Highlighter

2025.12.17

光へ向かう姿で私たちの一歩を照らす「やさしいみらい」-Highlighter Vol.257-

光へ向かう姿で私たちの一歩を照らす「やさしいみらい」-Highlighter Vol.257-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。Vol.257は、横浜出身の5人組・やさしいみらいを取り上げる。
ブラックミュージックのルーツを軸に、様々な時代の幅広いジャンル、さらには映画などのカルチャーからの影響も受けながら"DANCE WITH US,NOW MORE THAN EVER"をテーマに活動。印象的なバンド名に通じるように、最新作『space』には「先陣きって僕らが光を探せたら」という、温かく力強い願いが込められている。

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活動を始めたきっかけ
松本レン(Vo):大学2年のときにコロナで世の中が一変したのが、かなり自分の中ではターニングポイントでした。当時、自分と同世代のアーティストがDTMで曲を作って活躍していくのをリアルタイムで目の当たりにして、家に閉じこもって何も生み出していない自分に苛立ちを覚えて、音楽を始めることを決意しました。ギターもろくに弾けなかったので、最初に作った曲はほんとに聴くに耐えない酷いものでした(笑)。

やっと形になったものをMVも自主制作してYouTubeにあげたら、高校時代の友人だった夢句(Rap)が「曲いいね」って言ってくれて、ふたりで作ろうということになってやさしいみらいを結成しました。そこから紆余曲折あって、一年半ほど前に現体制になって活動を続けています。ここの紆余曲折にもドラマチックな物語があるのですが、長くなってしまったので、またどこかの機会で......。


影響を受けたアーティスト
松本:父親の影響で幼少期からいろんな音楽を聴いて育ちました。特に父親は80'sの洋楽ロックが好きでよく車で流れていたんですが、当時から僕は歌うことが好きだったので、英詞の曲は歌えないから嫌いでした(笑)。ただ、父親はインディーズや、メジャーデビューしたての日本のバンドも見つけてきては車の中で流していて、そこで出会った音楽の中でも、特に"クレイジーケンバンド"は僕のルーツになりました。

頭に残るキャッチーなメロディメイクでありながら、かっこよさもあり、鮮烈な印象が残っています。ポップスをベースに多様なジャンルを融合させていくやさしいみらいのスタイルは、確実にクレイジーケンバンドに強い影響を受けています。

夢句(Rap):小学生の頃から家族の影響で、SUMMER SONICだったりいろんな大型フェスに連れてもらってました。Red Hot Chili Peppersも観たし、L'Arc〜en〜Cielも観たし、とにかくめっちゃ幅広くバンドのライブに小さい頃から連れてってもらってました。

ですが、自分は楽器を練習してもどうしても上手になれなくて。小6の頃HIPHOPに出会ってからはずっとRapやってます。今年は落ち込んでる日々が多かったこともあったんですが、そのタイミングで僕がとても尊敬してたJJJというRapperが亡くなってしまって。今年はずっと彼のRapを聴いてました。


注目してほしい、自分の関わった作品
松本:やさしいみらいというバンドはいったいなんなのかということを、改めて考える機会を今回のEPは与えてくれました。

今作の裏テーマとして、"僕は光の方に向かうことにしたよ。だから、君もいつかーー"というものがあります。僕たちは"光を与える存在"なんていう大それたものにはなれません。でも一緒に光を探すことはできます。僕たちの歌詞は決して明るいとは言えない。ただ、それぞれに信じているものがあって、それが信じられなくなることもあって、きっと何が光かなんてわかっていなくて、歩みを止めたくなるけどそれでも歩み続けなければいけなくて。そんな思いを抱える人たちに先陣きって僕らが光を探せたらという"願い"が僕たちやさしいみらいなんだと改めて考えさせてくれました。そしてこのEPにはそんな願いをたくさん詰め込みました。

夢句:このEPで自分がいちばん救われました。感情を言葉にするって人間にとってめっちゃ大切なことだなってとても思いました。それに、MixやRecordingを担当してくれたはちやさんや、今作のMVを担当してくれた鈴木盛朗さん。さまざまな人の出会いと、協力があって今作は成り立ちました。とても感謝しています。



