- TOPICS
- FEATURE
2025.11.20
10月にドラムの長谷川啓太が脱退、新局面を迎えたドミコ。以降はさかしたひかる(Vo/Gt)とサポートドラマーという形で活動を展開しているが、それと前後して続いてきたツアー「"誰にも言わないでいるよ"release TOUR」のファイナルが11月13日(木)、渋谷・Spotify O-EASTでおこなわれた。新体制化で初となる東京ワンマン。ドラムに細川千弘を迎えて繰り広げられたライブは、スリルも興奮も倍増し、ぶっ飛び感も重厚感もてんこ盛りの、見事なアップデートを感じさせるものとなった。

未発表の新曲でライブをスタートさせたドミコ。前体制のときはドラムがもっとしっかりさかしたのほうを向いて、視線と呼吸を合わせながら音を重ねていた印象があるのだが、細川のドラムはもうちょっと正面を向いている。だからといってバラバラになるかというともちろんそういうわけはなく、さかしたと細川はそれぞれに自分のプレイに全精力を注ぎながら、でもふとお互いに視線を向けた瞬間にテンションがバチっと合ってとんでもない爆発を起こす。その瞬間が気持ちいい。なんというか「合わせる」というよりも「ぶつけ合う」ようなアンサンブルなのだ。「サポートドラマー」という肩書きには似つかわしくないプレイだし、そもそも彼ってこんなドラマーだったっけ?とも思ったのだが、あと一歩突っ込んだらぶっ壊れる崖っぷちを走るようにして腕をブンブン振り回しながら鳴らすその音(当然マイキングしているんだけど、生音がそのまま届いてきてるんじゃないかと錯覚するほど)は、間違いなくドミコに新鮮な空気を持ち込んでいた。

今回のツアーのタイトルトラックである「誰にも言わないでいるよ」(ドミコの場合普通だが、音源からさらに進化して暴れん坊になっていた)を2曲目で早くも披露すると、いよいよバンドがノッてくる。目の前で起きる化学反応を食い入るように見つめながら頭を振り拳を突き上げるフロアの熱も高まる一方。「ユナイテッドパンケーキ」からそのまま「てん対称移動」へと流れ込む序盤の展開のなかではギターリフとシンバルがガシャンガシャンと正面衝突を繰り返し、かと思えばスローダウンした瞬間にさかしたの歌うメロディの叙情性がブワッと溢れ出す。ステージは暗いし前髪は長いしで相変わらずさかしたの表情はよくわからないが、「フォーッ!」という叫び声に今のドミコに対する自信のほどが滲んでいる、気がする。そして細川のドラムが生み出す粘っこいリズムから「まどろむ」と「まどろまない?」のコンボへ。「まどろまない?」のイントロのリフが鳴り響いた瞬間にフロアが沸く。体を弾ませながらリフをループさせ、そこにさらにギターを重ねていくさかした。彼自身も乗ってきたのか、声にもいっそうのハリが宿る。メリハリの効いたセッションがオーディエンスを掻き乱し、やがて高揚させていった。

さらに、ここでおそらくこの日初めて2人ががっちり目を合わせてグルーヴを生み出していく。披露されるのは「解毒して」だ。それをきっかけに、バンドのコンビネーションが一気にシンクロ率を高めたような感じがした。考えてみればこの体制になってまだ数ヶ月、おそらく今回のツアーはドミコにとって新しい肉体を作り上げる過程そのものなのだろう。曲が終わり、細川が立ち上がって「どうだ」とばかりにフロアを睨む。そしてさかしたとアイコンタクトを交わしてキメ。さかしたが「センキュー」と声を出すと、大きな歓声が巻き起こった。ライブが始まっておよそ30分。その短い時間のなかでも、バンドは着実に変化し、進化している。人間同士なので当然とはいえ、それをここまでまざまざと見せつけられる体験もなかなかない。ドミコはこれまでもライブごとに曲が変わっていく「永遠の未完成」バンドではあったが、その真髄を曝け出されたような感じがしてとてもおもしろい。


裏打ちのハイハットが身も心も躍らせる「幽霊みたいに」を繰り出すと、打って変わってさかしたの弾く低音と細川のリムショットがゆったりとしたグルーヴを奏で出す。ゆらゆらと体を揺らしながらさかしたが歌い出したのは「のらりつらり」だ。さっきまでの機関銃乱射みたいなアンサンブルとは違う、余裕と空白を感じさせるそのプレイ。〈何か満たない/さすらうままに Yeah/未だ拙い/思うようにいかないや〉。バイオリズムを合わせるようにドラムと向き合いながら鳴らされていたギターが、徐々に徐々に温度を高めていく。わかりやすく盛り上がる曲とは違うが、会場にじわじわとその熱が伝わっていくのがわかる。そしてさかしたがマイクから離れてギターソロ。ドミコ流のブルーズが、オーディエンスの拍手を呼び起こした。

