SENSA

2019.04.24

odol、ミゾベリョウ(Vo, Gt)主催のイベント『binary』。歌とギターで生み出す表現。

odol、ミゾベリョウ(Vo, Gt)主催のイベント『binary』。歌とギターで生み出す表現。

2014年東京にて結成された6人組バンド「odol」のボーカリストであるミゾベリョウによる、初の弾き語りイベント『binary』が4月14日、下北沢・風知空知にて開催された。初回となる今回は、ミゾベと交流の深い橋本薫(Helsinki Lambda Club)、CAKE(STEPHENSMITH)の2組をゲストに招いて行われた。


まだ肌寒さが残る春の夕暮れ時。会場の風知空知にはソファや椅子が並び、ドリンクやフードを楽しみながら思い思いに開演までの時間を楽しんでいた。会場にはMatthew Sweetの名盤『Girlfriend』が流れ、和やかな空気を演出していた。



まずステージに現れたのは橋本薫。「お待たせしました。」という軽い挨拶をしたあとに「チョコレィト」を披露。ミディアムテンポのエモーショナルな楽曲で一気に観客の耳を引きつけた。演奏後に機材トラブルがあったようで橋本が「ミゾベく~ん。」と言うと、主催者のミゾベが現れ、「良かったら使ってください!」と自身のギターを手渡した。突然の主催者の登場に会場からは拍手が起こり、ミゾベのギターを手にした橋本は「このギター弾きたかったんですよ。さっき弾いたら音も良いしめちゃめちゃ弾きやすくて。」と会場の笑いを誘った。

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リズミカルなギターストロークと畳み掛けるボーカルが特徴的な「Time,Time,Time」。「ミゾベくんが好きでいてくれているバンドの曲をやろうと思います。」というMCから、「しゃれこうべ しゃれこうべ」を歌い上げた。続いて「lipstick」、最新アルバム『Tourist』から「引っ越し」を披露。ペイヴメント的なユルくけだるさのある歌声と、初聴の人も口ずさめるようなポピュラリティーを持ち合わせたメロディーが魅力的な楽曲だ。

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「いつも弾き語りの時はカバーをやっているんですが今日はこの曲を。」とTHE NOVEMBERSの「最近あなたの暮らしはどう」を演奏。ささやくような歌い方や、ファルセットを多用し、普段とはまた違う橋本の声の魅力を聴かせてくれた。最後は橋本の真骨頂といえる畳み掛けるリズミカルなメロディーが特徴的なナンバー「マニーハニー」。ギターをかき鳴らしエネルギッシュな演奏で会場を盛り上げ、ライブを締め括った。



続いて登場したのはCAKE。「日曜日ですからね。明るいうちからお酒を飲むのがスペシャルな感じがして良いですよね。」と人懐っこい笑顔をみせ、「少し天気がわるいので、天気のわるそうな曲を。」と「微温湯の雨」を演奏。ソウル/R&Bを感じさせるスローでメロウな楽曲で会場を一気に甘い夜の空気に変えた。「東京でちゃんと弾き語りのイベント呼んでもらったのが今回初めてで...当たり前なんですけど、みんな僕みてますね。緊張するなー。」と言いながらそんな緊張をまったく感じさせないダイナミックな演奏で新曲の「罅」を奏でた。

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「ギターをエレキしか持ってなくて今日のためにこのガットギター買ったんですよ。これは安いんですけど、さっきミゾベさんのギターの値段聞いて...うわーって。(笑)」と会場を和ませ、韻を踏んだ歌詞と美しいコードが特徴的な「あだると」。続いてBEGIN のカバー「恋しくて」を披露。名曲のカバーに観客は静かに肩を揺らし楽しんでいた。

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「最後の曲なんですが、ミゾベくんがodolのインスタライブでカバーしてくれていて、ありがたいですね。これはおやすみなさいって感じの曲ですが、最後まで楽しんでいってくださいね。」とサビのリフレインが印象的な「ベッドタイムミュージック」を表現力のあるのびやかな歌声と、ストロークとアルペジオを織り交ぜたガットギターで、ドラマチックに聴かせてくれた。