今後挑戦してみたいこと
松本:僕は没入型演出といった類のものが大好きなんですね。いったい何が待ち受けているのだろうとワクワクさせてくれる。音楽ライブでそういう体験を提供できたら、めちゃくちゃ面白いんじゃないかなっていうのはずっと考えてます。映画のようなライブをやってみたいです。

夢句:FUJI ROCKに出たいです。


カルチャーについて

触れてきたカルチャー
松本:本や映画、それからテレビっ子だったのでお笑いも好きです。さっき「「映画のようなライブがしたい」と話したので、今回は映画についてお話ししようと思います。好きな映画は星の数ほどあるんですが、何度も繰り返し観てしまうのは『マトリックス』。これはもう自分の核ですね。親の顔よりキアヌ見てます(笑)。



王道の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も大好きですが、低予算映画にも惹かれていて、そのきっかけになったのが『残酷で異常』と『トランス・ワールド』です。低予算でも脚本とアイデア次第でこんなに面白くなるんだ、と強く感じさせられました。





最近観て印象に残っているのは『逆噴射家族』です。ちょうど読んでいたジョン・ケネディ・トゥールの『愚か者同盟』の表紙とDVDビジュアルの色味が似ていて手に取ったのですが、これが最高でした。どうやらカルト的人気の作品らしく、家族という不思議な関係性----血は繋がっているのに、お互い人間だからこそ秘めた狂気に気付けなかったり、その違和感にモヤモヤしたり----そういう閉鎖的な家族観を"もっと開いていいんだよ"と軽やかに提示してくれる作品でした。





映画監督でいうとウェス・アンダーソンやクリストファー・ノーランも好きですが、このあたりは有名なので割愛します。
僕が特に好きなのはサム・エスメイルです。これまで物語や演技で映画を観てきた自分に、"撮り方"や"カット割り"という視点の面白さを教えてくれた監督です。観ただけで彼の作品だとわかる独特のカメラアングルで、どのカットを切り抜いても全部かっこいい。ドラマにはなってしまうんですが、『MR.ROBOT』は僕の人生でいちばん好きな作品です。ぜひ観てほしいです!



夢句:今年は『チ。-地球の運動について-』にハマりました。サカナクションの「怪獣」という歌とともに始まるオープニングがまじで鳥肌立ったし、アニメのキャラにすごい感情移入できて、心に残る作品でした。



今注目しているカルチャー
松本:今注目しているのは"短編アニメ映画"です。最近知ったのですが、東京学生映画祭にはアニメーション部門があって、その入選作品を片っ端から見漁っています(笑)。同世代の学生が作る作品にはすごく強いエネルギーがあって、映像だけじゃなく発想や空気感からも刺激をもらえるんですよね。曲作りにもかなり影響していると思います。

RELEASE INFORMATION

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やさしいみらい「space」
2025年12月17日(水)

試聴はこちら



LIVE INFORMATION

New Action! × やさしいみらい~ やさしいみらい 4th EP "space" Release Party" ~
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2025年12月29日(月)
新宿MARZ⇄Marble (2店舗往来自由)
open/start 16:00 
チケット ¥3,500 (+1Drink)
https://t.livepocket.jp/e/newaction_130

Melody Line
2026年1月18日(日)
新宿ライブハウス全7会場
Shinjuku HEIST(総合受付)/新宿club SCIENCE/ HOLIDAY SHINJUKU/
LIVEHOUSE shinjuku SAMURAI/ Shinjuku Marz/新宿Marble/新宿Motion
https://livepocket.jp/e/melodyline20260118

PROFILE

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やさしいみらい
神奈川県横浜市出身。ブラックミュージックのルーツを軸に、"DANCE WITH US,NOW MORE THAN EVER"をテーマに掲げ、ポップな感性でアップデートを重ねている。
社会へのささやかな反骨心と、誰も置き去りにしない優しさが、その音に息づく。切なさの奥に確かな光が差す"未来"を描く。
高校の同級生である松本レン(Vo)と夢句(Rap)によって宅録ユニットとして2022年のコロナ禍に結成された。Voの弟である松本カイ(B)、ぐうぜん公園で出会った小泉至(Dr)、SNSで繋がったナツナ(Key)が加わったことを皮切りに、本格的にバンドとしての活動を開始。

LINK
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