ここからライブは再びギアを上げていく。パワフルなリフと力一杯のスネアが再び火花を散らす「深海マリアナ海溝旅行にて」から長いジャムセッションに突入すると、ぐんぐんヴォルテージが高まっていく。最後、ギターを高々と掲げるさかした。音が止まった瞬間、渾身の「センキュー!」が会場に響き渡る。その声に、この日のライブへの手応えが表れているようだった。そこから一転してフォーキーな「怪獣たちは」、そしてキラキラとしたギターサウンドとさかしたのハイトーンが美しく響く「プトレマイオシー」へ。ドミコの別の顔を見せるような楽曲を続け様に披露すると、さかしたは「ありがとう」とフロアに語りかけたのだった。

気がつけばライブが始まってから1時間が過ぎている。呑み込まれるようにして2人の音を浴びてきたこの夜もそろそろクライマックスのようだ。「ばける」から「化けよ」への流れが、再びオーディエンスを混沌の世界へと引き戻す。浮遊感のあるギターとギンギンに尖ったドラムが織りなす歪な音像の上でさかしたのシャウトが轟く。ここまでジェットコースターのように心を揺さぶられまくってきた我々は、そのアンサンブルが生み出す引力に抗えない。あとはひたすら身を委ねるだけだ。疾走する「びりびりしびれる」にひたすら頭を振り、ラストの「青の波浪」ではほとばしるセッションの旨みとともに刺激にさらされ敏感になった感性を癒すようなメロディが届けられる。さかしたがエフェクターを自由に操り、細川が繊細なドラムプレイで応戦するというどこまでもドミコらしいバトルでライブ本編は幕を下ろしたのだった。

その後のアンコールでは「1曲やって帰りますわ」と「問題発生です」を披露し、最高の熱狂のなか今回のツアーを終えたドミコ。さかしたは「ツアーも発表されると思うので」と言っていたが、その言葉どおり終演後には年明け1月から2月にかけて開催される「Tour " Mood:360°" - Live in the Round -」も発表された。これは四方をオーディエンスに囲まれたなか演奏する360°ライブをツアー化したもの。とんでもないことになること請け合いなので、期待したい。
文:小川智宏
撮影:エドソウタ

2026年1月21日(水)GORILLA HALL OSAKA
2026年1月23日(金)名古屋 千種文化小劇場
2026年2月27日(金)新宿FACE
チケット:前売 ¥5,000(税込)
https://w.pia.jp/t/domico2026/

ドミコ「誰にも言わないでいるよ」
2025年9月17日(水)
Format:Digital
Label:FRIENDSHIP.
Track:
1.誰にも言わないでいるよ
@hikarururururu
@hikarucchi_domico

未発表の新曲でライブをスタートさせたドミコ。前体制のときはドラムがもっとしっかりさかしたのほうを向いて、視線と呼吸を合わせながら音を重ねていた印象があるのだが、細川のドラムはもうちょっと正面を向いている。だからといってバラバラになるかというともちろんそういうわけはなく、さかしたと細川はそれぞれに自分のプレイに全精力を注ぎながら、でもふとお互いに視線を向けた瞬間にテンションがバチっと合ってとんでもない爆発を起こす。その瞬間が気持ちいい。なんというか「合わせる」というよりも「ぶつけ合う」ようなアンサンブルなのだ。「サポートドラマー」という肩書きには似つかわしくないプレイだし、そもそも彼ってこんなドラマーだったっけ?とも思ったのだが、あと一歩突っ込んだらぶっ壊れる崖っぷちを走るようにして腕をブンブン振り回しながら鳴らすその音(当然マイキングしているんだけど、生音がそのまま届いてきてるんじゃないかと錯覚するほど)は、間違いなくドミコに新鮮な空気を持ち込んでいた。

今回のツアーのタイトルトラックである「誰にも言わないでいるよ」(ドミコの場合普通だが、音源からさらに進化して暴れん坊になっていた)を2曲目で早くも披露すると、いよいよバンドがノッてくる。目の前で起きる化学反応を食い入るように見つめながら頭を振り拳を突き上げるフロアの熱も高まる一方。「ユナイテッドパンケーキ」からそのまま「てん対称移動」へと流れ込む序盤の展開のなかではギターリフとシンバルがガシャンガシャンと正面衝突を繰り返し、かと思えばスローダウンした瞬間にさかしたの歌うメロディの叙情性がブワッと溢れ出す。ステージは暗いし前髪は長いしで相変わらずさかしたの表情はよくわからないが、「フォーッ!」という叫び声に今のドミコに対する自信のほどが滲んでいる、気がする。そして細川のドラムが生み出す粘っこいリズムから「まどろむ」と「まどろまない?」のコンボへ。「まどろまない?」のイントロのリフが鳴り響いた瞬間にフロアが沸く。体を弾ませながらリフをループさせ、そこにさらにギターを重ねていくさかした。彼自身も乗ってきたのか、声にもいっそうのハリが宿る。メリハリの効いたセッションがオーディエンスを掻き乱し、やがて高揚させていった。

