Rol3ert「savior」──心臓を撃つ2分40秒。Rol3ert「savior」の圧縮された強度
REVIEW
2026.02.25
桜の裏には泥が付いていた
鼻がムズムズする。お日様で溶かされたぬるい空気が体を包む。スウェットの下で滲んだ汗が冷たい。さぁ、春が来た。2024年のこんな季節に結成された福岡発のインディーロックバンド・爛漫天国。2024年末に公開された「天使」「風化した街」のMVをキッカケに、少しずつその名を広げてきた彼らがリリースした1stミニアルバムは、どこまでもハートフルでひたすらに穏やかな全8曲が収められているように見える。
実際、ご機嫌なベースラインとマーチングビートに乗せ、〈さえずりを聴きながら〉〈お
腹が空いたなら〉と連ねられるa母音が前方へと駆けていく「春」然り、クスッと、ぎゅっと、そっととテロテロとした擬音が重ねられる「月の話」然り、フォーキーな歌唱をコアに据えた飾らなさが魅力的。「あら、よっと!」なんて掛け声を放りたくなる囃子調のリズムを組み込んだ「死ぬまでポップに」も、どこか古めかしいフィールを宿した長拍のリードギターが牽引する「思い通りに」もそれは同様で、時折ですます調にリリックからも読み取れる丁寧な佇まいは、彼らの真髄と言えそうだ。
と、ここで立ち止まって考える。これって本当にハッピーか?というか、その柔らかな音像とは裏腹に、綴られた詩世界は歪でぐちゃぐちゃではないか。例えば、「死ぬまでポップに」で〈あーあーもう帰りたくない〉と今日の延長をリクエストする理由は、あまりにも今夜が良い時間だったからというよりも〈もう朝日なんて出てこなきゃいいのにな〉〈普通の生活の厳しさを知る〉と歌っている通り、嫌で嫌で仕方ない月曜日から逃げるため。そう考えれば、繰り返される〈死ぬまでポップに ポップに ポップに〉の1節は、空元気を出すための自らに向けた催眠だろう。
加えて、表題ともリンクする〈日々を折り返すごとに〉に続く1行は、〈錆びついていきました〉だ。大切だったあなたと別れ、価値を失っていく抜け殻同然のあの街を駆け巡り、爛漫天国は〈可憐な彼女の姿を追いかけながら〉といつまでも亡霊へ手を伸ばしているのだ。四季が玄関を叩く度に、ささやかな記憶は朽ち果てていくと知りながら。
こうして思い通りにいかない現実の虚しさと厳しさを刻んできたからこそ、エンディングを飾る「ワルツ」で創造される2人だけの世界は濃密で美しい。とはいえ、モモノマナト(Vo,Gt)がセルフライナーノーツに「辿り着く先はもう決まっているのに、この先も僕らはずっと愛を知って愛に溺れていくしかないと」と記している通り、そして一筋縄ではいかないリズムが暗示している通り、おそらくこの2人が行き着く先も決して明るくはないだろう。どんなに優しくたって、どれほど笑顔に見えたって、残念なことに現実はそこまで甘くない。心温まるサウンドメイクは、反骨心と狂気的な愛のコーティング剤だった。
文:横堀つばさ

爛漫天国「日々、折り返すごとに」
2026年2月25日(水)
Format:CD/Digital
Label:爛漫天国
Track:
1. 春
2. 月の話
3. 天使
4. 死ぬまでポップに
5. 風化した街
6. 思い通りに
7. ワルツ
8. 憎たらしいくらいのこの日々に -Bonus Track- (CDのみ収録)
試聴はこちら
2026年2月26日(木)
福岡・public space四次元 レコ発自主企画「純風爛漫 Vol.1」
w/ ザ・ダービーズ , BIG MOUSE GLORY , Pixie Monster
2026年3月6日(金)
下北沢シャングリラ
Ailly ゲスト:Conton Candy オープニングアクト:爛漫天国
2026年3月8日(日)
福岡・TENJIN ONTAQ 2026 (福岡天神地区8会場)
2026年3月9日(月)
福岡・ライブハウス秘密「西風」
w/ インナージャーニー , 山本海バンド , yawn club
2026年3月14日(土)
見放題東京2026 (東京新宿12会場)
2026年3月16日(月)
下北沢Flowers Loft
Flowers Loft × チケットぴあ presents. 「Grasshopper vol.40」
w/ (((((Cutie))))) , YANK
2026年3月17日(火)
東京・渋谷チェルシーホテル 証明 -vol.3-
w/ パキルカ , Navy HERETIC , tonerico , おとなりにぎんが計画 , iVoRy.
2026年3月22日(日)京都・Live House nano
ナノ22周年月間第26夜 コロブチカ presents あつまれ
w/ ULTRA CUB , The Highneken , PLATFORM , müde , ROVING GRANDPA and more...