すっかり日が暮れ客席に差し込む西日もなくなる頃、ミゾベリョウがステージに現れ、最新アルバム『往来するもの』の一曲目でもある「光の中へ」からライブは始まった。原曲ではスネアのロールや様々な楽器のメロディの重なりが印象的だが、ギターストロークと歌だけのシンプルな構成で、ミゾベのやわらかい歌声と普遍的なテーマ性を感じる歌詞がより際立った演奏となっていた。「弾き語りでライブをするのが初めてなんですが、バンドでもそうなんですけどより共演者の演奏が心に響いて...弾き語りっていいなって思いました。ありがとうございます。」と照れ笑いを見せた。「僕のバンドのメンバーが見にきていて緊張するんですが。」と客席後方をみると優しい眼差しでライブを見守るodolのメンバーの姿が。「普段あまりバンドでやらない曲をやってみようかと思います。」とセカンドアルバム『years』から「17」、「グッド・バイ」を続けて演奏した。

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「薫さんやCAKEくんのようなシンガーソングライターがボーカルを務めるバンドとは違って、弾き語りでステージに立つことは僕にとって自然ではなくて、無意識のうちに、一人でステージに立つことから逃げていたような気がしたんですね。だけどミュージシャンとして生きていくと決めて、もう逃げたくないって思って。1人でステージ立つことに意味があると思い、今回のライブを企画しました。」と熱い想いを静かに語り、原曲はシューゲイザーサウンドが特徴的な楽曲「飾りすぎていた」をミニマルにアコースティックアレンジで歌い上げシンガーとしての魅力を存分に見せつけた。ミゾベが東京で初めて見たライブが風知空知での「Nomson Goodfield」のライブであるというエピソードを交え「インマイ(Nomson Goodfield cover)」、インスタライブでも配信していた天才バンドのカバー「君が誰かの彼女になりくさっても」を演奏した。

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「イベント名の"binary"という言葉は"2つの要素で構成されるもの"という意味の言葉ですが、今回歌とギターっていう2つの要素こそがこのイベントの主題です。不定期ではありますが続けていきたいと思っていますので今後ともよろしくお願いします。」と語り、odolの楽曲「逃げてしまおう」、「years」をバンドとは違ったミゾベリョウの表現で聴かせてくれた。

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鳴り止まぬアンコールに応え、ミゾベがステージに現れると「せっかくなんで薫さんとCAKEくんの力を借りて1曲演奏したいと思います。」と2人を呼び込んだ。本編よりもリラックスした様子の3人がゆるやかな談笑をすると会場が笑いに包まれた。最後は髭のカバー曲「なんて素敵でいびつ」で和やかなムードの中、イベントは盛況のうちに終了した。


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「歌」と「ギター」という2つの要素で構成された『binary』。みな1人のミュージシャンとして三者三様の表現を聴かせてくれ、それぞれバンドとは違った魅力を感じさせてくれる素晴らしいイベントだった。


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[SET LIST]


橋本薫(Helsinki Lambda Club)
1. チョコレィト
2. Time,Time,Time
3. しゃれこうべ しゃれこうべ
4. lipstick
5. 引っ越し
6. 最近あなたの暮らしはどう(THE NOVEMBERS cover)
7. マニーハニー


CAKE(STEPHENSMITH)
1. 微温湯の雨
2. 罅
3. あだると
4. 恋しくて(BEGIN cover)
5. ベッドタイムミュージック


ミゾベリョウ(odol)
1. 光の中へ
2. 17
3. グッド・バイ
4. 飾りすぎていた
5. インマイ(Nomson Goodfield cover)
6. 君が誰かの彼女になりくさっても(天才バンド cover)
7. 逃げてしまおう
8. years


アンコール
1. なんて素敵でいびつ(髭 cover)



odol

□OFFICIAL HP
@odol_jpn


「odol LIVE 2019 "O/g-10"」ONE-MAN LIVE
2019年07月04日(木) 渋谷WWW
OPEN 19:00 START 19:30
前売り¥3,300



Helsinki Lambda Club

□OFFICIAL HP
@helsinkilambda


「ヘルシンキラムダクラブ結成6周年記念イベント "Everybody Wants Help!!"」
<東京公演>
2019年6月28日(金) 代官山UNIT
OPEN18:30 START 19:00
前売り ¥3,000 / 当日 ¥3,500円(共にドリンク代別)
ゲスト:ドミコ
<大阪公演>
2019年7月13日(土) 心斎橋Music Club JANUS
OPEN 18:00 START 18:30
前売り ¥3,000 / 当日 ¥3,500円 (共にドリンク代別)
ゲスト:teto



STEPHENSMITH

□OFFICIAL HP
@steve_s_info


「soha -ASIA TOUR 2019- "WALK the One to Now"」
2019年5月7日(火) 渋谷TSUTAYA O-nest
OPEN18:30 START 19:00
出演:soha、東京塩麹、STEPHENSMITH
前売り ¥2,500 / 当日 ¥3,000 (共にドリンク代別)