも新鮮な響きを感じさせるもの。ここ数年の集大成となった昨年のアルバムを経て、初めての楽曲提供に初のフィーチャリング楽曲と目線が外側に広がっているのは、ラブネバとの出会いも大きなきっかけになったのかもしれない。最後は「札幌から来てくれたラブネバ、そして我々は東京のバンドということで」と「東京」を披露し、来年が結成15周年になることに触れ、「いろいろあるけどさ、サバイバルして、勝ち取っていこう」と、「黎明」で本編が締めくくられた。

アンコールではこの日限りとなる2組の特別なコラボレーションが実現。まずはラブネバに中野が加わる形で「シューズは脱がないで」が披露され、Ishidaと中野という2人の素晴らしいシンガーの共演にフロアが大盛り上がりとなる中、今度はEmeraldにラブネバからIshida、Kotakemori、Arataの3人がボーカルとして参加して、「ムーンライト」で大団円。昨年6月の共演時に、中野はラブネバとの関係性を「教室でよく目が合う気になる2人」と表現していたが、この1年で2人はすっかり大親友になり、お互いを刺激し合う盟友になったようだ。君の想いも、僕ら歌えるよ。
文:金子厚武
撮影:松尾守
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