2026年5月20日(水)
心斎橋Live House Pangea
対バンあり
東京編
2026年5月31日(日)
下北沢THREE
対バンあり
福岡編
2026年6月20日(土)
福岡・Public Space四次元
ツアーファイナル・ワンマン
@ranmantengoku
@ranmantengoku
@ranmantengoku
鼻がムズムズする。お日様で溶かされたぬるい空気が体を包む。スウェットの下で滲んだ汗が冷たい。さぁ、春が来た。2024年のこんな季節に結成された福岡発のインディーロックバンド・爛漫天国。2024年末に公開された「天使」「風化した街」のMVをキッカケに、少しずつその名を広げてきた彼らがリリースした1stミニアルバムは、どこまでもハートフルでひたすらに穏やかな全8曲が収められているように見える。
実際、ご機嫌なベースラインとマーチングビートに乗せ、〈さえずりを聴きながら〉〈お
腹が空いたなら〉と連ねられるa母音が前方へと駆けていく「春」然り、クスッと、ぎゅっと、そっととテロテロとした擬音が重ねられる「月の話」然り、フォーキーな歌唱をコアに据えた飾らなさが魅力的。「あら、よっと!」なんて掛け声を放りたくなる囃子調のリズムを組み込んだ「死ぬまでポップに」も、どこか古めかしいフィールを宿した長拍のリードギターが牽引する「思い通りに」もそれは同様で、時折ですます調にリリックからも読み取れる丁寧な佇まいは、彼らの真髄と言えそうだ。
と、ここで立ち止まって考える。これって本当にハッピーか?というか、その柔らかな音像とは裏腹に、綴られた詩世界は歪でぐちゃぐちゃではないか。例えば、「死ぬまでポップに」で〈あーあーもう帰りたくない〉と今日の延長をリクエストする理由は、あまりにも今夜が良い時間だったからというよりも〈もう朝日なんて出てこなきゃいいのにな〉〈普通の生活の厳しさを知る〉と歌っている通り、嫌で嫌で仕方ない月曜日から逃げるため。そう考えれば、繰り返される〈死ぬまでポップに ポップに ポップに〉の1節は、空元気を出すための自らに向けた催眠だろう。
加えて、表題ともリンクする〈日々を折り返すごとに〉に続く1行は、〈錆びついていきました〉だ。大切だったあなたと別れ、価値を失っていく抜け殻同然のあの街を駆け巡り、爛漫天国は〈可憐な彼女の姿を追いかけながら〉といつまでも亡霊へ手を伸ばしているのだ。四季が玄関を叩く度に、ささやかな記憶は朽ち果てていくと知りながら。
こうして思い通りにいかない現実の虚しさと厳しさを刻んできたからこそ、エンディングを飾る「ワルツ」で創造される2人だけの世界は濃密で美しい。とはいえ、モモノマナト(Vo,Gt)がセルフライナーノーツに「辿り着く先はもう決まっているのに、この先も僕らはずっと愛を知って愛に溺れていくしかないと」と記している通り、そして一筋縄ではいかないリズムが暗示している通り、おそらくこの2人が行き着く先も決して明るくはないだろう。どんなに優しくたって、どれほど笑顔に見えたって、残念なことに現実はそこまで甘くない。心温まるサウンドメイクは、反骨心と狂気的な愛のコーティング剤だった。
文:横堀つばさ
RELEASE INFORMATION

爛漫天国「日々、折り返すごとに」
2026年2月25日(水)
Format:CD/Digital
Label:爛漫天国
Track:
1. 春
2. 月の話
3. 天使
4. 死ぬまでポップに
5. 風化した街
6. 思い通りに
7. ワルツ
8. 憎たらしいくらいのこの日々に -Bonus Track- (CDのみ収録)
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
2026年2月26日(木)
福岡・public space四次元 レコ発自主企画「純風爛漫 Vol.1」
w/ ザ・ダービーズ , BIG MOUSE GLORY , Pixie Monster
2026年3月6日(金)
下北沢シャングリラ
Ailly ゲスト:Conton Candy オープニングアクト:爛漫天国
2026年3月8日(日)
福岡・TENJIN ONTAQ 2026 (福岡天神地区8会場)
2026年3月9日(月)
福岡・ライブハウス秘密「西風」
w/ インナージャーニー , 山本海バンド , yawn club
2026年3月14日(土)
見放題東京2026 (東京新宿12会場)
2026年3月16日(月)
下北沢Flowers Loft
Flowers Loft × チケットぴあ presents. 「Grasshopper vol.40」
w/ (((((Cutie))))) , YANK
2026年3月17日(火)
東京・渋谷チェルシーホテル 証明 -vol.3-
w/ パキルカ , Navy HERETIC , tonerico , おとなりにぎんが計画 , iVoRy.
2026年3月22日(日)京都・Live House nano
ナノ22周年月間第26夜 コロブチカ presents あつまれ
w/ ULTRA CUB , The Highneken , PLATFORM , müde , ROVING GRANDPA and more...
爛漫天国 1st mini Album「日々、折り返すごとに」Release Tour『台風春遊』
大阪編2026年5月20日(水)
心斎橋Live House Pangea
対バンあり
東京編
2026年5月31日(日)
下北沢THREE
対バンあり
福岡編
2026年6月20日(土)
福岡・Public Space四次元
ツアーファイナル・ワンマン
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@ranmantengoku@ranmantengoku
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