稀「命名」──静寂から溢れ出す歓びと覚悟
REVIEW
2026.01.08
saccharin「大往生」──人生の苦みと祝祭を鳴らす、saccharinの初アルバム
松浦大樹(She Her Her Hersのメンバーであり、TENDRE、奇妙礼太郎、FCO.などのサポートドラムとして活躍)のソロプロジェクト=saccharinによる1stフルアルバム『大往生』が、2025年12月10日にデジタルリリース(CDは2026年1月14日発売)された。本作ではタイトル通り、彼自身の人生観すべてを注ぎ込み、「私的な真理」と人生における「生死」という避けて通れないテーマに真正面から取り組んだ非常にパーソナルな作品である。それでいて個人的な内省にとどまらず、普遍的な力強さも持ち合わせており、聴き手それぞれの心にも訴えかけている。
これまで She Her Her Hers や TENDRE、奇妙礼太郎 など数多くのアーティストの演奏サポートを務めてきたsaccharin。そうしたキャリアを反映するかのように、本アルバムのサウンドはロック、ブルース、歌謡曲といった多彩な要素を横断しつつ、不思議とポップさを失わない。タイトなファンクビートから哀愁漂う歌謡ムードまで、ジャンルの垣根を超えた楽曲の数々は、まさに彼の遍歴を映すようだ。
さらに、TENDRE(キーボード)、小西遼(サックス)、AAAMYYY(コーラス)といった豪華コラボレーターの参加も音に豊かな彩りを添えている。とりわけ「私恥」は小西遼による緻密なアレンジが光り、ピアノ主体のクラシカルなコード進行とノスタルジックなメロディがsaccharinの新境地を感じさせる。
本作の魅力を際立たせているのが、その個性的な楽曲と歌詞表現だ。例えば「私恥」は、タイトルからして"恥"を背負った自己に踏み込むような一曲。叙情的なピアノと重厚なコードがクラシック音楽の香りを漂わせつつ、サイケデリックな効果音も忍ばせた不穏な空気感を纏っている。歌詞には〈恥を知れ うんと 恥を知れ〉とダイレクトに繰り返すフレーズも登場し、自己の弱さや葛藤をあえて曝け出す。その赤裸々さは、聴く者の胸にも鋭く迫ってくる。
一方「Ihan」は、ファンク、ソウル、ブルースが渾然一体となったカオスで異色なナンバー。硬質なグルーヴと跳ねるベースラインに、どこかプリンスを彷彿とさせる官能性と遊び心が滲む。また「昼花火」は、昼間に打ち上げる花火を意味するタイトル通り、明るさと儚さが同居するミドルバラードだ。8分の6拍子に乗せた序盤はビートルズの「Oh! Darling」を思わせるオーセンティックなアレンジ......と思いきや、途中からビートが一変し、景色がドラマチックに転じる。サイケデリックかつシネマティックに展開したかと思えば、不意に曲が終わり、白昼夢から醒めるような余韻を残す。
そしてラスト前に配された「円を描くこと」は、その名の通り循環や終幕を想起させる楽曲だ。揺らぐコーラスと変拍子を活かした浮遊感のあるサウンドの中で、〈everybody say good night and good see you〉というフレーズが静かにリフレインされ、じんわりとした多幸感に包み込まれる。儚い別れと次の幕開けを同時に思わせるこの余韻は、アルバム全体のテーマである"人生の儚さと、それでも続いていく想い"を象徴しているようにも感じられる。
タイトルに『大往生』を掲げつつも、saccharinは生きることの苦みと尊さを、ユニークなポップミュージックへと昇華してみせた。その音楽性は奇抜でありながら耳馴染みが良く、人生の光と影を描いた楽曲群は、聴くほどに心の奥底にある感情を揺さぶり、静かなカタルシスをもたらす。普遍的なメッセージ性と音楽的冒険心が凝縮された、確かな手応えを残す意欲作だ。
文:黒田隆憲

saccharin「大往生」
2025年12月11日 (2026年1月14日 CD Release)
Format:Digital
Label:TEKION RECORDS
Track:
1. TONGO feat.松重豊
2. 大往生
3. 私恥
4. Ihan
5. 過剰と不足
6. 群衆フライデー
7. リヤカー
8. 昼花火
9. まぐれ幸い
10.円を描くこと
11. TAI/ON
試聴はこちら