さらに、ここでおそらくこの日初めて2人ががっちり目を合わせてグルーヴを生み出していく。披露されるのは「解毒して」だ。それをきっかけに、バンドのコンビネーションが一気にシンクロ率を高めたような感じがした。考えてみればこの体制になってまだ数ヶ月、おそらく今回のツアーはドミコにとって新しい肉体を作り上げる過程そのものなのだろう。曲が終わり、細川が立ち上がって「どうだ」とばかりにフロアを睨む。そしてさかしたとアイコンタクトを交わしてキメ。さかしたが「センキュー」と声を出すと、大きな歓声が巻き起こった。ライブが始まっておよそ30分。その短い時間のなかでも、バンドは着実に変化し、進化している。人間同士なので当然とはいえ、それをここまでまざまざと見せつけられる体験もなかなかない。ドミコはこれまでもライブごとに曲が変わっていく「永遠の未完成」バンドではあったが、その真髄を曝け出されたような感じがしてとてもおもしろい。


裏打ちのハイハットが身も心も躍らせる「幽霊みたいに」を繰り出すと、打って変わってさかしたの弾く低音と細川のリムショットがゆったりとしたグルーヴを奏で出す。ゆらゆらと体を揺らしながらさかしたが歌い出したのは「のらりつらり」だ。さっきまでの機関銃乱射みたいなアンサンブルとは違う、余裕と空白を感じさせるそのプレイ。〈何か満たない/さすらうままに Yeah/未だ拙い/思うようにいかないや〉。バイオリズムを合わせるようにドラムと向き合いながら鳴らされていたギターが、徐々に徐々に温度を高めていく。わかりやすく盛り上がる曲とは違うが、会場にじわじわとその熱が伝わっていくのがわかる。そしてさかしたがマイクから離れてギターソロ。ドミコ流のブルーズが、オーディエンスの拍手を呼び起こした。

ここからライブは再びギアを上げていく。パワフルなリフと力一杯のスネアが再び火花を散らす「深海マリアナ海溝旅行にて」から長いジャムセッションに突入すると、ぐんぐんヴォルテージが高まっていく。最後、ギターを高々と掲げるさかした。音が止まった瞬間、渾身の「センキュー!」が会場に響き渡る。その声に、この日のライブへの手応えが表れているようだった。そこから一転してフォーキーな「怪獣たちは」、そしてキラキラとしたギターサウンドとさかしたのハイトーンが美しく響く「プトレマイオシー」へ。ドミコの別の顔を見せるような楽曲を続け様に披露すると、さかしたは「ありがとう」とフロアに語りかけたのだった。

気がつけばライブが始まってから1時間が過ぎている。呑み込まれるようにして2人の音を浴びてきたこの夜もそろそろクライマックスのようだ。「ばける」から「化けよ」への流れが、再びオーディエンスを混沌の世界へと引き戻す。浮遊感のあるギターとギンギンに尖ったドラムが織りなす歪な音像の上でさかしたのシャウトが轟く。ここまでジェットコースターのように心を揺さぶられまくってきた我々は、そのアンサンブルが生み出す引力に抗えない。あとはひたすら身を委ねるだけだ。疾走する「びりびりしびれる」にひたすら頭を振り、ラストの「青の波浪」ではほとばしるセッションの旨みとともに刺激にさらされ敏感になった感性を癒すようなメロディが届けられる。さかしたがエフェクターを自由に操り、細川が繊細なドラムプレイで応戦するというどこまでもドミコらしいバトルでライブ本編は幕を下ろしたのだった。

その後のアンコールでは「1曲やって帰りますわ」と「問題発生です」を披露し、最高の熱狂のなか今回のツアーを終えたドミコ。さかしたは「ツアーも発表されると思うので」と言っていたが、その言葉どおり終演後には年明け1月から2月にかけて開催される「Tour " Mood:360°" - Live in the Round -」も発表された。これは四方をオーディエンスに囲まれたなか演奏する360°ライブをツアー化したもの。とんでもないことになること請け合いなので、期待したい。
文:小川智宏
撮影:エドソウタ
LIVE INFORMATION
ドミコ Tour " Mood:360°" - Live in the Round -

2026年1月21日(水)GORILLA HALL OSAKA
2026年1月23日(金)名古屋 千種文化小劇場
2026年2月27日(金)新宿FACE
チケット:前売 ¥5,000(税込)
https://w.pia.jp/t/domico2026/
RELEASE INFORMATION

ドミコ「誰にも言わないでいるよ」
2025年9月17日(水)
Format:Digital
Label:FRIENDSHIP.
Track:
1.誰にも言わないでいるよ
LINK
オフィシャルサイト@hikarururururu
@hikarucchi_domico