2026年1月10日(土)
会場:浅草花劇場
開場時間17:00 / 開演時間18:00
キャスト:saccharin、TENDRE、竹之内一彌、高木祥太、大井一彌、小西遼、AAAMYYY、桂九ノ一、RYOJI YAMADA、うちゃん、松下ぱなお、TETEYAN、さらさ、森洸大(DONTEQQA)
券種:
<一般スタンディング> 前売料金(税込)¥5,000
<バルコニー指定席> 前売料金(税込)¥5,500 ※ソールドアウト
<学割スタンディング> 前売料金(税込)¥3,000 ※ソールドアウト
https://w.pia.jp/t/saccharin/
※お一人様4枚まで
※電子チケットのみ
※小学生以下入場不可、中学生以上要チケット
@taiki_matsuura
@saccharin
これまで She Her Her Hers や TENDRE、奇妙礼太郎 など数多くのアーティストの演奏サポートを務めてきたsaccharin。そうしたキャリアを反映するかのように、本アルバムのサウンドはロック、ブルース、歌謡曲といった多彩な要素を横断しつつ、不思議とポップさを失わない。タイトなファンクビートから哀愁漂う歌謡ムードまで、ジャンルの垣根を超えた楽曲の数々は、まさに彼の遍歴を映すようだ。
さらに、TENDRE(キーボード)、小西遼(サックス)、AAAMYYY(コーラス)といった豪華コラボレーターの参加も音に豊かな彩りを添えている。とりわけ「私恥」は小西遼による緻密なアレンジが光り、ピアノ主体のクラシカルなコード進行とノスタルジックなメロディがsaccharinの新境地を感じさせる。
本作の魅力を際立たせているのが、その個性的な楽曲と歌詞表現だ。例えば「私恥」は、タイトルからして"恥"を背負った自己に踏み込むような一曲。叙情的なピアノと重厚なコードがクラシック音楽の香りを漂わせつつ、サイケデリックな効果音も忍ばせた不穏な空気感を纏っている。歌詞には〈恥を知れ うんと 恥を知れ〉とダイレクトに繰り返すフレーズも登場し、自己の弱さや葛藤をあえて曝け出す。その赤裸々さは、聴く者の胸にも鋭く迫ってくる。
一方「Ihan」は、ファンク、ソウル、ブルースが渾然一体となったカオスで異色なナンバー。硬質なグルーヴと跳ねるベースラインに、どこかプリンスを彷彿とさせる官能性と遊び心が滲む。また「昼花火」は、昼間に打ち上げる花火を意味するタイトル通り、明るさと儚さが同居するミドルバラードだ。8分の6拍子に乗せた序盤はビートルズの「Oh! Darling」を思わせるオーセンティックなアレンジ......と思いきや、途中からビートが一変し、景色がドラマチックに転じる。サイケデリックかつシネマティックに展開したかと思えば、不意に曲が終わり、白昼夢から醒めるような余韻を残す。
そしてラスト前に配された「円を描くこと」は、その名の通り循環や終幕を想起させる楽曲だ。揺らぐコーラスと変拍子を活かした浮遊感のあるサウンドの中で、〈everybody say good night and good see you〉というフレーズが静かにリフレインされ、じんわりとした多幸感に包み込まれる。儚い別れと次の幕開けを同時に思わせるこの余韻は、アルバム全体のテーマである"人生の儚さと、それでも続いていく想い"を象徴しているようにも感じられる。
タイトルに『大往生』を掲げつつも、saccharinは生きることの苦みと尊さを、ユニークなポップミュージックへと昇華してみせた。その音楽性は奇抜でありながら耳馴染みが良く、人生の光と影を描いた楽曲群は、聴くほどに心の奥底にある感情を揺さぶり、静かなカタルシスをもたらす。普遍的なメッセージ性と音楽的冒険心が凝縮された、確かな手応えを残す意欲作だ。
文:黒田隆憲
RELEASE INFORMATION

saccharin「大往生」
2025年12月11日 (2026年1月14日 CD Release)
Format:Digital
Label:TEKION RECORDS
Track:
1. TONGO feat.松重豊
2. 大往生
3. 私恥
4. Ihan
5. 過剰と不足
6. 群衆フライデー
7. リヤカー
8. 昼花火
9. まぐれ幸い
10.円を描くこと
11. TAI/ON
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
歌謡激情

2026年1月10日(土)
会場:浅草花劇場
開場時間17:00 / 開演時間18:00
キャスト:saccharin、TENDRE、竹之内一彌、高木祥太、大井一彌、小西遼、AAAMYYY、桂九ノ一、RYOJI YAMADA、うちゃん、松下ぱなお、TETEYAN、さらさ、森洸大(DONTEQQA)
券種:
<一般スタンディング> 前売料金(税込)¥5,000
<バルコニー指定席> 前売料金(税込)¥5,500 ※ソールドアウト
<学割スタンディング> 前売料金(税込)¥3,000 ※ソールドアウト
https://w.pia.jp/t/saccharin/
※お一人様4枚まで
※電子チケットのみ
※小学生以下入場不可、中学生以上要チケット
LINK
@taikimitai@taiki_matsuura
@saccharin




